NARUTOの奈良家に転生トリップしたらブラコンになった。 作:柚子ゴル
どうやら皆でご飯を食べていたようで大きなテーブルに一つ椅子が空いており僕はそこへ自然に足が向かい座った。
その日の夕食はシチュー等でチャクラを沢山使い疲れ果ててた僕にはとても美味しそうに見えた。
いただきますと呟いてからスプーンを握ると隣に座っていたカカシに手を掴まれ自己紹介をしろと施される。
この部屋には僕、カカシ、ナルト、サスケ、サクラ、タズナの他に黒髪の長い綺麗な年頃の女一人、帽子を深く被り暗そうな男の子一人がいた。
僕は原作を知っているからわかるのだけれどこれからお世話になる人なのだから丁寧に自己紹介をした。
「かわもとマサキ。下忍です。よろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げ相手が返してくるのをぼーっとしながら見つめ聞く。
「どうも父を守ってもらってありがとうございます。私はタズナの娘のツナミです!
この子はイナリです。
イナリ、挨拶なさい。」
「……ご馳走様。」
そういうや否や生意気な餓鬼は椅子から降り二階へと駆け上がる。イナリ!!とツナミが批難した様に叫ぶのをスルーしながら駆け上がる姿はこの空気を重くさせるには十分だった。ツナミに謝られる中僕はそんな餓鬼のことは気にもとめてなかった。ご飯を食べて手を洗ったらシカマルの写真をみよう。なんだか何時間も見ていないせいで具合が悪くなってくる。
でも、その前にカカシの薬を作らなければと思うのだけれどやはりシカマルの写真を見る方が優先順位は上だと自己判断しひたすら箸を進めた。
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食事を終えカカシの薬も作りおわった後僕は居間でゆったりとシカマルの写真を眺めていた。僕たちの寝床はこのリビングルーム。適当に布団を敷き僕はゴロゴロと寝っころがっている。一般家庭のタズナの家には個室があまりなく五人が寝れる部屋はなかった。だからリビングになった。サクラは今は此処にいるが寝るところはツナミの部屋だ。ちなみに理由は流石に年頃の女の子をこんなところにいさせるのは悪いというツナミ本人の希望だ。これからどんどん過酷になるのだから別にそんなの余計なお世話だがサクラ本人も希望したためこうなった。
サクラまだ居間にいて本を読んでいる。
第七班も各自好きな事をしている中我慢出来ないようにナルトが足音を立てながら近づいてくる。
「なぁ!なぁ!マサキ!俺ってばお前が薬草探している間に修行してたんだってばよ!カカシ先生がな!影分身作って修行してくれたんだ!
木を登ったんだぜ!手を使わずに!
どうやったと思う?!」
そういえば、ナルト達は服がやたらと汚れていた。シカマルに夢中で余り気にしていなかったけれど。くだらない幼稚な質問にシカトを決め込もうとした、が、僕が馬鹿だと思われるのは心外なのでそれに答える。
「チャクラコントロールでしょ。
てかそんな自慢気に言うくらいならナルトは出来たの?凄い汚れてるんだけど。」
「い、いやぁ、俺ってばやれば出来る男なんだけど…」
どもるナルトにこれまた汚れた服のサクラがすかさずハッキリと物事を述べた。
「ナルトあんた出来てないじゃない!まぁ、私ぐらい優秀になればすぐなんだけどね!」
「うっ、サクラちゃん…。」
「へー、サクラは出来たんだね。サスケは?」
「サスケは出来てねーってばよ!うしし!」
「何であんたが答えんのよナルト!」
サスケが舌打ちをしたのを聞きながら僕は少しだけ安心した。
(まだ原作の通りなんだな。)
原作を知っているけれど僕というイレギュラーな存在がどう原作に影響するかわからない。まぁ僕は白とかを生かそうとしている時点で原作を破壊する気満々だけど。
だってここはどうしようもないリアルな場所で少年誌にのっているようなペラペラな紙では表せない事が確かに存在するのだから保険は沢山持っていた方がいい。
「で、何なのナルト。わざわざそんなこと言ってきて。」
「あのさあのさ!マサキってば木登り出来るの?」
「はぁ?んなの…」
ナルトやサクラ、特にサスケは此方を興味深く見ている。まぁ僕は今まで圧倒的な力を見せつけてきた筈だから興味が出てくるのも仕方がない。
僕は勿論木登りは出来る。むしろ僕は自然に出来る様になった。
奈良家は鹿を森の中で監視したり保護するのが役目だ。そしてその長の長女である僕はよく森に行き自然豊かな大地の中で勝手にチャクラコントロールを身につけ勝手に手を使わず足だけで登っていた。これも奈良家始まって以来の天才と言われた要因の一つだったりする。
だが、今それを正直に話せばきっとタズナの護衛につけと言われることは確実だ。
それは面倒臭いしそれならば自然の中で伸び伸びと自分の修行をちゃんとしたい。最近忙しくて修行が疎かになってしまっている時がある。昔の方がもっとキチンとしていたのに。波の国篇が終ればすぐに中忍試験だろう。確か、大蛇丸がくる筈だからいろいろ対策をしなければならない。今の僕では到底太刀打ち出来ないことは一目瞭然だ。
何か考えなければ…。
ずっと黙っている僕を不審に思ったナルトは僕が持っている写真を覗きこもうとしてきた。僕は無言でナルトを睨み写真をそっとしまう。そして高らかに僕は胸をはって言った。
「出来ないよ!!僕初めてやるなぁ。そんな事!明日からだよね?楽しみだ!」
「「「えっ」」」
三人の声が重なった。きっと皆は僕には出来るだろうと思っていたのだろう。勿論出来るけどな。
第七班の下忍はとても嬉しそうに笑い僕に話かけてくる。
「私に出来てあんたに出来ないってことはなさそうだけどあんたより先に出来たという達成感がなんだか感動的。」
と嬉しそうに話すのがサクラ。
「勝負しようぜ!誰が先に登りれるか!勝ったやつは相手の言う事を一つ聞く!俺とマサキと…まぁ、サスケもいれてやるってばよ。どうせ俺が一番だからなっ!!」
と目を輝かせ話かけてるのがナルト。
「フン!ほざけ。お前等なんかに負ける筈ねーだろうが。」
とあざ笑うように目を瞑りナルトと僕をディスるサスケ。
僕は勿論その勝負に乗った。だって僕はもう出来る訳だからナルトとサスケがもう少しで届きそうというところで素早く抜かし上から間抜けヅラを拝むのも悪くないだろう。最近出来レースが多くてついているなと内心笑顔で何を命令しようかといろいろ考えていた。
その様子をカカシは苦笑いしながら見守っていた。
カカシは薬草を貰い少しだけ動ける様になっていたので大人しく椅子に座り苦無等の手入れをしながら下忍達の話を聞いていた。
(シカミってば登れるくせに…楽するつもりだな…。)
まぁ彼女の事だ。きっと修行でもやるのだろうと思う。彼女は暇さえあれば修行をしている忍びだ。
勿論シカマルに会えない時限定だが。
薬草の副作用のせいかやたらと眠い。そろそろ寝ようかと思っていたところサクラが聞いた質問のせいで寝ている場合ではなくなってしまった。
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「ね、マサキってどんな人がタイプなの?」
初めは単なる好奇心だった。
思っていたよりもマサキは取っ付き難い人ではない。再不斬の戦いの時はかなり不気味で恐ろしいと思っていたがよく考えればもしかするとだが自分達に戦いに対する厳しさを教える為だったのかもしれない。現にあの事があったから自分は必死こいて先程修行をしていた。いつも少しサボりがちな面倒臭がりな自分が必死こいて修行をしたのだ。いつもベタベタになる気持ち悪い汗が嫌だったが今日は何故だか汗をかいても嫌な気持ちにならず妙にサッパリとした爽快感があった。
そんな気持ちにさせてくれたマサキはよく写真を見ていた。マサキはいつも余りにこやかではないが写真を見ている時だけどうしようもないぐらい顔が緩むのがわかる。その顔は明らかに恋をしている様な愛してやまないようなそんな表情だ。見ているだけで此方まで頬を染めるようなそんな感じ。その例の写真に何が写っているのか。どうしても気になった。
だから言った。
こういえばこんな顔だよとか写真を見せてくれるかもしれないと、そう思って。
ナルトやサスケくんは特にこの話に食いついてこなかった。男子だからかあまり興味がないのかもしれない。だけど、私は恋する乙女。マサキの恋に協力して自分もサスケ君との恋を応援してもらうのよしゃーんなろー!と思っていた時期が私にもありました。
「まずは黒髪で髪を上でくくりつけてて、あ、勿論前髪もだよ?それと身長は150.6cm。体重は42kg。素晴らしい体型だね。でも少しだけ痩せてるからもう少し食べた方がいいのかなぁ。
性格は冷静でめんどくさがり屋さんだけどやるときはやる人。よく言う言葉はめんどくせーだけど凄くかっこいいんだよ。もはやそのめんどくせーもすっごくイイ…。他の人が言ったらキモくてつい殴るかもしれないけどね。普段ゆったりとしていても実は凄く頭がいいとかもうまじやばい程のギャップ!
誕生日は9月22日で星座は乙女座。そしてAB型。
好きな食べ物は」
「ちょ、ちょっと待って!!」
「何?」
具体的すぎるタイプで相手が何と無く相手がわかってしまった。しかしおかしい。だって、だってあいつは…。
「もしかして奈良シカマル…?」
ピクリと今まで笑顔で話していた顔が眉毛だけ動いた。
そのまま何、シカマルの事が何か気になるの…?と聞かれる。
何故か冷や汗が自分のコンプレックスのおでこから伝う。
笑顔のマサキが怖い。基本的に笑顔の時のマサキが怖いと感じるのは何故だろうか。それは手で苦無を弄っているからだろうか。いや、違う。これは何?
苦笑いで口元をひくつかせながら答える。ここでの正しい答えは…。
「いや、その…別に…。シカマルとは同期だから何と無く知ってるだけで…。」
「ふーん…。シカマルに興味があるわけ…?まぁわかるよ。シカマルは天使で女神に愛されててむしろ好きになるなと言う方が無理だからね。」
「いや!私はサスケ君一筋だから…!!」
サスケくんが好きな事をキチンと伝えること。
手を前にだし待ったをかけ想いを伝える。するとマサキは急にそういえばと思い出した様に呟き苦無をしまってから笑顔で頑張ってとそっと私の肩に手を置いた。
その途端肩の力が抜けへたりと座り込む。辺りを見たわせばそれでも俺は…と意気込んでいるナルトと椅子に座りうな垂れてそうだよね君はそうだよねいつもそれだよねと今にも泣きそうな雰囲気のカカシ先生。サスケくんはマサキに驚いていた。私も驚いた。マサキは男のはずなのに男のシカマルが好きなのかと…。けれど私はそんなに偏見はない。何故なら昔そういう系の本に手をだした事があるから。抵抗がなかった。それよりリアルで男の子同士の話を聞けるだなんてと少し興奮していた。が、そういう系の本を読んでいたのはあくまで乙女の秘密だ。ただマサキとシカマルではビジュアル的に少しだけ抵抗があるが…。
そして今更になってしまったが本題を聞く。
「じゃあその写真もシカマルなの?」
「勿論。見せないけどね。」
「いや、別にいいけど。」
「ああ、そうだ。皆シカマルの素晴らしい話を聞かせてあげるよ。僕はなんだか今日機嫌がいいからね。特別に聞かせてあげる。心して聞いてね。」
その場にいた全員がいらないと思ったがシカマルの事を話しているマサキの熱意というか熱気に圧倒され皆なかなか話のコシを折れなかった。しかもそのまま寝ようとしたり去ろうとする物なら睨みや実力行使で話を聞かせてくる。あり得ない程迷惑だった。
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あの後結局夜が開け朝になりツナミが朝ご飯というまで話は続けられた。まだまだ話し足りないようなマサキを見て第七班下忍は目に隈を作りながら絶対にマサキにシカマル関係の事に触れないよう固く厚くあのサスケまでもが結束した。
第七班の絆が大きくなった瞬間だった。
カカシは自分が好意を寄せている人物に好きな人の惚気を聞かされ精神的ダメージをうけ未だ机にうな垂れていた。木で出来た机を涙で濡らしながら。
一方シカミは久しぶりにシカマルを語る事が出来、大変満足してツルツルな肌でツナミに清々しい笑顔で挨拶をした。
「おはようございます。ツナミさん。気持ちがいい朝ですね。」