NARUTOの奈良家に転生トリップしたらブラコンになった。 作:柚子ゴル
「ねぇ、サクラ。
ちょっと修行つけてあげようか?」
「は?」
僕が顎に手を当てながらサクラに問えば、サクラは怪訝な顔した。
いつものDランク任務が終わり、第七班は解散になる。
帰ろうとしているサスケを誘おうしたサクラに声をかけた。
けれど、サクラ以上に反応したのはナルトだった。
「いや!サクラちゃん。辞めた方がいいってばよ。サクラちゃんも変化の術を永遠とやらされるだけだって。」
「当たり前よ。マサキ、あんた忘れたとは言わせないわよ!ナルトの修行のこと!私はあんな風になるなんて嫌!それに、修行つけたいなら弟子のナルトにしなさいよ!」
「サクラちゃんそれはないってばよ…」
ナルトはあからさまにドヨーンとした表情で僕をチラチラと見てくる。
こいつもう一回お灸を据えてやろうか。
僕らの話し合いを見ていたサスケは一言、言った。
「サクラ、お前も少しはちゃんと修行したらどうだ?
正直、お前の実力はそこのドベ以下だぞ。」
それにナルトが反応する。
「ドベって俺の事か?!」
「お前以外考えられねーだろ。ウスラトンカチ。」
「ぬぁにぃ?!サスケてめぇ…!」
今にも喧嘩が始まりそうだが、かなり煩い。此処は公共の場なのだから静かにしなければならないのに。
僕が仕方がないから仲裁をしてあげよう。
「うるさいよ。二人共。仲がいいのは僕とシカマルだけにして。」
「「意味がわかんねーよ!」」
(私はナルトよりも下…。)
サスケの言った一言で、サクラは、なくなく修行を受ける事を決めた。
次の日、任務が終わり、サスケとナルトに見送られたサクラは、マサキと一緒に演習場に来ていた。
サクラはやはり乗り気ではなく、顔を顰めながらマサキに話しかける。
「ねぇ、私は何をすればいいの?」
「とりあえず、考えているのはチャクラ量を増やす事だよ。」
「チャクラ量?」
そう聞き返してくるサクラにマサキはすんなり答える。
「そう。サクラはチャクラコントロールがナルトやサスケよりいいのはチャクラが少ないからなんだよね。
だからすぐにコントロール出来たんだよ。」
「それはなんだか…ちょっとムッとする言い方ね。」
「今回の修行の目的は、チャクラ量を増やし、更にそれを完璧にコントロールする事。
これだけでも凄いことだからね。
それをした後に、必殺技やら得意な物やらをしていけばいいと思う。」
「なるほど…。」
「サクラ、チャクラとは?」
「精神エネルギーと身体エネルギーを練りあげて出来るもの…だけど…。」
「そうだね。
チャクラ量を増やすには、
体を鍛えて、身体エネルギーを上げる事と、
心を鍛えて、精神エネルギーは上げる事が必要だね…。」
「え、う、うん。」
「サクラには精神エネルギーは充分あるよ。」
「あ、ありがとう。」
サクラは少し嫌な予感がした。
何故ならマサキがこんなにも丁寧に今まで接した事があっただろうか。いやない。何かあるに違いない。
マサキの考えている事など到底わかりはしないので、マサキが言葉に耳を傾ける。
「でもサクラは、全くもって体力がない。筋肉も全然ないしダメダメだよ。」
「うっ…。
でも筋肉なんて…ゴツいのはサスケくんに嫌われちゃう…。」
「サスケくんに嫌われちゃうなんて今はどうでもいいっ。
それよりも、2人に忍びとしてついていけなくて悔しくないの?」
「っっ!悔しい…。」
おもわず下を向く。
ずっと思っていた。二人の背中ばかり見て自分は何もしていない。
そのくせ口は達者で…いや、口だけが達者でナルトにとやかく言う。
波の国で充分味わったあの劣等感。
(そんなのもう嫌だ。)
もしかしたらこれはチャンスかもしれない。二人との差が縮まるのであれば、これをする意味は充分ある。
ならば、やるしかない。例え、貸しを作りたくない相手でも。信用出来ない相手でも。利用出来るものは利用する。
自分が強くなるために…!
「よろしくお願いします。」
私が自分を嫌いにならないために。
ーーーーーーーー
「よろしくお願いします。って言っても僕はサクラが怪我とかした時に治してあげる程度だけどね。その時以外僕は自分の修行をする。」
「え?」
「体力作りは他の適任な忍びに頼んだから。」
「は?ちょっと待って。誰なの?」
「ナウでヤングでナイスガイな男。
上忍だよ。」
その言葉に異様にサクラは反応した。
「え、本当に?!かっこいいの?!
ちょっともう私こんな汚い格好で来ちゃったのに…!髪だって跳ねてるしっ!ちょっと一回家に戻ってからでも…!」
マサキが死語を使いまくっている件にも触れずに、ただただ、顔を紅潮させ、照れているサクラ。
最初の時からは考えられないほどである。
ふとサクラの後ろで声がした。
「遅くなって悪かったな!
君が例の春野サクラか?」
サクラはどきりと胸がうった。
私はサスケくんが好きなのよ。
だから別にイケメンな人に教えて貰ったって心が変わるとかはないわ!多分…。
名前を呼ばれ返事をする為にまずは笑顔をつくる。精一杯の可愛い笑顔だ。
くるりと振り向き自己紹介をしようとするが…
「こんにちは!はじめまして!春野サクラです!
この度は私に修行をつけてくださるって聞いて…。」
相手の姿を見て、ピタりと動きを止めた。なお、顔は笑顔のままである。
現れたのは、濃ゆい眉毛とオカッパ頭が特徴的。常に一張羅の緑色の全身タイツ(スーツ)の上から木ノ葉の忍者ベストを羽織っており、両足にはオレンジ色の脚絆を付けている。
一言で言うならば、見ているだけで暑苦しくしく、キモい。
「うーん!修行をつけて欲しいだなんて努力家じゃないか!青春だなっ!
俺はマイトガイ!
木ノ葉の気高き碧い猛獣だ!
これから一ヶ月よろしくな!」
腰をくねらせ片方の指を丸め目元へともっていく。
いわゆるナイスガイポーズをして自己紹介をするガイにサクラは鳥肌がたった。笑顔を崩し、真顔で言った言葉は…
「いやチェンジで。」
「サクラ此処はホストじゃないよ。」
「ホスト?」
「いや、なんでもない。」
つい、言ってしまった。
ここの世界ではありえないのに。
「そう…。じゃなくて…!
どういうことなわけ?
こんなこと聞いてない!」
「言ってなかったのか?」
ガイがマサキに聞けばマサキはうなづく。
「参ったなぁ、俺では不服か?」
「いや、不服とかではなくて…。」
流石にサクラとて上の人間にはっきり不服よ!とは言えない。
しかし、ふと疑問点を思い浮かべる。
「一ヶ月?」
先ほどこのマイトガイさんは一ヶ月よろしくと言っていたが、一ヶ月など聞いてはいない。
「ガイに一ヶ月体力作りを見てもらうんだよ。
ガイは木の葉でも体術とかは凄くずば抜けてるからね。」
「俺には担当下忍がいるから、合間合間でしか見られないがな!」
「なかなかないよ。ガイが自分の知らない人にいきなり修行つけてくれるなんて。チャンスだよサクラ。」
「まぁなっ!俺は気に入ったやつにしか修行はつけないから!
カカシが真剣勝負をしてくれるらしいから頑張って俺はお前に教える!」
カカシ先生?いや今はそれはいい。それよりも。
「一ヶ月も…?」
「そう。
ちなみに、任務が始まる前と終わった後は基本ずっと修行ね、一ヶ月。」
「…は?!」
「お家の人には、もう言ってあるから。
例えどんなに帰りが遅くなっても安心してください。送りますので。辛いでしょうが、それが貴方方の娘の為なんですって言えばOKしてくれたよ。」
「う、嘘…ずっとってずっと…?」
「ずっと…。
サクラ、知ってる?
睡眠は最低4時間半とればリフレッシュ出来るんだよ。」
「し、知ってるけど、そんなの無理よ!
それに修行はやっぱり今じゃなくても…。」
「サクラ…
大抵のことは、いつから始めても遅いということはない。
しかし、大抵のことはまた今度でいいと思ったら手遅れになるよ。」
「うっ…」
サクラは言葉につまる。
その通りだとサクラは思ったからだ。
ガイはその言葉に感動しながら叫んだ。
「いい言葉だなぁ!
よし!サクラ!まずは準備運動で腕立て伏せ100回だ!」
「呼び捨てっ?!というか準備運動ですらないわよその量!」
もはや敬語でもなくなってきている言葉遣いには目もくれずガイは言った。
「俺も一緒にやってやるから!
さぁ!いーち!」
「うっ、……いーち!」
しぶしぶサクラは腕立て伏せを開始する。
ーーーーーーー
「はぁはぁはぁごほっ、げほっうっ」
辺りは暗くなり、サクラの呼吸だけがやけに響く。
たった数時間だけの修行だがここまで疲れたのは今までで初めてだ。
上手く息もできないし、話せないし、一歩も動けない。
土が汚いだとかそんなものに構っている余裕もなく、だらしなく寝そべっているサクラ。
いつもの彼女はそこにはいなくて、髪や服は土で汚れ、身体は火照っており汗で髪の毛がぴったりと顔に着く。足や手がいまだにプルプル震えていてどれだけ体力作りが過酷かが見てとれた。
ガイは修行が終わり次第帰って行ったがマサキは未だサクラを見ていた。
サクラは呼吸がなかなか整わずただただ楽になれる時を待つ。
それを横目に見ながらマサキはサクラに話しかける。
「10分休んだら次はチャクラコントロールだよ。
木はもう出来てたと思うから、水面歩行だね。」
「むっ、はぁはぁんぐ、り‼︎はぁはぁ…。」
「無理じゃないよ。
それに最初は誰だって辛い。
でも慣れたら全然大丈夫だから!」
珍しく暑く語るマサキに何も言えないでいると、マサキはサクラに近づいていった。
そしてサクラをお姫様抱っこして、どこかへと歩き出す。
「ちょっ!」
「静かに、落ちるよ。」
サクラは、マサキの顔を間近で見ながらなんだかドギマギする。
(マサキがこんなことするなんて…!
お姫様抱っこって…!そんな優しいやつだったかしら…。)
息はまだ整わないが、なんだか別に意味で凄く照れる。
マサキがサクラを連れてきたのは、大きな池だった。
池には月がうつっていてなんだかロマンチックだ。
サクラは嫌な予感がした。
先ほど自分に水面歩行と言っていたが、まさかこれからやるんじゃ…と。
しかし首を振る。今日のマサキはなんだか優しい。きっと綺麗なこの景色を見せてくれたに違いないと。
「池が凄く綺麗ね。」
暫く時間がたったので普通には話せるようになっていた。
身体はまだ動かないけれど。
マサキの顔色を伺うように聞けば、マサキは無表情だった。
「マサキ?」
思わず名前を呼べば、マサキはボソリと言った。
「身体で覚えてね、サクラ。」
そういってマサキはサクラを池の中へとぶん投げた。
「はああぁぁあぁあ?‼︎」
サクラは叫ぶが、池がザブンと音を立てサクラを濡らす。
身体の汗が落ちていくのがわかるが、なんだか気持ち悪い。
重たい身体をなんとか動かし、池の淵へ行き、地面に上がろうとすると、マサキに手を蹴られた。
「駄目。最低立って歩けとは言わないけど、一瞬でもいいから立てるようにならないと帰さないから。」
「無理無理無理無理無理‼︎‼︎」
水の中で必死に首を振るサクラをマサキは一瞥し、見本を見せるため、自分が池の上へと立つ。
「さ、始めようか。」
マサキのいかにも作った笑顔が、怖い。
これが後一ヶ月も続くとなると私は一体どうなるのか考えるだけで怖すぎる。
サクラはこれから私は無事に帰れるのだろうかと絶望的な目でマサキを見ていた。
ーーーーーーーーー
中忍試験まであと一ヶ月。
別にサクラを鍛えようとかは昔は思っていなかった。
僕は中忍試験でばりばりシカマルの所に行く予定だし、イタチにお願いされたからといってサスケの呪印をどうにかするというわけでもない。
別に勝手にやってくれとさえ思う。
確かに僕はイタチに死んでほしくはないし、サスケが嫌いでもないけれど、優先順位は明らかにシカマルだ。
申し訳ないが、放置しようと思ってもいたが、サクラだけは強化してあげようと思った。
サクラは確か、中忍試験の時、一人でサスケとナルトを守る時があったはずだ。敵は伝説の三忍の大蛇丸の手下で、なかなか強かったはず。
そしてシカマル率いるイノ、チョウジがそこに助けに入る。
ところが、サクラがもし強くなっていたらどうだろう。
きっとシカマルはサクラの強さにびっくりするかもしれない。シカマルはサクラの事を何にも特徴がない忍と言っていたのだから。
そしてびっくりしているシカマルに僕が高らかにこう言う。
『僕がサクラに修行をつけたんだ!』
きっとシカマルは僕を尊敬の眼差しで見るに違いない。
楽しみすぎる。
その為には例えサクラの為に時間が取られようと、大丈夫だ。
シカマルに尊敬の眼差しで見てもらえるならば。
心だって鬼に出来る。
「サクラ全然駄目。もっとチャクラ出さないと水面に立てないよ。」
「も、本当に無理…。チャクラ切れ起こ…しそ…。」
「駄目。」
「だ、駄目って…。」
僕はそれを無視して、更に駄目な所を言う。サクラはフラフラになりながらも一応は聞いている。
嗚呼…それにしても、中忍試験が楽しみだ。
✳︎おまけ✳︎
シカミ「ガイ、ちょっと修行つけてほしい子がいるんだけど。」
ガイ「シカミが俺に頼みごととは珍しいな。だが断る!俺にはもうリー達がいるからな!」
シカミ「カカシとの勝負、カカシに真剣にやるように言う上に、真剣勝負の審判をやってあげるから。」
ガイ「何?!本当か?シカミが見ているならきっとカカシも本気を出すなっ!」
シカミ「じゃ、よろしく。」
ガイ「ああ!わかった!だがそんなには見られないぞ!」
シカミ「OK。」
✳︎おまけ✳︎
シカミ「そういうわけでよろしく。」
カカシ「えー、ガイと?ちょっと面倒くさい…。」
シカミ「はぁ?これカカシの仕事なんだけど。」
カカシ「うっ…まぁね。」
シカミ「僕その勝負の審判してあげるから、ちゃんと戦ってよ。」
カカシ「本当?じゃあ勝ったらデートしてよシカミ。なーんて…」
シカミ「考えとく。」
カカシ「え?!本当?!本当に?!」
シカミ「うん。」
カカシ「頑張ろう…。まじで頑張ろう…」
シカミ「(チョロいな…。)」
サクラちゃん強化!
原作よりもかなり強いサクラちゃんになる予定…。