数日かけて風邪を治しやっと登校出来た今日のお昼休みにもまた、いつものように保健室のお世話になってしまいました。ただ、今日は体調は優れていたので大丈夫のはずだったんですが。いつの間に保健室へ?
「正岡、大丈夫か?」
「は、はいぃっ」
横を向くとベッドの近くに椅子を持ってきてそこに座ってた桐崎さんと五代さんがいて、思わず声が裏返ってしまいました。
「え、あの、桐崎さん……!?どうしてここに………!」
「なんだ、覚えてないのか?」
五代さん曰く、お昼休みにたまたま会って、それだけで気が動転した私が壁に頭をぶつけて倒れたらしく、そのまま桐崎さんに運ばれて今に至るらしいです。どうりで頭が痛いと思いました。それにしても、たまたま会っただけでそんなことになるなんて………恥ずかしいです。
「心配したんだぞ?」
「すみません……」
桐崎さんは大げさに溜め息を吐いて、うつむく私の頭を撫でてくれました。桐崎さんの撫で方、優しくて気持ちいいです。
「昨日まで風邪引いてたと聞いてから、その間剣丞は気が気じゃなかったのだぞ?部活でもそわそわしててな」
「思い出させるな、恥ずかしいから………」
「そ、そうだったんですか」
そこまで心配してくれたということは、もしかして、好ましく思っていてくれているってことなのでしょうか?そう思うと嬉しさと恥ずかしさで顔が熱いです。
「では、真衣殿も起きたことだし拙者は戻る」
「あ、わざわざありがとうございました」
「気にするな。………それと、剣丞。ちゃんとするのだぞ」
「ほっとけ……」
最後、お2人で何か言ってたようですが、小声だったので私には聞こえませんでした。
五代さんは先に教室に戻りましたが、桐崎さんはまだ残ってくれてます。2人きりだと意識すると、頭が沸騰しそうになります。
「なあ、正岡。あの時の返事なんだが」
「は、はいっ」
先程までと違って真剣な表情になりました。ずっと待ってたことなんですが、少し逃げ出したい気持ちもあります。距離は近く、ベッドにいる状況では逃げれるわけもありませんが。
桐崎さんは私の方をじっと見て、
「俺も、お前が好きだ」
はっきりと、そう告げてくれました。
「ほ、ほんとですか?」
「ん、ああ」
「どっきりとかじゃないですよね?」
「心配なら、キスでもしようか?」
「キっ!?」
桐崎さんの手が私の頬に触れ、それだけで顔が熱くなるのが解ります。
「あ、あぅぅ……ま、まだ駄目です!」
「おっと…………とおっ!?」
「あぁ、ごめんなさい!!」
恥ずかしさのあまり思わず突き飛ばしてしまい、バランスを崩した桐崎さんは椅子から転げ落ちてしまいました。ああ、私はなんてことを……!
「だだ、大丈夫ですか!?」
「まあ、なんとかな」
「ごめんない、恥ずかしくてつい……」
「いいって。こっちこそ悪かったな」
そう言って撫でてくれる桐崎さん。ん……ちょっとくすぐったいです。
それからは、お互い名前呼び(私はまだ恥ずかしいですが)となり、これまでと同じように、でも距離は近くなって、一緒に帰るようになりました。ちなみに、その日の夜に五代さんに電話でからかわれたりしたのは内緒です。
fin.
というわけで、恋する病弱少女シリーズ終了です。あくまで番外編なので、本編では2人は付き合ってない可能性がございますのでご了承下さい。