ご注文はうさぎですか?DayDreamDayz   作:toto1754

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明けましておめでとうございます!!!多忙により遅れてしまいました!!申し訳ありません!今回の話は甘兎庵へココア達が来店する話です。どうぞ


第7話~ようこそ甘兎庵へ

「...ん~よし写真の整理はこんなもんかな?」

 

実家からパソコンが届いたので、今朝早めに俺は起きてこの間パン作りをした時の写真を現像する為に写真の整理をしていた。

 

「レンちゃん朝だよ~ってあら?今日はまた早く起きてたのね」

 

ノックぐらいしてほしいな千夜ちゃん...。

 

「千夜ちゃん毎回思うんだけど、起こしに来なくても自分で起きれるから...」

 

だいだい男の部屋にノックもしないで入って来られるとそれはそれで...じゃなくて!困るんだよな。

 

「レンちゃんの寝てる姿、猫みたいで可愛いから起こすついでに見に来てるの」

 

なんじゃそりゃ!って異性として思われてない前に人として思われてないのか!?

 

「まあ冗談はさておき」

 

「冗談かい!」

 

あ、朝から疲れる...。

 

「私が好きでしてる事だから気にしなくていいわよ」

 

俺が気にするんですが...。

 

「そんなの好きでするのもどうかと思うけど...で何か予定か用事があるんじゃないの?」

 

今日の千夜ちゃんなんか楽しそうというか嬉しそうな感じがする...俺の気のせいかもしれないけど。

 

「そうなのレンちゃん!」

 

「うわ!ち、近いよ千夜ちゃん!」

 

千夜ちゃんは目を輝かせて顔を近づけてきたので一瞬ドキッとしてしまった。あと体温が徐々に上がってきた。

 

「あっ!ごめんなさい!つい嬉しくて」

 

つ・い。で俺がノックアウトしかけたんだけど...まだ慣れるのには時間かかりそうだな。

 

「えと...なにがそんなに嬉しいの?」

 

とりあえず聞いてみる事にした。

 

「今日はココアちゃん達がうちに来てくれるから、それが嬉しくって!」

 

「千夜ちゃーん!ち、近いって!そ、そんなに近いと!む、無理」

 

ガタン!

 

「れ、レンちゃん!?あ、あんこ!」

 

千夜ちゃんは床に座っていたあんこを持ち上げると俺の顔にあんこを乗せてきた。

 

「つ、冷たくて気持ちいい~あともふもふしてて...スゥ」

 

あんこの丁度良い体温と毛の柔らかさで、そのまま俺は眠ってしまった。

 

数分後

 

「...はっ!あ、あれ?いつの間に?それになんか妙に居心地が」

 

「大丈夫レンちゃん?」

 

あれ?千夜ちゃんの声何処から...。

 

「れ、レンちゃんくすぐったいわ」

 

「へ?...っ!?ご、ごめん!もう大丈夫だからありがとう!」

 

千夜ちゃんにいつの間にか膝枕をしてもらっていた事に気付き慌てて千夜ちゃんの膝から頭を上げた。

 

「あ、あれ?視界が...」

 

何故か部屋の景色がぼやけて見え体が少しふらついてしまった。

 

「れ、レンちゃん!危ない!」

 

千夜ちゃんは慌てて俺を手で支えてくれた。

 

「ご、ごめん千夜ちゃんあ、ありがとう...ふぅ徐々に慣れてきたかな?」

 

「やっぱりまだ時間がかかりそうね...」

 

うう...女の子と接するのに慣れてないせいで耳はすぐに真っ赤になるしな...立ちくらみはあまり寝てなかったからかな...はぁ頑張って慣れないとな。

 

「普通に会話とかは出来るんだけどどうしてかしら?やっぱり今まで彼女とかいなかったからかしら?」

 

グサ!

 

くっ!ま、まだ俺の心は挫けてない!

 

「あまり好きな人とか聞いた事ないし...恋愛経験0だから?」

 

グサ!グサ!

 

「か、勘弁して千夜ちゃん...悲しくなってきた」

 

確かに千夜ちゃんの言う通り。俺は彼女を作った事がない、それに恋愛経験も皆無に等しい。

 

それはお婆ちゃんが亡くなってから今まで自分の事を後回しにしてきたペナルティかもしれないけど...。

 

それでも俺は良いと思ってる、今が楽しければそれでいいのです!

 

「う~ん。お姉ちゃんとしてはちょっと心配ね」

 

余計なお世話だよと言いたい...。

 

「ま、まぁいつかね...そ、そんな事より!ココアちゃん達が来るの今日だったけ?」

 

自分の話を終わらせ重要な話に戻す事にした。

 

あとお姉ちゃんじゃないからね千夜ちゃん。

 

「あ、そうだったわ!今日来てくれるみたいだから何か特別な事した方がいいのかと思って」

 

特別な事ねぇ....あっ!

 

「ラテアートは?この間のお返しって事で」

 

「意外と普通の発想だわ」

 

俺の自信を返してくれ。

 

「冗談よ♪」

 

千夜ちゃんの冗談は冗談に聞こえないよ...。

 

「あと兜とか着けて」

 

「戦かなにかするの!?」

 

張りきると千夜ちゃん変な考えするからな...。

 

「そんな事言うなら朝ごはん抜きにするぞ~」

 

しまった!声に出てた!!

 

「ご、ごめん!朝ごはんがないのは流石にきついよ...」

 

「ふふ。さあご飯食べて力蓄えましょ」

 

腹が減ってはなんとやらだしね。

 

「よし!頑張るぞ!」

 

☆☆☆

 

「ご馳走さまでした...よし千夜ちゃん外の掃除してくるね」

 

「ありがとうレンちゃんお願いするわね」

 

俺は食事を済ませ片付けが終わると倉庫からホウキを取り出して外へ出ると掃除を始めた。

 

「さっさっさーと...昔はよくホウキを使って遊んだりしてたな」

 

周りを見て誰もいない事を確認するとホウキにまたがり少し遊んでみる事にした。

 

「これで...ちちんぷいぷい空を飛べー...何やってんだ俺は」

 

「本当になにやってるのレンちゃん?」

 

...。

 

「お、おはようシャロちゃん」

 

シャロちゃん隣だったの忘れてたぁ!!

 

「耳真っ赤よ」

 

「恥ずかしい!!」

 

馬鹿な事しなければ良かった...。

 

「ってあれ?早いね?私服って事は何処か出掛けるの?」

 

「ううん。バイトがあるから早めに出ようと思って」

 

今日もバイトなのか...毎日大変そう、俺もなにか力になれればいいんだけどな。

 

「...」

 

「えーと...俺の顔に何かついてる?」

 

シャロちゃんがじっと顔を見つめてきたので気になってしまった。

 

顔はちゃんと洗ったから大丈夫だとは思うけどな...。

 

「また人の心配してる顔してるなって思って...」

 

ギクッ!なんで分かったんだ!俺顔に出やすいのかな?

 

「心配してくれるのは有難いけど...体調管理はちゃんと自分で出来るから大丈夫よ」

 

「それは分かってるけど...無理だけはしないでね」

 

やっぱり内心は心配だよ...頑張りやさんほど疲れて体調崩したりしちゃうからな。

 

「...ありがとうレンちゃん♪」

 

シャロちゃんはそう言って俺の頭を撫でてきた。

 

「しゃ、シャロひゃん!?」

 

また噛んでしまった!けどこ、これは流石に来るな...。

 

「あ!つ、つい!なんか...レンちゃん他人って感じがしなくて...そのペットみたいな感じが」

 

ごめんシャロちゃん同い年の女の子に言われて嬉しい言葉じゃないよ...。

 

「はぁ~やっぱり男として思われてないのかな俺って」

 

中学の時もクラスのみんなからペット扱いされるし...。

 

ちなみに、いじめられてた訳じゃない。ただいじられたりはされていた。

 

「そ、そんな事はないとは思う...多分?」

 

シャロちゃん...フォローになってないんですが。

 

「まぁ気にしないようにしよう...。あ、ごめん呼び止めちゃったねバイト頑張ってね!」

 

「あ、う、うん。じゃあ...行ってきます!」

 

シャロちゃんは手を振ってくれてバイト先へと向かって行った。

 

「初めてシャロちゃんから言われたな...よし!俺も遊んでないで掃除頑張ろう!」

 

ホウキを持つと掃除を始めたが、毎日している為か時間はそんなに掛からなかった。

 

掃除が終わると甘兎の中へと入り開店の準備を手伝う事にした。

 

「千夜ちゃん。外の掃除終わったから何か手伝おうか?」

 

「お疲れ様。ん~これと言って特には...あっ!そうだわレンちゃんラテアートしてみましょう」

 

おっ。俺の提案したやつを練習してみようって事かな?

 

「抹茶ラテでしてみましょ」

 

千夜ちゃんはそう言ってあらかじめ用意してた抹茶ラテに温めたミルクを少し注ぐと、何かを描き始めた。

 

「...出来たわ!」

 

何描いたんだだろ千夜ちゃん?見てみよう。

 

「...何故に富士山?」

 

「やっぱり和風ならこれがいいかと思って」

 

な、なるほど。にしてもまたこれは上手に描けてるな。

 

「レンちゃんもやってみましょう♪」

 

「俺そんな浮世絵みたいなの描けないんだけどな...」

 

とりあえずやって見るかえーと...ん?あんこ丁度いいとこに!

 

「よし.......出来た!」

 

意外とラテアートって難しいんだな。

 

「どれどれ~あら?これってあんこ?」

 

俺はあんこを見て少し工夫してラテアートを描いた。

 

どうやらちゃんとあんこを描けたみたいでほっとした。

 

「あんこに見せてみましょう」

 

千夜ちゃんは俺が描いた方のカップを持つといつもの場所に座っているあんこに差し出した。

 

「あんこ~レンちゃんが描いてくれたわよ」

 

あんこはしばらくじっとカップを見て今度は俺の顔を見てきた。

 

「...」

 

「あんこ...もしかして嫌だったかな?ってうお!?」

 

あんこは俺の頭に飛び乗ってきてちょこんと座った。

 

これは嬉しいって事なのかな?

 

「あんこ喜んでくれたみたいねレンちゃん♪」

 

「う、うん。これなら大丈夫かな?千夜ちゃんは浮世絵でいいと思うから俺は動物系にするよ」

 

ただ、ラテアートまだ上手くできないからラビットハウスに習いに行こうかな?

 

「じゃあ、お店が開く時間帯まで休憩しましょうか」

 

「レン君ちょいとおいで」

 

「あ、はいごめん千夜ちゃんちょっと行ってくるね」

 

俺と千夜ちゃんが休憩しようとすると奥の作業場にいたお婆ちゃんに呼ばれたため奥へと向かった。

 

「お婆ちゃんどうかしたの?」

 

何か俺悪い事したっけかな?全然心当たりがないんだけどな。

 

「衣類を整理していたらこんな物が出てきたもんでね」

 

そう言ってお婆ちゃんが差し出してきたのは着物であった。

 

「これって...着物だよね?」

 

その着物はどことなく千夜ちゃんの着物に似ていた。

 

けどやたら古い感じがする...。

 

それになんだが懐かしいような...。

 

「それは姉さんが若い時に来ていた着物だよ」

 

「ゆめお婆ちゃんの!?」

 

そっか...ゆめお婆ちゃんが着てた着物なんだ...。

 

「...ありがとう。お婆ちゃん...だけどこれは受け取れないよ」

 

「いいのかい?レン君が持ってた方がいいと思ったんだがね」

 

俺が受け取っても使う事が出来ないしな。

 

受け取るより誰かに使ってほしいと思う。

 

「うん。女性用だし俺が持ってても勿体ないよ」

 

「そうかい...なら」

 

「お婆ちゃん。レンちゃんとまだ話してるの?」

 

...そうだ!千夜ちゃんに使ってもらえばいいかもしれない。

 

千夜ちゃんなら着物が似合うと思うしサイズも多分一緒ぐらいじゃないかな?

 

「千夜ちゃん。これ受け取って貰えるかな?」

 

俺は千夜ちゃんに、手元にあった着物を差し出した。

 

「着物?お婆ちゃんの?」

 

「違うよ。姉さんの着物だよ」

 

それを聞いた瞬間に千夜ちゃんは慌てだした。

 

そして着物を俺に返そうとしてきた。

 

「う、受け取れないわ...だってこれはレンちゃんが持ってた方が」

 

「千夜ちゃんに使って欲しいんだ...。その方がその着物も喜ぶと思うんだ」

 

なんかくさい台詞になっちゃったかな?けど...本心からそう思ってるんだから嘘を言っても仕方ないしな。

 

それに...これが一番ベストだと思う。

 

「でも...」

 

「お願い...って言っても駄目?」

 

千夜ちゃんにお願い事初めてした気がするけど...。

 

「...分かったわ。レンちゃんのお願い承らせて頂くわね」

 

「ありがとう。千夜ちゃん」

 

千夜ちゃんは着物を受け取り、お婆ちゃんに話が終わった事を確認すると俺の腕を握ってきた。

 

「え!?きゅ、急にどうしたの!?」

 

「レンちゃん。今度は私とお話ししましょ」

 

何故そうなる!それに、あと少ししたら開店なんですけど!

 

「か、開店前だしココアちゃん達も早めに来るかもよ!」

 

それを願いたい。話しはいつでも出来るから大丈夫大丈夫!

 

「私と話したくないの?」

 

千夜ちゃんは頬を少し膨らませたがこのペースで分かったというと嫌な予感しかしないのであえて無視をする事にした。

 

けどそんな千夜ちゃんを少し可愛いいと思う自分がいて甘くなりそうだ。

 

「レンちゃん」

 

いかんいかん!た、たまには冷たくせねば!すぐに調子に乗るから!

 

「レーンちゃん」

 

無視無視...。

 

「えい」

 

ズキ

 

「イテー!!なんで手のツボ押すの!?」

 

もう怒った!とことん無視して仕事に集中してやる!

 

「無視するもんだからつい」

 

千夜ちゃんが落ち込んだ表情をした為心が少し痛んだ。

 

か、可哀想だから無視するのはやめておこうかな?

 

「ご、ごめん。そんなに傷付くとは思ってなかった。少しだけ、はな」

 

「あ、そろそろお店開く時間だわ準備しなくちゃ」

 

千夜ちゃんはそう言うと二階へと上がって行った。

 

「...」

 

カプッ

 

「ごめんあんこすぐ着替えるから...噛まないで!」

 

☆☆☆

 

「ありがとうございました」

 

開店してから2時間くらいたったがココアちゃん達はまだ来ていない。

 

お客さんはたくさん来てくれたが感じな人達がまだ来ていないので、千夜ちゃんが時々そわそわして落ち着きがないように見えるのは俺の気のせいかな?

 

「千夜ちゃんココアちゃん達もうそろそろ来ると思うよ。お客さんも今来てないし少し休憩したら?」

 

「大丈夫よ。そんなに疲れないから」

 

流石看板娘ってとこかな?けど時々力を入れすぎちゃうからフォロー出来るようにしていかないとな。

 

カランカラン

 

店の入り口の鈴がなったのでお客さんが来たという事だ。

 

「いらっしゃいませってココアちゃん?」

 

「こんにちは~」

 

お客さんはココアちゃん達ラビットハウスの面々であった。

 

「みんな!いらっしゃい」

 

凄い嬉しそう千夜ちゃん。

 

まぁ俺も実の所嬉しいんだけど。

 

「あっ二人とも初めて会った時もその制服だったね」

 

そういえばそっか、ココアちゃんと初めてあったのは噴水がある公園だったな。

 

「あれはお仕事でようかんをお得意様に配った帰りだったの」

 

「あのようかん美味しく3本いけちゃたよ~」

 

ココアちゃん相当食べてたもんなーけどあれは確かに美味しい。

 

「3本まるごと食べたのか?」

 

リゼさんは驚いた顔をしていた。

 

そりゃ普通に考えたら3本まるごとは凄い事だしな。

 

俺も小さいやつなら三本はいけるけど流石にまるごとはきつい。

 

「うさぎだ!」

 

ここでもうさぎかココアちゃん...。

 

「看板うさぎのあんこよ」

 

「置物かと思ったぞ」

 

あんこあんまり動かないしな...あと噛む癖はなおして欲しい。

 

「あんこはよっぽどの事がないと動ないんだけどレンちゃん頭には良く乗るわ」

 

「よく噛まれるからそこ意外は可愛いですけどね」

 

あんこは俺がそう言うと頭に飛び乗ってきていつも通りに噛んできた。

 

「痛い!あんこ!甘噛みでも痛いんだよ!」

 

勘弁して下さいなあんこさん。

 

ピクッ

 

「あんこ?ってうお!?」

 

あんこは俺の頭の上からチノちゃんの頭の上に乗っているティッピーにジャンプ体当たりをした。

 

「ティッピー!!」

 

うう頭に衝撃が...どうしたんだあんこ?

 

「チノちゃん大丈夫?」

 

ココアちゃんはチノちゃんが怪我をしていないか心配していた。

 

「びっくりしました...」

 

「立てる?」

 

俺は尻もちをついてるチノちゃんに手を差し出した。

 

「あ。す、すみません」

 

チノちゃんは手を取り立ち上がった。

 

外傷は見られないから怪我は大丈夫そうかも。

 

「縄張り意識が働いたのか?」

 

あんこ。普段は大人しいからそんな事ないと思うんだけどな。

 

「いえ....あれは一目ぼれしちゃったのね」

 

「一目ぼれ?千夜ちゃん流石にそれはないんじゃ」

 

だってティッピーって...あれ?それもいいのか...いやいやマズイだろ!?

 

「恥ずかしがり屋くんだったのにあれは本気ね」

 

「あれ?ティッピーってオスだと思ってた」

 

俺もそうだと思ったんだけどな...けどメスなら問題なしか...いやどっちだ?

 

「ティッピーはメスですよ」

 

チノちゃんが言った一言で納得した。

 

つまりは動物的にはメスだけど中身は違う...って事になるのかな?

 

「って!?考えてる場合じゃなかった!あんこストップ!!」

 

ティッピーはあんこから逃げる形で甘兎の扉から出ていったので、急いで俺も外に飛び出してあんことティピーの後を追った。

 

数分後

 

「ぶ、無事生還」

 

あんこを連れて戻ってくると千夜ちゃんは、ココアちゃん達におもてなしのお返しで抹茶ラテで作ったラテアートを振る舞っていた所だった。

 

「お帰りなさいレンちゃん」

 

「レンちゃん!このラテアート凄いよ!」

 

ココアちゃんはラテアートを見て楽しそうにしていた。

 

そんなに喜ぶラテアートを千夜ちゃん作ったのかな?どれどれ。

 

「...浮世絵にしたんだね。って俳句も!?」

 

ラテアートを見てみると練習で作ってた浮世絵と季語は入っていないが「ココアちゃん どうして今日は おさげやきん?」と俳句...っぽいものを作っていた。

 

「ん?あ!?確かにココアちゃん今日は髪がおさけだ!」

 

「そうなんだ~似合うかな?」

 

改めて見ると印象がだいぶ変わるな..。

 

「そ、そんなに見られるとなんだか照れるよ」

 

「へ?あっ!ご、ごめん!そ、その凄く似合ってると思う」

 

やっぱり言い慣れてない言葉を言うのは恥ずかしい!

 

「えへへ。照れますな~」

 

...いつもの通りのココアちゃんだな。

 

「メニューはなにがあるの?」

 

「はいお品書きよ」

 

千夜ちゃんはココアちゃん達にメニューを渡した。

 

リゼさんとチノちゃんも受け取りメニューを開いがその瞬間唖然としていた。

 

「あ~やっぱりそうなりますよね」

 

それもそのはず、千夜ちゃんが付ける和菓子の名前は何故か漫画の必殺技みたいな独特の名前を付ける為、初めてきたお客さんとかは戸惑ってしまう。

 

現に俺も全部は把握出来ていない。

 

「わー抹茶パフェもいいし。クリームあんみつ白玉ぜんざいも捨てがたいなあ」

 

「「わかるのか!? わかるの!?」」

 

俺とリゼさんは同時に言った。

 

まさかこのメニューが分かるなんて...。

 

「と、とりあえず私は海に映る月と星々を」

 

俺は注文表にリゼさんが注文したメニューを書き込んだ。

 

「ココアちゃんとチノちゃんは?」

 

「私は花の都三つ子の宝石を」

 

「私は黄金の鯱スペシャル!」

 

花の都の三つ子の宝石と黄金の鯱スペシャルっと...。

 

相変わらずさっぱり分からないから、出来たらちゃんと見て覚えておこう。

 

「はい千夜ちゃん」

 

注文表を千夜ちゃんに渡すと、千夜ちゃんは受け取りココアちゃん達に「ちょっと待っててね」と言うと調理場へと入っていった。

 

「あれ?レンさんは行かないんですか?」

 

「あー。それが俺和菓子作り出来なくて。飲み物系や皿洗いあと料理運びとかしか出来ないんだよ。たまにお客さんの悩み事や愚痴を聞く相手にもなってたり」

 

甘兎庵が和風喫茶の為にほとんど和菓子なので一度千夜ちゃんとお婆ちゃんに習おうとしたら大丈夫って言われて教えてもらえなかった。

 

理由を聞くと自分達だけで作りたいとの事その代わり飲み物や会計料理運び接客をたくさんして欲しいと頼まれた。

 

やっぱりなにかしらこだわりがあるのかもしれないと思い習う事は半分諦めている。

 

「そういえばレンさんの和服はやはり男の人用なんですね」

 

「うん。なんか変だったかな?」

 

和服を着てる喫茶店って珍しくはないとは思うんだけどこっちじゃ珍しいのかな?

 

「いえ。とても似合ってると思って、リゼさんも着たそうに千夜さんの制服を見ていたので」

 

「い、いや!私は別に!そ、そうだレン話し相手なら話しをしろ!」

 

リゼさん恥ずかしいのかな?ただ、矛先を俺に向けないで下さい!

 

「リゼちゃんならきっと似合うよ~」

 

俺もそう思うんだけどな。背が高いし気品さが出そう。

 

「博打とかしたらかっこいいよ!」

 

ん?何故博打?

 

「そっち!?」

 

リゼさんは何を想像したんだ?全くわからん。

 

「博打...あっ!姉御肌って事か!」

 

「それはもっと違う!!」

 

俺間違えた事言ちゃったかな?今度から気を付けよう。

 

「レンちゃんお願い」

 

どうやら話しをしてる間に料理が出来たかな。よし!運びますか!

 

「えーと...リゼさんが海に映る月と...白玉栗ぜんざいですね」

 

「お、おい。レン分かってもメニューの名前はちゃんと言ってた方がいいぞ」

 

分かりやすくそっちの方が言いと思ったんだけどな?あと何を慌ててるんだろリゼさん。

 

「レンちゃーん」

 

うっ!さ、寒気が...。

 

「もう!だからちゃんと名前を言ってねってこの間も言ったじゃない!」

 

千夜ちゃんは頬を膨らませて怒って...いるのかなこれは?

 

「ご、ごめん!けど分かりやすく言おうと」

 

「言い訳はしません」

 

「は、はい」

 

なんで俺説教を受けてんの!?理不尽な!

 

「ち、チノちゃんは花の都の三つ子の宝石で、ココアちゃんは黄金の鯱スペシャル」

 

今度は怒られないようにちゃメニュー名を言ってココアちゃんとチノちゃんに和菓子を出した。

 

「あんみつにお団子が刺さっています」

 

「たい焼きが鯱って無理がないか?」

 

リゼさんの言う通りなんだけど、見た目も派手だけど美味しいから何も言えない...パフェでいいと思うんだけどな。

 

「あんこは栗ようかんね」

 

千夜ちゃんは栗ようかんをあんこが座っている台に持っていきあんこの目の前に置いた。

 

だけど、あんこは栗ようかんをすぐ食べずにココアちゃんの方をじっと見ていた。

 

「どうしたんだろう?」

 

「こっちのを食べたいんでしょうか?」

 

珍しいな...毎日同じものだから飽きたのかな?

 

「しょうがないな~ちょっとだけだよ。そのかわり後でもふもふさせてね」

 

ココアちゃんはスプーンで一口分掬いあんこに食べさせようとしたが、あんこは台から降りると素早くパフェ本体を食べ出した。

 

「本体まっしぐら!!」

 

「あんこストップストップ!!」

 

俺はすぐにあんこ持ち上げて元の場所に戻した。

 

「駄目だよあんこ。あんまり食べると体に悪いよ」

 

とりあえずあんこを注意した。

 

あんこはじっと顔を見つめてきた、まるで何かを欲しがるように。

 

「そんな顔しても駄目...後で仕事が終わってから俺のおやつあげるから」

 

あんこにそう言うと納得したようで頭に飛び乗ってきた。

 

「う、嬉しいのは分かったから!...とりあえずはこのまま仕事するか」

 

「...」

 

何故かチノちゃんが俺をじっと見つめていた。

 

「えーと。チノちゃんどうかしたの?」

 

「いえ。ただ」

 

ただ...その後が気になるんだけど、もしかして変に思われてる!?

 

「チノもティッピーを頭に乗せて仕事してるからな多分それでじゃないか?」

 

そういえばこの前のパン作りの時も頭に乗せてたな。

 

「レンさんもあんこを頭に乗せて仕事するんですか?」

 

「乗せてというかあんこが飛び乗ってくるから何回降ろしても何度も乗ってくるから仕方なくかな」

 

何故かあんこには居心地がいいみたいで三回ぐらい降ろすと諦めてそのまま仕事をする。

 

気が済むと元の場所に自分で戻るけど。

 

「それにしてもこのぜんざい美味しいな」

 

リゼさん気に入ってくれたみたいだな。

 

俺も食べる時あるけど栗の甘さと丁度合って凄く美味しいんだよな。

 

「うちもこのくらいやらないと駄目ですね」

 

ライバル心ってやつかな?ラビットハウスの雰囲気や珈琲俺は好きなんだけどな、出来れば仲良くやっていきたい。

 

「それならラビットハウスさんとコラボなんてどうかしら?きっと盛り上がると思うの」

 

千夜ちゃんナイスアイディア!コラボか...どういう感じになるかな?

 

「タオルやトートバッグなんてどうかな」

 

そっち!?確かにそういう感じにする店もあるけどなんか違う!

 

「私マグカップ欲しいです」

 

チノちゃんもか!リゼさんと千夜ちゃん唖然としてるよ!

 

「二人ともそれグッズだから!...いや待ってありかも」

 

料理とグッズ両方やれば...。

 

「「なし」」

 

「即答!?」

 

☆☆☆

 

「ごちそう様でした」

 

3人とも食べ終わると勘定を済ませて帰る準備をした。

 

「...」

 

「?あっ!触ってみるチノちゃん?」

 

チノちゃんが俺の頭の上に乗っているあんこをじっと見ていたので、あんこを持ち上げてチノちゃんに差し出した。

 

「うっ...」

 

「触らないの?」

 

「チノはティッピー以外の動物が懐かないらしい」

 

そうなんだ...よし!

 

「大丈夫だよチノちゃんあんこはおとなしいから」

 

俺がそう言うとチノちゃんはそーと手を近付けて耳をちょんと触った。

 

「やったよチノちゃん!おめでとう!」

 

「ちゃんと触ってから祝ってやれよ」

 

ごめんリゼさん俺も心なかでよし!って思ってた。

 

「チノちゃん大丈夫...はい持ってみて」

 

チノちゃんはあんこ持つと背中を触ってぎゅっと軽く抱き寄せて何故か頭に乗せた。

 

「凄い!もうこんなに仲良く!」

 

「頭に乗せなきゃ気がすまないのか?」

 

おお!おめでとうチノちゃん!頭に乗せるのは予想外だったけど...良かった良かった!

 

「もし私の下宿先が千夜ちゃんの家だったらここでお手伝いさせてもらってたんだろうな~」

 

え?もしそうなってたら...確実にアウトだ。

 

「今からでも来てくれいいのよ。従業員は常時募集中だもの」

 

千夜ちゃんの悪ふさげが始まったかな?その前に募集中っての初耳なんですが。

 

「それいいな」

 

「同じ喫茶店ですしすぐ慣れますね」

 

やめて上げて二人とも、ココアちゃんが可哀想だよ。

 

「じゃあ部屋を空けておくから早速荷物をまとめて来てね」

 

「誰か止めてよ!」

 

全く千夜ちゃんは...。

 

「千夜ちゃん楽しいのは分かるけど悪ふざけしすぎ」

 

「あら?私本気よ」

 

尚の事引き抜きしちゃ駄目だよ!

 

☆☆☆

 

「千夜ちゃんレンちゃんまたね♪」

 

ココアちゃん達を見送ると店の中へと戻るとお皿を回収して調理場へ持っていき皿洗いを始めた。

 

「レンちゃんこれまでお願いするわ」

 

「了解。千夜ちゃんはゆっくりしといて大丈夫だよ今日は張り切ってたし疲れたでしょ?」

 

体力そんなにないし...無理させない方がいいよね。

 

「大丈夫よ。そんなに体力使ってないしなにより自分の店なんだし頑張らなくちゃ!」

 

パワフルなのかないんだか...。

 

まぁ頑張り屋さんなのは相変わらずってことか。

 

「頑張るのはいいけど倒れても困るから」

 

俺は千夜ちゃんの背中を押して椅子に座らせた。

 

「れ、レンちゃん私大丈夫って」

 

「いいからいいから」

 

あんまり俺役に立ててないし、皿洗いぐらいは自分1人で頑張りたいかな。

 

「じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ」

 

そうしなさいそうしなさいっと。

 

さて、さっさと終らせるかな...その前に。

 

「あんこは千夜ちゃんの所にいてね」

 

頭に乗っているあんこを降ろして千夜ちゃんに渡した。

 

さっきはチノちゃんの頭に乗ったままラビットハウスに行きかけたのですぐに気付いたから良かったけど、気付かなかったらそのままラビットハウスの看板ウサギになる所だったかも。

 

ティッピーも無事に合流することが出来たみたいだし良かった良かった。

 

「....よし。後はタオルで拭いて食器棚に直して...終了!」

 

俺は洗い物が終わると別なタオルで手の水を拭き取った。

 

「お疲れ様。はいお茶どうぞ」

 

いつの間に...ありがたく頂こう。

 

「ズズ...美味しい」

 

仕事をした後の一杯は美味しいな...。

 

「うーん甘兎って喫茶店に置いてあるようなコーヒーカップの種類ってあまりないよね」

 

湯呑とかはたくさんあるんだけどな...やっぱり和風喫茶だからなのかな?

 

「そうね...けどそんなに必要はないし数は足りてるから」

 

うーん、なら問題はないか。

 

でも自分用なら買ってもいいかもしれないな、明日学校の帰りにでも行ってみるか。

 

「あ、そうだったわ!レンちゃんごめんなさい。料理の材料が切れそうだから明日学校の帰りでもいいから買い出しお願い出来るかしら?」

 

「良いけど千夜ちゃんは?」

 

まあ大方店番だと思うけど。

 

買い出しは楽しいし早く店の場所とかを覚えるのに役に立つからありがたいな。

 

「私も心配だから一緒に行きたいけど、店の手伝いがあるから」

 

一緒じゃなくていいと思うんですが!!

 

あっ。ならついでにカップと買おうかな。

 

「千夜ちゃん自分用のコーヒカップとか買っていいかな?」

 

「え?良いけど...どうして?」

 

どうしてって...聞いてくることかな?

 

「いや自分用のを買おうかと」

 

「うちにあるのじゃなくて?」

 

...ん?なんか話が噛み合ってないような。

 

「うん。の前に千夜ちゃんとお婆ちゃんのだし自分のぐらい欲しいなと、それに卒業したら甘兎にずっといるってわけじゃ」

 

「いないの?」

 

ちょっと待っていないの?

 

「あ、あの。いないのってまさか俺が卒業したとしてもずっとここで働くって思ってたの?」

 

「...違うの?」

 

「違うよ!!」

 

なんてこった!そんな事思われたのか!?

 

「そ、そんな私てっきり」

 

落ち込んじゃったよ!!明らかに俺の一言のせいじゃん!

 

えーと!とりあえずフォローを!

 

「だ、大丈夫だよきっといい人が」

 

なんで振られた人を励ますような感じになってるんだ?

 

「わ、私とんだ勘違いを何年か振りに再会できたからずっといるもんだとご、ごめんなさい」

 

うわーなんかどんどん自己嫌悪しちゃってるよ!!忘れてたメンタル意外と弱いの!

 

なんか俺が謝りたくなってきた...はあ。

 

「ご、ごめん。俺が悪かったよずっといるっては断言出来ないけど、考えてはおくよ」

 

「ほ、本当!?」

 

本当とは言い切れないんだけど、そんな泣きそうな顔してるとこっちが罪悪感でいっぱいだよ。

 

「ほ、本当だよ。だ、だから元気になって」

 

千夜ちゃんはすぐに元気になり笑顔を見せてくれた。

 

その笑顔を見て俺は安心した。

 

「それ聞いて安心したわ。よーし!頑張って商売繁盛しなくちゃ!」

 

千夜ちゃんは気合が何故か入ったみたいでその後の仕事も張り切ってしていた。

 

千夜のやる気のスイッチが今だつかめないと思いながら俺は仕事を頑張った。

 

ただもうちょっと相手の気持ちを考える事が必要かもしれない...かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?レンの悩みがまた一つ増えてしまいましたが良いでしょう♪あとちょっとしたドキドキな展開もありましたがWこの先どうなることやらW、次回はカップ店での話とオリジナルを少し入れていこう思っていますので更新が遅れてしまうと思いますが宜しくお願いしますではでは♪今年もよろしくお願いします!!

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