遊戯王GX 〜伝説の龍を従えし決闘者〜   作:ハクハクモン

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どうも、タッグフォース7が発売されると聞いてテンション上がりっぱなしの私です。
歴代キャラが出てくるのは本当に嬉しい限りです。でもゆきのんが出なかったら私は泣いてしまうかもしれない……。

そんな不安を心に留めた初デュエル回、どうぞ。


異形との決闘

全てを塗り潰したかのように何も存在しない文字通り『黒』の空間。いつもなら慣れた場所だが、そこに人ならざる何かが介入して俺に聞いた。

 

汝、決闘ヲ望ムカ?ーーー

 

これに是と返したことによりこいつとのデュエルが始まった。

というか、この状況は十分非現実的だよね

 

 

 

 

「先攻ハ貰ウ……我ノたーん」

 

先攻を宣言すると上空から石版が落ちてきた。やっぱりあれがやつの手札か……!

 

「我ハ『不屈闘士レイレイ』ヲ攻撃表示デ召喚スル」

 

やつの前に並んでいる石版の内一枚が反転し、人間に限りなく近い姿の獣戦士ーーレイレイが飛び出してきた。それはさながら、アニメのようにソリッドビジョンを使っているかのようだ

 

不屈闘士レイレイ

ATK 2300

 

「更二一枚ヲ伏セ、たーんヲ終了スル」

 

一番左の石版がスルリと伏せられた。あれだな、紅蓮の悪魔の僕の時みたいな感じだ。こっちの方が相手と石版のスケールが違うけどな!

 

「俺のターン、ドロー!」

 

久しぶりのデュエルだからか、ドローにも熱が入る。現実じゃ普通に引くだけだから味気ないんだよな。やっぱこう勢いよく引いた方がその気になるってもんだ。

 

引いたカードは『アレキサンドライドラゴン』……手札の他のモンスターでも『レイレイ』を倒すことはできない。ならば……!

 

「モンスターを守備表示でセット!そしてカードを二枚伏せてターンエンドだ!」

 

カードをフィールドに置くと、自分の目の前にスケールのでかくなったカードがそれぞれ現れた。これはあれだな。デュエルリングでやってるような気分だ。自然とテンションが上がってくるな!アニメで見てから、一度はあれでデュエルしてみたいと思ってたんだよな

 

??? LP 4000

石板 : 4

モンスター : 1

魔法・罠 : 1

 

Kenji LP 4000

手札 : 3

モンスター : 1

魔法・罠 : 2

 

「我ノたーん。我ハ『ゴブリン突撃部隊』ヲ召喚」

 

落ちてきた石版がすぐに反転。石版から棍棒などで武装した勇ましいゴブリン達が現れた。ゴブリン達はこちらを油断なく見据えている。

 

ゴブリン突撃部隊

ATK 2300

 

「マズハ『不屈闘士レイレイ』デ攻撃!」

 

仮面竜

DEF 1100

 

レイレイの剛撃がセットされた守備モンスターーー仮面竜を殴り飛ばす。凄え……やっぱり実体化してると迫力がある!

 

「仮面竜の効果発動!戦闘で破壊されて墓地に送られた時、デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスターを特殊召喚できる!続いて現れろ、仮面竜!」

 

吹っ飛ばされた仮面竜から脱皮するかのように新たな仮面竜が現れる。仮面竜はフィールドに降りるとすぐに守備態勢をとった

 

仮面竜

DEF 1100

 

「『ゴブリン突撃部隊』デ攻撃」

 

仮面竜がゴブリンたちにタコ殴りにされる。それはまさに苛められる亀のようだ。数の暴力って恐ろしいな……

 

「仮面竜の効果で三枚目の仮面竜を特殊召喚する!」

 

三体目の仮面竜が特殊召喚された。その顔は前の二体と比べて少しげんなりしている。気のせいだろうか?

 

仮面竜

DEF 1100

 

「『不屈闘士レイレイ』ト『ゴブリン突撃部隊』ハ攻撃シタばとるふぇいず終了時ニ、守備表示ニナル」

 

レイレイとゴブリンたちは、疲れたのか座り込んで休憩したり寝転がったりし始めた。アニメでもそういう描写があったけど、目の当たりにするとすごいシュールだ。ゴブリンの一人なんかさっそく鼻ちょうちん作ってるし……。

 

「カードを伏セてターンヲ終了すル」

 

少しずつだがこの声にも慣れてきた。相手の正体も思い当たるのがいるが、似たのがもう一体いる為に断定ができない。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

だがどちらにしても、短期決戦が望ましいのは変わりない。時間をかければかけるほど、負ける確率が高まってしまうからだ。

 

「魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動!手札のモンスター1体を墓地に送ることで、手札かデッキからレベル1のモンスターを特殊召喚できる!」

 

手札から長年連れ添ったあのモンスターを墓地に送る。少し忍びないが、短期決戦の為だ。どうか分かってほしい。

 

「デッキから、『暴風竜の防人』を特殊召喚!」

 

吹き荒れる風と共に竜に乗った防人が現れた。竜に乗ってるやつは男とも女とも判別がつかない。誰かどっちか教えてくれ

 

暴風竜の防人

ATK 500

 

「更に『アレキサンドライドラゴン』を召喚!」

 

アレキサンドライトの鱗を持った大きなドラゴンが雄叫びを上げながら現れた。

 

アレキサンドライドラゴン

ATK 2000

 

「ホう、数デ攻めルか。だがソれでは凡庸ナ決闘者と何ら変ワラぬ」

「勘違いすんな!こいつらは俺のエースを呼び出す為の、そしてより確実にお前を追い詰める布石だ!俺はレベル4の『アレキサンドライドラゴン』と、レベル3の『仮面竜』に、レベル1の『暴風竜の防人』をチューニング!」

 

上空に飛び上がるアレキサンドライドラゴンと仮面竜、そして暴風竜の防人は緑の円となって二体を潜らせる。次はあの台詞だ。気恥ずかしいがこういった状況じゃなきゃ言う機会なんてないもんな……!

 

4+3+1=8

「王者の鼓動、今ここに列をなす。天地鳴動の力を見るがいい!シンクロ召喚!出でよ、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!!」

 

アニメのように爆炎を切り裂いてレッド・デーモンズ・ドラゴンは現れた!やべえ、アニメより生の方がマジかっけえ!

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン

ATK 3000

 

「シンクロ召喚か……。ダがその一体だケでは我のモンスターは倒セテも、我にダメージは与エられん」

「バトル!『レッド・デーモンズ・ドラゴン』で、『ゴブリン突撃部隊』に攻撃!アブソリュート・パワーフォース!!」

 

ゴブリン突撃部隊

DEF 0

 

魔炎を纏った掌底を叩き込まれたゴブリンたちは蜘蛛の子を散らすように吹っ飛ばされた。

 

「『レッド・デーモンズ・ドラゴン』の効果発動!守備モンスターを戦闘で破壊した時、相手の場の守備表示モンスターを全て破壊する!デモン・メテオ!」

 

効果によってレイレイもなす術なく破壊された。これでやつの場にモンスターはいなくなった!

 

「ここで速攻魔法『銀龍の轟咆』を発動!」

「ヌ…?」

 

相手は発動された速攻魔法を見て、訝しげな声を漏らした

 

「このカードは自分の墓地のドラゴン族通常モンスター1体を選択して特殊召喚することができる!」

「ほう。ナらばアレキサンドライドラゴンを呼び戻すカ」

「いいや。呼び出すのはアレキサンドライドラゴンじゃない。呼び出すのはーーこいつだ!」

 

空間全域に響く轟咆によって蘇ったドラゴン。それはーーー

 

 

 

 

ーーー青い眼を持つ白い龍だった

 

 

青眼の白龍

ATK 3000

 

青眼の白龍ーー『青眼の白龍伝説』に収録されていたそのカードは十数年経った今、端々が擦れてはいるものの輝きは未だ鈍っていない。俺が遊戯王にのめり込んでいくなか、それをずっと見守り続けてくれた大切なカードだ

 

「……それが、汝の『力』か」

 

さっきから言ってる『力』ってなんなんだ?ただ青眼の白龍を召喚しただけなんだが……。

 

「何のことか分からないが、バトル続行だ!『青眼の白龍』で、ダイレクト・アタック!滅びの爆裂疾風弾!」

 

???

LP 4000 → 1000

 

青眼の白龍の強力なブレスをまともに受けたにも関わらず、相手は全く微動だにしなかった。あんな馬鹿でかい図体相手でも少しくらい怯んでくれてもいいのになぁ

 

「ターンエンド…!」

 

??? LP 1000

石板 : 3

モンスター : 0

魔法・罠 : 2

 

Kenji LP 4000

手札 : 1

モンスター : 2

魔法・罠 : 1

 

 

俺の場には『レッド・デーモンズ・ドラゴン』と『青眼の白龍』。対して相手の場には伏せカードのみ。余程のことがない限りは反撃はされないと思うが……。

 

 

 

 

「我のターン。…………」

 

新たな石板が降ってきた途端、空間がミシリ…と軋んだような気がした。まるで、途轍もない何かが相手の手に渡ったかのようなーーー

 

「汝の『力』、見せてもらった。我も『力』を見せてやろう」

 

このパターン……まさかの逆転展開か!?いつの間にフラグを立てたんだ俺!?

 

「我は『ラーの使徒』を召喚!」

 

ラーの使徒

ATK 1100

 

相手の場にラーの翼神竜を模した装飾を身につけた男が召喚された。ってことは……!

 

「『ラーの使徒』の効果により、手札・デッキから同じモンスターを2体特殊召喚する!」

 

空間が少しずつ重くなっていく。やばい、「あいつ」が来る!

 

「更に『血の代償』を発動、500のライフコストを払い『ラーの使徒』三体をリリースしてーーー」

 

??? LP 1000 → 500

 

ーーー我自身を召喚する!!」

 

空間を支配する黒と同化していた相手がついにその姿を現した。その姿は見上げんばかりの青の巨体、並のモンスターなど簡単に殴り飛ばす屈強な腕とまさに『巨人』そのものだ。その名はーー

 

 

 

オベリスクの巨神兵

ATK 4000

 

「あ〜あ…嫌な予感的中だよ…」

 

デュエルが始まる前からもしかしたら…と思ってたけど、やっぱりオベリスクだったよ。ラビエルだったらどれほど楽だったか!

 

「我自身で『レッド・デーモンズ・ドラゴン』に攻撃する!!砕け散れぃ、ゴッド・ハンド・クラッシャー!!」

 

オベリスクの剛腕がレッド・デーモンズ・ドラゴンに向けて放たれた。その余りにもでかすぎる拳圧は相手から反撃の意志を削ぐには十分なものだ。レッド・デーモンズ・ドラゴンは果敢にも反撃しようとするが、抵抗虚しく打ちのめされてしまった。破壊の余波がまるで暴風のように襲ってくる。吹っ飛ばされそうになるのを踏ん張って何とか耐える

 

Kenji LP 4000 → 3000

 

これが『神』の力かよ…!これを直接受けようもんならーー想像したくねぇ!

 

「まだ終わりではない。手札から速攻魔法『セカンド・インパクト』を発動!これにより、もう一度の攻撃を可能とする!!」

「何!?」

 

もう一回攻撃だと!?それじゃあ『青眼』も……!

 

「オオオオ!!」

 

オベリスクの追撃によって青眼の白龍も打ち砕かれてしまった。くそ!やっぱり神は規格外だ!カードじゃ微妙ではあったが、こんなアニメみたいに衝撃が現実になる状況では、これほど恐ろしいものはない。

 

「『セカンド・インパクト』の効果により、二回目の戦闘によって発生するダメージは倍になる」

 

Kenji LP 3000 → 1000

 

「くっそ……。オリジナルカードとかずりぃじゃないか」

「この程度で喚くな。後になって気力が追いつかんぞ?ターンエンド」

 

悪態のひとつも吐きたくなるもんだ。そういったカードはだいたいぶっ壊れ性能がほとんどなんだからな。『天よりの宝札』とか『命削りの宝札』、カード化する前の『幻魔』シリーズは割と本気で欲しかったぜ…

 

「っていうか『後』ってどういう意味だ…?さっきから言ってる『力』とか。何なんだ!?」

「…………」

 

俺の言葉にオベリスクは答えない。

ただ沈黙の時間がフィールドを包み込む。夢とはいえデュエルの相手になってくれたのは嬉しいが、何も教えてくれないのは夢見心地が悪い。いったい、オベリスクは何を企んでいるのか……

 

 

 

 

 

「まったく…そこは口下手でも説明するべきではないか?オベリスクよ」

「!?」

 

いきなり物理的に押し潰されそうな錯覚を覚えると、目の前にいるオベリスクのものではない声が俺の背後から聞こえてきた。背後に振り返ると、オベリスクにも劣らない二つの巨体が存在していることにようやく気付いた。

ひとつは、長大な身体と二つの口を持つ赤い竜。もうひとつは鳥類を思わせる金色の身体と翼を持つ竜。

 

ーーそう、オシリスの天空竜とラーの翼神竜だ。

 

「ぬう…。ここは我に任せる手筈ではなかったのか?」

 

オベリスクが確認をすると、オシリスが前に躍り出る

 

「お前がヘマ打たないように見張りに来たんだよ、マヌケ。お前は基本無言だから肝心なことを伝えず終いになる可能性があるからな」

 

オシリスの下の口から発せられた台詞が刺々しい。なんというか随分と人間臭い神だ。

 

「だからこの子に説明してあげる為に来ちゃったってワケ。あんたの代わりにやるんだから感謝してよ!」

 

上の口が開いたと思ったら、今度は女っぽい口調でまくし立てた。オシリスってあれか?二重人格とかそういうのなの?二つの口ってそういう意味があったの?

 

「すまぬ、我らを保持する者よ」

 

オシリスの言動に唖然としていると、ラーが並ぶように進み出た。

 

「理由は必ず話そう。その為にも、まずはこのデュエルを進めてもらいたい。ーーできるならば…オベリスクに勝利することを願う」

 

ラーの眼は真っ直ぐ逸れることなく俺の目を射抜いている。俺は不思議とラーの眼から視線を外すことができないでいた。流石は最高神と謳われるだけあって金縛りにあったかのように体を動かせない…!

 

「ラーちゃんラーちゃん!神気を落とさないとこの子ガチガチに固まっちゃってるよ!」

「ラーちゃん言うでない。これでもかなり落としているつもりなのだがな」

 

そう言うと圧倒的な圧力が一気に和らいだ。息苦しさがなくなったことで、俺は深呼吸して心を落ち着かせた。

 

「落ち着いたな。そんじゃ、健闘を祈るぜ」

 

オシリスが第二の口でそう言うと、ラーと共に下がってしまった。

この状況が一体何なのか分からないことばかりだが、今はデュエルを終わらせなければ。そうでなければ話は進まない!

 

……とは言うものの、俺の手札は一枚だけ。今の状況では何の役にもたたない…。オベリスクの巨神兵はカード効果のほとんどを受け付けない厄介なカードだ。罠やモンスター効果での破壊は厳しいだろう…。

だが、倒す手段はある!問題はそのカードを引けるかどうか……。頼む。来てくれ!

 

「俺のターン…!ドロー!」

 

……引いたのはーーー『龍の鏡』!!

これならいけるか!?

 

「魔法カード『竜の霊廟』を発動!デッキからドラゴン族を墓地に送る!さらにそのカードが通常モンスターなら、ドラゴン族をもう1体墓地に送ることができる!」

 

俺はデッキから2体のドラゴン族通常モンスターを選ぶ。

 

「俺は2体の『青眼の白龍』を墓地に送る!さらに魔法カード『龍の鏡』を発動!自分の場と墓地から、融合素材となるモンスターを除外してドラゴン族融合モンスターを特殊召喚する!」

 

龍の鏡によって墓地にある三枚のカードが混ざり合う。

 

「墓地の『青眼の白龍』三枚を除外!『青眼の究極竜』を融合召喚!!」

 

青眼の究極竜

ATK 4500

 

混ざり合ったカードは遠い昔、最強の座に君臨していた三つの首を持つ竜へと変化した。今ではロマンだとかやられ役だと言われているが、それでもこのモンスターは俺のデッキの切り札の一枚として存在している!

 

「ふ〜ん。『究極竜』を使うなんて珍しいね、ラーちゃん」

「ラーちゃん言うでない。何ら珍しいことはなかろう。やつも必要とされたからデッキに組まれ、そして召喚されたのだ。ーー主に勝利をもたらす為に」

 

『青眼の究極竜』と『オベリスクの巨神兵』の攻撃力の差は五百…。このまま攻撃してもライフが五百残ってしまう。ならばーー!

 

「トラップ発動!『鎖付きブーメラン』!『青眼の究極竜』に装備させて、攻撃力を500アップさせる!」

 

青眼の究極竜

ATK 4500 → 5000

 

これで攻撃力の差は千。伏せカードが気になるが、攻めるしかない!

 

「『青眼の究極竜』で、『オベリスクの巨神兵』に攻撃!アルティメット・バースト!!」

 

 

三つの口から放たれた強大なブレスはひとつに集約されオベリスクへ向けて一直線に飛んでいく。このまま通れば……!

 

「…………」

 

オベリスクは身動きひとつしない。これは勝ったか!?

 

「お〜やるねぇ♪これで決まりかな?」

「…やつとて神の一柱。『この程度』、何の問題ともしていないだろうよ」

 

オシリスとラーの会話が終わるのと同時にーーー

 

「トラップ発動。『デストラクション・フラッシュ』」

 

オベリスクがトラップ発動した。つかまたオリジナルカードかよ!

すると、オベリスクの額にある石(?)が強く光り始めた。

 

「相手の墓地に存在するレベル4以下のモンスター1体を除外し、除外したモンスターの攻撃力分、相手モンスター1体の攻撃力をダウンさせル」

 

俺の墓地から除外されたのは、『アレキサンドライドラゴン』。ってことは……。うおっまぶしっ!

 

 

青眼の究極竜

ATK 5000 → 3000

VS

オベリスクの巨神兵

ATK 4000

 

究極竜の攻撃はオベリスクが放つ光に掻き消されてしまい、自身もその光に飲み込まれてしまう。光が収まったので目を開けると、究極竜の姿はどこにもなかったーー。

 

 

Kenji LP 1000 → 0

 

 

 

 

「あーあ。負けちまったか」

 

フィールドが消えて再び真っ黒に戻った空間で、俺は伸びをした。

久しぶりのデュエルはかなり満足できた。夢の中とはいえモンスターが立体化するアニメのようなデュエルができたのは本当に嬉しかった

 

「オベリスクには勝てなんだが、『力』は申し分なしか。これなら問題はなかろう」

「こらあオベリスク!あそこは空気読んで勝たせるところだろ常識的に!」

「…………」

 

ラーは何かに納得し、オシリスは物言わぬオベリスクに巻きついて喚いている。俺、今回の夢で三幻神へのーー主にオシリスへの印象が変わったよ……。

とりあえず気になったことをラーに聞いてみるとしよう

 

「えっと、聞いてもいいか?」

「我らがそなたに接触した理由か?うむ、デュエルは終わったのだから話してやろう」

 

戯れる二神を放ってラーは俺に全てを話してくれた

 

「そなたは『デュエルがしたい』と常々思っていただろう?それを我らが叶える為にこうして現れたのだ」

「それは嬉しいけど、できれば夢じゃあなくて現実でデュエルがしたいんだけど……」

「あ!それに関しても心配しなくていいよ!」

 

オベリスクの頭でとぐろを巻いているオシリスが声を上げた。てか自由かオシリスは。

 

「我らの力でそなたを『遊戯王』の世界へ飛ばしてやろうかと考えていたのだ。前々から行ってみたかったのだろう?」

 

…………は?『遊戯王』の世界へ飛ばす?え、マジで?

 

「我らの力をもってすれば可能ではある」

「マジか!」

 

それを聞いて俺のテンションは一気に最高潮に達した。それもそうだ。今までは液晶の中だったり紙の中の世界だったのに、自分もその世界に行けるというのだから。

 

「無論、世界観さえ繋がっていれば作品を跨ぐこともできる。『デュエルモンスターズ』から『GX』、続いて『5D's』といった具合にな。さて……どの時代に行くか決めるがいい」

 

まるでゲームみたいな展開に俺は悩み始めた。

『デュエルモンスターズ』……は俺ルールが闊歩する時代があるからメンドそうだ。それに『社長』に目をつけられそうだし、破かれたくないし。

『5D's』……は好きなキャラが結構多いから行きたくはあるものの、バイクに乗ったことがない身としてはちょっと気が引ける。そしてこっちでも『キング』に目をつけられそうだ。行くなら豆腐メンタルを粘土メンタルに強化してから行きたい。

 

じゃあ残った『GX』しかないじゃないか(消去法)

 

「決まったようだな。ではオベリスクよ、主に『アレ』を与えよ」

 

そう言うと、オベリスクの額の石からひとつの光が生み出された。光は俺の元に降りてくると、左腕に巻きつきながら形を変えていった。そして光が消えると、その正体が明かされた。

 

「これは……デュエルディスク!?」

「『青眼』……仕様だ」

 

オベリスクから受け取ったのは、原作においてカイバーマンが身につけていた『青眼の白龍』をモデルとするひとつのデュエルディスクだった。

 

「では始めるとしようか。主よ、心の準備は良いか?」

 

デュエルディスクの感触を確かめていると、ラーがそんなことを言った。ついに行く時になったのか…!

 

「そういえば、デッキはあるとしてそれ以外の持ってるカードたちはどうするんだ?」

「案ずるな。それらも纏めて送ってやる」

「何も心配しなくていい。主は私らに全部任せてくれればいいんだ」

「心配……無用……」

 

いつの間にか俺を囲むように三幻神が立っていた。三幻神が準備に取り掛かると金色の光が俺の体を覆い始めた。

 

「さあーー行くがよい!!」

 

ラーのその言葉を最後に俺の視界は閃光に飲まれていったーーー

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

「行ったか…」

 

賢司がいなくなった空間でラーの翼神竜は一仕事を終えた充足感を感じていた

 

「それにしても、なんでデュエルする必要があったのさ?そんなのしなくてもーー」

「『GX』の世界で生き抜くには、『精霊の力』が必要だと言っても過言ではない。それにーー」

 

オシリスの疑問の声を遮るように、ラーはその答えを述べた。しかし、最後の言葉を発する前にオシリスが仕返すように遮った。

 

「神として、精霊の頼みは無碍にできないものね?」

「主想いの……精霊だ……」

 

オシリスとオベリスクの言葉にラーはふんっ、と鼻を鳴らすだけだった。

 

「…思いのほか力を使ってしまったようだ。我らは休んでから向かうぞ」

 

黒の空間から三幻神は姿を消した。

今度こそ何の存在もなくなった空間は亀裂が入り、ガラスのように砕け散ったーー

 

 




「(オシリスが)そんな性格で大丈夫か?」
「大丈夫じゃない。問題だ」

というわけで初デュエル回でした。
頭の中ではイメージできても、字にするとすごい難しいです。それにしてもいきなり三幻神を出して良かったのだろうか。(汗)

オリジナルカードが出ましたが、効果については本文に書くか後書きに書くかどちらがいいでしょうか?
とりあえず今回は後書きに書いてみます。

それではまた次回でお会いしましょう。



セカンド・インパクト
速攻魔法
このカードを発動するターン、自分は他の魔法カードを発動できない。自分フィールド上に存在する「オベリスクの巨神兵」・「オシリスの天空竜」・「ラーの翼神竜」のいずれかが相手モンスターとの戦闘で、相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。そのモンスターは相手モンスターにもう一度攻撃することができる。また、その戦闘で相手に与える戦闘ダメージは倍になる。


デストラクション・フラッシュ
通常罠
自分フィールド上の「オベリスクの巨神兵」が相手モンスターからの攻撃を受けた時に発動することができる。相手の墓地からレベル4以下・攻撃力2000以下のモンスター1体を除外することで、相手の攻撃モンスターの攻撃力を除外したモンスターの攻撃力分ダウンさせる。


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