強面男が幻想入り 作:疾風迅雷の如く
第18話
依頼を終え、数日間の間休暇を取ったはいいが暇になり俺は博麗神社で料理教室の準備をしていた。結局意味なくね?
「ちょっと勇姿さん。ここでやらないでよ。」
霊夢が文句を言って来たので俺は影に霊夢を連れて内緒話をした。
「お前の気持ちもよくわかる…だがなこれはいい機会なんだぞ?」
「いい機会?どこが?」
「博麗神社に来ることで信者が増える可能性がある。」
「へ?」
「お前は美人かそうでないかと言われたらかなり美人だ。お前の顔目当てに来る人間もいる。俺はすでに人里に顔見知りとして知られているから恐れられる心配はねえ…ってどうした?」
霊夢の顔は赤くなり、ボーっとしていた。
「…」
「おい、大丈夫か?」
風邪でもひいたのか?全く霊夢らしくないな…
「えっ!?うん、大丈夫よ…」
「そうか。それじゃ俺の助手を頼む。」
「わかったわ。」
そして料理教室の時間となり…集まったのは人里の主婦達は当然、料理人を目指す男達、何故か銀髪従者コンビの十六夜咲夜と魂魄妖夢が来ていた。
「それでは料理教室を開催します。私の名前はご存知かもしれませんが大和勇姿、この料理教室の先生です。よろしくお願いします。」
「「「よろしくお願いします!」」」
「いい元気ですね。では今日はオムライスを作ります。」
「お、オムライス?」
オムライスの情報は里人の話を盗み聞きして得たが、どれもこれも俺の知っているオムライスとは違いまるでかなり昔のオムライスの様だった。
「おそらくここにいる皆さんはなんでそんなものを…と考えているんでしょうが私の作るオムライスはちょっと違いますよ。」
俺はそう言って霊夢に卵を持って来させ、火をつけ材料を炒め…とにかく調理を始めた。
数分後…
「これが本当のオムライスです!」
ちょこんと卵が乗っているように見えるがこれでいい。何故なら…
「そしてこの卵をナイフで切るとどうなるか御見せしましょう。」
卵を切るとふんわりと半熟の卵がご飯を包み込み、そこにケチャップをかけると見事にオムライスとなった。
「う、美味そう…」
それを見た霊夢達はそう呟いていた。意外だな、この世界じゃ半熟なんて受け入れられないと思っていたんだが…
「これが本当のオムライスです。もちろん技術もあるのでそう簡単には出来ないでしょうが私が教えますのでご安心ください。」
そして人々は俺の指導を受け、半分くらいの人は出来るようになった。一番出来が良かったのは咲夜で次は妖夢だったな。やはり主人が主人だしな。レミリアと幽々子の我儘に対応する為にできたんだろうな。
「それでは今日はこの辺で終わりにします。ありがとうございました。もし要望があればこれからも日にちを伝えて料理教室を開催しますのでよろしくお願いします。気をつけて帰ってくださいね。では解散です!」
人里の人々は最後に博麗神社にお賽銭を入れて帰った…当然といえば当然だ。普段博麗神社に行かない分ここで寄付をしておこうという考えとせっかくここまで来たのに寄付をしないなんてもったいないと考えがある。幻想郷の人々が現代よりも信心深いからこそ尚更効果はあった。
「こんなにお賽銭が…」
霊夢はそれをみて驚き過ぎて呆れていた。俺の依頼の金だけで過ごしてきたし博麗神社に通ってお賽銭を入れる人間なんて正月を除けば魔理沙と咲夜くらいしかいなかったしな…それ以外では人外しか来ないから妖怪神社と呼ばれているらしい。レミリアも通っているんだが俺とは神社で一度も会っていない…どんだけ俺のことが嫌いなんだ?
「勇姿さん。少しお話が…」
レミリアの従者である咲夜に話かけられ俺は少し戸惑った。
「話?」
ちなみに俺と咲夜と妖夢は従者という共通点がある故に仲は良い。その為普通の口調で話している。妖夢は最初こそ怯えていたが主人の幽々子の為に俺と話しかけて常識人だと知り仲良くなった。ただ二人とも敬語で接しているから近々直して貰おうと思う。
「ええ、もしよろしければ私の職場…紅魔館の料理人として働きませんか?給料は出します。」
なるほどな…だけどそれだけじゃダメなんだよ。金は腐るほどあるしな。
「残念だが断る。」
俺が断った理由はコードの習得ができる依頼を少しでも受けたいからだ。それにレミリアが俺が料理していると知ったらどうなる?決まっているだろうに…
「そうですか…では手が空いている時に来てくださいね。」
咲夜は俺が来るとは思っていなかったのかあっさりと引いた。
「そうさせて貰うよ。」
「それでは失礼します。」
咲夜の反応からして俺は歓迎されているんだろうが…咲夜本人が歓迎してレミリアは歓迎していない可能性がある。長い休日が取れた時にでも行くか。
…にしても霧が出てきたな。少々片付けをするには邪魔臭いし、前回の異変を終えてパワーアップしたシステムの力を見せてやる!霧は風が吹いている場所じゃ使えない…となればコードを使って最大瞬間風速32mにして霧を吹き飛ばすのが正解だ!
「きゃっ!?」
霊夢のスカートがめくれたらしく悲鳴が聞こえたが後ろを向いていた俺には関係ない。
「何…?」
しかしまた霧が出てきたのでもう一度吹き飛ばそうとしたがそれは止めてマップを見た…大抵、この場合は人工的にやっているので調べたほうが良い。
ちなみにだが八雲藍と八雲紫を倒した後、めちゃくちゃボーナスを貰ってコードだけでなく、システムそのものもパワーアップしている。当然マップもパワーアップしており検索機能や名前、顔、能力、状態などがわかるようになった。他にもパワーアップした部分はあるがその時に説明する。
そしてマップを使い、敵だと認知した奴がいたのでそいつを早速調べた。
『伊吹萃香
性別 女性
種族 鬼
能力 密と疎を操る程度の能力
状態 霧』
…おいおい見た目は角が生えているだけの幼女じゃねえか。レミリアと同類か?レミリアも吸血鬼という種族の鬼だがこっちのは純粋な鬼か…全く厄介なことだ。
「勇姿さん、宴会の準備をするわよ。」
俺が思考していると霊夢が宴会をすると言って来た…別に今日は料理教室を開いただけで他はほとんどやっていない。
「何故だ?」
霊夢は萃香が何か仕掛けようとしていると気付いていないのか?…だとしたらちょっと面倒だな。
「なんかね…宴会しなきゃいけないと思って…それに勇姿さんはレミリアと仲良くした方が良いと思うわ。」
咲夜といい霊夢といい何でレミリアと俺を仲良くさせたいのかわからない…
「…まあ確かに嫌われるよりかマシだがあいつの方から避けられているしな。あいつの方から歩み寄ってくれなきゃ何一つ出来ない。」
むしろレミリアの反応はまだマシな方だ。八雲紫なんかは完全に俺を敵視している癖に何も対策をしてこない…妖怪の賢者を名乗っている癖にヘタレだなあいつは。
「そういうことで紅魔館によろしくね。勇姿さん。私は他の連中を呼びに行くから!」
霊夢はそう言ってさっさと行ってしまったので俺も紅魔館へと向かうか…前回正攻法で行ってもレミリアには会えなかったし今回は別の方法で行くか。
ババババババ!
「俺は天才だ。」
俺はいつものように踊り、戦闘ヘリを召喚して紅魔館へと向かった。むしろ天災と言われかねないがそんなことはどうでもいい。良いイメージを与えてレミリアとコミュニケーションをとることが大切なんだよ。
「レミリア発見~っ!」
俺はまるで人格が変わったかのようにノリノリでそう言ってレミリアを見つけた。レミリアは屋上で優雅に日傘を咲夜にもたせて紅茶を飲んでいた…
「大和勇姿、これからターゲットに近づく!」
そしてレミリアに近づこうとするが…レミリアはそれに気づき逃げ去ってしまった…
「おいっ!待て!」
俺はお得意の収納でヘリを収納すると今度はジェットパックでレミリアが逃げようとした場所に着地した。
「何のようかしら?」
レミリアは顔を引きつらせて俺に用件を聞きに来た…どんだけ俺が嫌なんだ?とはいえその場で冷静に尋ねたのは良いことだ。
「紅魔館の皆さんにお知らせをするべくここに来ました。博麗神社で宴会を開くことになりましたので是非来てください。」
「そ、それだけ?」
まるでレミリアは小動物のように脅え、俺を見つめていた…可愛らしいなコンチクショウ!はっ!?ロリコンにドSと言われた気がする…
「それとそちらのメイド…咲夜から料理人としてスカウトされたのですが…時間が空いた時に来ますのでよろしくお願いします。では失礼。」
俺はそう告げ、食料調達のために人里へと向かった…