強面男が幻想入り 作:疾風迅雷の如く
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「だからお姉様っ!なんで妨害するの!?」
私はこの姉、レミリア・スカーレットに猛抗議していた。その理由は単純…こいつが異変を手伝わせないからだ。姉をこいつ呼ばわりするのはどうかと思うがこいつのやり方は一々荒っぽい。しかも本人にその自覚はなく「スカーレット家なる者は優雅に。」などとほざきやがるのだ。それが私のストレスの元となり、毎日が続いた。そして次第にストレスが溜まり私は発狂しざるを得なかった…その結果495年もの間幽閉されることになった。
「これは異変なのよ。貴方が出る幕じゃない…」
こんなことを言っているがだいぶ霧は荒々しくなりコントロールもままならなくなって私はこっそりと霧を出した。
「ぶーっ!お姉様のケチ!」
このセリフは私本来の人格ではない。私は…
バンっ!
などと考えているとメッチャ怖そうなおっさん…ではなく魔王が私の前に現れた…この愚姉もビビっている!
「さて…異変を起こしたのは誰ですか?」
「私よ。」
レミリアはこう言っているがかなり足がガタガタ震えているし目が涙目…どんだけビビりなのよ…そりゃこの男が恐怖の大魔王と同じような顔をしているとは言えビビりすぎ…でもないね。ごめんチビったわお姉様。
「そうか…では邪魔者から消えて貰います。」
「あははっ!私と遊んでくれるの?」
私は狂気に呑まれたフリをして笑った。そうでもなきゃチビったことを誤魔化せないから!
「こらフラン!私の獲物に手を出すんじゃないの!」
だから涙目になってもね…?いくら紅魔館の当主の面子を保つとは言えそんなにビビっていちゃ面子もクソもないよ…
「私は二人ともかかってきても構いませんよ。もっとも二人とも私に敵う訳がありませんがね。」
この言葉一言一言に重みがあって決してハッタリではないと私の本能が言っている…恐ろしい。しかも実力差が自覚出来るからこそ私は怯えた。
「このレミリア・スカーレットをバカにしているの?」
馬鹿レミリアはあまりの実力差に気づいていないのかこの男にそういった…ここまで来たら止むを得ない!
「お姉様!私達の力を見せよっ!」
私はごく普通の状態に戻りそう言い放った。
「そうだな。私達の力を見くびってもらって困る…月がこんなにも紅いから…殺すわよ?」
…出たそのセリフ。私はそのセリフを聞いて呆れたがそうも言ってられない。
「アハハハ!オジサン壊れないでね?」
オジサン…などと私はよくほざけるものね。もうヤケだから?
「壊れるのはお前達の異変だ。」
「上手いこと言ったつもり?」
「いや。それはない。」
「スピア・ザ・グングニル!」
レミリアの必殺技スピア・ザ・グングニル…この技で仕留められなかった奴は未だかつていないらしい。それもそのはず。レミリアの能力は運命を操る程度の能力。目標に確実に当たるように運命を操作しているから仕留められなかったということはない。だがこの男はそれを両手で掴んだ。
「なっ…私のグングニルを掴んだ?!」
私もそれに驚いたよ…グングニルの対策は色々あるがそれを阻止した例は一度もない。私もやろうとしたが無理だった。私の破壊する程度の能力で運命を破壊しようともその前にグングニルが当たり負ける…
「よっ!」
そして男は一瞬でレミリアに迫り、槍を縦に振ってレミリアの頭を振動させた。
「グオオォォ…」
我が愚姉は頭を抱え、座り、次第にうーうー言いながら涙目になっていった
「お姉様の仇ィィ!」
後ろから私がそう言ってレーヴァテインを振り、確実に仕留めたと思った矢先に…
「チェスト!」
などと言ってそいつは持っていた槍を私に投げ、対処した。
「グエッ!?」
結果グングニルが私の腹に入り、くの字になって咳き込んだ。
「これで終わりだ!」
そして私は意識を失った…
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私は魔理沙と戦っていたがこの館で唯一とも言える人間のメイドが駆けつけているのをみて中断して追いかけていた。
「うー☆」
などと可愛らしい声が聞こえたのでその部屋に向かうと…
「お嬢さ…ブハッ!?」
メイドが鼻血を大量に出してぶっ倒れた音が聞こえ私達は急いでその部屋に駆けつけた。
「おいおい…」
勇姿さんの声が聞こえる…?何故そんなに速くここに着いたの?という疑問はあったが取り敢えず私達はドアを開けた。
「全く…嫌になるぜ。まさか霊夢と戦うことになるなんて…」
「本当よ…なんであんたと戦わなくちゃいけないのよ。」
魔理沙と私が部屋の中に入り、勇姿さんと目があった。
「どうした?二人とも…」
勇姿さんは私達の様子を見てそういった。
「いや霊夢がな、首謀者を倒すのは私だ!って意地張って私と戦うことになったんだよ。」
ちょっと!違うでしょ!?
「私に突っかかって来たはあんたの方でしょ?」
魔理沙は図書館の主人を倒すと地下に誰もいなかったので私に突っかかってきた…迷惑な話しよね。
「何おう!」
「またやられたいの!?」
私がそういった瞬間勇姿さんはため息を吐いた。
「二人ともよせ…もう異変は解決し終わっているんだ。今更どうこう言ったところでどうしようもないだろ?」
その通り、異変は既に終わっていた。勇姿さんが終わらせたのだろう…
「う…確かに。」
「それもそうね…」
私は勇姿さんの前でくだらないことで喧嘩していたことに赤面した。
「それじゃ俺は宴会の準備をしておくから先に帰るぞ。」
勇姿さんはそう言って博麗神社に帰った。
~博麗神社~
「参った…」
勇姿さんが弱音を吐いていた…らしくないわね。
「どうしたのよ?」
「いや、俺の顔を見たレミリア…今回の首謀者がな?怖がっているんだよ。俺が近寄れば涙目になって逃げるし、だからと言って遠ざける訳にもいかないしどうしようもないんだよ。」
涙目って…ああ、確かに10歳児くらいにしか見えないけど蝙蝠っぽい翼も生えているし強い妖怪であることは間違いないわね。それを装飾品に見える程勇姿さんが強面なのが原因だけど…
「とはいえ所詮俺は博麗の代行だ。俺が無理に行っても筋違いだし、面倒だ…料理を作ってくる。」
勇姿さん…少し寂しそうね。