強面男が幻想入り 作:疾風迅雷の如く
第29話
〜博麗神社〜
俺は精神統一をする前に少し考えていた。八雲紫が俺を漢に連れて行った行動はイレギュラーだったのか?ということだ。何故なら呂布と戦って勝ってもコードの習得やシステムのパワーアップがなかった。ここで二つの説が考えられる。一つ目は本当に紫の取った行動がイレギュラーであり、本来ならそのまま終わりのはずだった説と呂布との戦いは負けイベントで絶対に勝てないが勝ってしまった説が考えられる。…前者も十分考えられるが紫がそこまで抗えるとは思えない。となれば後者だな。後者ならば勝っても負けても俺を見に紫が覗きに来るのでその隙を突いて帰れたのは違いない。それに認めたくないがシステムを使える時点で俺が特別だということもある。
さて心の靄がなくなったことだし精神統一をするか…精神統一は心が乱れては元も子もないので俺は基本的に疑問をなくしてから精神統一に入る。心拍数を40から20前後に抑え、思考することによって発生する脳波を無にして何もない状態に近づける。そして俺はスッ…と精神統一をした。
「勇姿さん、ちょっと外見てよ。」
「外がどうした?」
霊夢が話しかけてきたので中断して外を見ると桜や秋桜を始めとした全ての花が咲ききっていた。
「見てのとおりよ。違う季節の花が全部咲いているのよ!?これは異変に決まっているわ!」
「そうでもねえよ。詳しいことは知らねえが60年に一度花が咲き乱れる時期があるらしい。歴代の博麗の巫女の日記にもその記録がある。」
そのあと何も変化起きないから詳しくは記載されていないし、霊夢も実際に知らなかったから幻想郷からしてみればどうでもよかったんだろう。ちなみに日記を内容を知っているのは幻想郷から戻る方法を探しているとそんな物が見つかった。
「えっ!?そうなの…?」
「そういうことだ。それでも調べるっていうなら…俺も行こう。」
「ええええーっ!?」
「何だ?不満か?」
「勇姿さんがそんなことを言うなんて意外過ぎたから…それに一緒にいったら…誰もいない状況になるわ。」
普通はそう考えるけどよ…霊夢。その心配はねえよ。
「…霊夢、後ろを見ろ。」
霊夢が振り向くとそこには霊夢と同じデザインの巫女服を着た2人の鬼…萃香とフランがいた。
「え…?どういうこと?」
「見てのとおりさ。ここは私たちが何とかするから霊夢、あんたは………に行ってきな!」
あん?何か一部聞こえなかったな?「「解決し」に行ってきな」って言ったのか?
「ば、ば、馬鹿なこと言っているんじゃないわよ!大体鬼がいる神社なんて縁起が悪すぎるわよ!」
霊夢は何故か顔を紅潮させながら萃香に反論するとフランが更に反論した。
「それを言ったら紅魔館なんて人間(咲夜)や妖精がメイドやっているし、美鈴なんて頭にナイフ刺されても生きている妖怪だよ?別に問題なんてどこにもないと思うなぁ。」
「頭にナイフってよく生きてられるな…」
俺がボソッと呟いても全員はそれを聞いておらず話しは続いていた。
「それにさ、勇姿と約束しているんだよ?霊夢の面倒を見てくれって。」
こいつ…まあ俺としては都合が良いし、文句は言わない。
「勇姿さん!」
「まあそういうことだ。流石にお祓いは無理でもそれ以外の雑務は出来るから問題はないだろ?」
いや2人ならお祓いも出来かねないな。能力が能力だしな。萃香の能力で悪霊を散らして、フランがそれを破壊する…普通に出来るな。
「「もちろん!」」
「まあ偶にはこういうのも悪くないぜ。」
「うー…わかったわよ。」
そして俺達は空を飛んで空の散歩を楽しんだ。
その後、萃香とフランの活躍により何故か神社に参拝者という名前のロリコンが大勢来たのは俺ですらも予想がつかなかった。悪霊は退治出来てもロリコンまでは退治出来なかったか…
『異変が起きました。』
異変ね…どうせストーリーイベントだろ?
『今回の異変は特別な異変で時間制限があります。首謀者は妨害者を倒した数によって変化します。』
…面倒だな。スコア制のルールか。ストーリーには直接関与しないがやっておいた方が良いかもな。
「まず準備運動してから行こうか。」
言っていることはアレだが動機を知ったら激怒するであろう言葉を吐いた…ゲスだな。俺。
「準備運動…っていうと弾幕ごっこで良い?」
弾幕ごっこか。俺は弾幕が打てないから銃や格闘で補っているんだが…今回はチルノと戦った時と同じく銃オンリーで行ってみるか。
「そうだな。スペルカードは5枚で構わねえよな?」
俺は霊力や魔力なんかの不可思議な力を持っていないのでスペルカードを作れない。だが弾幕ごっこは技を宣言してしまえば例えカードに不可思議な力がなくとも非殺傷であればスペルカード宣言となる。俺の場合どんな銃でもこの条件を満たせる為、特殊な銃を使うときに宣言すればいい訳だ。
「ええ…それじゃ行くわよ!」
俺と霊夢は距離をとり…弾幕ごっこが始まった。
「秘術-無想転生」
俺は雄山との戦いで得たコード無想転生を発動させ、霊夢の弾幕を無効化した。
「なっ…!?私の夢想転生!?」
霊夢はそれに驚き、動揺するが流石に弾幕を止めるような真似はしなかった。
「大和一族に伝わる伝説の奥義…それが無想転生。如何なる技もこの技に屈するのみ。」
実際は嘘だがそうでも言わないとこの幻想郷ではやっていけない。submachine-gun銃を取り出し、弾幕をばら撒き、攻撃する。ばら撒く必要はないが弾幕ごっこには美しさが必要だ。言わば弾幕をばら撒くことは暗黙のルールで決まっている。
「なら…こうするしかないわね!」
霊夢は攻撃することを止めて弾幕を避けて躱すことに専念した。あんなチンケな弾幕は霊夢からしてみれば何でもないのはわかっている。となれば…
「散弾-WWⅠの米軍の主力」
カッコよく言ってみたが実際はただのshotgunだ。ドンッッ!と音が響き、shotgunから放たれた弾が霊夢に襲いかかるが難なくクリアか…後3つはどの武器にするか…いや使わない方が良いかもな。霊夢はスペルカード使っていないし。霊夢がスペルカードを使うまで待つか。
〜数分後〜
結局あれから霊夢がスペルカードを使うどころか弾幕を撃ってこないので時間制限もあるし、俺がとある銃を取り出し決着をつけることにした。
「一撃必殺-対物ライフル」
その銃は対物ライフル…システム曰く『連射こそ出来ないがそれを帳消しにする程の威力を持つ銃で黄金銃ですら仕留められなかった敵も倒すことが出来る最強の銃』らしく、一撃必殺にはちょうど良い銃だと判断した。
ズドンッッ!!!!ピチュン!
…とんでもない威力だな。これで非殺傷にするシステムってなんだよ?ゲームかよ?と突っ込むのは後にしてだ…霊夢がピチュり、弾幕ごっこは終わった。
「〜っ!!」
と思ったら霊夢が頭を抱えながら涙目になっていた。非殺傷でも痛みはあるのか…非殺傷モードで火炎放射器を使ったら拷問以外の何物でもないな。
「霊夢…大丈夫か?」
「平気…」
霊夢は蚊のなくような声でそう言うが頭を抑えていて全然平気そうには見えない…涙目になった霊夢も可愛いが流石に倫理的にマズイから傷薬でもやろう。
「霊夢…傷薬を塗るから少し我慢してくれよ。」
「!い、良いわよ!自分でやるわ!」
霊夢は顔を真っ赤にして薬を取り上げて自分で塗り、終わるとすぐさま言い訳をしながら俺の元へと離れていってしまった。…俺りゃ霊夢に嫌われているのか?そうでもなきゃ霊夢があんな態度を取るはずがない…仕方ない。案外ナイーブな心を持つあいつの場所に移動するか。