強面男が幻想入り   作:疾風迅雷の如く

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もうクリスマスの日になってしまいましたね…


第10話

俺はいつものように妖怪退治をし終わり、神社に帰ろうとすると赤い雲が幻想郷を覆った。

「おいおい…なんだこりゃ?」

俺は思わずそう呟いた。赤い雲なんてものは元の世界にはなかったし、何しろ妖怪や魔法使いなどなど生物に関する機会はあっても無生物と触れ合う機会はなかった…

 

『異変が発生しました。』

どこからともなく声が聞こえ、イベントが発生したことを教えてくれた。…仕事早いな。

『異変は首謀者を倒すことにより、解決します。首謀者の位置はマップの紫の点の位置にいます。移動する際に、妨害を受けることが数多くありますので妨害を受けたらその妨害者を倒して進みましょう。』

何気にずいぶん物騒なことを言うな…

『なお、異変の際に銃弾を撃つことは出来ません。弾幕のみで対処してください。』

それなら大丈夫だ。どんな時でも非殺傷の弾幕にしているし。

『それでは異変の首謀者の所に向かってください。』

 

マップを見ると結構遠いな…湖もあるから多分大丈夫だろう。

そういえば最近コードの中身見ていなかったな…見てみるか。

 

コード一覧

・体力、防具全回復

・オート武器セット1

・オート武器セット2

・オート武器セット3

・戦車召喚

・戦闘ジェット機召喚

・戦闘ヘリ召喚

・スポーツカー召喚

・ジェットパック装備

・車が空を飛ぶ

・水上で車が走れるようになる

・視界に入っている乗り物爆発する

・気候変更(快晴、晴れ、曇り、雨、雷雨、大雪、砂嵐の順に変更可能)

 

なんだこのチートは…てか異変解決なら気候変更使えばいいじゃん。

「ん?変わらないな…」

使ってみたはいいが全く変わらなかった。

そしてその後何回か試したが途中雨になったり雷雨、大雪、砂嵐と続いたことからコード自体に問題はないと判断した。

「なるほど…あの雲は首謀者が倒さないといけないということか。」

ジェットパックのコードを入れ…それに使って首謀者の元へと向かった。なんで戦車とか乗り物を使わないかだと?もし使ったら面倒事になるからな。

 

「待ちなさい!」

湖の上を通ると青髪にやや緑がかったリボンをつけ、青と白のワンピースを着た幼女が現れた。

「何のご用ですか?」

「あんたこのチルノ様に無断で湖の上を通っているの?」

話を合わせたほうが良さそうだな…

「許可を得る為に探したんですがいないから無断で通った…それだけのことです。」

「ここはあたいの縄張りよ!ここを通るには私の許可が必要!無許可で私の縄張りに入ってきたからには覚悟は出来ているんでしょうね!?」

「覚悟ならこの幻想郷に来た時からしていますよ。」

 

『チルノが妨害して来ました。妖怪退治の要領で銃の弾幕でチルノを倒しましょう。』

弾幕で倒しましょうってことは次はおそらく格闘戦が待っているってことか…

「くらいなさい!パーフェクトフリーズ!」

そんなことを考えているとチルノが弾幕を出してきた…

『妨害者や首謀者達は特有の技を持っています。その技は特殊な動きをするので注意しましょう…』

なるほど…ここが妖怪退治とは違うところだな。妖怪退治の妖怪に技はないが妨害者や首謀者にはあるってことか。

「しかしまあ…相当雑だな。」

俺はFPSゲームの裕二の動きをみているせいかチルノの技が相当雑だと思わざるを得なかった。ちなみに裕二の戦う相手はほとんど世界ランク1桁の奴らなので比べる相手が悪いとしか言えないけど…

「終わりだ。」

俺はそう言ってrifleを手にしてチルノの頭に放った。

「⑨~」

チルノは頭を回し、ヒヨコが飛んでいた。

『妨害者を倒しましたのでボーナスが入りました。ボーナスは異変解決すれば手に入ります。』

ボーナスね…ボーナスか…そういえば雄大はどうしているだろうか?今頃会社経営者として頑張っているんだろうな。

「さて…行くか。」

とにかく俺はこの場を後にした。

 

そしてだんだん首謀者の元に近づくにつれて悪趣味全開の紅い館が見えた…親戚どもでもこんな趣味悪くないぞ…

「zzz…」

この門の前で寝ている赤髪の女性はどうする?マップから見ても首謀者はこの館にいるのは確かだし、おそらく首謀者の部下…妨害者となる可能性が高い。

「…」

不意打ちしたら俺の人間性が疑われるし起こしてやるか?マップで敵かどうか確かめるか…ん?黄色い点が近づいて来るな。

 

「勇姿さん!」

そう言って現れたのは霊夢だった。

「霊夢か…」

「妖怪退治はどうしたの?」

「一応終わった。ただな…こんな天気じゃ霊夢の負担になるだろうと思ってな…文句を言いに来たんだよ。」

全く…こんな天気だと洗濯物干しもまともに出来やしねえ…

「偶然ね…私も異変の首謀者に用があるの。さ、行きましょう。」

そう言って霊夢は門を飛び越えて行った。

「そうだな。」

俺も自力でジャンプしてバカデカい門を飛び越えようとしたが…

「っ!」

下から殺気を浴び、飛び越えることは止めた。

「何の真似だ…?」

その殺気を向けた奴…先ほどまで寝ていた門番が俺を睨みつけていた。

「貴方をお嬢様の所には行かせません!」

おいおい…どんだけ俺の顔って恐れられているんだ?めっちゃ睨んでいるし…

「…ならば貴方を倒せば良いだけのこと。霊夢!先行ってくれ!」

そこにはすでに霊夢の姿はなく言った俺がバカみたいだった…

 

『紅美鈴が現れました。今回は弾幕ではなく格闘戦でねじ伏せましょう。』

メインコマンドからそう聞こえてきたので銃は収納した。にしてもやっぱりか…よりによって武闘家タイプの妨害者をチュートリアルの相手にするなんて聞いたことないぜ…

兎にも角にも、俺はメインコマンドを開き、セーブを行った。

「覚悟っ!」

そして美鈴が気合を入れ、雰囲気を更に変えた。

 

しかし美鈴の構えは俺の師匠であり父方の祖母である婆さんを思い出すな。

婆さんは69歳という年齢なのに関わらずむちゃくちゃ元気で数年前に亡くなった父の父の父…つまり曽祖父の遺産相続の時に大暴れして車に轢かれても軽傷済む親戚一同を全治半年の大怪我をさせて黙らせたというエピソードがある。

とはいえ流石の彼女も年齢には勝てず俺に土をつけられるようになってしまったがそれでも親戚一同を大怪我をさせる程度には強いので油断は出来ない…

何が言いたいかと言うとおそらく美鈴は全盛期の婆さんクラスの強さを持っているはずだ。

 

「…」

しかし俺を警戒しているのか全く動こうとはせず、ただ構えていた。そして俺はあえて攻撃を誘うように身体の動きを見せた。

「っ!」

そして美鈴は動いてようやく戦闘らしい戦闘は始まった。

「よっ!」

俺は婆さん対策と同様に無駄な力を使うことなくむしろ相手の力を吸い取るかのような戦い方に切り替えた。本来の戦闘スタイルは力尽くで行くタイプなのだが初見となれば別だ。

特に美鈴のような婆さんに似たタイプはそうしなければ勝つのは厳しい。力尽くでも勝てなくはないがそれで婆さん相手に出来たのはつい最近のことだ。

 

「っ!」

美鈴はしてやられたかのような顔をして腕を引っ込めようとするが俺に腕を握られてしまいそれを解こうとするが逆にその力を利用して美鈴を投げた。

 

ドンッ!!

 

地面が少々陥没したがこれは俺の純粋な力ではなく美鈴の力と俺の力を合わせた結果そうなった。どれだけ美鈴の力が強いかよくわかる。

「ガハッ…!」

美鈴は自分の力を利用され、血を吐いた。

「立て、紅美鈴。その程度で終わるのか?」

俺は挑発していた。今まで婆さんを相手に戦って来たからなんかイマイチ物足りない気がしていた。

「何故私の名前を…!?」

美鈴が驚いた顔をして立ち上がり俺を睨む…

「さあな。聞きたければこの勝負に勝つことだ。」

教えたとしても信じられる訳がないし、とりあえずそう言っておいた。


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