強面男が幻想入り   作:疾風迅雷の如く

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ようやく投稿出来ました…今回は早苗の出番です。

それにしても、感想が来ないのに評価(しかも何気に高評価)が来るとは思いませんでした(驚愕)

評価よりも感想が欲しい作者の最近の驚愕した出来事でした。


第42話

「何だこりゃ…」

勇姿達は唖然としていた。その理由は普段のどこか寂れた雰囲気の博麗神社からは考えられないほど雰囲気が大きく変わっていたからだ。

「なんかもの凄い悪趣味だね。」

フランドールは悪魔故に普通の美的センスから外れていており、意味も違うとはいえ勇姿もそう言いたげに首を縦に振った。

「…悪趣味はどうかはともかく神々過ぎる。」

そう、博麗神社が余りにも神々過ぎた。普通の人間であれば有り難みがあるのだが、悪魔であるフランドールからしてみれば悪趣味極まりなく目を向けるだけでも体調が悪くなるようなものだった。

「霊夢!霊夢はどこへ行った!?」

ここまで神々しく出来るのは勇姿の中では霊夢くらいのものであり、勇姿が霊夢を呼び出すのは無理なかった。

 

そして一つの影が見えた。

霊夢のトレードマークであるリボンが見えず、その正体が霊夢ではないとわかる。代わりに左の髪に何か巻きつけるようなアクセサリーを付けており、その人物の正体が分かった。

 

「霊夢さんなら守矢神社に行っていますよ。」

そこへ現れたのは東風谷早苗。前回の異変で霊夢を足止めした風祝である。

「早苗…これはお前がやったのか?」

「そうですよ。こんな寂れた雰囲気の神社じゃ参拝客なんて来ませんから…恩返しというのも何ですが…少し神力を与えました。」

「神力…?」

「神様だけが持つ力の源のことですよ。そうですね…霊力よりもはるかに強力な力とでも言えばいいんでしょうか?とにかくその力を博麗神社に与えて人々が博麗神社に寄った時に信仰心が上がるようにしたんです。」

「その前に何故その神様の力の源を扱える?お前は人間だろう?」

「私、現人神なんですよ。人でありながら神でもあるが故に霊力と神力の両方が扱えるんです。」

早苗は現人神であり、守矢神社のもう一人の神として知られている。その為に神の力の源である神力が扱えるのだ。

 

「お前が神力を扱えるのはよくわかった…だが神力が与えられた割にはフランが悪趣味と言っているんだが?」

「それはそうでしょう。博麗神社は人々が祀る神社で妖怪が寄る所じゃないんですよ。妖怪が寄らないようにしてその妖怪達は必然的に守矢神社へ…ふふふっ。」

「黒い奴め…しかし俺が聞いた噂だとお前は妖怪を通り魔のように片っ端から倒しているらしいじゃないか。」

「失礼ですね!私は良い妖怪か悪い妖怪か聞いてから倒しているんですよ!何も目的がない通り魔と一緒にしないでください!」

ちなみに通り魔は何も目的がないという訳ではなく人殺しをするという目的がある。あえていうなら通り魔は理由が曖昧過ぎるか幼稚なものであり、計画犯罪とは近くて遠いものである。

 

「…まあそれについてはまた後で追及するとしてだ。お前は立場ってものが分かってないな。」

「立場って…私は私の責務を果たしただけですよ。何か問題でもあるんでしょうか?」

「大有りだ馬鹿野郎。博麗神社ってのは中立の立場だ。だからこそ異変を解決した後ここで宴会をする…そして幻想郷の中核となれる。それを人間寄りにしてみろ。妖怪達は快く思わねえ…特に八雲紫なんかはそうだ。すぐにでも元に戻す。そうだろう?紫。」

勇姿がそういい、静まり返るがフランドールがとんでもないことを言い出した。

「あのスキマBBA出ないね。」

その一言によってフランドールの頭に弾幕が直撃し、額に手を当ててゴロゴロ転がった。いつもの紫であればさらに追い討ちをかけるのだが相手がフランドールなので止めた。もし表向き幼女であるフランドールを追い討ちした姿を新聞記者達に撮られたら間違いなく評判はただ下がりである。

 

「流石は大和勇姿。頭の回転が早いわね。」

フランドールに追い討ちをかけられなかったせいでまだ怒りが収まらないのか半ギレの状態で紫が現れた。

「皮肉か?これくらいは馬鹿な俺でも予想は出来る。」

「それこそ皮肉ね。そこの風祝は予想していなかったみたいよ?」

「まだこの子は世間知らずだ。幻想郷に住んで早々理解しろというのが無理な話だ。社長である雄大や裕二ならわからないでもないが…」

「この子、なんていっているけど年齢差そんなにないでしょう?」

「妖怪からすればそうだろうな。俺と早苗の年齢差は俺の兄、雄山よりも年の差はある。だが年なんてものは関係ない。年などを気にしていたら自分の本当の誇りすらも見失う。本当に大切なのは自らが貫き通すということだ。」

「…臭いセリフね。」

「元より武人であるこの身でセリフが臭かろうが泥臭かろうが水臭かろうと言われようと関係ない。」

「勇姿さんってこんな人でしたっけ?前会った時はもう少し過激だったような気がするんですが…」

「あの時は若かったということだ。」

 

「あの時?それにその巫女は誰なの?」

ようやく立ち直ったフランドールが口を挟んだ。

「ああ、すまん紹介するのを忘れていた。こいつは東風谷早苗。妖怪の山に新しく設立された守矢神社の風祝だ。」

「早苗お姉ちゃんよろしく!私のお名前はフランドール・スカーレット。フランって呼んでね!」

「か、可愛い…フランちゃん。頭撫でていい?」

「うんっ!」

早苗はふらふらとフランドールに近づき、頭を撫でるとフランドールはくすぐったそうにしていた。

 

しかしそれに水を差す者がいた。

「早苗、こう見えてフランは俺の数十倍は年上だぞ。」

勇姿である。勇姿はフランドールが猫被りしていると知っている数少ない存在だ。

勇姿の一言によって早苗は激怒した。

「嘘を言わないでください!こんな可愛い娘が勇姿さんよりも年上なはずがないじゃないですか!」

勇姿の言葉に早苗は反論しフランドールを抱きしめる。その際に早苗の胸の脂肪がフランドールの口元に当たりこのままでは窒息しかねない。

「早苗お姉ちゃん苦しい…」

「ほら!私のことをお姉ちゃんなんていうからには私よりも年下なんですよ!第一、勇姿さんの根拠は何ですか?」

「フランがフランの姉レミリアに幽閉された年数が根拠だ。レミリアは495年もの間フランを幽閉していた。これはレミリアが公言している…」

「えっ!?」

早苗が驚く間に、勇姿はさらに衝撃の言葉を放った。

 

「ついでに言うならお前が橋野組に誘拐された時は早苗よりも俺の方が年下だった。」

「あんな外見で年下だったんですか!?というか年下なのになんで刑事なんてやっていたんですか!?」

「俺の親戚の陰謀。」

「いくらなんでも波乱万丈過ぎますよ…まずその前に一つ尋ねたいんですが勇姿さんって大和財閥の御曹司か何かですか?そうでもなければそのくらい波乱万丈な生活を送れるわけありませんよ。」

「ビンゴ…当たりだ。親父は大和財閥取締役社長で俺はその四男坊だ。」

「勇姿さん、今すぐ結婚しましょう!」

まるでコントのように早苗はフランドールを離し、勇姿の手を取って握ると紫がそれを離した。

「止めなさい。勇姿が言うには結婚すると貴方の信仰する神…それも全盛期の頃ですら手がつけられないような人物が妨害してくるわ。そうなったら守矢神社は当然、幻想郷も危機に陥るわ。」

「デスヨネー…」

早苗は玉の輿に乗れずがっくりと項垂れるとフランドールが猫を被りながら励ましていた。一応やるところはやる幼女である。

「それに…いえ今言うのは止めておきましょう。下手に口にしたら幻想郷そのものが本当に幻想になりかねない事態になるわ。」

紫はそう言って扇子を口元に当てる。これだけでもかなり胡散臭く見え、勇姿は顔を顰めた。

 

「話が大分それたが今日中に博麗神社を元に戻せ。フランも萃香もフウも帰る場所はここなんだ。ここで受け入れなければどこにも住めない。」

「その時は皆さんが守矢神社に住めばいいだけですよ!」

「守矢神社は中立の勢力じゃない。だから紅魔館の主の妹や伊吹鬼、ましてや元天魔が守矢神社に住めば、守矢神社が各勢力から滅多打ちにされる。そうなれば戦争が始まる。それがわからないのか?」

勇姿はかつてないほどにドスの効いた声で語ると早苗が顔が青ざめた。

「勇姿!早苗お姉ちゃんをイジメちゃダメ!」

「やれやれ。フランに免じて許してやるが、これだけは覚えておけ。次からは警告はしない。Do you understand?(わかったな?)」

「は、はい!」

「OK.(よろしい。)次の仕事だ。紫、霊夢に伝えておいてくれ。苺大福を一杯作っておくから早く帰ってこい。とな。」

「あら…早苗の手伝いしないでいいのかしら?」

「自分の尻拭きくらい自分でやらせた方が良い。それにお前にやらせたら意味がなくなる。」

「…ふ〜ん。そういうことね。わかったわ。霊夢に伝えておくわね。」

「頼んだぞ。」

紫がその場から消えると勇姿は台所に入り苺大福を作り始めた。ちなみにフランドールは早苗にずっとくっついていた。

 

「あれ?勇姿何を作っているの?」

「夢月、お前いたのか?」

「いたのかって…いちゃ悪いのかしら?」

「身体に悪い。」

「身体に…って、ああ。そういうこと。私は悪魔だけど夢幻世界を管理している立場だからこのくらいの神力なら平気よ。他の連中はどうかは知らないけど。」

「納得…っと。出来たか。作りたての苺大福味見するか?」

「それじゃ頂きます…っ!美味い!」

「だろう?後は霊夢が帰ってきたらみんなで食べるぞ。」

「(こんなに美味いものを食べたらやみつきになりそうね…いざとなったら勇姿を攫って夢幻世界の魔王に仕立てましょうか。魔王ならそれっぽいし。)」

中々黒いことを考える夢月であった。




次回からは再び本編です。

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