僕の心が染まる時   作:トマトしるこ

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鬱展開になってます?



002 時は巡り、幕が上がる。

 

「今日からよろしくお願いします」

「そんなにかしこまらなくてもいいよー」

 

 あの後、僕は束さんのラボ“吾輩は猫である(名前はまだない)”に招かれた。家を失い、家族を失った僕の居場所はどこにもなく、必然的にお手伝いをする束さんの住居を借りることになる。挨拶は当然だと言えた。

 

「さて、まずはここに座ってちょ。先に話しておくことがあるから、聞きたいことだってあるでしょ?」

「はい」

 

 細かな部品で散らかっている部屋をかき分けながら進む束さんにふわふわとついて行く。足はまだ筋力が足りないし、歩く練習もしていないので当分はこのISを借りることになりそうだ。ちなみにこれ、本当に浮くだけである。飛べないし走れない。まぁ、僕には十分なんだけど。

 

 ルンバみたいなロボットがお茶を持ってきてくれたので、ありがたく頂く。うん、苦い。甘いお茶って無いのかな?

 

「そんなことを考える君はまさにこちら側だと言えるね。さて、まずはお手伝いの内容を教えておこうか」

「このブレスレット『ISの卵』を孵化させること、ですよね。あとは困った時のお助け要員とか」

「そうそう。どうやって孵化させるのか、それについて教えておこうか」

 

 取り出したのは紙芝居。絵が壊滅的だけど分からないレベルじゃない。きっと興味が無いだけだと思う。設計図とかデッサンは得意そう。

 

 一枚目は鶏だった。

 

「一般的に言う“卵”ってどんな意味かな?」

「えっと……鳥とか爬虫類の子供が生まれる前の状態とか? あとは食べ物とか」

「世間を知らない君にしては合格ゴウカク、間違いじゃないよ。難しく言うなら、殻の堅い受精卵かな? どうでもいいや、ここで言う卵は前者の方だってことは分かってね」

「はい」

「生まれるためにはどうするのかな?」

「えっと……人肌ぐらいの温度で冷えないようにして、割れないように孵るのを待つ?」

「それは鳥の卵の場合だね。まぁ私も詳しくは無いんだけど!」

 

 一枚目をポイと捨てて、二枚目が現れる。今度は卵だ。因みに鳥。

 

「『ISの卵』の場合は、常に装着すること。これは絶対条件。お風呂の時でも、手術の時でも外しちゃダメ。何か言われたら小型の生命維持装置ですって言えば大丈夫だから」

「外しませんよ。歩くためですから」

「まあそうだね。身体をいい状態まで持って行く、尚且つ卵の孵化の為。一石二鳥とはこの事だね! ……あれ、縁起わるい?」

「さぁ?」

 

 束さんが二枚目を裏から弄っていると、絵の卵にヒビが入り始めた。芸が細かい。

 

「次に孵す方法だけど、これはキミの感情をエサにするのだ」

「感情? というと僕は感情が希薄になっていくんですか?」

「人間もそうだけど、人格を作るのは自分じゃなくて他人さ。周りとの違いが人格を作りだす。『ISの卵』の場合は、主に装着者のキミの感情や思考、参考程度に周りの人物を元にしてコア人格を作り上げていくってわけ。エサって言葉通りに捉えなくてもいいよ」

「僕が感じたことや思ったこと等がそのまま『卵』の経験値になる、と」

「おうおう、わかってるじゃねぇか兄ちゃんよー」

 

 いきなり絵の中の卵がパカッと割れた。中から出てきたのはヒヨコ……じゃなくてISだった。鶏からISって……。

 

「いつ孵るのかだけど、こればっかりは流石の束さんもわかんないなぁ。全てはキミ次第ってこと。どれだけのことを感じて、思って、学んで、『卵』に蓄積されるかによる。だから、色んな事に興味を持ってたっくさん悩むのだ! どうせ、キミからすれば何もかもがエキサイティングだろうけどね」

「………はい」

「怖い?」

「………正直言うと、かなり」

「ふーん」

「えぇー…………」

 

 自分から振っておいてそれですか。そこは励ますところですよ!

 

「とりあえず、冬までは基本的な知識を身につけてもらおうかな。どこに行っても恥ずかしくない程度、今まで病室から出たことないんです程度の中間ぐらい」

「それ今のままでいいんじゃ……」

「そうかな? ……それじゃあ、家事を覚えてもらおうかな! はい、お掃除お料理お洗濯、頑張ってー!」

 

 エコーを響かせながら束さんは奥の方へ去って行った。

 

 ……………掃除しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕が拾われてから二ヶ月ぐらい経った。

 

 ここの生活や、雑用にも慣れてきた。まだまだISは必要だけど、出来ることは昔に比べて格段に増えたはず。散らかした物をどこへ収納するのか、束さんはどんな料理が好きなのか、女性下着への耐性等々、昔では考えられないほど動いている。余裕が出来てきたので、歩けるようになる為の筋力トレーニングや、ISの勉強、美味しい料理の作り方とか、自分の時間を上手く使えるようになってきた。ただいまのマイブームはお菓子作り。

 

「ぬあーーっ!」

「うわぁっ!」

 

 ドカーンという音を立てながら束さんが奥の部屋……研究室から出てきた。

 

「ど、どうしたんですか?」

「話しかけないで。苛立ってるから」

「す、すいません」

 

 珍しく怒っていた。たとえ研究が行き詰っても、友達からアイアンクローをされても怒ることは無い。ということは……

 

「また?」

「はい、またです」

 

 僕は一緒に出てきた女の子に聞いてみた。

 

 束さんがくーちゃんと呼ぶ少女。クロエ・クロニクル。謎が多い子で、僕がお世話になる前からずっと束さんと一緒らしい。人見知りが激しいところがあったので、最近ようやく仲良くなってきた。僕もくーちゃんと呼んでいる。

 

 また、というのは束さんが嫌っていることの事だ。口にすると更に怒ってしまうので具体的には言わない。

 

 束さんはISをとても大事にしている。今では軍事目的価値を見出されて兵器扱いされているが、それでも我が子のように思っている。だからこそ研究には熱が入って部屋から出てこないことはザラだし、宇宙進出の為の計画を練っている。

 

 そんな束さんを怒らせる出来事。それは、ISを用いた非人道的実験のことだ。

 

 女性にしか扱えないが為に、世の男性の地位は地に落ちた。女性保護法なんてものまで出来あがっており、すれ違った男性に片づけをさせたり、驕らせたりする人がいるらしい。アホか、と思うが至って真面目、実際に起きている。

 

 地位挽回を計った一部の男性が目指すもの、それは“男でもISが使えるようになる”だ。従来の兵器ではISを倒すことは不可能。でも男性では扱えない。なら男でも使えるようにすればいいじゃない! 無いなら作っちゃえの発想である。

 

 勿論普通にさわっても、手足を装甲に通してもウンともスンとも言わない。そこで行われたのが人体実験の数々だ。染色体をいじくり回したり、去勢したり、ホルモンバランスを崩したり、薬品投与だったり、ISに女性だと誤認識させる方向で進んでいる。上手くいくかどうかは知らないが、今の所成功者はゼロ。つまり、被験者はただの犠牲者に成り、それは日に日に増えて行くばかり。束さんはISを穢されたと怒鳴り散らしていた。そんな研究者達はもうこの世にはいない。

 

 今日もそんな組織を見つけたんだろう。

 

「どうしようか?」

「束様の好きな料理を作りましょう」

「それが妥当だよね……」

 

 沈める方法はただ1つ。待つだけ。少しでも怒りを和らげるため、静めるために出来ることは殆どないのだ。

 

「じゃあ…………………………はいこれ、書いてあるのを買ってきてくれないかな?」

「かしこまりました。あとでケーキを焼いてくださいね」

「材料を買ってきたらね」

「お金を多めに持って行くことにしましょう」

 

 束さんが好きな料理の材料をメモに書いてくーちゃんに渡す。僕はまだ自力で歩けないからラボの外に出られないので、代わりにくーちゃんに必要なものを買ってきてもらっている。銀髪にオッドアイという目立つ格好ではなく、ウィッグとカラコンをつけてだが。好物を作ってもらえると知ったくーちゃんはルンルン顔で外に出た。

 

 家事系統は僕が、束さんのケアとサポート、買い物はくーちゃんが。“吾輩は猫である”の役割分担はきっちりとしている。

 

 今日も平常運転だ。

 

 

 

 

 

 

 日が落ちた夜。すっかり通常モードに戻った束さんは元気に焼き魚をつついていた。

 

「んーっ! 美味しーーー! はっくんはホントにお料理上手だね。いいお嫁さんになれるよっ!」

「ありがとうございます。あとお嫁さんにはなれません」

「いっつあじょーく、だってだってなんだもーん♪」

 

 酔っていませんか? いいえ、ハイテンションなだけなんです。

 

「束さんは和食がホントに好きですよね。てっきり洋食好きかと前は思ってました」

「嫌いじゃないしふつーに好きだよ、洋食。ウチは実家が剣術道場でね、家も歴史もそれなりにあるとこでさー、日本文化を大事にしてたんだ。それの影響かな? 箒ちゃんが和食大好きだったこともあるだろうけど。というかそれしかないねっ!」

「妹さん、お元気ですか?」

「どうだろ? 会ってないからわかんなーい」

「家族は大事にしなきゃだめですよ」

「分かってる」

 

 そこだけ真剣に答える束さんであった。僕という例がある以上、家族の大切さはよく分かっていると思う。束さんは身近な人しか興味が無いけど、いつかはそうじゃなくて沢山の人と関わりを持ってほしいと僕は思ってる。こんなにもいい人なんだから、もっと知ってもらいたい。

 

「それはそうとはっくん。『卵』の調子はどうだい?」

「貰った時よりは情報を蓄えてるみたいです。でも、予想値の1%も溜まってはいませんね」

「やっぱり、ここのような閉鎖的な場所ではあまり期待できないのでしょうか?」

「仕方ないと言えば仕方ないね。場所や人、はっくんがしていることが違うだけで、病室と大差がないもん。やっぱり、色んな人との交流や刺激的な体験が必要かな」

「それをする以前に、僕の身体に問題がありますからね……」

「まずは銀さんの身体を鍛えてからにしましょう。外にすら出られないのは、『卵』の有無に関わらず精神的にもよろしくないでしょうから」

「うんうん。いやぁー、くーちゃんはいい子に育ってくれたねぇ。束さん感動♪」

「きゅー」

 

 喜んだ束さんが、くーちゃんの身体を抱きしめてぐりぐり撫でまわしている。くーちゃんは迷惑だけど嫌じゃないらしく、とりあえず無表情でよろこんでますアピールをしていた。見た目からして小動物だよね。

 

「んー? もしかしてはっくんもナデナデしてほしいのかな?」

「うえ?」

 

 束さんがナデナデ。想像しただけで顔が真っ赤になりそうだ。鼻血出るかも。

 

 結構……どころかかなりの美人だし、童顔だから可愛いし、出てるところは凄い出てるし、引き締まってる。世界でもこんなに綺麗な人はそうそういない。そんな人が密着してきたらと思うと……

 

「うりうり~」

 

 そうそう、多分こんな感じで……って!

 

「や、止めてくださいって! 食事中ですよ!」

「おや、恥ずかしいのかな? じゃあもっとしてあげよう! むぎゅー」

「うひゃっ!」

「あははははーー! うひゃっ、だってさー! はっくん可愛いねぇ~」

「あわわわわわわわ」

 

 やわらかい塊が、甘い香りが、吐息がっ!

 

「はっくん、感想をどうぞ」

「や、やわらかい、です……」

「うんうん、正直な子は大好きだよ。お礼にもっとしてあげよう!」

「~~~~~!?」

 

 この日、僕は次の日起きるまでショートしていた。

 

 ………柔らかかったなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 秋。大分肌寒くなってきた。

 

 もうISが無くても歩けるようになった。最初は生まれた小鹿のように立つこともできなかったけど、練習の成果がはっきりとでたようで、今ではしっかりと歩ける。走ることはまだ無理なので、次は走れるようになることを目指して筋トレを続けている。

 

 そして家事スキルは更にアップ。近所の専業主婦にだって負けはしない。きっといいおばちゃん話ができることだろう。「換気扇の汚れが最近酷くって……」「家もなんですよ~」。………嬉しいんだけど嫌だなぁ、それ。

 

 コンコン。

 

「!?」

 

 棚を拭く手を止めて、玄関を見る。今、誰かがノックをした。

 

 このラボは移動できるようになっていて、どこか一定の場所にとどまることはあまりない。短くて1日、長くて1週間だ。束さんが現在のISコア数467以上を生産することを拒否しているため、絶賛全国指名手配中である。実はこの“吾輩は猫である”、各地に別荘を持たずに逃げられる万能住居だったのだ! 合体や変形はしない。多分。

 

 そんな背景もあるので訪れる人は1人も居ない。玄関を開けるのは僕とくーちゃんが殆どで、束さんはあまり出ない。そのくーちゃんは今は部屋だし、僕はこうして掃除をしている。束さんは引きこもっているので、必然的に外から誰かが来たのだ。

 

 僕自身に戦う力は無い。一応、前に使っていたISを借りたままで、展開すれば一般人よりはまともに動けるが、期待はしていない。できるのは精々束さんとくーちゃんが逃げる時間を稼ぐ程度だ。いつでも大声で2人に気付いてもらえる準備をして、ゆっくりとドアを開けた。

 

 そこにいたのは、スーツを着た女性。一言で言うならクールビューティー。纏う雰囲気は鞘に収まった日本刀。

 

「………どなたでしょうか?」

「織斑千冬という。篠ノ之束の友人で、今日は束に呼ばれて来たのだが――」

「ちーーーちゃーーーーーーん!! へぶっ」

「うるさい」

「うわぁ……」

 

 飛び出してきた束さんは見事にアイアンクローのカウンターをくらって沈黙していた。

 

 織斑千冬。ISにおける世界大会“モンド・グロッソ”の初代総合優勝者。つまり世界最強の称号を持つ“ブリュンヒルデ”その人だった。

 

 

 

 

 

 

「どうぞ」

「ありがとう。………うん、美味い」

「ありがとうございます。束さんは何にします?」

「ちーちゃんと同じの!」

「はい」

 

 同じの……つまりコーヒーをカップに注いで、束さんの前に置く。自分の分も用意して、束さんの隣に座った。

 

「はっくんに紹介するね、ちーちゃんは束さんのお友達なのだー!」

「名無水銀です。さっき聞きましたよ。世界最強の方とお友達ってすごいですね」

「違う違う、束さんのお友達だから、世界最強なのさ。いやね、ちーちゃんがモンド・グロッソで優勝したのは間違いなく実力だよ。でも束さんが言いたいのは……」

「ああ、分かりますよ。なんとなく」

「そういうところが大好き! やっぱりはっくんはそこらの凡人とは大違いだね」

 

 腕を組んで何度も頷く束さん。僕がどう凡人と違うのか、何度も疑問に思ったが教えてくれないので諦めている。きっと独自の考えがあるんだろう。

 

「驚いたな。束が他人に興味を示すとは……」

「どういうことなんですか?」

「そいつは自分の妹と私と私の弟以外はどうでもいいと思うようなヤツでな。無視なんて当たり前、口を開けば毒舌が飛んでいた」

「そうなんですか?」

「そーなんです! だって、相手にする価値が無いじゃん」

 

 ぶいぶいーとか言いながら物騒なことを言う束さんからはとても想像できない。僕にとっては第2の家族で、姉のような人だから考えたくないだけかもしれないけど。

 

「知り合うまでの話を聞いてもいいか? 少し興味が湧いてきた」

「むむっ! いくらちーちゃんでもはっくんはあげないからね! もっと家庭的な女の子じゃないと婿にあげないぞ!」

「すっかりお姉さんだな、その調子で妹にも優しくしてやれ。それで、どうだ?」

 

 躊躇ってしまう。僕にとっても、織斑さんにとっても良い話じゃないだろうから。でも、あんなにワクワクした表情をみると言えませんとか言えないなぁ……。

 

「えっと……僕は生まれつき身体が弱くて、全く動けなかったんです。束さんが偶然病室に訪ねてきて、研究や生活の手伝いをする代わりに、こうして面倒を見てもらっています」

 

 だから誤魔化すことにした。間違いじゃない、でも正解かと言われるとそうでもない。そんな曖昧な答えを返した。きっと束さんのお友達なら察してくれる、はず。

 

「そうか」

 

 にっこりと笑って、それ以上深く聞かれることは無かった。多分、分かってもらえたって事だと思う。

 

「名無水」

「はい?」

「綺麗な簪と髪飾りだな、よく似合っているぞ。右手の指輪もな」

「………ありがとうございます」

 

 男が女性の物を身につけている、これほど気持ち悪いことは無い。それが世の中の考えのようで、ISによって築かれた女尊男卑の風潮は、文字通り男性にとって非常に厳しい。軽く外に出たり、くーちゃんと買い物に行ったりする時、必ず1回は何か言われる。その殆どが「気持ち悪い」「何様のつもり?」「変態」等々、とにかくけなされる。

 

 だから、善意100%の織斑さんの言葉はとても嬉しくて心に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冬。

 

 ただいまの季節、2月を世間では受験シーズンというらしい。各々の進路に向かってひたすら机とノートと参考書とにらめっこをしてきた学生たちの本番が行われる。センター試験は既に終わっているので、残るは私立と公立、国公立。今日もどこかで入試が行われていることだろう。

 

 そんな日でもここは変わらない。義務教育を無視してここで生活している僕には関係のない話だ。そう言えば中学校とかどうなってるんだろう。僕って失踪したことになってるって聞いたけど。くーちゃんも学校行ってないよね。というか束さんと一緒に居る時点で学校行くとか不可能か。

 

「束さん」

「なーにー?」

「晩御飯何がいいですか?」

「うーーん………赤飯に合うのがいいね!」

「何か珍しいことでも? くーちゃんにもアレがきました?」

「くーちゃんならとっくにアレ来てるよ。そうじゃなくて、めでたい日なのさ」

「それちゃんと言ってくださいよ! まったく……。それで、何の日ですか?」

「テレビつけてー」

「?」

 

 わけがわからないが、とりあえずテレビをつける。今は日本に居るので、普通に日本のテレビ番組が映し出された。どうやら特番らしい。テロップには“世界初のIS男性操縦者現る!?”。

 

「コレのことですか?」

「そう。いっくんはちーちゃんの弟でね、実はISを動かせるんだー。理由は聞かないでね? 束さんにもよくわかんないの」

「へー。でも、ウチが赤飯を炊く理由が分かりません」

「決まってるじゃん。いっくんは箒ちゃんと大の仲良しで、箒ちゃんはいっくんが大好きだからさ!」

 

 なるほど、分からん。

 

 束さんの事だから、妹さんが関わっていることなら何でも喜びそうだ。

 

「じゃ、束さんが好きなものにしますね」

「いえーい!」

 

 さて、買い物に行こう。その前に冷蔵庫を見てからか。

 

「あ、そうだ。はっくんはっくん」

「はい?」

「お願いがあるんだけど~?」

「何でしょうか?」

「IS学園に入学してくれないかなぁ? というかもう手続きしちゃった♪」

「は?」

 





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