強面男が幻想入り   作:疾風迅雷の如く

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第21話

さてと…宴会を抜け出したはいいがあいつの姿がないな。マップで検索する方が早いな。…あそこか?

「ようやく見つけましたよ…伊吹萃香さん。」

俺は萃香を呼ぶと出てきたのは角が生えた幼女だった。

「なんのようだい?この萃香様を呼ぶなんて…」

「惚けても無駄ですよ。貴方は私の料理教室を終えた時、妙な霧になっていましたね?何をしたんです?」

俺も霊夢もおかしくなっていないが一応訪ねた。

「いや~春が短かったからさ、宴会の数も少ないじゃん?宴会が少なきゃお酒も飲めない…そこで私は宴会を促すようにしたのさ。もっとも突風が吹いてあんたには効いてないようだけど…」

経済的に圧迫する気か?こいつは…通りで霊夢が宴会を開く訳だ。

「…では単刀直入に申しましょう。宴会をアホみたいにやったらそれこそ普段酒が飲めなくなります。」

「それよりもあんた、その口調止めないか?偽り過ぎだ。」

…どうしてここの住民は敬語よりもタメ口の方が良いと思っているんだ?もう次から異変の首謀者や妨害者に対してはタメ口で接してやるか?

「わかった。だが覚えておけ…酒とはたまに飲むから良いのであって年がら年中飲むのはただのアホだ!」

『異変が発生しました。』

だからこいつ無能だな…良い加減にしろよ!最初の頃は仕事早いかと思ったのに…今回は悪口で始まるってどんだけ無能なんだ?

「ふぅん…それじゃ賭けをしないかい?」

「賭け?」

「そうさ。あんたが私との勝負に勝ったら私は宴会を促すのを止める。ただし、私が勝ったらそれはなしだ。」

「そうかよ…それじゃその賭け乗った!」

「いいね~最近の若者はヘタレばっかりで…」

「御託はいい。どんな勝負なんだ?」

ゲームだったらもう一つ選択肢が出てきそうなもんだが面倒くさいからそういった。

「そうだね…あんたは天魔よりも強いからこのくらいでいいか。」

萃香は足で円を描いた…てかなんで俺とフウが戦ったことを知っているんだ?フウが漏らしたのか…?

「なんの真似だ?」

「さっきのを聞いて私もあんたの言うように酒飲みたくなったけれど勝負となれば別だ。この円から私を出したら私の負けってことでいいよ。」

「そうか…そこまで言うなら仕方ない。」

俺は依頼をこなしたことで新しくコードに加わったメガトンパンチのコードを入れた…とはいえこのコードの強さは余りわかっていない。まあ…弾幕でやるよりかはマシだとは思う。

そして俺は先制攻撃としてジャブを放った。

 

「グエッ!?」

蛙が潰れたような声が聞こえた途端萃香は消えた…またあの鬼、霧になったのか?マップで付近を調べるか…いないな?いないなら宴会に戻ろう…

 

ドゴッ!ゴゴゴ…

 

「ぬおっ!?」

急に地震が起き、宴会の会場はぐちゃぐちゃになった。

「おいおい…ついてねえな。婆さんが居れば地震も止められたのにな。」

婆さんは文字通り拳で地震を打ち消したことがある。前に震度6弱と思われる地震があった時に婆さんはそれを瓦割りの要領で地面にパンチを入れて止めやがった…地震の原因である波の運動は普通打ち消すことは出来ないんだが…それをやったということは化け物としか言いようがない。俺?流石にそんな芸当は無理だ。

 

『異変が解決しました。』

 

…史上最速の解決スピードだな。今回は。俺と互角のフウよりも格上だと思ってみたら弱かったな…いや違うな。メガトンパンチが強すぎたのか。それで幻想郷英雄記(幻想郷で活躍した人間達が書かれている書類)に過大表現される訳だ…確か前見た時は【本当に人間なのか怪しいくらいだ。事実霧雨魔理沙氏から人間だと聞いて驚いており、またレミリア・スカーレット氏からは妹のフランドール氏を差し置いて怪獣と言わしめた】と書かれていたしな。

そう言ったことは霊力を出して妖怪退治が出来る霊夢や魔法が使える魔理沙、時を操る咲夜の方が適任だと思っていたがコードが異常過ぎてそう見えるだけだな…うん。俺はコード使わなかったらフウと互角に戦えるだけの人間だぜ?…それでも人間離れしている?おいおい、馬鹿言っちゃいけねえよ。フウと戦った時は気合で耐えてただけで何本…いや数え切れないほど骨が折れていたし、依頼終了後、体力回復コードが出来なかったら死んでいた。もしもフウが能力を持っていたら、俺を本気で殺しにかかったら…と思うと間違いなく救われたのは事実だ。

 

「勇姿さん?貴方がやったの?」

霊夢が不機嫌そうに俺に尋ねる。

「心外な…俺は異変を解決しただけのことだ。」

まあ萃香を倒したしコマンドにも異変が解決したって表示されたし大丈夫だろ。

「異変?どこに異変があったのよ?」

「じきにわかる…」

俺は片付けをし始め、食べ物を生ゴミ用の袋に入れて土に還した…

 

「勇姿、ヘルプミー!」

…フウが俺の前に現れると萃香も現れた。

「天魔ぁっ…よくも騙したな?」

萃香がジリジリとフウを追い詰め、俺を盾にした。

「嘘じゃないって!私と戦った時は少なくとも互角だった…ね?そうでしょ?」

俺に同意を求め、フウは上目遣いになる…確かに言っていることは間違いではない。

「…まあ少なくとも俺がフウ…天魔とほぼ互角だったのは間違いではない。」

小物っぽいがやむを得ないか…?

「だが俺はもうあの時の俺じゃねえ…いつまでも昔の俺だと思うなよ?」

あれ?本当は「あの時は紫に能力を制限されたからそうなっただけのこと…」と言いたかったのにどうしてそうなった?

「こ…」

こ?

「こいつは良い!はーっはっはっは!!!」

萃香が壊れた…

「確かにそれなら嘘はついていない!勇姿…今度地底に来いよ!そこに鬼がいるから歓迎してやる!」

「地底って…まあそこに行く用があれば行こう。…とりあえず今日は飲め。」

「おう!」

萃香に酒を注ぐとフウが近づき、俺の隣に座った。

「勇姿、妖怪の山も顔パスで通れるようにしたからいつでも来て大丈夫だよ。」

「すまんな。」

 

それから霊夢達に事情を説明し、異変を解決したことを伝えた。

「じゃあ、勇姿さんは初めから気づいていたの?」

「お前が異変も解決せずいきなり宴会をやろうなんていうからな。その時点でおかしいって思ったんだよ。だから俺は徹底的に調べ…今回の異変の首謀者伊吹萃香を倒した。」

最初の宴会は俺を祝う為のもんだし、魅魔と出会ったことから必然に起こる宴会だと思ったしな。

「…つくづく規格外ね。勇姿さんは。」

「それじゃ宴会の続きだ!乾杯!」

「乾杯!!」

こうして今回の異変は解決した…一応18歳(正確には18歳と11ヶ月)だから酒は飲まなかったけどな。

 

ちなみにレミリアの異変が前年の秋あたり…幽々子の異変が今年の春の終盤、そして今回の異変は夏の始めに解決していることになる。残る季節は冬だけだが…なんか冬には起こらない気がする。


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