強面男が幻想入り   作:疾風迅雷の如く

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今回は主人公暴走回です。


第23話

鈴仙・優曇華院・イナバこと鈴仙は自分の住む永遠亭に現れた侵入者と目を合わせた。彼女と目があうと狂気に呑まれ、彼女の思うがままになってしまう…それが常識だった。

 

「面白えことするじゃねえか?うさ耳女…」

その侵入者はまるで効いておらず、笑っていた。

「なっ…あんた化け物!?」

鈴仙はそれに驚き怯んでしまう…というのも彼女の目を合わせて無事でいられたのは皆無である。自身の師である八意永琳とて僅かだが影響はあった。だがこの男には全くと言っていいほど効いていない。鈴仙はとにかく震えていた。

「俺は博麗の代行、大和勇姿。異変を解決しにきた。」

勇姿はそう言って一歩、一歩と歩み寄り加虐的な笑みで鈴仙に向けて笑った。

「(ひっ!?)」

鈴仙が怯えると勇姿はさらに笑う…

「その怯えた姿…実に最高じゃねえか。ククク…」

…さてそろそろ解説しよう。勇姿は鈴仙の目を合わせて狂気に呑まれ加虐的な性格となってしまったのだ。

通常と違うのは勇姿は完全に理性は失っていないということだ。勇姿は本能で危険を察知して心臓を一瞬止め血液の流れをあえて狂わせて理性が失わないようにしたのだ。言ってみれば気合で鈴仙の能力をほぼ無効化したのだ。この時点で人間なのか怪しいが彼の周りにはそう言うことが出来る人間がいたのでまだ人間と言えるだろう。

 

閑話休題…

 

ただ勇姿は中途半端に効いてしまったために加虐的な性格となってしまった…それだけのことなのだ。それに加え、パニックになった鈴仙は狂気を操るということが出来ずにいた。

「止めて…!来ないでよ…!!」

鈴仙は遂には腰を抜かし、四つん這いで逃げようとした。

「逃がさん…」

勇姿は鈴仙の足を掴み、再び笑った。

「いや…!お願いだから…止めて…ください…!!」

鈴仙は怯え、震え、涙目になるがそれは今の勇姿には最高のご褒美だ。

「では異変の首謀者は何処にいる…?」

勇姿は邪悪な笑みで笑い、その姿はまさしく魔王そのものだった。

「それは言えな…っ!!」

鈴仙がそれを拒否するととんでもない威圧感が襲い、今まで鈴仙が生きてきた中で受けた尋問…いや拷問がまるで子供のいたずらのように感じてしまった。

「どうやら俺は耳が遠くなったようだ。もう一度聞く、首謀者は誰だ?そしてそいつは何処にいる?」

勇姿はそう言って短小のshotgunを構えた。聞くことが増えているがそれを突っ込むほど鈴仙はバカではない。

「5秒以内に答えろ。はい1!」

バンッ!!

そしてカウントダウンが始まった瞬間、勇姿は躊躇いもなく撃った。

「まだ1秒しかたってない!!」

鈴仙が突っ込み、抵抗するが無駄だった。今の彼は狂気状態である上に5秒以内に答えなければ撃つとも言っていない。

「2!」

ババンッ!

鈴仙の言葉を無視して勇姿はさらに躊躇いをなくして撃ってきたのだ。しかも鈴仙が避けなければ確実に撃たれていた。それだけ本気なのだ。

「3!!」

バババッ!!

さらに勇姿は過激になり、鈴仙をどんどん脅して行った。

「よ」

「言うから待って下さい!」

4の時に鈴仙がそう言って勇姿を止めようと説得した。

「…………………………まあ良いだろう。」

矢鱈と間が長かったがそれは横に置いて、鈴仙が口を開くのを少しだけだが待った。

「この奥に私達のトップがいます…名前は蓬莱山輝夜。」

そして白状してしまった。だが鈴仙にとってそれが一番良い選択肢だと思えるほど勇姿は怖かったのだ。

「そうか…ならば貴様は楽に殺してやる。何、痛みすらも感じないから安心しろ。」

勇姿は目撃者という名の鈴仙を殺す為、鈴仙の耳を鷲掴みにして鈴仙の米神に銃を突きつけ、引き金を引こうとした瞬間…

 

ドスッ!!!

 

「このド外道が!!」

鈴仙の師匠、赤青という服のセンス最悪の八意永琳は、鈴仙が輝夜の名前を出しても割り込んだりせずにただひたすらに勇姿を仕留める事だけに集中し、その心臓を貫いた。

「…で?これがどうした?」

しかし何故か勇姿は生きており、鈴仙を投げてその矢を引っこ抜き何でもなかったかのように涼しい顔をした。

「(まさかこの男、蓬莱人…?いえ、違うわね。地球での蓬莱人は藤原妹紅のみ…薬も処分したと聞いた以上蓬莱人が生まれるはずがない。妹紅がそんな嘘をついても意味はないはず…じゃあ一体何故彼は生きているの?)」

永琳はそう考えたがそれは間違いだ。永琳の矢が微妙に急所からズレていたのだ。勇姿の刺さった位置は心臓の中では最も動かない部分だった。そこに刺さり、勇姿は無事だったのだ。それを抜きしても生きていられるのは人間を辞めているのは確かだ。

 

勇姿は矢を引っこ抜いた部分をコードで回復し、元の状態に戻った。

「…面白い。どのくらいの力があるか試してやろう。」

そして勇姿はメガトンパンチのコードを入れ、永琳に軽くパンチをした。常人の感覚ならぽこっと殴る程度である。

 

ドカバキバキメキャグキッ!!

 

永琳は横の部屋はおろか、鈴仙も巻き添えにして永遠亭の柱をぶっ壊しながら吹っ飛んで行った。

「…まだ何かありそうだな。」

そして勇姿が一歩踏み出すと…

 

ガラガラドガシャッ!!

 

先ほどのメガトンパンチの二次災害により永遠亭が崩れ、鈴仙や永琳及び今回の異変の首謀者、蓬莱山輝夜はその下敷きとなった。なお勇姿はその際に頭をぶつけ正気に戻り、無事(一部大惨事)に異変が終了…

 

「このままで終わると思っているの…?大和勇姿ぃぃいっ!!」

…終了するはずもなく、輝夜は薙刀を持ち、勇姿に襲いかかっていた。彼女が勇姿の名前を知っているのは当たり前だ。あれだけ騒げば誰だってわかる。

 

「ふんっ!」

それを短小型のshotgun防ぎ、勇姿はマップで輝夜の情報を手に入れた。

「ようやく出てきたなぁぁぁっ!輝夜ぁぁぁっ!!」

そこに現れたのはextraの藤原妹紅だった。彼女はフウと萃香と戦っていたが吹っ飛ばされここにきてしまったのだ。

「邪魔だ!」

メガトンパンチのコードが入った状態で気が立っていた勇姿は妹紅を殴り、彼女の弾幕を置いてきぼりにして飛んできた方向に吹っ飛ばした。

「はじめからこうすれば良かった…」

そして妹紅の弾幕が永遠亭だった物に被弾し、炎上した永遠亭を背景にした銃を持たない勇姿の姿はまさしく某ゲルト族出身の魔王そのものだった。

「くたばれ…!」

そして輝夜の頭を上から殴り、地面に叩きつけた。

 

「痛いじゃない!!」

しかしそこにいたのは全くと言っていいほどの無傷の輝夜だった。

「!?」

勇姿はそれを見て驚いていた。あの力で殴れば必ずと言っていいほど大怪我をする…感覚もバッチリだった。だが輝夜は怪我を負うどころか全くの無傷だ。コマンドを開き、輝夜の情報を読み取るとそこには種族蓬莱人と書かれていた。

蓬莱人について少し調べてみると死んだら完全に復活する不老不死の人間のことと書かれてあり、そこで勇姿は輝夜が一度死んだと判断し、今度は優しく撫でるようにすれば問題ないと思った。

 

「このくそ力!!」

しかしそれでも輝夜が死んでしまうのでメガトンパンチのコードは切り、セーブしてまともに戦うことにした。

 

「こんなことはやりたくないが…どうだ?ゲームで勝負しないか?」

勇姿はそういって輝夜に提案し、勝負を決めようとした。

「ゲーム…ってどこにあんのよ!?あんたのせいで私のゲーム機全部壊れちゃったのよ!!」

輝夜は幻想郷にはないはずのゲーム機を持っており、暇な時はそれをして退屈を凌いでいた。だがそれが勇姿を一番驚かせた…

「!まさかゲーム機がここにもあるとは思わなかった…」

そう、勇姿が驚いたのは幻想郷が明治時代あたりの文化なのに関わらず、輝夜がゲーム機を持っていたことに驚いていた。

「…そういうことね…だけどあんたのようなトチ狂った狂人の言うことなんて誰が聞くと思う?」

輝夜から狂人と認められてしまい、勇姿は何一つ言えなくなった。先程の記憶があるからだ。あの時は自分の思うがままに従い、そうあるべきだと確信していたが正気に戻りそれが間違いだったことに気づいたからだ。

「…くっくっくっ…それもそうだな。」

だが輝夜から狂人扱いをされたからと言ってめげる訳ではない。寧ろ勇姿は先程の性格を思い出し、笑った。

「ならば貴様の心を折れば良いだけの話だ。」

勇姿は一瞬で輝夜を縛り上げると身体の部分を固定させた。

「まさか…」

輝夜はここで18禁行為をするかと思ったがそれは違った。

 

ダンダンッ!!

勇姿は先程のshotgunを黄金銃に変え、輝夜の頭に撃った。

「これで異変終了だ。」

勇姿のコマンドから『異変を解決しました。』と表示され、異変が終わったことを証明した。

 

「しかし…後始末が大変だな。」

勇姿がそう呟き、周りを見ると『ボーナスステージに突入します。』と表示された。これはextraの妹紅を倒していないことになる…その理由は言わなくともわかるが輝夜と同様に勇姿のメガトンパンチがあまりにも強すぎて死んでしまったのだ。その後妹紅は蓬莱人としての力を発揮して復活し、倒したとカウントされなかった。先程飛ばした相手を探さなくてはならなくなったことに勇姿はため息を吐いた。




永夜抄編はこれで終わりではありません。あと2回くらいは続きます。

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