強面男が幻想入り   作:疾風迅雷の如く

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妖々夢編
第14話


異変からしばらくして依頼をこなしている毎日を過ごし、5月となった。しかし何故か毎日、日本海側の県…とまでは行かずとも山部地方の冬のように大雪だ。俺は関東平野…それも太平洋側に住んでいた為この天気に耐えられない…

当然俺はコードで4月から大雪から晴れにしていた。結果雪は溶けたが異常に気温が低く、まだ冬のような寒さだった…

「迷惑な話だ…」

おかげで妖怪退治するときも寒い思いしなきゃいけないし、気温上昇のコードもないからどうしようもない。

 

「なんだこれは?」

依頼を終えた俺は桜の花びららしき物を見つけそれを拾った。これはあり得ないことである。この幻想郷…それも俺が見回った中では冬桜は見かけなかった。冬桜はその名の通り冬の間に咲く桜のことで、春には咲かないという一般人からしてみれば奇妙な桜だ。ちなみに春に咲く十月桜も冬桜の中に入ると言われているが春に咲くので俺はそう呼んでいないし、幻想郷にはなかったので省略させてもらう。

…何でこんなことを知っているかって?親戚一同と共に冬桜の花見に行かされ、そのうんちくをダラダラと聞かされて覚えてしまった…という訳だ。

 

『異変が起きました。すぐに解決しましょう。』

…って遅えよ!!コマンド!

 

「冬桜の場所?」

俺は早速、冬桜の場所を探すことにした。その冬桜の場所付近に今回の首謀者がいる可能性が高い。

宴会で美鈴から聞いた話だがレミリアも自分達が行動しやすいようにあの赤い霧を発生させたらしく意外にも自分勝手な理由で異変を引き起こした。

となれば今回首謀者は冬桜がある場所の付近に住んでおり、それを毎日見続けたいとかそんな理由で今回の異変を引き起こしたと俺は考えた。

「そうです。何かわかりませんか?」

現在俺がいるのは花屋であり花屋なら桜の情報があると踏んだからだ。

「冬桜ねぇ…冬桜、冬桜…ないね。でも多分冬桜の場所を知っている妖怪なら知っていますよ。」

「誰ですか?」

「風見幽香。通称フラワーマスターの妖怪です。」

「風見幽香…」

「彼女はここの常連なので少し待っていれば来ますよ。」

「では待ちますがよろしい…」

 

ガチャ…ギィィ…

 

俺の言葉を遮るかのように入って来たのは顔は上の上…髪は緑色に染まっており、服装は長いロングスカートに、ワイシャツに赤いベストを着た女性だった。この幻想郷の奴らってどうしてコスプレじみた服装が好きなんだ?こいつはまだマシだが霊夢とかになると酷いからな…

「店主、そちらは?」

その女性は俺の方を見て良い意味で笑い、店主に尋ねた。

「彼は冬桜を見たいというんでここに尋ねてきたんですが…幽香さんご存知ありませんか?」

なるほどこいつが風見幽香…

「冬桜ね…もしかしてこの花びらの元を尋ねているの?」

幽香がそう言って取り出したのはまさしく俺が拾った冬桜の花びらだった。

「やっぱり…これはよく似ているけど冬桜の花びらじゃないのよ。これは春度よ。」

「春度?」

「春度は春の元よ。これが幻想郷になきゃ永遠に春は来ない…つまりどういうことかわかるわね?」

「これが幻想郷からなくなっているから気温は低いまま…春も訪れないということでしょうか?」

「その通り。本来春が来ないなら大雪になっておかしくないんだけど…どうも最近は晴れ続きでそれは防がれたみたいね。」

俺の天気変更コードのおかげだ…俺の天気変更コードを使わなきゃ大雪に見舞われて大変な思いをしなきゃなんなかっただろうな。

「でもこれを盗んでいる犯人まではわからないわ。そこは自分で探しなさいな。」

少なくとも幽香のセリフからして幻想郷の住民ではないことは確かだ。それじゃ手当たりしだいに探すしかないか?

 

いやいやマップを見て赤い点を見つければいいだけの話じゃねえか。そう思ってマップを開くと黄色の点こそあったが赤い点が表示されていなかった。

「なんだと…!?」

俺はそれに驚いたがよくよく考えたらそれは幻想郷内のマップだったので幻想郷外にいたら意味がないということになる…マップ機能がここまで無能なのは初めてだが仕方ない。前回も天気コードで解決しようとして失敗に終わったんだ。このくらいのことは想定範囲内だ。逆に言えば幻想郷とその場所から出入り出来る奴が犯人だと思っていい。博麗の巫女こと霊夢曰くそんな奴らは限られてくるので特定するのは簡単だ。

 

人里の阿礼邸…だったけか?確かそこに行って調べてみたところ幻想郷以外の人外がいたことがわかった。

だがその肝心の本は貸し出しをしており調査を諦めたところ、当主の阿求が詳しく教えてくれたのでとりあえず幻想郷から出入りするのが簡単な冥界白玉楼に行くことにした。

とはいえジェットパックで冥界に行くにはかなり時間がかかる…そこで俺は考えた。

 

ギュゥゥゥン…!

 

「俺は天才だ。」

俺はコードでジェット機を出して操縦していた。操作方法はジェット機の中にあった説明書に書いてあったのでわかった。

「春でゲフゥッ!」

…今なんか弾いたか?まあ弾いたとしてもここは幻想郷。空を飛んで妖精を弾いてはいけないというルールはない…多分。そして最高速度に達した瞬間…

 

ガンッ!

 

「ぐぇっ!?…なんだ!?」

空中…ではないな。何か訳のわからない空間で何もない場所でジェット機がぶつかり、そんな音がした。

「緊急脱出!」

もたもたしていると爆発するので俺は急いで緊急脱出ボタンを押した。

 

しかし何も起こらなかった!

 

何~っ!?このままじゃ…死ぬ!

「ちょこざいな…!」

ここで体力回復のコードを使ってジェット機を回復させる。前に一度俺の車の中でやってみたら新品のようになっていたので体力回復は車も回復すると推測した。結果ジェット機はぶっ壊れる前に戻ったがついた火までは消せずそのまま炎上し始めた。今度は緊急脱出が出来るはず!ポチッとなぁぁぁっ!

 

ボンッ!

 

そして俺は見事脱出に成功し、ジェットパックのコードを使って飛んだ。ちなみに炎上したジェット機の末路は…DOGAN!と一発爆発してガラスが割れる音と共に短い寿命を終えた。ありがとうジェット機!6日くらいはお前のことは忘れないぞ!

…などとおふざけはここまでにして階段のところに一旦降り、マップを確認するとマップが冥界のマップになっていた。

「どうやら今回の首謀者はここにいるようだな。」

マップを見ると赤い点が幾つかあり、俺は最も近い点の方向へと向かった。


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