NARUTOの奈良家に転生トリップしたらブラコンになった。   作:柚子ゴル

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第八話

僕がどんなに言っても任務続行には影響がないらしいので諦めた。

 

ため息をつくとそれに気付いたナルトは笑顔でこう言ってきた。

 

「大丈夫だってば!マサキ!俺が次の敵をババーンとあっというまに倒してやっから!」

 

にししと効果音がつくぐらい上機嫌で言ってくるナルトに笑顔で僕も返す。

 

「じゃあもしカカシが駄目になったらナルトがかっこよく助けてあげてね!」

 

「!、おう!」

 

「え、俺やられちゃう前提なの?」

 

確か原作ではカカシが捕まりナルトとサスケが助けていた。

だから釘をさしておく必要があるし僕が動かなくても大丈夫なよう期待しておく。ただ僕というイレギュラーにより原作がどう変わるかなんてわからないから一応保険をかけておくか。

 

「影分身の術」

 

ぼふんという音をたてて出てきたのは二人のマサキの形をした影分身。

それに疑問をあらわにするのは勿論ナルト。

 

「なんで影分身してんだ?」

 

「一応。いつでも敵が現れていいようね。」

 

「へー、ヤル気出してくれたんだ?」

 

「いえ、全然。」

 

カカシが嬉しそうに言ってくる言葉を全否定していればふと感じる林の気配。

カカシも気がついたようでピクッと反応する。

何を考えたのかなんとナルトがそこの林に向かって苦無を投げつけ出した。サスケには負けてらんねー!と言っていた彼の事だから適当に投げつけたんだろけど当たっていたのは白い代わりの術によく使われるウサギ。

カカシはそれを見た後叫んだ。

 

「伏せろ!」

 

いきなりの事で僕は素早くタズナのじじいを抱きかかえ林の中へと移動した。

ちなみに影分身はナルトが上手く伏せれていなかったので頭を押さえつけて刀が真上をクルクルと回っていた時にぽふんと消えてしまった。

そして刀は木に刺さりその上に桃地再不斬が自分達に背を向け立っていた。

 

ーーーーーーーー

 

 

敵から攻撃をうけ相手を見やると巨大な大刀・断刀首斬り包丁を担ぎ、口を覆う包帯の奥には残忍な表情を浮かべている男。霧隠れの抜け忍、かつて霧の忍刀七人衆の一人、鬼人・再不斬としてその名を轟かせた実力者がいた。

おもわず焦る。上忍クラスが出てくると思っていたがこんなにも大物が出てくるとは思わなかった。

勝てるかどうかわからないが…シカミがいるだけいいかもしれない。

 

「こりゃこりゃ霧隠れの抜け忍、桃地再不斬君じゃないですか。」

 

カカシが言い終わるとナルトは桃地再不斬に向かい走る様な仕草をしたがカカシはすぐさまそれを止める。

 

「邪魔だ。お前等下がってろ。

こいつはさっきの奴らとはケタが違う。」

 

全員が息を飲むのがわかった。

今はそちらにかまっている余裕はない。何故なら目の前には相当な敵がいるし守るべき対象が4人もいる。

こりゃ、今のままではちときついかな。

そう思いながら左目を隠す様に巻いている額当てに手をかけた。

 

「写輪眼のカカシと見受ける…。

悪いがじじいを渡してもらおうか…。」

 

サスケは写輪眼少し反応する。

カカシは第七班に指示を出した。

 

「卍の陣だ。タズナさんを守れ…

お前達は戦いに加わるな。それがここでのチームワークだ。」

 

「で、でも…タズナさんが…」

 

サクラが先程から気になっていたことを言おうとしいないと続けようとしたところ林からタズナとマサキが出てきた。

 

「あははっ、ごめーん。タズナさん飛ばしすぎちゃったよ。」

 

「あんたね!緊張感がないのよ!少しぐらい緊張感を持ちなさいよ!」

 

「あまり気を抜くな。マサキ。お前にも今回は動いてもらうつもりなんだから。」

 

サクラが怒りカカシは少し厳しめにマサキに言う。けれど再不斬からは目を離さない。

 

「再不斬…まずは… 俺と戦え。」

 

「ほー、噂に聞く写輪眼を早速見れるとは…光栄だね。」

 

再不斬は嬉しそうに言う。最近雑魚ばかり相手をしてきたから久々に骨のあるやつとやれる。

内心歓喜に満ち溢れていた。

 

 

写輪眼

 

開眼すると血継限界を除く「体術・幻術・忍術」の仕組みを看破でき、また視認することによりその技をコピーし、自分の技として使うことができる。また、動体視力もずば抜けて高く、高速で動く物体にも対応することができる。さらに、チャクラの流れを形として視認することができ、性質を色で見分けることも可能で、更には影分身と本体を識別することも可能だ。

うちは一族特有の血系限界で一族の血が入っていないカカシが使える筈が無いのだか昔戦友にもらったものだ。

 

わざわざサスケが説明をする。しかし何故カカシが持っているのかはわからないでいた。

 

話によると千以上の術をコピーした男…。コピー忍者のカカシ。

 

「俺はそこのじじいを殺さなきゃならねぇ…が、その前にお前を殺す必要があるようだな。カカシィ。」

 

そう言った瞬間に再不斬は水の上に立つ。そして濃密なチャクラを練っていた。

 

第七班はタズナを守る様前に出ており前にサスケ、右にサクラ、左にナルト、後ろにマサキがいる。

 

忍法 霧隠れの術

 

再不斬が術を出すと水の上から消えた。

カカシは自分が持っている情報を下忍達に伝える。

 

「まずはオレを消しにくるだろうが…桃地再不斬、こいつは霧隠れの暗部で無音殺人術の達人と知られた男だ。気がついたらあの世だってことになりかねない。

オレも写輪眼を全て上手く使いこなせるわけじゃない…お前達も気を抜くな!」

 

話しているうちにも霧がどんどん濃くなってきており周りが余り見えない程になっていた。

 

「8カ所、脊柱 肺 肝臓 頸静脈に鎖骨下動脈 腎臓 心臓…さて、どの急所がいい?くく…」

 

ふと聞こえてくるのは再不斬の声。今、この状況がたまらないというような声を出している。

が、カカシが印をくんだときその空気が一変した。

 

殺気だ。

眼球の動きひとつでさえ気取られ殺される。そんな空気。

小一時間もこんなところに居たら気がどうにかなってしまうようだ。

上忍の殺気。自分の命を握られてる感覚。

サスケはそんな殺気に自分で自分を殺したくなるほど狼狽えていた。

しかしそんなサスケにカカシは言う。

 

「安心しろ

お前達はオレが死んでもまもってやる。

オレの仲間は絶対殺させやしなーいよ!」

 

ーーーーーーーーー

 

 

結果から言うとカカシは原作通りというかなんというか捕まった。

 

カカシがかっこよく言い切った後すぐに再不斬が仕掛けてきた。

再不斬は下忍とタズナの間に出現しすぐさま首切り包丁で殺そうとした所カカシに止められた。

しかしそれは水分身でカカシの後ろに再不斬が現れた。けれどもそれはカカシは写輪眼でコピーした水分身で再不斬の首元に苦無を突きつけた。流石はオリジナルというべきかその再不斬は水分身であり本体であるカカシの首元に包丁を突きつける。

カカシはとっさに池に逃げる。その途中でまきびしも巻いたが効果なし。水の中に入ってしまった時点で勝負は決まっていた。

後は簡単だ。再不斬が水牢の術をしカカシが動けない状況になった。

しかも水牢の術の中の水に極度の痺れ草を入れられ例えカカシの水牢が解けたとしてもカカシはもう動けないので使い物にならないだろう。

声だけはかろうじて出るようでお前等逃げろ!としか言っていない。ちなみにマサキ!お前ならわかるだろう!的なことも言っている。

 

その間再不斬はカカシを地面に落とし縄で拘束した。

写輪眼は高く売れる。

例えそれが片方だとしてもきっととんでもない値段になるだろう。それにカカシは賞金首。

これから入るお金を考えている再不斬に第七班は恐怖で動けないでいた。

そして原作ではあり得ない水分身ではない本体の再不斬がナルト達と向き合った。

 

「俺がお前等の年には人を殺していた。俺はお前等みたいな甘い野郎が大っ嫌いなんだよ。立派に額当てなんかしやがって…。忍者ごっこも大概にしろ。」

 

そう言って目をつけたのはナルト。ナルトに蹴り飛ばし遠くへ飛ばす。その際に僕とタズナさん以外がナルトっ!と叫ぶがナルトはすぐに起き上がれないでいた。そして疼くまっているナルトに近づき額当てを奪うとそれを目の前で踏み付けた。

 

「ほら、お前等は何も出来ない。

忍者ごっこももう終わりだ。

俺に会ってしまったことが災難だった。じゃあな。」

 

再不斬はそう言うと首切り包丁をナルトに構える。ナルトはただそれを震えながら見ているだけ。サスケやサクラとて同じだ。カカシがかなわなかった相手に自分が勝てるわけがない。原作ではカカシは拘束されているだけでうごけないわけではなかった。だからカカシの拘束を解けば可能性は出てくるかもしれないが、カカシは薬で動けない。誰も動けない。

 

いや、マサキだけは動けた。

ぶっちゃけて言うと、自分が動かなければ下忍共は死にカカシも死ぬだろう。と頭の隅で考えてはいるがヤル気が出ない。

けれどヤル気がどうのとか言っている場合ではない。そもそも自分の本来の任務は護衛兼監視。

ここで守らなければシカマルとの明るい未来はない!

 

マサキは再不斬の背後に回りタズナやナルト達から遠ざけるよう蹴りを入れた。ナルトの額当てをとると素早くナルトを連れさらう。

僕は小柄なので再不斬よりも素早く動ける。

それにカカシやサクラは心底安堵した表情になった。

ナルトをタズナの近くに置いて放心状態のナルトの頬を思いっきりビンタした。パァンと小気味良い音がなる。

 

「ナルト!お前カカシが駄目になったらかっこよく助けてくれるんじゃなかったのかよ!いいのかよ!あんな風に額当て踏まれて!お前の覚悟はそんなに適当なのかよ!」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

マサキに助けられ言われたことを理解する。そうだ。これは自分の意思で続けたんだ。タズナさんを守らなくてはけない。

任務をちゃんとやれといつもマサキに言っていた。けれど自分だってやっていないではないか。

怖いからやらない、敵わないからやらないのではなく怖くても敵わなくてもやらなければならないんだ。それが任務。今までのお使い程度の任務ではない。これは自分が駄々をこね望んだ任務ではないか。

 

マサキが自分を助けそのようなことを教えてくれるとは思わなかった。マサキが先程再不斬に踏まれた額当てを渡して来た。

それを受け取りいろんな意味でありがとうと言う。

もう迷いなんかなかった。

ただひとつ言えるのはこいつを倒すということだけ。

額当てをつけ今まで黙っていた再不斬に指をさす。

 

「オレの名前はうずまきナルト!

今からお前をぶっ飛ばす忍者だ!ビンゴブックに新しく入る名前だ!覚えておけってばよ!」

 

意気揚々に叫んだ。

次にサスケに話しかける。

 

「サスケ、いつまでビビってんだ!

相手は確かに強いけど俺ら第七班の敵じゃないってばよ!」

 

「あぁ?!ビビってねーよ。ウスラトンカチ!そこまで言うなら作戦ぐらいあるんだろーなぁ。」

 

「あるわけねーだろ!

とにかく倒すんだ!

タズナのおっちゃん!しっかり守ってやるから安心しろよっ!」

 

「お、おお…、いきなり変わったな小僧…。」

 

「おい、ウスラトンカチ。結局作戦がねーんじゃダメじゃねーか!」

 

 

俺が作戦を考えているとカカシ先生が叫ぶ。

 

「やめろ‼俺が動けない時点で勝負はついてる!逃げろ!!」

 

「いやいや、何言ってんのカカシ。

逃げてもどうせ後ろからぐさっと殺されるだけだ。なら逃げない方がいいに決まってんだろ?」

 

すかさずマサキが反論する。

それらしい事を言っているのでカカシは反論が出来ない。マサキがこんなにも俺らの味方をしてくれたことはあっただろうか!なんだか嬉しくて今まで感じていたマサキに対しての嫌な想いはすっかり消えさっていた。

 

しかしこのこのガヤガヤした空気は一瞬でなくなる。

 

 

 

「おいおい。俺も舐められたものだな。確かにそこのガキはやるようだが…見せつけてやる。本当の忍ってやつよぉ…。」

 

そう言った瞬間、再不斬は消え俺の後ろのタズナのじいさんの背後にいた。

その場で切ることはせず再不斬がタズナのじいさんをつれて先程自分がいた場所へと戻ってこうとしていた。

俺はさっきの覚悟を確かめまだ何も作戦は考えられてはいないけれど無我夢中で再不斬の後をおった。

ふと目の前がスローモーションで見える。

 

あと数歩でタズナさんに届きそうだ。タズナも頑張ってもがき再不斬に背を向け走りながらこちらに手を伸ばす。

 

「タズナのじいさん…!」

 

「…小僧!」

 

互いに名前を呼び合う。

あと数mで手が届きそうだ。

思わず笑顔になる。助けられる!と思った。

だが…

 

「現実はそう甘くねーんだよ。

クソ餓鬼が…っ!」

 

再不斬が呟きタズナの背中を思いっきり巨大な大刀・断刀首斬り包丁で切りつけた。

バキグチャっと不可解な音がなりそれに伴いタズナの叫び声も大きくあがる。

 

ナルトの顔にはタズナの口から出た血がかかり笑顔のまま動きが停止した。

 

崩れ落ちるタズナの背中にははっきりと切りつけられたとわかる様な痕がありそこからはとめどなく血が溢れ出る。ナルトの足に血が着いたときふと我にかえり二、三歩後ろに下がる。

 

タズナの体はいまだ痙攣しておりそれを煩わしそうに再不斬は最後にもう一度刀を振りかざす。

グサッと心臓にひとつきすればやはり先程よりもとめどなく溢れ出る真っ赤な真っ赤な血。

先程と違うのは一度大きくびくりと動きそれ以降痙攣が止まった。

 

自分が先程まで喜喜と助けると言っていた元タズナだった物体を見つめる。

 

何故こんなことになってしまったのだろうか。覚悟してからの間の一連の流れが早すぎてわからなかった。数秒前まで助けると言っていたのに。まだ生きていたのに。折角マサキがヤル気になっていたのに。

 

マサキ…?そういえばマサキはどこにいるんだろう。

マサキは認めたくはないが自分達よりかなり強い。そんなマサキはどこに…?マサキのスピードならば俺を抜かしている筈だしタズナさんを助けれた筈だ。なのに何故自分の前に存在しなくてタズナのじいさんは死んでいるんだ…?

ふと後ろを見てみる。

すぐ近くに冷や汗が止まらないサスケがいた。その後ろには顔面蒼白なサクラちゃん。二人ともタズナさんが連れていかれた時急いで参戦しようとしたのだろう。始めにいた場所よりかなりタズナさん寄りに来ていた。

マサキは…。

 

「………な…んで?」

 

か細い声で囁く。誰かに聞こえるか聞こえないかぐらいの声で。

喉が詰まり上手く息が出来ない。

ひゅーひゅーと呼吸をする中ただじっとサクラちゃんの後ろの人物を見つめる。

マサキはナルトを助けた位置から全く一歩も動いてなどいなかった。サクラちゃんよりもかなり後ろにいる。

 

お前が…、お前が速く動けばタズナさんは助かったかもしれないのに…。何でそんな所にいるんだ?

今まで全然任務に参加せずにいたが今回はヤル気になっているのかと思っていた。いや、人の、依頼人の命がかかっているのにヤル気の問題なんてあるのか…?

どうしようもない気持ちが頭の中を交差する。あまりの気持ち悪さに足元がおぼつかなかった。

ふと足元がぬめりと動いた。

タズナさんの血だ。

地面にタズナさんの血が面積を広げていっていた。

改めてマサキを見た。依頼人が死んだと言うのに無表情で再不斬を観察しているように見えた。

だけどこちらに気付いたのか急に笑顔でこう話しかけてきた。

 

「あーあ、だからあの時まだこの任務は早いし無謀だって言ったのに!」

 

音符がつきそうなぐらい機嫌良く話しているこの男は一体何を話しているのか、わからなかった。


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