強面男が幻想入り   作:疾風迅雷の如く

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第16話

「貴方が大和勇姿ね…」

のほほんとしていたピンク髪の女性が正座をして巨大な木を見ながら俺に話しかけた…こいつなんか怪しいし、セーブするか。

 

『セーブが終わりました。』

 

「そうです。貴女は?」

「私は西行寺幽々子。この白玉楼を任されている亡霊よ。」

吸血鬼の次は亡霊か?今度は宇宙人とか異世界人とか未来人とかありそうだな…全部人じゃなくて妖怪でもありそうだけど。

「…そうですか。階段であった少女の言っていた方ですね。」

そういえばあの少女の名前を聞き忘れていた。チュートリアルもないので名前は知らない。阿求も外見的な特徴を教えてくれなかったのでわからない。

「彼女はなんて?」

そう言って幽々子は団子を食べる…てか亡霊のくせに団子食えるのか?

「貴様のような悪に幽々子様、白玉楼に一歩も近づけん!…でしたね。私としては春を返してくれれば何も害を与えません。」

まあ俺は異変を解決したいからジェット機を誰もいないところで踊って召喚し、そのまま乗って来たのだが…返さないようならやることは決まっている。なんで踊ったのかというといきなり現れたところを見かけられたら面倒事になるのは違いないからだ。

「ダメ。私はこの西行妖の花を満開にするためにここまで来たんだから。」

なるほどね…そんなことの為に幻想郷の春を奪ったって訳か。

「仕方ない…それじゃ力づくで返して貰う!」

俺は銃を構えた。だが幽々子は笑っていた。

「何がおかしい?」

俺は不審に思い、尋ねると幽々子はクスリと笑い扇子を広げた。

「貴方はもう死んでいるわ…」

幽々子の言葉を発した途端周りを見るとそこには七色の蝶が俺を囲っていた。

「なんだこれは!?」

「これは死の蝶…触れれば即死するわ…さあ死んで私の部下になりなさい。」

幽々子がそう言って蝶を放つと俺にびっしりと少しの隙間もなく襲いかかって来た。ここはファンタジーな世界だからあながち死の蝶がいてもおかしくはない…この状態だと詰んだか?…諦めてたまるかこの野郎!あいつらが…春を、春を持ち帰って来る俺を待っているんだ!

 

俺はギリギリまで距離を離れ、踊り始めた。

「な、なんの踊り?」

幽々子が不気味なものを見る目でそう尋ねるが俺は無視して踊る…そして踊り終わると訳のわからない言葉でブツブツと呟き、コマンドを開いてコードの戦車召喚を押すと…

「えっ!?」

 

ドシャッ!

 

幽々子の上に戦車が現れ、そのまま落ち、幽々子は戦車の下敷きになった…異変を解決したと表示されなかったので倒してないとわかったが確実に妨害は出来たので蝶が乱れ始め、中には消えていくものもあった。結果隙間が生まれたがまだまだ小さいので道具にある陰陽玉を使って魅魔を召喚した。

「…勇姿どうやらピンチみたいだね?」

魅魔が現れ、この状況を把握して弾幕を撃った…銃もなしに撃つなんてやっぱりファンタジーだ。

「そうだ。お前に負担をかけるからあまりお前を呼び出したくはないが緊急時だ。力を貸せ。」

「わかった力を貸してやるよ!離れてな!」

俺はその場から逃げると魅魔が太っいレーザーを放ち蝶は全滅し、戦車に当たる寸前、俺はあるコードを使った。

 

DOGAAAAAANNN!!

 

そのコードとは視界にある車を爆発するコードだ。あのレーザーの威力を抑える為に爆発させた。幽々子は亡霊と言っていることから死んでいることはわかっているから問題はない。むしろあそこで爆発させなければレーザーが戦車を爆発させてもっと酷いことになっていた。もちろん魅魔は気づいているだろうがその時はその時だ…誤魔化せば良い。まあこのやり方は色々と反省点があるしこの経験を生かして次に繋げるか…

 

それはともかく戦車が大爆発して地面が抉れ西行妖の一部が焦げ、西行妖に溜まっていた春が幻想郷に帰っていき異変が『首謀者西行寺幽々子を倒しました。異変が終わりました。』…とにかく異変が終わった。

『妨害者リリーホワイト、妨害者魂魄妖夢を倒したので報酬が追加されました。』

幽々子以外に倒したのってあの銀髪の少女一人だけだよな?もしかしてあの時弾いたのが妨害者だったり…?偶然の賜物だなぁ!これには俺も同情する。

 

同情したのはマル暴の職場体験が終わった時に起こった事件以来だ。俺の顔を傷をつけたマフィアは俺自身の手によってボッコボッコにしたがマフィアの組織は海外だったので本部そのものに影響はなかった。

ナイフの傷跡の件を聞いた雄山(三男で親戚の中では戦闘に関しては俺、婆さんに次いで強い)はその日すぐに出かけ3日程いなくなった。

数日後マフィアの組織に正体不明の幽霊によるナニカの襲撃があり幹部達全員重傷を負うという結果になり日本支部は潰れたと聞いて海外マフィア達に同情した。

 

雄山の顔は普通よりも顔は整っている。…ただし雰囲気は不気味、目が逝っているのでホラー極まりない。どのくらいホラーかというと近所で集会をやっていた族達がいたんだが…夜に俺の顔を見ても逃げず黙り込んだ族達が雄山の顔を見た途端、顔面蒼白にして「出たーっ!!」と言って逃げたくらいだ。その後族達が二度とくることはなかった。雄山が幻想郷に来たら真っ先に退治され…されるイメージがねえ!むしろ暗黙の了解で手を出してはいけない妖怪とかそんな扱いになりそうだ。

 

話しを戻すが雄山はマフィアの日本支部が潰れたその日、やたら金回りが良くなり上機嫌だった…笑うだけでもホラーだから家族以外怖がっていたことは覚えている。

 

「しかし危ない賭けだった…」

幽々子を倒す時に起こした行動はかなり危ない賭けであったことは事実だ。もしもあそこで幽々子が潰れず隙間が生まれなかったら死んでいただろうし、爆発に巻き込まれた可能性も否定出来ない。それに幽々子が亡霊でなければ本当に詰んでいたかもしれない…割とSな方だが殺すことに抵抗はあるしな。

 

『無傷で異変を解決しましたのでボーナスステージに入ります。』

ボーナスステージってなんだそりゃ!?もう異変イベントはたくさんだぞ!

『このステージはextraを倒すステージです。このステージを攻略すればボーナスがさらに入ります。』

…マジでか?そういえば前回の異変はフランがextraなのに気づかずにレミリア諸共纏めて倒したこともあったが、これはこれでいいかもしれない。やる気が出てきたぜ…

 

早速マップを見ると後ろから赤い点があるな…メニューを解除して一気に前に出るか。

「っ!」

その不意打ちをしようとした人物から舌打ちの音が聞こえた。

「不意打ちとは中々やるな。」

俺は素直に褒め、後ろを振り返るとそこにいたのは実際年齢40代半ばだというのに何人もの男性を魅惑しそうな魔性の金髪女性がいた…こういうのは怖いね。本当。

「貴方が言っても嫌味にしか聞こえませんわ。」

どっかで聞いたことのある声だな?…ダメだ思い出せん。

「さて、お名前は?」

俺は名前を聞いて思い出そうとしていた…当然だな。目で見てわからないなら名前を聞いて思い出すのは鉄則だ。

「八雲紫と申します。以後お見知りを。」

阿求の言っていた八雲紫はこいつか…どっかで聞いたことのある声なんだがな…まあいい幽々子も倒したことだしセーブだ!

 

『セーブが終わりました。』

 

「さて貴方好みの1対2の対戦方法といきましょうか。」

俺は1対2の対戦はほとんどない。一番マトモにやったのはレミリアとフランのタッグくらいのものでそれ以外は全然やっていない。だからそれを指摘してやろうとしたが…もう一人を出す様子がなかったのでそっちを指摘した。

「…もう一人は?」

「もういますからご安心なさいな。」

マップを確認すると俺の左斜め後ろに赤い点があったので回し蹴りをして対処した。

「!?」

そいつは吹っ飛び、紫がキャッチする…よくよくみると狐のような尻尾を9本生やしており、信じられないと言わんばかりに驚いていた。

「紫様、こいつ…かなり強いです。」

強いって…言われてもな。頭脳派の奴らはそれすらも利用するからな。ゲームの話しだが裕司なんかは強行突破して来た相手をハメ技でボコボコにするからな。俺もその手でやられた。

「ね?だからあの侵入者を放っておいてまでここに来させた理由がわかったでしょう?藍…」

侵入者?多分霊夢達だろうが一応この二人から聞く必要があるな…

「さて、大和勇姿さん。貴方が幻想郷にいる価値があるのか私の手で確かめてもらいますわ。」

いきなり紫がシリアスな顔で俺にそう言った。

「判定はどうあれ出して貰いたいものだ。今の時代どいつもこいつも役立たずだしな。」

体力テストで満点だして、それに加えてその種目が全国で何位かはっきりしないもんな…一桁だとは思うが。

「ご心配なく。判定は出してあげますよ。」

「そうか。なら安心してやれる。」

まあなんにしてもextraが二人もいるんだ…ボーナスはたっぷりともらうぜ!


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