強面男が幻想入り   作:疾風迅雷の如く

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お待たせしました!ローカルネタありです。


第41話

妖怪の賢者とも呼ばれる八雲紫が恐れる相手は幻想郷において片手位しかいない。人里で会える人物達を紹介しよう。

 

一人目は風見幽香

風見幽香は加虐趣味であり、大変危険な妖怪である。会ったらジャスタウェイ。さもなければ死ぬか玩具にされるかのどちらかしかないので気をつけなければならない。著者である私、稗田阿求もその餌食となった。

 

二人目は四季映姫・ヤマザナドゥ

元地蔵、現幻想郷の閻魔なだけあって大変ありがたい話をしてくれるお方である。著者である私はこの人のおかげによって何度も転生を繰り返すことが出来るので悪口を書きづらいがあえて書かせてもらう。一度説教をしたら3日は説教し続けるとも言われ、八雲紫ですらもそれを恐れて何処かへと消え去ってしまうという。しかも浄玻璃の鏡を所持している為過去を覗くことが出来るので悪さをしたことがあるとそれをネチネチ…もとい何度もくどく繰り返して説教をするので八雲紫だけでなく例外を除き人妖問わず誰もが苦手としている。

 

三人目は大和勇姿

八雲紫の天敵にして幻想郷で最も発言力を持つ男。普段は温厚かつ紳士であり人里の子供達も慕っており、風見幽香や伊吹萃香、フウ氏などの幻想郷トップクラスの実力を持つ者とも仲が良く友好関係も築きやすい。しかし一度キレたら内に眠る魔王が覚醒してしまい博麗神社の賽銭箱を壊したり、永遠亭を一撃で壊したり、前述した四季映姫・ヤマザナドゥを逆に説教したりと大暴走してしまう。しかも八雲紫によると彼女自身の能力に所属する妨害・干渉系の能力は全く効かないらしく、まさしく天敵と言えるだろう。

 

その三人について詳しく知りたければ、それぞれ妖怪図鑑と英雄伝の項目をご覧になればわかる。

 

幻想郷縁起項目『妖怪の賢者 八雲紫』一部抜粋

 

〜図書館〜

 

「…これを見てどう思う?」

パチュリーにそう言われ、顔が引きつっているのが自分でもよくわかる。

「随分ボロクソに言われてるね。勇姿。」

「ほとんどが真実だから何も言えん。」

「真実って…過大表現されているってことでしょ?」

「まあな…っつてもどっちみち同じことだ。」

「…?っつても?」

フランが不思議そうに俺を見つめる…俺の言った言葉に原因がありそうだがさっぱりわからん。

「今のは〜と言っても、という意味でしょ?違う?」

「ああ…そうだが…」

俺がそう答えるとパチュリーは少し考える素振りをして、口を開けた。

「それじゃやっこいは?」

「柔らかい。」

大事(だいじ)を省略しないでいうと?」

「大丈夫か?の省略系だな…」

一体なんなんだ?別におかしなことじゃないだろう?

「ふぅん…やっぱりね。」

「何がやっぱりなの?パチュリー?」

「ええ…彼の出身地というか育った環境がわかったわ。」

…今のでわかるのか?

「そこってどこ…?」

「北関東の県…とでも言っておきましょうか。食べ物でトラウマになりかねないものもあるしね。そうでしょ?勇姿…」

「そうだな…」

 

俺は頭から血が引き、顔面蒼白になっていく感覚に見舞われた。

突然だが諸君。学校の給食で残したものはあったか?…まあ「ない」と答える方もいるだろう。しかしだ。地元県民の9割弱の小・中学生からかなり…いやGと名のつく虫以上に嫌われ、残す食べ物がある。

 

何度かそれを学校の給食で食したことがあるが一言でいうとトラウマものだ。何せ見た目、味、食感3コンボで最悪だった。その後そいつが出てきたらマヨラー以上にマヨネーズをぶっかけてそいつもろともマヨネーズを飲み込むという力技で攻略しなければならないくらいマズイ。…攻略して何の得になるのかだと?必ずと言っていいほど同時に出てくる給食の品がある…それは和牛ステーキ。ゲロみたいなアレを食う代わりにステーキを貰うという条件で俺と一部の奴らはステーキ等を貰っていた。本家本元のそいつはマズイとは思いたくないがそれでも給食で出てきたのはアレなので二度と小・中学生には戻りたくない…一度食えばわかる。

「どんな食べ物なの…?それ。」

「トラウマになるものだけ言っておく。フラン…並大抵の精神力じゃ食えないことだけは覚えておけ。」

「…うん。」

わかって貰えて何よりだ。何しろあれは文字どおり地元で生まれ育った地元県民ですら食べられないようなゲテモノだ。欧州の妖怪であるフランドールが手をつけたら泡吹いて倒れるだろうな。

 

「それはともかく、勇姿の住んでいた県はスキーのゲレンデも数多くあって有名らしいわ。」

…そういえばゲレンデといえば雪山でも酷い目に遭ったもんだ。

俺が帰国した後、「マフィア如きに傷つけられるなんて軟弱な育て方をした覚えはない。そのぶっ弛んだ精神を叩き直してやる。」という訳のわからない理由で婆さんに無理矢理雪山に連れていかれると「これから大声出して雪崩を起こすからその場から一歩も動かずに耐えてみろ。もし動いたらやり直し。」という無茶苦茶にも程があるスパルタ指導で冬休みの二週間ずっとそれをやっていた…おかげで冬休みの宿題なんぞ終わらせることも出来ず、守矢神社にも行くことが出来なかった。結局冬休み最後の日にやり遂げたけどあれは拷問以外の何物でもない…

 

「他には…世界最大級の大企業…大和財閥の本社の地点で有名ね。」

「俺の親父の会社だ。それ。」

「そう、貴方のお父さんの会社…お父さん?」

そういえば公言してなかったけか?まあ俺が御曹司だとバレても幻想郷じゃ何の意味もない。親戚共からは不良品扱いされているしな…人ですらねえ!

「…確かに面影はあるわね。」

そしてパチュリーがそれをおくと親父の名前と写真が見えた。

「これが勇姿のお父様なの?」

…そりゃそうだろうな。片やヤ9ザ扱いされそうな雰囲気のある俺。もう片や柔和な笑顔で誰からも慕われそうな親父。どう見ても親子じゃないように見える。…雄大の見た目は親父そっくりなんだけどな。裕二は母親似の女顔で強面である雄山や俺とも似ていない。しかも裕二は華奢だから女に間違われることも多く、親戚の女共からは羨ましがられている。…何で兄弟なのにこんなに違うんだろうな。雄山と俺は婆さんの性格が顔に出たような顔つきだしな。

「ああ…優しそうだろ?」

「うん…お姉様とは違ってカリスマが滲み出ているわ。」

フランがあまりにもレミリアを気の毒に思ったのか苦笑いしていた。

 

「お嬢様にはお嬢様のカリスマというものがありますわ。妹様。」

いつの間にかやって来た咲夜がフランに反論して俺達に紅茶を渡す。

「Oh…thank you.Sakuya.」

「何で英語…?」

おっと…やっぱり米国へ留学するとこんな風になってしまうもんだな。幻想入りする前に京都・奈良、略してキョナラに修学旅行にいった友達が帰ってくると方言が移って元に戻すのが大変だったらしい。日本国内であるキョナラでもそんなに移るから日本語で「おぉ…サンキュ。咲夜。」というつもりがあんな英語になるのは必然とも言える。

「昔の訛りだ。あんまり気にするな。」

「…今の訛りからしてアメリカ英語ね。」

「何でわかるの?」

「レミィやフランの喋る英語はヨーロッパの訛りの英語でそれとは違うのよ。まあ…オーストラリアの英語もいくらか特徴的な訛りがあったし、発音もわかりやすかったわ。」

へぇ…そう言うもんなのか。ちなみに雄大は英語だけじゃなくロシア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、ポルトガル語…とにかくいろんな言語を扱えるので通訳必要なしだ。羨ましいもんだ。…俺?俺は英語オンリーでしかもかなり微妙な知識だ。比べることすらできない。

 

「ところでレミリアの良さって何だ?」

話を俺の方に持っていっても仕方ない。俺の話をしたら咲夜はハブられることになるからな。

「お嬢様の良さは何をしても様になる…ということですわ。」

「お姉様が…?」

「ええ。お嬢様は締める時は締め、可愛らしくなる時は可愛らしくなり、私はそれを見て胸がキュンとときめくのです。」

なるほどな…そういうのは…

「そう言うのをギャップ萌えっていうらしいわ。」

…言われた。何でパチュリーはそんなことを知っているんだ?ギャップ萌えの概念が幻想入りしたっていうのか…

 

「ギャップ萌え…ですか?」

「例えば…そうね。チンピラが人の前じゃツンツンしているけど、猫の前じゃデレデレになっているのを見て貴方達はどう思うかしら?」

「信じられないわ。」

「今時不良がそんなことをするかよ。」

今の不良ってのは無気力な奴らばかりだしな。そんな奴らは昭和に帰りやがれ。雄大は1988年生まれとギリ昭和生まれだけど。

「フランも勇姿も似たようなものね…じゃあ咲夜は?」

「ドキドキしますね…そんなありえないことに出くわしたら忠誠心が溢れ出そうです…」

忠誠心?なんで忠誠心が出てくるんだ?咲夜の鼻から忠誠心という漢字で書かれた文字の塊が鼻くそとして出るところを想像するとかなりシュールだ…

「そう、普段とは違うことにときめく…それがギャップ萌えって奴らしいわ。まあこれに関する情報が少ないから私の推測でしか言っていないけれどもね。」

そういう情報は少ないのか…無茶苦茶だな。

「それじゃパチュリー。ここら辺でお暇させてもらう。伝言も伝えたしな。」

夢月も博麗神社においてきたしな。いい加減帰らないと面倒なことになる。

「じゃあね。パチュリー、咲夜。」

「騒いだり、本を盗んだりしなければいつでも来なさい。」

珍しく歓迎されたな…

「ああ。ここの本は色々とあるようだし、資料を集めたい時は来る。そん時はパチュリー…お前にも協力を求めるかもしれないから頼む。」

「私が出来ることは本の場所や中身の解説くらいしかないけど。」

「それで充分だ。」

しかし俺から見て10年以上前…つまり外の世界の最新の資料があったことや早苗が最初に会った時からほぼ年を取っていないということは普通幻想入りする時はタイムラグはほとんど生じないってことか…?そんな考察は後にしよう。今は博麗神社に帰ることを考えないとな。




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