カメラと棒付きアメと   作:クロウズ

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Ⅴ話目

「……参ったなぁ」

 

 

 ある日の放課後、部室で窓の外を眺めながら、俺はどうやって帰ろうか悩んでいた。何故なら今、外は生憎の雨だから。しかも、バケツをひっくり返したって表現がしっくりくるくらいの大雨だ。傘を忘れた俺はどうすることもなく、部室で待機するしかなかった。というか予報で雨なんて言ってなかったから持ってくるわけない。置き傘?そんなものはない。

 まあ、少ししたら上がらなくても弱くなるだろうから、それまでここで待つか。

 

 

「んー……」

 

 

 しかし、人の膝を枕にして寝ているこの眠り姫はどうしようか。起こしてやるべきなんだろうか。というかそろそろ足の感覚なくなってきたから起こしたいんだけど。

 

 

「ふにゅ……」

「……はぁ」

 

 

 頬をつついても起きる気配なし。相当疲れてるのか?このままだと風邪引かせることになりそうなんだよな。上着でも着せてやった方がいいかな。

 

 

「おーい、そろそろ起きろー」

「うぅ……ん」

 

 

 さらに頬をつついてみると、もぞもぞと動かれてくすぐったい。それでも起きる気配はない。そして雨も止む気配なし。あ、でも、少し弱まったかな。このまま帰るのに問題ない程度になってほしい。

 

 

「ん、ふぁ〜あ……おはよー………」

「ああ、ようやく起きぃっ!?」

 

 

 さっきまでの動きではくすぐったいで済んでたけど、体を起こす時に手が足に置かれて力を入れられたから、感覚なくなってきてた足が……!!びりびりする……!

 

 

「んぅ……霞黒くんどうしたの?」

「あし、足がぁ………!」

「あら、大丈夫?」

「お前をずっと乗せてたからぁ!?」

 

 

 解ってて触るなよ……!くそ、腹抱えて笑いやがって………。

 

 

「あ、霞黒くん。今雨弱いし帰れるんじゃない?」

「あー?……あー、だな」

 

 

 窓の外を見て見ると、エレナが言った通りさっきよりも弱くなってて、走れば帰れないこともない。

 

 

「じゃあ、これ以上酷くなる前に帰るか」

「えぇ」

 

 

 それからすぐに部室の戸締まりをして外に出る。雨はまだ降ってはいるものの、パラパラとした小雨程度だから走らなくても平気かな、これは。

 だと思っていたけど、油断した。駅に着くまでは問題なかったんだけど、着いてからはまた急に降り出した。それでも電車に遅延は発生していないものの、これじゃあ帰るに帰れない。迎えを呼ぼうにも、両方とも今日は遅くなるって言うし、鈴ちゃんや春ちゃんに傘を持ってきてもらうなんてパシリみたいなことはしたくないし。

 

 

「まあ、向こうに着いた時には弱くなってるかもしれないんだし、待ちましょ?」

「そうするしかないか」

 

 

 そんなわけで電車に乗り、揺られながら進むこと数分。降車駅に着いた時にもまだ雨は強く降ってた。そりゃそうか。

 

 

「うーん。無理矢理にでも走って帰っちゃう?」

「この雨の中だと、確実に風邪引くぞ。せめてもう少し弱まってからだな」

 

 

 近くにコンビニにでもあれば良かったけど、生憎と距離がある。その為駅内で待つこと十数分。帰るには問題ないくらいに雨も弱まったから、俺達は鞄を頭上に持ち上げてその中を走っていく。傘と比べると鞄じゃ頼りないから、強くなくても降っているのに変わりはない雨に当たって、いつものコンビニに着く頃には結局びしょ濡れに。それで、これ以上は確実に風邪を引きそうだからコンビニで一度雨宿り。

 

 

「うぅ〜、びちょびちょになっちゃったわぁ」

「もう少し待つべきだったかもなぁ」

「そうねぇ。…………美女がびじょびじょ」

 

 

 隣でエレナがボソッと呟いたことは無視してやることにした。言った本人も恥ずかしがってるし。って、びしょ濡れになってる所為でエレナのやつ服が透けて下着見えてる。それにしても、やっぱりでかいな…………じゃなくてっ。

 

 

「ん?霞黒くん、顔赤いけどどうしたの?」

「……いや、服がな。とりあえず、これ着ておけ」

「え……あっ。ありがと……」

 

 

 上着を脱いで、絞ってから渡してやると、エレナはさっきより赤くなって上着を羽織る。雨でもコンビニ内には客がいるし、もし見られたら大変だ。

 

 

「濡れてるけど我慢してくれよ」

「ううん、ありがとう。……霞黒くんの匂いがする」

「嗅ぐなら返せ」

「あぁん、冗談よぉ~」

「どうだか………」

「もう……。……あ、霞黒くん見て、晴れてきたわ」

 

 

 エレナが指差した方を見ると、確かに雨は止んでて、雲の隙間から晴れ間が見える。これなら走ることもなく帰れるな。

 

 

「それじゃあ霞黒くん、また明日ね」

「ああ。あ、それは明日でいいからな」

「洗濯して返すわね」

「そうしてくれ」

 

 

 早く着替えたいからだろうか、走って帰るエレナを見送ってから、俺も帰ることに。シャワー浴びないと風邪引きそうだ。

 

 

 

 

 

『うぅー………霞黒く~ん…………』

「放課後見舞いに行ってやるから、そんな声出すな」

 

 

 不運なことに、エレナは風邪を引いたようだ。その所為か電話越しの声はとても弱弱しい。

 

 

『うぅー………』

「何か欲しいのあるか?」

『霞黒くんが欲しい……』

「プリンだな、解った」

 

 

 軽口言えるくらいは元気か。まあ、最近はこれといって甘やかしたりしてないし、抱き締めるくらいならしてやるか。風邪もらいそうだけどまあいい。明日は休みだし。そんなことを考えながら、学校に向かう。




 \(`д´)ゝデュエッ!クロウズです。最近眠いです。

 (仮)の方でウェディングエレナが出たから300近いキュピチケの全てを突っ込んでも手に入りませんでした。鈴ちゃんは出たけど、エレナの方が欲しいんだよ!まだ期間内なんで諦めませんが。
 そろそろ梅雨の時期ですね。というわけで雨の日の話にしてみました。小ネタでやっても良かったですかねー。



 それではこの辺で。俺達の満足はこれからだっ!

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