遊戯王GX 〜伝説の龍を従えし決闘者〜   作:ハクハクモン

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これはひどいーー
とにかくその言葉しか思いつかないくらいに文章がgdってます。
誰か上手く書けるようにしておくれー!

追記ーー
半分以上を書き直し。
ものすっごい難産でした……。長文すぎ笑えない…。


『遊戯王』への介入

「……ん」

 

いつのまにか微睡みに沈んでいた意識を覚醒させると、広く整った部屋にあるベッドで寝ていた。窓から射し込む太陽の光を手で遮りながら部屋を見渡してみると、日本の一軒家にあるような部屋とは明らかに違う、まるで館の一室のような部屋だった。ソファーやテレビがあること、窓から街が一望できるかとからどこかのホテルかと考えた。

 

「本当に『遊戯王』の世界に来たってのか…?」

 

頭をかきながらもう一度室内を見渡すと、いきなりドアが開きサングラスをかけたスーツの男が入ってきた。男はこっちを見て驚いたのかその場で足を止めた。

 

「!」

「どうかしましたカー?」

 

男の後ろから聞こえた声は、遊戯王シリーズの中でも特徴的な忘れもしないあの声だった。その声の主がスーツの男の後ろから現れる。

 

「オー、目が覚めたようデスネー」

「ペ、ペガサス・J・クロフォード…?」

 

ペガサス・J・クロフォードーーー遊戯王の世界においてデュエルモンスターズの産みの親であり、かつて千年アイテムのひとつである『千年眼』を所持していた人物だ。また本人も『トゥーン』デッキを操る強力なデュエリストでもある。

 

「私の名を知っているトハ、私達はどこかで会ったことがあるのでしょうカ?」

 

ペガサスはきょとんとした表情で首を傾げた。しまった。驚いてついペガサスの名を呟いてしまった。

 

「あーいや、これが初対面…です」

「そうですカ。では私の名はどこかで聞いたことがある、ということなのでショウ。ではボーイ、ユーの名を教えてくだサーイ」

 

次元をひとつ跨いだ向こう側の世界の住人と話している事実に、緊張と興奮からか心臓の鼓動が速まり口が震える。

 

「亀崎…賢司です」

「亀崎ボーイというのですネ。では亀崎ボーイ。ユーにいくつか質問をさせてくだサーイ」

 

ペガサスに勧められて部屋にあるテーブルを挟んで椅子に座ると、まっすぐと俺の目を見据えてくる。『千年眼』を所持していた、と先程言ったがもし決闘王国以前の時期ならば、もしかしたら俺の心は見透かされているのかもしれない。例え持っていなくてもそのまま見透かされているんじゃないか、と思うくらいにペガサスの視線は鋭かった。

 

「まず、ユーは何者ですカ?」

「何者って言われても…ただの一般人としか言えないんですが……」

「デハ質問を変えまショウ。ユーはどこから来たのですカ?」

「それは……」

 

ペガサスの次々の質問に、視線を泳がせながら曖昧な答えを返していく。別世界から来ました、なんて言っても信じてもらえるわけがないからな……。

 

「ン〜、ではこの質問ならどうでしょうカ。ーーあなたはデュエリストですネ?」

「!!」

 

新たな質問を聞いて視線を上げると、ペガサスは確信めいた表情をしていた。

 

「…なんで分かったんですか?」

 

そう聞くとペガサスの横に控えていた男が、持っていたものをテーブルに置いていく。それは俺のデッキが入っている四つの黒いデッキホルダーと、ジュラルミンケースを思わせるカードケースだった。

 

「ユーの持ち物デース。念の為全てこちらで確認させていただきマシタ。怪しい物は何ひとつありませんでしたガ、ひとつ気になることがありマース」

 

そう言うとペガサスはデッキから三枚のカードを抜いて提示してきた。

 

「このモンスターはあの海馬ボーイ、そして遊戯ボーイの祖父しか持っていない筈。ユーはどうやってこれらのカードを手に入れたのデスカ?」

 

ペガサスが提示してきたのはデッキに入っていた三枚の『青眼の白龍』だった。ペガサスはさっきまでの友好的な表情から嫌疑的な目つきでこっちを見ていた。

 

「…その三枚の内二枚は買いつけて、内一枚は友人から貰い受けたものです」

「『青眼の白龍』はとても子供が買えるような代物ではありマセーン。コピーカードではないのデスカ?」

 

真実を話したところで、常識の違うこの世界では理解されないのは予想できていた。

しかしだからと言って引き下がる訳にもいかない。特に一枚の『青眼の白龍』に関しては、自分がデュエルモンスターズを始めるきっかけとなったカードなのだ。コピーカード扱いされるのは甚だ心外である。

 

「…コピーカードではありません。ちゃんと販売されていた物です。もっとも、こっちでは証明できるものはありませんけど」

 

俺の言葉にペガサスは眉をピクリと動かした。ペガサスが何か引っかかるものでも感じたのかもしれないが、俺にはそれを気にかける余裕はなかった。ペガサスは両手を挙げて、やれやれといったジェスチャーをとった。

 

「フゥム…困りましたネ。先程言ったようにユーのカードを調べはしましたガ、確かにコピーカードではありませんデシタ。しかし我が社が作った『ブルーアイズ』は未だ四枚ダケ…。いったいどこから現れたのか、私としては非常に気になるのデース」

 

ペガサスは再度俺の目を見据える。

俺は次に繋げる言葉を頭の中で探していた。しかしどれもペガサスを納得させるには、決定的な言葉ではなかった。思考を巡らせれば巡らせるほど、俺の内心は焦りを帯びていく。

いつの間にか室内の空気は重くなり、静寂が耳に響くのが聞こえていた。

 

「……そのカードは、この世界で作られたものじゃない」

「…?」

「いや、そのカードだけじゃない。俺が持っているカードも全て、元いた世界で作られたものなんだ。だからその『ブルーアイズ』も、この世界ではなく俺がいた世界にあったものだ」

 

俺の言葉にペガサスは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。目の前にある自分の会社が作っている物と全く同じに見えるカードが、実は別世界の物だと言われれば呆気にとられるのも無理はない気もする。

少し間を置いて、ペガサスはこちらの真意を確かめるように目を細めた。

 

「私をからかっているのデスカ…?」

「この雰囲気で相手をからかえる程、楽天的ではありません。こっちは真面目に、本当のことを言っているだけです」

 

俺はペガサスの目をまっすぐ見返す。

俺は何ひとつ嘘は言っていない。だがこれ以上はもう説明のしようがない。あとはペガサスの判断次第だ。

 

互いの視線が交わる時間は刻々と過ぎていく。

ペガサスの横に控えている男も、いつでも動けるようにと身構えている。

 

 

そんな緊張の張り詰めた雰囲気を破ったのは、俺達がいるこの部屋のドアが開く音だった。

 

「失礼しますペガサス様」

 

入室した男に自分を含めた三人の視線が集中する。

 

「ペガサス様。海馬様がお見えになられていますが」

「海馬ボーイが?随分急デスネ。いったい何故でしょうカ?」

「いえ、それがーー」

 

男が言い切る前に、その後ろから男を押しのけるように新たな男が現れた。白の袖なしコートに威圧的な佇まい…。男ーー海馬はこちらに目もくれずペガサスへと一直線に歩いていく。

 

「久しぶりだなペガサス」

「海馬ボーイ。このいきなりの来訪はいったいどういうことデース?」

「ふん、俺の直感が告げているのだ。貴様のところで俺に関わる『何か』が起きる、とな」

 

海馬はペガサスの元まで歩くと、初めてテーブルに置かれている三枚の『青眼の白龍』に気がついた。

 

「これは…『青眼の白龍』!ペガサス…貴様、これはどういうことだ!?まさか、新たに作り始めたのか!?」

 

ペガサスに鬼気迫る気迫で詰め寄る海馬。ペガサスは両手で壁を作りながら「どうどう」と言って海馬を宥めようとしているが、その壁も虚しく突破されようとしていた。

 

「お、落ち着いてくだサイ海馬ボーイ。これらのカードは、そこにいるボーイの持ち物なのデース…!」

「何!?」

 

海馬の意識がこっちに向けられた。その視線は物理的に人を貫けるのではないかと、思ってしまうくらいに鋭い。

 

「…この三枚の『青眼の白龍』が、貴様の物だというのは本当か?」

「海馬社長が疑う気持ちは分かりますが、その三枚は正真正銘自分のものです」

 

俺が答えると、海馬はあからさまに人を見下すように姿勢を変えた。

 

「ふぅん…だがこの俺を前にして『青眼の白龍』のコピーカードを晒け出すどころか、悪びれもせんとはな。貴様…今俺がどんな気持ちでいるかが分かるか…?」

 

海馬の目は、怒りの炎が強く燃え上がるかのように吊り上っていた。己の命とも言うべきカードが見ず知らずの人間の手に、コピーカードとして渡っていると認識している海馬の胸中は想像に難くない。それほどまでに、海馬は『青眼の白龍』を愛しているのだ。

 

海馬と『青眼の白龍』の因縁については、アニメやら原作を見たからある程度は知っている。

五千年前のエジプトーー当時のファラオに仕えていた神官セトは、町で迫害に遭っていた一人の女と出会った。その女は知らずの内に『白き竜』ーーのちに『青眼の白龍』と銘打たれる魔物(カー)をその身に宿していたのだ。

女はセトと少しずつではありながらも仲を深めていったが、別のある男がその魔物を利用しようと画策ーー殺されてしまった。

しかし彼女の想いはその魔物と共にセトのそばにーーそして五千年後のこの世界では、『青眼の白龍』となって海馬の元へと渡るというあまりにも深い繋がりがあるのだ。

 

「例えコピーカードであろうと俺以外の人間が『青眼の白龍』を使うのは我慢ならん…!貴様如きが所有するなど、天が許してもこの俺が許さん!」

 

だからといって、他者に「『青眼の白龍(それ)』を持つな」と言っていい理由にはならないがーー。

 

「持つ持たないは個人の自由…。海馬(あんた)に五千年前から続く繋がりがあろうとなかろうと、俺にとって『青眼の白龍』はデュエルモンスターズを始めるきっかけとなったカードだ。人に言われて『はいそうですか』と手放すほど、そのカードへの想い入れは浅くない…!」

 

海馬の相手を見下す高圧的な視線を、まっすぐに見据えながら言い返す。海馬は「ふぅん…」と鼻で笑うと、再度口を開いた。

 

「まるで自分にも、『青眼の白龍』との繋がりがあると言っているようだな」

「あんた程じゃないが、俺も『青眼の白龍』と共に戦い続けてきたんだ。少なからず繋がりはあると思うんだが?」

 

互いの間に沈黙が流れ、耳をつんざく静寂が部屋を支配した。海馬は高圧的な佇まいを崩さずに俺を睨みつけ、俺も負けじと睨み返す。ペガサスは事の成り行きをただ静かに見守ってはいるが、万が一にも騒ぎが起きる事を考えていつでも部下を呼べるようにしていた。

 

「面白い…。ならばその繋がりとやらを見せてもらおうか」

「海馬ボーイ、いったい何をするつもりですカ?」

「決まっているだろうペガサス。こいつの言う繋がりとやらを見るのに最適な方法ーーそれはデュエルしかあるまい」

 

海馬の言葉に俺は驚いた。武藤遊戯のライバルであり、『青眼の白龍』を代名詞とするあの海馬瀬人がデュエルをしろと言っているのだ。

 

「貴様もデュエリストならば、デュエルでその繋がりとやらを見せてみるがいい。無論、負けようものなら貴様の『青眼の白龍』は俺の手で処分してやるがな」

 

海馬は己の勝利を疑わない絶対的な自信を持って、デュエルに誘ってくる。

自分以外が『青眼の白龍』を使うのを許さないのは、海馬の性格から伺うことはできた。実際に『青眼の白龍』は『社長の嫁』なんて言われるくらいに海馬のイメージとして定着もしている。

だがテーブルに置かれている『青眼の白龍』は『俺』のものだ。絶対に渡すわけにはいかない。かといって逃げようとすれば取り押さえられて、下手すれば他のカードも取り上げられてしまう。デュエルを受けて負ければ自分の起源となるカードが奪われてしまう。

自分の手元に残し続けるにはーーデュエルで勝つしかない

 

「どうした、俺とデュエルするのが怖いのか…?ふん、貴様の『青眼の白龍』に対する想いなど、所詮その程度だということか。とんだ腰抜けだな」

「ッ…!」

「ふぅん…好き放題言われて悔しいか。ならば俺をデュエルで負かしてみせるがいい。…ここでは些か手狭だな。場所を変えるぞ、ついて来い」

 

部屋を出て行く海馬の後を、デッキのひとつと『青眼の白龍』三枚を手に取り追っていく。ペガサスは部下に何かしらの指示を出しているみたいだが、部屋を出た俺の耳にはほとんど聞こえなかった。

 

 

ーーーーーー

 

 

I2社屋上ーー。

雲ひとつない晴天に輝く太陽がだだっ広い屋上にあるヘリポートを照らしている。社内では分かりにくかったが、どうやら今の季節は秋に入り始めているらしく吹き込む風は少し乾燥していた。そんななか、海馬は俺がデュエルディスクの機能を確かめ終わるのを、腕を組みながら待っていた。ペガサスは部下と共にヘリポートから少し離れたところでこちらの様子を見守っている。

 

「そろそろ始めるぞ。これでも予定が詰まっているからな」

 

あらかた機能を確かめ終わるのと同時に、海馬が急かしてくる。俺は自分のデッキホルダーからデッキを取り出すと、デュエルディスクにデッキをセットし起動する。海馬もバトルシティ時代のデュエルディスクにデッキをセットして起動させた。ちなみに自分が着けているのも同じ物だ。

 

「負ける訳にはいかない…!」

「ふん…貴様如き凡骨がこの俺に勝とうなど、百万年早いわ!!」

「「デュエル!!」」

 

海馬 LP 4000

VS

賢司 LP 4000

 

 

デュエルが始まり屋上を緊迫した雰囲気が支配する。

片やカードを守る為ーー。

片やカードを奪う為ーー。

海馬とそのデッキから、俺という獲物を踏み潰さんという巨龍の如きプレッシャーを感じられる。だが狩られる獲物だって、無抵抗にやられる訳じゃない。彼らのように最後の最後まで抵抗を続けて、必ず『青眼の白龍』を守り抜いてみせる…!

 

「先攻は俺が貰う!ドロー!」

 

先攻を宣言した海馬がデッキからカードを引く。ドローしたカードを見て、海馬は鼻で笑うと手札からモンスターカードをデュエルディスクにセットした。

 

「『ブラッド・ヴォルス』を攻撃表示で召喚!」

 

デュエルディスクに内蔵されているソリッド・ビジョンシステムによって海馬の場に、凶悪そうな風貌の獣人が現れた。

 

ブラッド・ヴォルス

ATK 1900

 

「さらにリバースカードを一枚セットし、ターンエンドだ!さぁ、貴様のデュエルを見せてもらおうか…!」

 

海馬の最初のターンは、アニメとさほど変わっていることはなかった。この点から恐らく海馬のデッキは、バトルシティ編かKCグランプリ編以降のものだと推測できる。もしカードプールが当時のままであるならば、こっちの勝利もある程度は見込める筈だ。

 

「俺のターン、ドロー!『アレキサンドライドラゴン』を攻撃表示で召喚!」

 

アレキサンドライドラゴン

ATK 2000

 

ソリッド・ビジョンシステムによって、宝石の鱗を持った細身のドラゴンが俺の場に召喚される。そのリアリティは、モンスターが現実に現れたのかと思わず信じてしまいそうなほど、見事に立体化されていた。

 

「おぉ…!これがソリッド・ビジョンシステムかぁ…!」

「フフ…まるで目新しい物を見つけた子供のようデース」

 

俺がソリッド・ビジョンシステムに感嘆の声を漏らしていると、それを見ていたペガサスは苦笑していた。

 

「どうした!さっさとデュエルを続行しろ!」

「っと、そうだった。『アレキサンドライドラゴン』で『ブラッド・ヴォルス』に攻撃!」

 

攻撃宣言を受けた『アレキサンドライドラゴン』のブレスによって、『ブラッド・ヴォルス』は吹き飛ばされて破壊された。海馬はブレスの余波をものともせずに立っている。

 

海馬 LP 4000 → 3900

 

「…ふぅん」

「カードを一枚伏せてターンエンド!」

 

海馬 LP 3900

手札;4

モンスター;0

魔法・罠;1

 

賢司 LP 4000

手札;4

モンスター;1

魔法・罠;1

 

(フム…まずは様子見デスカ。悪くはありませんガ、そのように消極的では海馬ボーイに勝つことはできまセーン…)

 

ターンが一巡し、ペガサスは亀崎のプレイングへの意見を自らの心の中で呟いていた。

海馬のデッキは、『青眼の白龍』を筆頭とした攻撃力の高いモンスターで構築されたパワーデッキである。ターンが経てば経つほどより強いモンスターが現れてしまうため、一度不利になってしまうと挽回するのが難しくなっていく。

故にパワーデッキを相手にする場合には攻撃を封じるか、短期決戦を挑むしかない。

 

(亀崎ボーイ…。海馬ボーイと同じく『青眼の白龍』を持つデュエリストであるユーが、どのような戦いをするのか私に見せてくだサーイ)

「俺のターン、ドロー!」

 

ペガサスの思惑を知る由もなく、海馬はデュエルを続ける。海馬は引いたカードを見ると、鼻で笑い不敵な笑みを向けてきた。

 

「俺は『正義の味方 カイバーマン』を召喚!」

 

正義の味方 カイバーマン

ATK 200

 

海馬の場に現れたモンスターは、『青眼の白龍』の頭を模したヘルメットを被った海馬と言っていいほどに威圧的な佇まいをしていた。しかしこのモンスター、何故守備力の方が高いのだろうか、長年の疑問である…。

 

「そのモンスターは…!」

「ほう、このモンスターを知っているか。そうだ、このモンスターを生贄に捧げることで、俺は手札から『青眼の白龍』を呼び出すことができるのだ!」

 

俺は海馬の言葉に息を飲んだ。まさか海馬の初手に『青眼の白龍』が来ていたとは思わなかった…。しかも先に召喚されるとは…!

 

「『正義の味方 カイバーマン』を生贄に捧げ、現れよ、我が忠実なるしもべ!『青眼の白龍』!!」

 

『カイバーマン』が光の粒子に飲み込まれるのと同時に突然の風がフィールドを覆い始め、やがて光の粒子の中から一体の龍が姿を現した。光沢のあるそのボディは青みを帯びた白で統一され、澄んだ青い瞳は敵であるこちらを見据えている。龍の咆哮による空気の振動は、俺の戦意を削るのではなくむしろより高揚させていた。

 

青眼の白龍(海馬)

ATK 3000

 

「『青眼の白龍』の美しさを前にして言葉も出んか。ならば今度はその強さを見せてやろう!『青眼の白龍』で貴様のモンスターを攻撃!滅びの爆裂疾風弾!!」

 

『青眼の白龍』の口に高エネルギーが集中し、ブレスとなって『アレキサンドライドラゴン』に放たれる。俺のモンスターは跡形もなく消し飛ばされ、その余波は激しいものだった。

 

賢司 LP 4000 → 3000

 

「どうだ。『青眼の白龍』の攻撃、その身に響いただろう?この俺が貴様に遅れをとることなど断じてあり得ん!俺はこれでターンエンドだ!」

「俺のターン、ドロー!魔法カード『竜の霊廟』を発動!デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地に送る!この時に捨てたのが通常モンスターだった場合、さらにもう1体のドラゴン族モンスターを墓地に送ることができる!」

 

『竜の霊廟』の効果により、俺はデッキから『青眼の白龍』と『エクリプス・ワイバーン』を墓地に送る。

 

「自ら『青眼の白龍』を墓地に送るだと!?」

「墓地に送った『エクリプス・ワイバーン』の効果発動!このカードが墓地に送られた時、デッキからレベル7以上の光属性、または闇属性のドラゴン族モンスターを一体除外する!『青眼の白龍』を除外!」

「墓地へ送るだけでなく除外もするだと…!貴様、『青眼の白龍』をそのように扱うとはどういうつもりだ!!」

 

どうやら海馬には今のプレイが納得がいかないらしく、語気を荒げている。

 

「こういうつもりだ!魔法カード『死者蘇生』を発動!今墓地に送った『青眼の白龍』を特殊召喚!」

 

墓地に送られたドラゴンが俺の場に召喚される。その姿は海馬の場に存在する『青眼の白龍』と遜色のない、生き写しかのようだった。

 

青眼の白龍(亀崎)

ATK 3000

 

「なるほど、墓地から復活させるためにデッキから直接墓地に送った訳か…。だが互いの『青眼の白龍』の攻撃力は互角。このままでは相打ちになるだけだぞ」

 

海馬の言う通り互いのモンスターの攻撃力は同じ3000。なら、引き分けにならないようにすればいい…!

その考えに俺が僅かに口角を上げると、海馬は訝しげな表情を見せた。

 

「『青眼の白龍』であんたの『青眼の白龍』を攻撃!」

 

『青眼の白龍』が海馬のモンスターに放つブレスのエネルギーを大きく開けた口に集約され始める。海馬が微動だにせずに成り行きを見守るなか、俺は伏せられていたカードを発動した。

 

「そして永続罠『竜魂の城』を発動!墓地のドラゴン族モンスターを1枚除外することでーー」

 

デュエルディスクの墓地スペースから吐き出された『エクリプス・ワイバーン』を、ズボンのポケットに丁寧にしまい込む。

 

「モンスター1体の攻撃力を700ポイントアップさせる!」

 

青眼の白龍(亀崎)

ATK 3000 → 3700

 

(やはり攻撃力を上げてきたか…!)

「『エクリプス・ワイバーン』が墓地から除外されたことにより、このカードの効果で除外した『青眼の白龍』を手札に加える。一度でいいから思いっきり言ってみたかったんだよなぁ…!いけ『青眼の白龍』!滅びの爆裂疾風弾!」

 

集約されたエネルギーをブレスとして、海馬のモンスターに放つ『青眼の白龍』。しかしその攻撃は、あと少しというところで海馬の場に伏せられていたカードに阻まれてしまう。

 

「リバースカードオープン、『攻撃の無力化』!貴様の『青眼の白龍』の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる!」

「クソッ、防がれたか…」

「甘いぞ!その程度の小細工で、俺の『青眼の白龍』を倒せると思うな!『青眼の白龍』との繋がりを証明するというのなら、貴様の全力を持ってかかって来るがいい!!」

 

海馬の言葉に俺は、表面上では若干顔を険しくしていたが内心ではまだいくらか落ち着いていた。

伏せられていたのが攻撃を防ぐカードであることは予測ができていたものの、それを破壊する手段がなかったので攻撃するしかなかったのだが。

 

「『ガード・オブ・フレムベル』を召喚。そして手札から『馬の骨の対価』と『トレード・イン』を発動。場の『ガード・オブ・フレムベル』と手札の『青眼の白龍』を墓地に送り、デッキから合計4枚をドローしてターンエンド」

 

青眼の白龍(亀崎)

ATK 3700 → 3000

 

 

海馬 LP 3900

手札;3

モンスター;1

魔法・罠;0

 

 

賢司 LP 3000

手札;4

モンスター;1

魔法・罠;1

 

 

ターンが二巡した現状、ライフは海馬がーーフィールドは賢司がアドバンテージを有している。だが俺にとってこの状況は予断を許さない状態でもあった。

俺のライフは3000ーー海馬のメインである『青眼の白龍』の攻撃力も3000…。何が何でもその攻撃を食らう訳にはいかず、文字通り牙が喉に突き立てられようとしているようなものである。

 

(デュエルの流れは海馬ボーイに傾き始めていマース。ですが彼はまだこの状況を何とも思っていないようデスネ。亀崎ボーイ…ユーはここからどうやって勝利を掴みとりますカ…?)

 

ペガサスがデュエルの流れを読み取っていると、部下の一人がやって来てペガサスに耳打ちをする。それを聞いた彼は「分かりましタ」とだけ言って部下を下がらせ、部下に向けていた視線を二人へと戻した。

 

(『彼』ならば亀崎ボーイの持つカードに宿る精霊に真実を聞くことができるハズ…。亀崎ボーイの言ったことが本当なら、私も海馬ボーイも一種の奇跡に遭遇しているのかもしれませんネ)

 

ペガサスの脳裏に一人のある男の姿が浮かぶ。

かつて自分の目的を達成するための最後の障害として立ちはだかり、のちに『決闘王』と呼ばれる全世界のデュエリストの憧れであるあの男には、デュエルモンスターズの声を聞くことができるという特殊な力を持っている。

彼を介して亀崎が持つカードーーそして彼が()()()()()()()()()環境を知りたいというのが、ペガサスの今の目的だった。

 

(亀崎ボーイ……私はデュエルモンスターズの生みの親として、ユーへの興味がふつふつと湧いてきていマース…)

「俺のターン、ドロー!」

 

亀崎への興味を強めていくペガサスを他所に、俺と海馬のデュエルは続く。気のせいかこの場の雰囲気はデュエルが始まった時よりさらに重圧的になり、それを示唆するかのように屋上に吹きつける風も強くなり始めていた。

 

(いきなりヤバい状況だ…。『青眼の白龍』の直接攻撃で即ゲームオーバーになっちまう…!こっからは『青眼の白龍』の攻撃を受けないようにしないとーー)

「貴様、今俺の『青眼の白龍』を恐れたな…?」

 

海馬からの『恐れた』という言葉に息を飲んだ。

恐れるなど当たり前だろう。その攻撃一回で自分のライフを削り切れるモンスターが相手の場にいれば、普通なら如何にして攻撃をやり過ごすか考えるはずである。

 

「ふざけるな!貴様がどのような経緯で『青眼の白龍』を手に入れたかは知らんが、俺と同じく『青眼の白龍』を従える者として相手を恐れるようなことなどあってはならん!相手が如何に強大な存在であろうとそれを喰らい尽くし、己の糧にせんという気概を持たねば俺に勝つことなど不可能だ!」

 

しかし目の前にいる海馬は、そんな当たり前のことを大声で否定する。『勝ちたければ守るのではなく攻めろ』と。

確かにデュエルモンスターズーーゲームに問わずサッカー等のスポーツの対戦においてもただ守るだけでは相手に勝つことはできない。それらにはどこかに必ず攻めに繋がる要因がどこかにあり、相手の僅かな隙を見つけて一気に攻めるーーというのが所謂『攻めの守り』というやつだ。

だが今さっきの俺はただ海馬の『青眼の白龍』の攻撃を、どうやって凌ぐかと精神面で押され気味になっていたのだ。

 

「手札一枚を墓地に送り、魔法カード『ドラゴン・目覚めの旋律』を発動!デッキより攻撃力3000以上・守備力2500以下のドラゴン族を二体まで手札に加える!俺はこの二枚を選択する…!」

 

そう言って海馬はデッキから二枚の『青眼の白龍』を手札に加えた。このタイミングで残り二体を引き寄せたということは…!

 

「さらに手札から魔法カード『融合』を発動!場と手札、三体の『青眼の白龍』を融合させる!究極の姿を見て打ち震えるがいい!『青眼の究極竜』!!」

 

海馬の場と手札の『青眼の白龍』がひとつに混ざり合い、一体の三つ首竜が豪咆をあげて現れた。

 

青眼の究極竜

ATK 4500

 

「牙を剥かず逃げ腰になるような奴に情けはいらん!『青眼の究極竜』!臆病者のモンスターを滅殺しろ!アルティメット・バースト!!」

 

かつて最強の座に君臨していたモンスターのブレスは俺の『青眼の白龍』を軽く消しとばし、その衝撃によってこのデュエルフィールドに突風を発生させる。

 

賢司 LP 3000 → 1500

 

「少しは目が覚めたか!?今貴様の前には、俺という壁が立ちはだかっているのだ!ここで逃げたところで、この俺から逃げたという事実は絶対になくならん!それとも、貴様はそのような不名誉を甘んじて受けるというのか!?」

 

先程から続く海馬の言葉に、俺は内心余計なお世話だ、と悪態をついていた。

海馬が言っているのは事実だ。敵わない、できないからと目の前のことから逃げて壁を作り、ほんの一時の楽に浸る…。それ自体が悪いことではないが、避けて通れない事柄に直面した場合はその限りではない。

どんなに逃げてもそれは、距離が離れるどころかどんどんと縮めてくるのだ。そしてそれが過ぎ去った時、自分に残されるのは『それ』にどんな対応をしたかで大きく変わってくる…。

 

「んなこと言われなくとも分かってるわ!それに、いつ俺が逃げるなんて言った!?」

「口だけならばどうとでも言えるわ!この俺に認められたいならば、このデュエルで勝利を掴みとってみせるがいい!」

「…!」

「海馬君、あまり彼を挑発しちゃダメだよ」

 

憤りを言葉にせずに唸っていると海馬でもペガサスでもない、ましてや俺のものでもない声が聞こえてきた。

屋上に直通しているエレベーターから歩いてきたのは、およそ真似をするのが難しそうな赤・黒・黄のカラフルな髪の青年だった。

 

「Oh、遊戯ボーイ!よく来てくれましタ!」

「遊戯、何故ここに……」

「ワタシが部下に命じてここに来るよう頼んだのデース」

「いつの間に…」

 

初代決闘王として名高い彼ーー武藤遊戯が現れると海馬は驚きを隠せないでいた。自分が知る限りでは、『決闘の儀』以降この二人はこうして顔を合わせる機会が全くなくなったのではないか、と考えている。だからこそ海馬はあのように驚いているんだろう。

実際はどうか知らないが、少なからず俺はあの武藤遊戯を

現実に見られたことが嬉しい。

 

「本当に…あの遊戯なのか…」

「そうだけど、君は僕のことを知ってるの?前にどこかで会ったかな…?」

「いや、遊戯…さんのことは初代決闘王として有名ですから。是非一度会ってみたいと思ってたんです」

 

そうだったのかーーと遊戯は若干照れ臭そうにすると、気をとりなおして俺に語りかけてきた。

 

「と、今は海馬君とのデュエル中だったね。どうしてこんなことになっているのかは分からないけど…デッキを信じて最後まで諦めずにいれば、君のデッキは必ず答えてくれるよ!」

 

遊戯からの声援を受けて、俺は改めてデュエルディスクにセットされた自分のデッキを見る。

それは何の変哲のないカードの束。以前いた世界じゃどれだけカードを信じようと、奇跡が起こることなんてほぼあり得ないーー勝つべくして勝つ、負けるべくして負けるだけだった。

それを思い出すとあとは悪い方へどんどんと考えてしまう。このデュエルは自分の、デュエリストとしてのルーツがかかっているからだ。勝つのが一番の理想だがあの海馬のこと、『究極竜』を倒せたとしても返しのターンで巻き返される可能性も低くない。

ーーとはいえこのまま負けるのも癪だ。

 

 

 

だったらーー。

例え負ける結果になろうとも、最後の最後まで相手に抗ってやればいい。とあるデュエリストも言っていただろう。ライフとデッキが残っている限り、逆転のチャンスはいくらでもあるーーと。

逃げて後悔するより進んで後悔しろーー!

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ーー俺は今までの人生で何度も後悔した。

だけど、『これ』に関しては後悔したくないーー!

デッキは…答えてくれたーー!

 

「『青き眼の乙女』を攻撃表示で召喚!」

 

青き眼の乙女

ATK 0

 

俺の場に、白い長髪の女性が召喚された。そのモンスターを見た俺を除く三人は、それぞれのリアクションをとる。

 

「ついに出ましたネ…。恐らくは彼のデッキの中枢となるカード…」

「っ、あのカード…!」

「貴様…!そのモンスターはいったい何だ!?何故、あの女と瓜二つのカードを持っているのだ!?」

「何でも何も、市場に出回ったから買っただけだが?」

 

特に海馬は信じられないといった驚きようで、俺の返答にも納得できないのか右手で拳を握りしめている。『青眼の白龍』と自分の因縁に関係している『彼女』がモデルになったと前の世界で言われていたからか、海馬も本能でそうだと感じているのかもしれない。

 

「おのれ…!このデュエルを早々に終わらせて、そのカードについて洗いざらい吐いてもらうぞ!」

(この状況…亀崎ボーイにとってはかなり絶望的な筈デース。場にはあのモンスターと罠カード1枚…、そして手札は四枚…。まさか、あのなかに逆転できるカードがあるというのデスカ…!?)

「……」

 

ペガサスの隣で、遊戯は俺の場にいる『青き眼の乙女』を注視していた。

 

(あのモンスター…古代エジプトで見たあの女の人とよく似てる。そういえばあの人には『青眼の白龍』が宿っていた。ということは、もしかして…)

『クリクリ〜』

(分かってるさクリボー。あれが…彼が持つ『精霊のカード』!)

 

「手札から『渾身の一撃』を発動!自分のモンスター1体はこのターンの間だけ戦闘では破壊されず、互いにそのモンスターの戦闘によって受けるダメージは0になる!そして選択したモンスターと戦闘を行った相手モンスターは、ダメージ計算後に破壊される!」

「何!?」

「俺は『青き眼の乙女』を選択!そして、今度は『青き眼の乙女』の効果を発動!カード効果の対象になった時、デッキ・手札・墓地から『青眼の白龍』を特殊召喚する!」

「ホワッツ!?」

「『青眼の白龍』を速攻で呼び出すモンスターだって!?」

 

デッキから最後の『青眼の白龍』を引き抜くと同時に、『青き眼の乙女』が祈りの姿勢をとると彼女から光のオーラが溢れだした。

 

「現れろ!『青眼の白龍』!」

 

青眼の白龍(亀崎)

ATK 3000

 

光のオーラはやがて一体の『青眼の白龍』となり咆哮をあげる。俺のデュエルディスクにセットされたそのカードは、擦れてはいるもののしっかりと読み込んでくれていたことに密かにホッとした。

 

「さらに魔法カード『龍の鏡』を発動!場と墓地から素材となるモンスターを除外することで、ドラゴン族の融合モンスターを特殊召喚する!」

「亀崎ボーイの場と墓地にハ、『青眼の白龍』が三体…」

「まさか彼も、『究極竜』を…!?」

「場と墓地の『青眼の白龍』三体を除外融合!『青眼の究極竜』を融合召喚!!」

 

俺の場に召喚された『究極竜』の姿に、ペガサスと遊戯は

息を呑んでいた。『青眼の究極竜』が相対するこの刹那の光景を誰が想像できただろうか。このようなデュエルはこの先再び見ることはきっと叶わないかもしれないーーと。

一方で、二体の『究極竜』はそれぞれの三つの首が威嚇し合っている。

 

青眼の究極竜(亀崎)

ATK 4500

 

「よし。まずは『渾身の一撃』の効果を得た『青き眼の乙女』で、『青眼の究極竜』を攻撃!」

「くっ…!速攻魔法『融合解除』を発動!『究極竜』を元の姿に分離する…!」

 

青眼の白龍(海馬)×3

DEF 2500

 

「だったら『青き眼の乙女』と『究極竜』で、『青眼の白龍』二体に攻撃!」

 

二体のモンスターによって『青眼の白龍』を破壊され、海馬は屈辱に顔を歪ませる。

 

「おのれ…!この俺を相手にここまでやるとは意外だったが、『青眼の白龍』が一体でも残っているならば俺の勝利が揺らぐことはない!」

「手札から速攻魔法『サイクロン』を発動!『竜魂の城』を破壊!」

 

『サイクロン』から発生した竜巻が『竜魂の城』を貫き破壊する。

 

「どうして自分の罠を…?」

「『竜魂の城』が場から墓地に送られた時、除外されている自分のドラゴン族モンスターを特殊召喚することができる!」

「何だと!?」

「アンビリーバボー…!」

「戻ってこい、『青眼の白龍』!!」

 

青眼の白龍(亀崎)

ATK 3000

 

「『青眼の白龍』で最後の一体を攻撃!滅びの爆裂疾風弾!」

「ぐぅあぁ…!」

 

ついにーー海馬が従える三体の『青眼の白龍』が倒れ、遊戯とペガサスは再び息を呑んだ。海馬瀬人の忠実なる僕である『青眼の白龍』が見ず知らずの人間に破壊される光景を見ることになるとは思わなかったからだ。

 

「『青眼の白龍』ーー粉砕!」

「すごいな…。たった1ターンで海馬君の『青眼の白龍』を全滅させるなんて…」

「モンスターのパワーもそうですガ、カードを組み合わせたコンボもなかなかのモノ。彼のデュエリストとしての腕前も、海馬ボーイに迫るほどで素晴らしいデース!」

「カードを一枚伏せて、ターンエンド」

 

 

海馬 LP 3900

手札;1

モンスター;0

魔法・罠;0

 

賢司 LP 1500

手札;0

モンスター;3

魔法・罠;1

 

 

俺の場に伏せたカードが立体化する。

逆転を喫した俺のターンを終えて海馬を見ると、さっきまで見せていた屈辱を味わっていた顔はすでに成りを潜めていた。

 

「俺のターン、ドロー。貴様……名は?」

「…亀崎だ」

 

いきなり海馬から名を聞かれて少し驚きながら、律儀に答える。

 

「ふぅん…なるほど、繋がり云々を言うだけはある。この俺を相手にここまで奮戦するとはな…。使い方に疑問はあるが『青眼の白龍』の扱いにも慣れているようだ」

「え…?そ、そりゃどうも…」

 

海馬からの唐突の評価に、俺は頭を掻きながら気の無い返事を返す。

 

「だが『青眼の白龍』に関しては、例え天地がひっくり返ろうとも認めることはできん!魔法カード『龍の鏡』を発動!墓地の『青眼の白龍』三体を除外し、『青眼の究極竜』を融合召喚!」

 

青眼の究極竜(海馬)

ATK 4500

 

「俺の『究極竜』で貴様の『青眼の白龍』に攻撃すればライフは尽きる…、覚悟しろ!」

 

海馬の『究極竜』が咆哮する。

この攻撃が通れば敗北が決定してしまうこの状況に否応なく緊張感が走り、俺自身が自然と笑おうとしていることに気づく。

 

「『青眼の究極竜』で、貴様の『青眼の白龍』に攻撃!!伝説にひれ伏せ!アルティメット・バースト!!」

 

『青眼の究極竜』の三つの口に溜められた全てを葬るエネルギーがバチバチと鳴り、『青眼の白龍』に向けて放たれる。はたしてその攻撃が通るのかーーペガサスは息をするのを忘れてその結果を見守り、遊戯は腕を組みながらただ静観している。

『究極竜』の攻撃を前に、俺は伏せカードを発動したーー。

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくださりありがとうございます。
二週間に一回、とはいきませんでした。反省

あくまで個人的な想像なのですが、海馬社長ってGXぐらいだとDMの時みたいにあーだこーだうるさく言うのではなく、静かに重みのある喋り方をするようになっていると思っています。違和感ありまくりだったらごめんなさい。

皆様のご意見・ご指摘・感想をお待ちしています

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