カメラと棒付きアメと   作:クロウズ

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四話目

 写真部への入部が決まったけど、今日はカメラを持ってないからとりあえず帰ろうとしたら残りの部員3人とも顔合わせしておいた方がいいと止められたので、集まるまではアプリの麻雀でもしておこうと思ったら初の男子だからということで3人で雑談することに。というか男子の先輩いないのか…………。

 

 

「ところで、家のこともあると言ってたが、何かあるのかい?」

「え?あー、はい。と言っても、夕飯の支度くらいなんですけどね。両親は、忙しいときは朝まで帰ってこないんで」

「あ……そうだったのか」

「兄弟とかいないの?」

「いや、一人っ子だけど。まぁ、ペットの犬もいるし妹みたいな奴もいるし」

 

 

 確かあの子、来年は高校生だったっけ。ただ、最近は俺への対応がきつくなってるんだよなぁ、反抗期かな。

 

 

「ご両親の職業は?」

「父さんはカメラマンで、母さんは麻雀のプロです」

「それなら忙しいわよね〜」

「母さんは最近そうでもないけど」

 

 

 まぁ暇さえあれば雀荘巡りとか言って一週間も家空けてたときあったけど。しかも連絡付かないし。

 

 

「なんて言うか、自由人な感じね~」

「だが、そんなにも家を空けるなら連絡くらい入れるべきだと思うんだが」

「いいんですよ、もう慣れまし「おいっすー」」

「ん、あぁやっと来たか」

 

 

 話の途中で別の誰かが入ってきたようで、部長の反応からして他の部員だと解る。座ったままなのもなんなので立ち上がる。

 真っ先に入ってきたのは体育会系な感じの先輩だった。上着は腰の辺りで巻き付けてるし腕も捲っている。正岡とは正反対の人だな。次に入ってきたのは眼鏡を掛けた物静かそうな人とおっとりとした人だった。眼鏡の先輩は人見知りなのか、俺を見てビクビクしてる。おっとり先輩(多分、副部長だろう)はその様子を微笑ましく見てる。ストッパーとかはこの人の役目じゃないんだろうな。

 

 

「あれ?なんで男子?あ、解った!新入部員だな?あたしは日比野(ひびの)セイって言うんだ、よろしくなっ」

 

 

バシバシと自己紹介をしながら叩いてくる先ぱ――ちょ、痛いです痛いです。加減してください。

 

 

「セイ、そろそろ止めてやれ。すまない、火野君。ただセイに悪気はないんだ。怒らないでやってくれ」

「いや、怒ってませんけど」

「そうか、それはよかった。それじゃあ、改めて自己紹介させてもらおう。写真部部長、3年D組の間宮怜奈だ」

 

 

 あ、はい。よろしくお願いします。

 

 

「え、またやんの?まいいか。日比野セイ、レナと同じD組だ」

 

 

 レナ?………あぁ、部長のことですか、解りました。

 

 

「B組の、たきゃまっ…………うぅ、高町(たかまち)(すずな)、です……。よりょしきゅお願いしましゅっ」

 

 

 噛みすぎです噛みすぎです。あとそんな隅に行きながらしないでくださいどんだけ人見知りなんですか。

 

 

「副部長の月見原(つくみはら)(かすみ)よ。上から101・5じゅ「何を言おうとしてるんだ霞!」男の子だったら、知って嬉しいことよ?」

 

 

 副部長、聞かなかったことにするのでやめてください俺の精神上よくありません。

 

 

「1年A組の望月エレナよ~」

「知ってるよというかクラスメイトだろうがっ。……っと、すみません。望月と同じクラスの火野霞黒です」

「火野か。ヒーノ弟とクロチャー、どっちがいいかな?」

「え、何がですか?」

「あぁ、霞とセイがな、部員にはあだ名を付けると言ってて。わたしはレナで、エレナはモッチー、セイはヒーノで、菘はスズ。それと、霞はカスミンだ」

 

 

 あだ名って……普通に苗字で十分なんですけど。変なの付けられても困りますし。

 

 

「私と同じ字みたいだし、カスミン弟も、アリじゃないかしら?」

「カスミン先輩の弟になっちゃったら、禁断の姉弟愛になっちゃうわぁ~」

「いや、それはないだろさすがに。スズはなんかある?」

「えっと…く、黒りん………とか、どうかな……?」

「ふんふむ。男の子にあえてそんなあだ名を付けることで羞恥心をあおっていくってことね?」

「ち、ちがうよ~……!」

「スズちゃんの涙目!シャッター、チャーーンスっ!!永久保存よぉ!」

 

 

 

 

「部長はどうして写真部に?」

「んー、父が転勤族だったんでね。いつまでいられるか解らないから写真を撮ってたら、いつの間にかこの部を創設してたんだよ」

「あぁ、そうだったんですか」

 

 

 望月たち4人が俺のあだ名決めに熱中しだしたから、部長と2人で会話しておく。ちなみに今まで聞こえたあだ名の中なら、クロチャーが一番まともだ。黒りんはともかく、弟シリーズは論外だ。

 

 

「今までいたとこ、教えてもらっても?」

「あぁ。まずは長野だろ。それから、奈良、大阪、福岡、愛媛、島根、茨城。それで、ここに」

 

 

 なんだろう、別に何もおかしくない筈なのに部長の言った県が何か引っかかる。……いや、気のせいだろ。気のせいだ、うん。

 

 

「それより火野君。君は麻雀は出来るかな?」

「まぁ、出来ますけど。というか、ここ写真部ですよね?」

「ちゃんと活動はしているから、その辺は気にしないでくれ」

「だといいんですけど…」

 

 

 学園のホームページとかの写真は写真部によるものらしいし、機材もあるから一応ちゃんと活動はしてるんだよな。普段の活動は、ただ駄弁ってるだけかもしれないけど。まぁ、堅っ苦しいよりはマシだしいいか。

 

 

 

 

 

 今日の活動は結局下校時間まで駄弁るだけになり、写真部らしい活動は何もなかった。来週、再来週に歓迎会をするって言ってたけど、部活ってこんなものなんだろうか?

 それと、俺の部活内でのあだ名はクロチャーに決まったようだ。他には黒やんとかカグさんとかその他諸々が挙がったらしいけど、多数決でクロチャーになった。俺はカグさんでよかったんだけどな、そう呟いたら副部長に後ろから耳元で「カ・グ・さ・ん♪」って言われたけど…………あれはダメだ。一瞬部室が凍り付いた。他のあだ名にした場合も同じことをされて、唯一クロチャーだけはされなかったから、それに決まったとしか思えないけど。

 

 

「あれはびっくりしたわね~」

「あの人、Sだったんだな……。あの後も俺ばっかりからかってくるし」

「火野くんがいい反応してくれるかじゃない?」

「勘弁してほしいな、それ………。あ、俺こっちだから」

「えぇ、それじゃあ、また明日ぁ~」

 

 

 コンビニ前の交差点で望月と別れる。帰ったら今日のこと、母さんに話しておこうか。…………あ、麻雀部ないから帰宅部にするって言ってたのに写真部に入った理由、どう話そう。




 2週間ほど空きました、どうも、クロウズです。
 先週の日曜から昨日の土曜まで、火・木以外に学校+夜までバイト漬けになってたようで更新が全然でした。レジェジェ・・・・・・
 今回は部員集合みたいな感じになりましたね。部長はともかく、ほかの部員に関してはまたちょくちょく設定を加えたりしていきます。あと、部長が過ごしてきた県の選択には特に共通点はアリマセンヨ?ホントダヨ?
 今回はこの辺で。じゃまた!

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