カメラと棒付きアメと   作:クロウズ

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九話目

ザザーン ザザーン

 

 聞こえるのは波の音。空には煌々と照り付ける太陽。足元はその太陽で熱せられた砂浜。現在俺がいるのは、誰でも解る通りとある海。8月半ばに、写真部で小旅行としてやってきたのだ。しかも、春ちゃんと鈴ちゃんも一緒で、父さん母さんが引率で。どうも数日間仕事がなくて暇だし、大人同伴じゃないと駄目だとのことで、部長の親が引率の予定だったけど急な用事ができて代わりに母さんが名乗り出た。

 この小旅行の案自体は、宿題はとっくに済んでるし、部活以外やることがまったくなかったから別にいいんだけどさ。なんで海なのかなぁと思うわけですよ、泳げないから。もう着いてるんだから文句を言っても仕方ないけどさ………。

 

 

「……そういえば、やっぱりみんな水着なんだよな」

 

 

 そりゃ俺も健全な男子だし、そういうのには興味あるよ。移動中、先輩達が今日の為に新調したとか言ってたし。なるべく聞かないようにしてたけど、やっぱり気になってしまうものだ。

 と、そんなことより、先に出てきたんだからシートの準備とかしなきゃ。それにしても、そこまで人いないな。シーズン真っ只中だからもっと混んでると思ったけど。

 

 

「おーう、ここにいたか霞黒」

「父さん遅い。何してたんだ?」

 

 

 シートを広げてパラソルを立ててると、片手に2つずつビーチチェアだっけ?を持ってきた父さん。シートが飛ばないようにクーラーボックスを置いて固定して、ビーチチェアを2つ受け取る。

 

 

「いやなに、母さんにサンオイル塗ってたんだよ」

「塗ってたって。こっちに来た時で良かったじゃん」

「俺がここで塗ってるのを、何も知らない人に見られたらな?最悪通報されるだろ」

「あぁ……納得」

 

 

 そうだな、母さん140だし父さん180越えだもんな。

 

 

「それより霞黒。お前、あの中で本命はいるのか?」

「いない」

「隠さなくていいんだぞ?俺とお前しかいないんだ」

「いないって」

 

 

 そんな話をしながら準備を済ませる。と、

 

 

 

 

「おい見ろ、あのグループ」

「すげぇ……レベル高いのばかりじゃんか」

「なにあの胸………分けてほしいわ」

「中々のプロポーション、すばらですねっ」

 

 

 

 

「なんか、向こうの方騒がしいな」

「あの子達が来たんだろ。ほら」

 

 

 父さんに言われて見ると、水着姿の女性陣がやってきた。さっき聞こえた通り、みんなレベルが高いからそれぞれ似合ってる。ただ、一つ気になるのは、

 

 

「なんで母さんはスク水なんだ?」

 

 

 しかも、違和感なし。

 

 

「海とか行く機会少なかったし、トキさんも似合ってるって言ってくれたからね」

「父さん……」

「ん?似合ってるだろ?」

 

 

 そうだけどさ……。でも、せめて別の勧めてやれよ。

 

 

「カ・グ・さん♪」

「はい?…………って!?」

 

 

 振り向いたら、月見原先輩がだいぶ近かった。しかも、布面積の小さいタイプの黒いビキニだった。この人のスタイルでこれはやばいんじゃないだろうか。

 

 

「どうかしら、これ?マイクロビキニっていうんだけど。攻めすぎかしら?」

「ですね………でもまぁ、似合ってますよ。ですが、もうちょっと隠すなりしてください」

「ふふ、そう言うと思ってたから、パレオ巻いてるわよ」

 

 

 距離を取って、その場でくるりと回る。それに合わせてパレオがふわりと浮く。確かに巻いてるけど、腰にじゃないですか。いや、パレオってそういうものだけどさ。

 

 

「霞、そう火野君をいじめてやるな」

「ありがとうございます、部長……」

「ん、どういたしまして。……それで、どうかな?」

 

 

 部長はフェイクボタン付の、シアンのチューブトップだ。部長って黒とか紺みたいな色の方が似合うんじゃないかと思ってたけど、こっちの方が似合うな。

 

 

「そうですね、綺麗ですし、似合ってますよ」

「そ、そうか?実は、霞とエレナに流されて買ってしまったものなんだが、そっか、似合うか……」

 

 

 顔を赤らめつつも、嬉しそうな部長。というか何してんだあの2人。

 部長が離れていくと、今度は春ちゃんと鈴ちゃんが来た。って、これ全員分感想言わないと駄目なのか?2人の格好はワンピース水着だった。春ちゃんは黄緑色で、鈴ちゃんは紺色。さらに2人とも麦わら帽子を被っている。

 

 

「どうですか、おにーさん。似合ってますかね~?」

「うん。春ちゃんも鈴ちゃんも似合ってるよ」

「えへへ、嬉しいですね~」

「ま、まあ、火野からとはいえ、そう言われて悪い気はしないなっ」

 

 

 素直に喜んでくれる春ちゃんと、その逆に素直じゃない鈴ちゃん。昔はもう少し素直だったのにな。

 

 

「こーら、せっかく褒めてもらってんだから、素直に喜びなって」

「うにゃ!?や、やめろ頭を撫でるな!」

「うわっ、びっくりした……」

 

 

 そんな鈴ちゃんを、日比野先輩がいきなり現れてぐりぐりと頭を撫でる。いつの間にそこに。

 日比野先輩は競泳水着という、こういう時に着る類じゃないだろうものだった。まぁ、運動好きな先輩らしいといえばらしいか。後ろに隠れてる高町先輩は、タンキニっていうやつだっけ。

 

 

「日比野先輩は、動きやすさ重視ですか?」

「そりゃ、海に来たら思いっきり泳ぎたいからな。クロチャーはどうなんだ?」

「先輩らしいっすね。あ、俺は泳げないんで」

「へぇ、かなづちなんだ。あ、スズの水着どうだ?可愛いだろ?」

「ひゃっ、ひ、ヒーノちゃん…!」

「そうですね、確かに可愛いですね。高町先輩の性格とは逆の、活発な感じとのギャップになるんですかね?」

「かわ……!」

 

 

 うお、高町先輩が真っ赤になってる。そんなに男に可愛いって言われ慣れてないのか?

 

 

「あ、あわわわわわわ……」

「あー、ごめんクロチャー。ちょっとスズ冷まさせてくる」

「はぁ…」

 

 

 あわあわ言う高町先輩を連れて行くのを見送ってから、泳げない俺は、泳ぐのが苦手な春ちゃん、鈴ちゃんと一緒にシートに座る。そういえば、望月がいないな。

 

 

「どうしました~?」

「望月がいなくてさ。どこ行ったんだろって」

「………黒兄、最近の話はあの人ばかりだな」

「ん?鈴ちゃん何か言った?」

「別に………」

 

 

 なんだ、急に不機嫌になって。俺、何かしたかな?…………駄目だ、解らん。まぁ、こういう時は、

 

 

「よっと」

「うにゃっ!?」

 

 

 膝に乗せたら直るんだけどな、基本的に。

 

 

「何をする、降ろせ!」

「はいはい、暴れない暴れない。あ、春ちゃんも後で座るか?」

「そうですね、ぜひお願いします~」

「いいわねぇ、私も後でいいかしらぁ?」

「いいぞ……って、望月!?」

 

 

 びっくりした……しれっと混ざるなよ心臓に悪いな。どこに行ってたのか聞こうと思ったけど、カメラを持ってることから他の人達を撮りに行ったんだろうな。そんな望月は縞模様のある、紅紫色のビキニだった。髪のリボンもそうだけど、紫好きなのかな。

 

 

「で、座らせてくれるの?」

「そんなわけあるか。とりあえず、似合ってるぞ。色とかも、普段の雰囲気と合ってる感じだし」

「そう?ふふ、ありがと~」

 

 

 そう笑って、隣に座る。そしたら鈴ちゃんがまた不機嫌になった。何故だ。

 

 

「………ふん」

「五十鈴ちゃん、どうしました~?」

「何でもない……」

「はは~ん、そういうこと」

「どうした望月?」

「ん~?ヒ・ミ・ツ♪」

 

 

 何かに気付いた様子だけど、これは教える気ゼロかな。気になるけど、いいか、別に。

 

 

 

 

 

 この後、俺達泳げない組+望月で砂遊びをしたり、何故かその過程で俺が作った麻雀牌と雀卓を使って部長、母さん、近くにいた人と炎天下麻雀(東1局のみ)をしたり、日比野先輩のサーブで雀卓が破壊されてそのままビーチバレーになったり、その時に部長の水着がズレて脱げそうになったり(その瞬間に俺は望月に目隠しされた)、ナンパ男除けに俺を使って、5股と疑われたりと、とりあえず濃い1日となった。今月分の体力全部消費したかもしれない。

 いや、月末はあの戦場で撮影しに行くけどね。また新作コスを作るって言ってたし。あー、それにしても疲れた。帰ったらシロと軽く戯れてから寝るか。




 どんなアングル好き?妄想全開ね。どうも、クロウズです。
 今回はパッと思いついた海ネタでした。エレナの格好はガルフレマガジン#2、他の方はpixiv等を参照してください。
 ポロリ展開を期待された方、もしいらしたらごめんなさい。その辺りも詳しく書いていたら恐らくさらにグダりそうになってしまいそうだったのでカットさせていただきました。おまけ的なのを書くことになれば、そこに書くと思うので今は妄想全開で脳内保管(変換?)してください。
 最後の新作コスの人は、ご存知アスミス声のトムトムなミッチーです。


 次は何にしようか。じゃまた



 人物紹介に〈火野秋斗(ときと)〉を追加します

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