原作よりもものすごいマイルドな箒ちゃんです。
SIDE:三人称
-篠ノ之道場
「ここがももちゃんのお姉さんが通ってる道場?」
「うん、そうだよ。……ねえ、だっくん、考え直さない?」
「いや! 僕は決めたんだ!」
そう言い、弾はふんす!と気合を入れ直す。
なぜ、道場に来ているかと言うと、話は3日前にさかのぼる。
<回想>
-織斑家
「う~ん! う~ん!」
「はっはっはっ、そんなんじゃ私は倒せないぞ?(うわ、むっちゃ手がぷにぷにしてる)」
現在、弾は千冬と腕相撲をしていた。
わりと千冬はろくでもないことを考えてるが。
年齢的な問題もあり、千冬の手を一歩も動かすことが出来ない。
「だから言ったじゃん、だっくん」
「うう~ん……だって、ももちゃんにも負けちゃったし……」
実は先ほどまで百夏とも腕相撲をしていたのだが、結果は弾の負け。
自分のひ弱さに嘆いているところになぜか、千冬が乱入してきたのだ。
「まあ、気にすることはないぞ、弾くん」
「……僕、決めた!」
「え、何を?」
俯いていたと思ったら、顔を上げて何かを決意した顔になる。
「千冬さん! 確か剣道の道場に通ってるって言ってましたよね?」
「あ、あぁ、そうだが……(何かいやな予感がする……)」
「僕も道場で鍛えます!」
「「……な、なんだって~!?」」
百夏、千冬共に驚愕の声を上げる。
特に千冬などは、この世の終わりのような顔をしている。
「だ、弾くん! 考え直すんだ! 確かに道場で君と一緒の時間が増えるのは嬉しい!
しかし! しかしだ! その理想のぷにぷにぼで……げふんげふん! とにかく鍛えるなんてダメだ!」
「そ、そうだよ、だっくん!」
千冬は最早必死である。
本音をぶっちゃけながら、考え直すように詰め寄る。
「だ、ダメなの?」
ウルッとした瞳で告げる弾。
「構わん!」
「千冬姉!?」
「はっ!? つい許可してしまった!」
「えへへ~、やった!」
涙目上目遣いに撃沈してしまい許可してしまった千冬。
しかし、笑顔の弾を見て、まあいっかという気持ちになった。
「ただし、両親からも許可を取るんだぞ?」
「はいっ!」
「大丈夫かな~?」
百夏が心配してるのは弾の妹、蘭の存在である。
多分、千冬と同じくらいに必死に止めるであろう。
その後、家に帰った、弾は許可を取るべく両親+妹に話すのであるが、
妹と、祖父の反対が物凄かった。
しかし、弾の涙目上目遣いと、母の取り成しで許可を得たのであった。
<回想終了>
「弱い僕も鍛えて強くなるぞ~!」
「はあ……だっくんは今のままが理想的なんだけどな~……」
片方は意気揚々と、もう片方は陰鬱な雰囲気で道場へと入っていった。
「む? おお! よく来たな、弾くん!」
「あ、千冬さん!」
「千冬姉」
三人が集まる。
「千冬さん、その子達は?」
「ああ、箒ちゃん。この子達は私の妹と、その友達だ」
奥からポニーテールの女の子が現れて、千冬に紹介される。
「弾くんに、百夏。この娘は篠ノ乃箒。この道場の主の娘だ。
箒ちゃん。こっちは私の妹の百夏。この子はその友達の弾くんだ」
「なるほど。箒と言う、よろしく頼む」
「ボクは百夏、よろしくね」
「僕は弾だよ! よろしく!」
三人とも握手する。
握手が終わった後、箒はじっと弾を見つめる。
「え、えっとどうかした?」
少し照れつつ、弾は聞く。
「いや、千冬さんから聞いていたが、見れば見るほど、女の子にしか見えないと思ってな」
「ひどいよ、箒ちゃん!」
箒はニヤリとしてそう言い、弾は涙目になりながら、怒る。
「ふふっ、すまない」
箒は謝りながら、弾の頭を撫でる。
「えっと、なんで撫でるの?」
「ん? なんか弟みたいでかわいいなと思ってな」
「かわいいって……」
撫でられて、かわいいと言われて顔を赤くする弾。
「むっ!」
「……」
百夏は嫉妬心を燃え上がらせ、千冬は照れる弾の顔を見て満足そうに頷いている。ダメだ、この姉。
「ボク、負けないからね!」
「……? 何がかはよくわからんが、私も剣道なら負けんぞ」
こうして、百夏の対抗心が芽生えた、道場入門であった。
なお、その後、篠ノ乃の両親に気に入られたため、特に母親に将来の箒の婿としてロックオンされるのだが、
それはまた別の話。
姉タイプな箒……あると思います!