ご注文はうさぎですか?DayDreamDayz 作:toto1754
「カメラよし。あ,材料もちゃんと持っていかないとな」
俺は,荷物の再認をした。昨日ココアちゃんからメールがきて,パン作りをしようという事になったからだ。
今日は休みという事もあったので,朝から準備をしているわけだ。
「レンちゃん。準備出来た?」
「うん。千夜ちゃんは?」
「出来てるわよ♪さ,ラビット・ハウスに行きましょう」
俺と千夜ちゃんは準備を整えると,ラビット・ハウスへと向かった。
「そういえば,千夜ちゃんはラビット・ハウスに行った事があるの?」
まあ,生まれてからずっとこの町に暮らしてるから,詳しいとは思うけど。
「ええ。小さい頃にね♪けど,ずっと自分の店を手伝ってきたから,最近は行ってないわ。」
意外だな...家がお店の人達ってそんなものなのかな?
「けど,楽しみだわ。和菓子は毎日作ってるけど,パンを作るのは初めてだから」
「うん。実は俺も楽しみなんだよね,パン作りってなかなかする機会がないしね」
ココアちゃんも多分はりきってると思うし,これも今後役に立つかもしれないし勉強ってことで。
「材料は何を入れるの?」
「まあ。それは着いてからのお楽しみ」
今教えたら楽しみがなくなっちゃうしね。
「シャロちゃんも一緒に来れれば良かったんだけど」
シャロちゃんにも声をかけてみたんだけど,どうやらバイトがあるらしく残念そうにしていた。
やっぱり大変なんだな...
「うん。ちょっと残念だけど仕方ないよ。けど無理してないかな?」
いくつも掛け持ちしてるって言ってたから,体調を崩さないか心配だな。
「ふふ。そんな風に小さい頃私が風邪で倒れた時に,凄く心配してくれたわね」
「そんな事もあったね...」
あれって確か,小学校の頃だったかな?千夜ちゃんがいつも通りに遊びに来てくれてて,急に倒れたからびっくりしたんだよな...
「けど千夜ちゃんも俺が体調崩した時に,心配してくれたよね?」
「心配するわ。だって私お姉ちゃんだもの」
ここで突っ込んだらいつものペースで遊ばれるだけだ。
「さっ!ラビット・ハウスにささっとひ・と・りで!行こう!」
あえて無視しよう。
「ちょ,ちょっと待って~!」
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「というわけで。今日は店の看板メニューの為に,パン作りをしま~す♪」
ラビット・ハウスに着いた俺と千夜ちゃんは,さっそくパン作りをする為にエプロンを貸してもらい,作業場へと移動した。
「千夜ちゃんだよ~」
「今日はよろしくね~」
そっか。千夜ちゃんは,チノちゃんとリゼさんに会うのは初めてだったな。
「レンちゃんがお世話になってるようで,これからも良くしてあげてね~」
「母親かい!!千夜ちゃん,みんなの前でやめてよ!」
だいたい,まだそんなにお世話になってないし!
「こちらこそ。ココアさんが迷惑かけてるみたいですみません」
「チノちゃん!?」
ココアちゃん...どんまい。
「えと。千夜とレンはどういう関係なんだ?」
あ,そうだった。リゼさんとチノちゃんにはまだ,千夜ちゃんと俺が従兄妹って事教えてなかったんだった。
「俺と千夜ちゃんはいと」
「お互い分かりあった仲よ」
.....はい?
「そ,それって!?恋び」
「違う!!従兄妹だよ従・兄・妹!」
な,なんて誤解を招く言い方を...
「何か変な事言ったかしら?」
千夜ちゃんは不思議そうにしていた。
「それじゃ誤解を招くからやめようね...」
「レンちゃんが持ってる漫画にそういう台詞があったから,つい」
!?
「いつ読んだの!?」
千夜ちゃんに読ませた事はないはず!一体いつの間に!?
「レンちゃんがいない時とかに,読ませてもらっているわ」
それ俺の部屋に入ってるって事じゃないか!
「俺の自由が...やっぱり今からでも宿を探す事かな?」
けど,それはそれでお母さんから怒られそうだしな...
「うちもまだ部屋は空いてますよ?」
チノちゃんさらっと勧誘してきたな...
「それならラビット・ハウスに...っ!?」
「レンちゃん...酷いわ!」
「わあ!冗談だから泣こうとしないで!」
酷いのは千夜ちゃんの方なのに!なんだか俺が悪い事になってないかな!?
「あら?そちらのワンちゃん!」
千夜ちゃんは,どうやらチノちゃんの頭の上にのってるティッピーが気になったみたいだ。あとワンちゃんじゃないからね千夜ちゃん...
「ワンちゃんじゃなくて,ティッピーです」
「この子はただの毛玉じゃないんだよ」
ココアちゃんは何故かどや顔でそう言って,ティッピーを触っていた。毛玉っていう例えはどうかと思うけど。
「まあ,毛玉ちゃん?」
ティッピーだって千夜ちゃん。
「もふもふぐあいが格別なの!」
それは確かに...
「癒しのアイドルもふもふちゃんね」
ちょっと千夜ちゃん!?
「ティッピーです」
チノちゃんも何故張り合ってるの!?
「誰か,アンゴラうさぎって品種だって説明してやれよ」
「リゼさんナイスです!」
「何がだ!?」
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「それにしても,ココアがパン作れるって意外だったな」
「えへへ~」
「ココアちゃん。そこ喜ぶとこじゃないよ...」
褒められてるわけじゃないと思うけどな。
「みんな!パン作りをなめちゃいけないよ!少しのミスが完成度を左右する戦いなんだよ!」
なんか大袈裟すぎな...
「今日はお前に教官を任せたよろしく頼む!」
「任された!」
「何で二人ともそんなに気合い入ってるの!?」
リゼさんがいきなりココアちゃんに敬礼をしたので,驚いてしまった。
「わ,わたしも仲間に」
「暑苦しいです」
炎の妖精さんが喜びそうな場面だな...
「ところで,みんな具材は何を入れるの?」
多分パン作りだから,ジャムとかだと思うんだけどな。
「私は,新規開拓に焼きそばパンならぬ焼きうどんパンを作るよ!」
なんでだろう。ココアちゃんが言った焼きうどんパン食べてみたいかも...
「私は,自家製あずきと...梅と海苔を持ってきたわ」
千夜ちゃんの持ってきた梅は...まあ後回しで,あずきはあんパンに出来るな。海苔は俺の材料に使わせてもらおうかな。
「冷蔵庫にいくらと鮭と,納豆とゴマ昆布がありました」
ごめんチノちゃん。それパンの材料じゃなくて,おにぎりの材料だと思うよ。
「私は,イチゴジャムとマーマレードを...」
リゼさん。なんか心配そうな顔を...多分パン作りが変な方向に進んでると思ってるんだろうな...
「ところで,レンちゃんは何を入れるの?」
「俺?俺は,チョコクリームとクリームチーズ,あとトマトかな」
ちょっと出来たてのパンで試してみたいこともあったから,ちょっと楽しみなんだよな。
「じゃあ,ココアちゃん。教えてもらっていいかな?」
「うん♪今日ドライイーストを使うよ」
それに入れないとパン出来ないもんな...
「た,食べて大丈夫なものなんですか?」
ん?
「ドライイーストは酵母菌なんだよ。これを入れないとパンがふっくらしないよ」
当たり前の事はずだけど,チノちゃんどうしたんだろ?
「そ,そんな危険なもの入れるくらいなら,パサパサパンで我慢します!」
何で?まてよ酵母菌...攻防菌...なるほどな。
「チノちゃん,攻防菌じゃなくて酵母菌だよ。えと,こう書くんだけど」
俺は,近くにあったペンとメモ用紙をもらい酵母菌と書いて,チノちゃんに見せた。
「そ,そうなんですか...ホットしました」
どうやら納得したみたいで良かった。まだ中学生だし仕方ないよな。
「あとは,ひたすらこねるだけ」
ココアちゃんのお手本通りにみんなパンをこねはじめた。
「よいしょっと」
ふう...意外と時間がかかるんだなみんなは大丈夫かな?とくに千夜ちゃんは...
「パンをこねるのって,すごく時間がかかるんですね」
「うん。結構かかるかもね」
「う,腕が...もう...」
チノちゃんと千夜ちゃんもやっぱり疲れてるみたいだな。
「リゼさんも大丈夫ですか?」
「へっ!?あ,ああちょっと腕が疲れたかな?」
ん?なんかわざとらしい感じがしたのは気のせいかな?
「リゼさんは平気そうですね」
「何故決めつけた」
「そうだよチノちゃん。リゼさんも女の人だから,流石に疲れると思うよ」
これは男の俺が頑張らないとな...
「お,女の人!...そ,そうか女の人か...」
あれ?俺変な事言ったかな?
「ココアちゃんは...なんか集中してるな」
なんか...炎が見えるのは気のせいだよね。
「このときのパンがもちもちしてて,凄く可愛いんだよ!」
「凄い愛だ!」
リゼさんの言う通りかも...ココアちゃんのパンに対する愛は凄く大きいな。
「ふ,ふう...」
「千夜ちゃん大丈夫?手伝おうか?」
「いいえ,大丈夫よ!」
千夜ちゃん無理してるな...。
「健気ってやつだね」
「頑張るなぁ」
え?健気?千夜ちゃんに健気っていうのはちょっと。
「レンちゃん?」
「痛い!なんで腕つねるの!?」
千夜ちゃんつねる力強くないですか!
「なんか失礼なこと思われてる気がしたの」
何故俺の考えてる事が!
「き,気のせいじゃないかな~?」
俺は何事もなかったかのように,そっぽを向いた。
「...千夜ちゃん,冗談抜きで本当に大丈夫?手伝おうか?」
千夜ちゃんは体力がそこまで強い方じゃないため,俺は心配して千夜ちゃんに聞いた。
「だ,大丈夫よ!ここで折れたら武士の恥ぜよ!息絶えるわけにはいかんきん!」
なんでそこまで必死なの!?あ~もう!
「ちょっと貸して!千夜ちゃんは体力が回復するまで少し休んでて!その間は,俺がこねるから!」
俺は,千夜ちゃんがこねているパンを取り上げ力を入れてこねはじめた。
「レ,レンちゃん。まだ私大丈夫よ...」
「駄目!!もし無理して筋肉痛にでもなったら大変でしょ?女の子は無理しちゃ駄目だよ」
こうでもしないと,千夜ちゃんは無理しちゃうからな...
「レンちゃん...ありがとう。だったら,お言葉に甘えさせてもらおうかしら」
良かった。納得してくれたみたいだな...まあ,その代わり俺が明日筋肉痛になってるけどね。たはは...
「...」
「えっと...チノちゃん?俺の顔に何かついてるかな?」
チノちゃんにじっと見られたので,気になって聞いて見る。
今朝,顔はちゃんと洗ったはずだけどな。
「レンさんって...誰に対してもそういう接し方なんですか?」
「へ?どういう意味?」
接し方?普通にしてるだけなんだけどな。
「なんだかお節介というか...なんかおばあちゃんみたいな感じが」
グサ!
「ち,チノちゃん。それって老けて見えるってことかな?」
おばあちゃんって言われたのは初めてだ...そりゃ,高校生になっても中学何年?って言われて若く見られてきたけど,それはそれで嫌だし...
けど,おばあちゃんはあまりにも酷いな。
「あ,いえ!そういう事じゃなくて!その...なんだか暖かい感じがして...」
暖かい感じ...
「...と,とりあえずはさ,形とか決めよう!その方がいい!うん!」
急に恥ずかしくなってきたので,話題を変える事にした。
「あ...はい」
「...チノちゃんはどんな形にするの?」
千夜ちゃんがパンの形を整えてるチノちゃんに質問した。
「おじいちゃんです。小さい頃遊んでもらっていたので」
そうなんだ...俺もおばあちゃんによく遊んでもらっていたからな...っといけない!悲しんでばかりじゃ駄目だ!
「おじいちゃん子だったのね」
千夜ちゃんが一瞬俺の方を見た。
多分心配してくれたんだとは思うけど。
「コーヒーをいれる姿はとても尊敬していました」
チノちゃんがそう言うと,ティピーの頬が赤くなった。
「そう言う事か...」
これ以上は,あまり踏み込まない方がいいかもしれないな。
深い事情があると思うし。
「みんな~そろそろオーブン入れるよ~」
「では...これからおじいちゃんを焼きます」
ティピーが驚いてるよチノちゃん...
「レンちゃんはどんな形にしたの?」
「へ?俺は,猫の形とかにしたけど」
「奇遇だな。私はうさぎだぞ」
へぇ。リゼさんはうさぎの形にしたのか。
焼けた後が楽しみだな。
「じゃあさっそく焼いてみよう♪」
俺とリゼさんはオーブンにパンを入れてしばらく待つことにした。
「この間にさっきに煮てた小豆を潰して小豆餡を作ろうかな」
俺は,千夜ちゃんが持ってきた自家製小豆を煮ていたのでそれをボウルに移して,潰し始めた。
「わあ。これって小豆だよね?」
ココアちゃんが気になったようで,じっと小豆を見ていた。
「うん。あんぱん作ろうかなと思って」
ココアちゃんにそう言いがら小豆を潰していくと簡単に潰れて,だんだんと小豆餡が出来てきた。
「あとは。これをパンに入れてっと...よし!あとは焼くだけ」
小豆餡はちゃんと砂糖を入れて甘くしてるので,出来たてのあんぱんを食べるのが楽しみだ。
「あともう1つは,このクリームチーズとトマトをやってみようかな」
俺は,オーブンにあんぱんを入れ終わると,次にもう1つ,クリームチーズとトマトを使ったパンを作り始めた。
「まあ,さっきと同じようにパン生地の中に,クリームチーズを入れて焼くだけなんだけどね...トマトは焼きあがってからかな」
クリームチーズをパン生地の中に詰めると,はみ出ないように形を整えて並べるとオーブンの中へと入れた。
「色々とレンは試すな」
「はい。なんかつい楽しくて」
実家の方じゃよく友達と遊んだりしてたけどこうやってパン作りとかしなかったからな...なんか不思議だな。
「あ,そういえばリゼさんの家ってどんな感じなんですか?」
ココアちゃんやチノちゃんの家,それに,シャロちゃんの家も知る事が出来たけど,リゼさんの家がどんな感じか知らないからこの際,聞いてみる事にした。
「私の家は,射的場や部下が沢山いるぞ」
えっ...部下?射的場?
「って事はマフィア!?」
「違う!!」
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「焼けたよ~」
ココアちゃんが,焼けたパンを作業台に持ってくると,美味しいそうな匂いが漂う。
先に出来上がったのは,リゼさんのウサギパンと俺の猫パンだった。
「無事に焼けたし,ここからが本番だね...」
「絶対に揺らしたりするなよ」
リゼさんはココアちゃんにそう言うと,チョコペンでパンにウサギの顔を書き始めた。
けど待てよ...あっ!?まずい!
「あっ!まだ熱が冷めてなかった!」
「遅かったか...」
リゼさんがチョコペンで書いたウサギの顔は熱が冷めていなかった為,チョコが溶けてしまった。
「傾いてる!」
「歌舞伎ウサギね!」
ココアちゃんと千夜ちゃんって,同じ考えなのかな...?
「けど,確かに納得かも。記念に」
俺は,カメラケースからカメラを取り出し,そのウサギパンならぬ歌舞伎パンを,カシャッと写真を撮った。
「うん。バッチリ」
「へぇ,レンは写真を撮るんだな。」
「あっ,はい。その思い出てを残せるし,人つながる事も出来るから...なんて」
は,恥ずかしい!変な事言ったかも俺!
「そっか。良いことだな」
あれ?意外と普通だったな...笑われるかと思ったけど。
「リゼさんって...」
「ん?」
「優しいんですね」
なんか自分にお姉ちゃんがいたら,こんな感じなのかな?
「は,はぁ!?ば,馬鹿な事言うな!れ,レンも自分のパンを仕上げろ!上官命令だ!」
やっぱりお姉ちゃんだと怖いかも。
「まぁ。仕上げしよ」
せっかくだから,海苔使って顔を作ろう。
「千夜ちゃん,海苔使っていい?」
「ええ。どうぞどうぞ~」
やけにすんなり使わせてくれたな。
「まぁいいか。この海苔を使って...よし出来た...」
家の猫に会いたくなってきたな...
「可愛い!猫パン可愛いいよ!レンちゃん!」
ココアちゃん,本当にパンが好きなんだな。
「確かに...可愛いですね」
「褒められると嬉しいけど...ちょっと恥ずかしいかな...なんか,猫パンじゃひねりがないな」
なんかいいのは...
「はい!私に提案があるわ」
嫌な予感しかしないんだけど。
「猫の獣道ってどうかしら?」
「やめて!猫にそんな道歩かせたら,ただの地獄道にしかならないよ!」
「それもそうよね」
なんで楽しそうなの...
「千夜ちゃん,わざとでしょ」
「さぁ。どうかしら」
千夜ちゃんのボケは分かりにくいよ...
「...決めた。ぬこパンにする」
これならちょっと遊び心入ってて面白いと思う。
「ぬこ?」
「また聞き慣れないな」
まぁ。ただねをぬに変えただけだしね...。
「とりあえずは、これも写真撮ろう」
俺は,再びカメラを構え,ぬこパンにピントを合わせると,シャッターボタンを押して写真を撮った。
「...成功。ん?」
「...」
チノちゃん,オーブンに入れたパンを見てるのかな?ずっと,見てるような気がするけど。
「チノちゃん,さっきからオーブンに張り付きっぱなしだね~」
「うん。...ココアちゃん,俺も見てていかな?」
「うん。大丈夫だよ~」
なんかあんなに必死に見てると,俺も見たくなっちゃたよ。好奇心にはいくつになっても勝てないな。
「チノちゃん。俺も,見て良いかな?」
「はい。どうぞ」
チノちゃんの隣に立つとオーブンの中を覗いた。さっきは小さかったパンがどんどん大きくなっていくので,意外と面白い。
「二人ともパン見ててそんなに楽しいか?」
「はい。どんどん大きくなってきます」
「これ意外と楽しいです」
自分の目で間近に見たのが初めてなのもあるかもしれないけど,これはこれで,楽しいと思うな俺は。
「おじいちゃんがココアさんと千夜に抜かされました!」
「おじいちゃんも頑張れー!」
あれ?いつから競争に?
「リゼさんとレンさんだけ出遅れています。もっと頑張って下さい」
「私に言うなよ」
同じく。
「頑張れレンちゃん!」
「やめて千夜ちゃん!」
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「千夜ちゃんとレンちゃんに,おもてなしのラテアートだよ!」
ココアちゃん。なにかやり始めたと思ったら...なんか申し訳ないな。
「まあ。すてき!ありがとうココアちゃん!」
「今日のは会心の出来なんだ♪」
ほうほう,これがラテアート...漫画やテレビでしか見たことなかったからな。
これも,自分の目で間近に見るのは初体験だな。
「味わっていただくわね」
「あっ!」
千夜ちゃんがいざ飲もうとすると,ココアちゃんは残念そうな顔をして声を出した。
「...あっ!そうだこれも写真撮れば」
俺は,カメラをまた手に取り構えるとピントを合わせて,カシャッと写真を撮った
「ココアちゃん。これで大丈夫だよ」
「ありがとう!レンちゃん!」
ココアちゃんは喜ぶと,自分の両手で俺の両手を握った。
「っ!?ど,どういたしまして!」
耐えろ俺!慣れるんだ!
「あっ!?ご,ごめ~ん忘れる所だったよ~」
「ふ,ふぃ~。あ,だ,大丈夫だよ」
な,なんとか耐えれた...千夜ちゃんとシャロちゃんに感謝しなくちゃな。
「と,とりあえず頂きます」
ん。これはこれは美味しいじゃないですか!ミルクほのかな甘み...うん!カフェラテ美味い!
「美味しいわ...うちもしてみようかしら?」
「良いかもね。お客さんも喜ぶかも」
「焼けたよ!」
おっと,どうやらパンが焼けたみたいだな。上手く出来てると良いけど。
「さっそく食べよ!」
ココアちゃんがそう言うと,みんなパンを食べだした。
「ん!美味しい!」
ふっくらしてて中は甘いチョコ,いやぁ上手いなぁ~。
ぬこパン成功!!
「いけますね」
「さすが焼き立てだな」
「これなら看板メニューに出来るよ!」
みんなも美味しいみたいだし,パン作り成功かな?
「「焼きうどん」「梅干し」「いくら」パン」
「全部自分のじゃん!!」
「どれも食欲そそらないぞ」
ごめんなさい,逆に食べてみたくなっちゃいました。というわけで!
「千夜ちゃんの梅干しパン頂きます」
パクっ
ほうほう。こりゃまた口に広がる梅の香りと酸味,いやぁお茶欲しくなってくるなぁ~。
「次はココアちゃんの焼きうどんパン。頂きます」
パクっ
おいおい。なんじゃこりゃ!新しい食感だな!もちもち感半端ないな。
焼きうどんパン,意外とありかも。
「そして,チノちゃんのいくらパン」
パクっ
え?これはまた不思議な味ですな。けど,不味くはない。
あ,これもしかしたら醤油合うかもよ~し。
「チノちゃん,醤油ってあるかな?」
「あ,はい。どうぞ」
「ありがとう」
これを中身にかけて~パクっ...おお~美味い!パンに醤油,不思議な組み合わせだけど悪くない。
「うん。三人が作ったパン美味しいよ♪」
「本気で言ってるのかそれ?」
リゼさんが驚いた顔をして聞いてきた。俺変な事言ったかな?
「リゼさんの作った歌舞うさパンも美味しいですよ」
「なんだその名前は!?ま,まあ。その三種類のは食欲そそらないが,レンが作ったパンは食欲はそそるな。味も悪くないしこのチーズパン,トマトとの相性も良い」
そう言ってリゼさんは,俺が作ったチーズパンを食べていた。
「確かに悪くないです。ぬこパンも,可愛いくて美味しいです」
ほっ。とりあえずは失敗しなくて良かった。
失敗してたらかなりショックだったろうから。
「ありがとうチノちゃん。初めてパン作りってのをしたけど楽しかったから,またやりたいかな」
「大丈夫です。その時はお誘いしますので」
それは嬉しいな。色々と勉強になるし,誘われたら断らないようにしておこう。
「そういえばまだ焼いてるのがあったけど,あれはなんだ?」
あっ,確かにココアちゃんさっきまたパンを焼き始めたけど,一体なんなんだろ?
「あれはね...」
そう言ってココアちゃんは,丁度焼きあがったパンを取り出してテーブルに持ってきた。
「じゃーん!ティッピーパン作ってみたんだ♪」
「おぉ!!美味しそう!」
「看板メニューは,これで決定だな」
よし!これも撮っておこう。
カシャ!
「うん。バッチリ」
カメラの液晶画面で,ちゃんと撮れているか確認を撮ると,失敗していなかったのでとりあえずは成功。
「食べてみましょう」
「もちもちしてる...」
ほうほう...じゃあ俺も,頂くとしますか。
「美味しく出来てると良いんだけど」
パクッ
おぉ!!もちもちしてて甘い!中はイチゴジャムかな?やっぱりイチゴジャムは合うな。
これは好きだな。
「中は真っ赤なイチゴジャムなのね。美味しいわ」
千夜ちゃん美味しそうに食べるな...あっそうだ!みんなが食べてる姿を...。
「この位置かな...」
「...レンちゃん,ちょっと待って」
場所を移動して,カメラをココアちゃん達に向けてシャッタボタンを押そうとすると,千夜ちゃんに止められた。
「え?ご,ごめん。撮ったらまずかったかな?」
やっぱり許可撮らないと,そりゃ千夜ちゃんでも怒るよな普通。
「そうじゃなくて...えっとチノちゃん三脚ってあるかしら?」
「あっ,はい確か..」
チノちゃんは,二階に上がっていきしばらくすると、三脚を手に持って降りてきた。
「ありました。どうぞ」
「ありがとう」
千夜ちゃん,三脚借りてなにするんだろう?
「レンちゃん。カメラ貸して丁度」
「えっ?何で?」
「良いから良いから」
とりあえず貸してみるか...
「ありがとう。...これでオッケー」
千夜ちゃんはなにか設定をしたみたいで、カメラを三脚に取り付け始めた。
「千夜ちゃん一体何を...」
「みんな撮るわね~さあレンちゃんも」
へ?
「いやいや!俺は写さなくていいよ!」
「良いから良いから~」
「ちょ!?引っ張らないで!!」
千夜ちゃんに無理やり腕を引っ張られて,椅子に座らせられた。
「ちょっと千夜ちゃん!」
「やっぱりみんなで写った方が良いと思うわ...思い出を残しておくんだし...そうは思わない?」
千夜ちゃん...
「たまには良いかな...」
そう言うとカシャ!っという音がなり,写真をカメラが自動で撮った。
「...うん。バッチリ」
液晶画面で確認すると,ココアちゃん。リゼさん。チノちゃんとティッピー。
そして,千夜ちゃんと俺が笑顔で写ってる写真が撮られていた。
「私にも見せて~」
そう言ってココアちゃんは,カメラの液晶画面を覗き込んだ。
「意外とちゃんと撮れるもんだな」
「わ,私にも見せて下さい」
ココアちゃんに続いて,リゼさんとチノちゃんも覗き込んだ。チノちゃんはちょっと届いてないけど。
「現像すぐにしますんで,出来たら渡しますね」
「わ,私は別に欲しいとは...まあ待ってるぞ」
変な感じだな...あんまり自分が写った事ないから自分を撮るってのは...けど,悪くない...かな。
「あの...みんな今日はありがとう。凄い楽しかった...こうやって誰かと一緒に作りものするの久しぶりだったから...」
お婆ちゃんが亡くなってからは,あまりしなくなったから...いいきっかけが出来たかもしれないな。
「私も楽しかったよ♪新しくメニューも出来たし」
「確かにココアの言う通りだな。それに,千夜とも知り合えたしな」
「はい。私も楽しかったです。なかなかパン作りは出来ないので,良い体験が出来ました」
「私もよ。みんなと知り合えたし...あっそうだわ!今度は私達の喫茶店に招待するわ」
なん...だと!
「じゃあ俺,その時は休んで」
「レンちゃん?」
「はい...」
うっ!笑顔止めて!怖いよ千夜ちゃん!
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「ごめんシャロちゃん。今大丈夫かな?」
パン作りの後片付が終わると,ココアちゃん達に挨拶をして,ラビットハウスから甘兎庵に戻ってきた俺と千夜ちゃんは、シャロちゃんに,パンを差し入れようとしてるところだ。
「あれ?シャロちゃんいないのかな?」
扉をノックしたが反応がなく,気になったのでもう一度ノックしてみた。
「...やっぱりいない,まだバイトかな?」
「そうかもしれないわね。シャロちゃん,夕方までバイトをしている時があるから...」
うーん。それは流石に心配だな...
「戻ってくるの遅いかもしれないし,また夜にでも訪ねましょう」
「そうだね。じゃあ俺ちょっとお店に行ってきていいかな?シャンプーとか切らしてるから」
あと,漫画の新刊が出てるかもしれないしな。
「漫画買いに行くのは良いけど,遅くならないようにね~」
バレてるし!!
「りょ,了解」
とりあえず,先に本屋に行こう...
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「ふぅ...いつも思うけど意外と通いんだよなぁ」
甘兎から歩いて20分ぐらいの所に本屋はあるけど,運動をこっちに来てからあまりしていないから,少し体力が落ちたかもしれない。
「新刊は...う~んまだ出てないか,ん?これは?」
うさぎになったバリスタ...作者は青山ブルーマウンテン。
「...誰だ?この作者」
「ご存知ないのですか?」
「おわ!?ど,どちら様で?」
女の人に急に声掛けられたので驚いてしまった。
「すみません通りすがりの者です。その本とある喫茶店がモデルなんです。もし,興味おありなら読まれると宜しいかと。では」
そう言って女の人は店から出ていった。
「なるほど....ああ言われちゃったらな~...まあ,新刊出てなかったし,暇潰しに読もうかな」
とりあえず買うことにして,レジへと本を持っていき会計を済ませた。
「いつもありがとうレン君。またお店に行くから宜しく!」
ここの店長は甘兎の常連さんで,新刊が入った時など教えてくれたりするので,良くお世話になっている。
「了解です」
本屋の店長と軽く挨拶をして,俺は本屋から出た。
「後はスーパーによって...風呂用品を...」
「あれ?レンちゃん?」
ん?この声って。
「シャロちゃん?今帰りなんだ」
やっぱりシャロちゃんだった。
制服姿じゃなくて私服姿だから不思議な感じ...初めて見たからかな?
「ええ。さっきバイト終わった所なのあとスーパーに寄って帰らないといけないから...」
食材切らしてるのかな?けど,俺もスーパー行くから一緒に行こうかな。
「なら俺もスーパー行かないといけないから一緒に行く?」
「え?そうなの?まあ....それなら」
シャロちゃんの了承を貰い一緒にスーパーへと向かった。
「着いた。じゃあ,俺は風呂用品の方に行くね」
「じゃあ,私は食材の方に行くわ。また後でね」
スーパーに着くと俺は風呂用品のコーナーに,シャロちゃんは食材コーナーへと別れた。
「えーとシャンプー...あった!」
いつも使うシャンプーを手に取り,買い物カゴの中へ入れる。
他に必要な物もカゴなかへと入れ,シャロちゃんと合流する事にした。
「シャロちゃん何処かな?あっいたシャロ...ちゃん?」
シャロちゃんを見つけ声を掛けようとするが,只ならぬオーラを放っていたので,一緒躊躇した。
「財布の中は...よしなんとかなる!」
なんか色々と大変なんだな...
「シャロちゃん,大丈夫?」
「レンちゃん!?だ,大丈夫よ!ちゃんとお金の事考えて買い物してるし!」
そっちの心配じゃないんだけどな...
「そうじゃなくて...」
「ひ,必要な食材買ったしレジに持って行ってくる!」
あっ...話そらされた。何慌ててるんだろシャロちゃん?
まあ,俺もレジに持って行こうっとその前に。
「お世話になってるって事で...」
シャロちゃんがにらめっこをしていた食材をカゴに入れてレジへと持っていき,お互いに買い物を済ますと,スーパーから外へと出た。
「ちょっとシャロちゃん早いって!待って待って!」
外へ出るとシャロちゃんと一緒に帰ろうとするも,シャロちゃんが早く歩く為に,呼び止める事にした。
「べ,別に一緒に帰らなくても、方向同じなんだし1人でもいいじゃない!」
「ど,どうしたの急に?はっ!俺何か嫌われるような事を!?」
だからシャロちゃん怒ってるのか!俺何したんだ!?まさか...やっぱり,この間の事本当は許してもらえてないのか!
「そ,そうじゃなくて!...やっぱり私の家貧乏だし...あんな場面見せるの,慣れてなくて...」
あんな場面って今さら?なんか意外と不器用かもシャロちゃん。
「気にしないし,変とも思わないって俺言ったよね?」
「そうだけど...なんか甘えちゃうような気がして嫌なの」
シャロちゃんは恥ずかしいのか頬を染めていた。
「ふぅ...はいこれ」
袋からさっき買った物を取り出すと,シャロちゃんに差し出した。
「こ,これって私が買おうとしたトマト!?な,なんで!?」
「いつも,お世話になってるって事でかな」
「こ,こんな高いの貰えないわよ!第一私お金返せないし!」
そこまで!?確かにちょっと高かったけど安いよこのトマト!けど...シャロちゃんからしたらそうなんだよな...。
「シャロちゃんが普段の生活が大変なのは分かった。あとアルバイトを頑張ってるのも...けどその前に...」
シャロちゃんにこんな事言うの気が引けるけど...言わないとな。
「人に頼らなさすぎる!確かに甘えるすぎは良くないけど,甘える事は別に悪くはないよ...けどそんなんじゃ身が持たないよ!」
「そ,そんな事ないと」
「いいやある!現に千夜ちゃんにもあまり甘えようとしないじゃんか!」
「千夜は,また別に」
くそぅ!これだけ言っても分からないか!
「シャロちゃん!」
「は,はい!?」
言わないと俺の気が済まない!シャロちゃんは1人で頑張りすぎなんだ!だから言わないと!
「シャロちゃんは,俺に甘えても良いじゃないって言ってくれたから,俺は一歩踏み出せた。だからさ,シャロちゃんも甘えても良いと思う」
「レンちゃん...そういうお節介な所も千夜と同じね...」
従兄妹ですから...けど千夜ちゃんと同じ...なんか複雑な気持ちだな。
「けど,なんでそこまで言ってくれるの?」
「え?そりゃあ大事だと思ってるからだけど?」
シャロちゃんは大事な友達だし,友達が困っていたら助けてあげるのは当たり前だしな。
「な,えっ...ちょ,ちょっと待って!そんな急に!」
あれ?なんでシャロちゃん顔赤くして...ぶー!
「ご,ごめん!そ,そういう意味じゃなくて!!大事な友達って事で!!」
「そ,そっちの大事...び,びっくりした。ここに千夜がいなくて良かった」
「呼んだ?シャロちゃん♪」
「何でいるのよ!?」
タイミングが良いのか悪いのか...
「レンちゃんがちょっと帰り遅いから心配になって...」
「いやまだ一時間しか経ってないよね!?」
そんなに信用ないのか俺は...
「ま,まさか,さっきのやり取り見てないわよね?」
「なんの事かしら?」
千夜ちゃんは知らないような顔をしたが俺には分かる!あれ,絶対とぼけてる!!
「な,なんでもない!」
「レンちゃんがシャロちゃんに愛の告白してた所なら見てたけど」
やっぱりですか...って愛の告白って!
「見てるじゃないの!!もう嫌ー!」
シャロちゃんは顔を真っ赤にすると,甘兎がある方向ではなく逆方向へと走りだした。
「逆だよシャロちゃ~ん!!」
俺が慌てて叫ぶとシャロちゃんは引き返してきて,甘兎がある方向へと走って行った
「面白いシャロちゃん♪」
「からかいすぎだよ千夜ちゃん...だいだい愛の告白じゃないし!」
意外と酷いんだよな千夜ちゃん...まぁそれも含めて千夜ちゃんなんだろうな。
「私にはしてくれないの?」
「ぶっ!な,何でそうなるの!?それに違うって!シャロちゃんと千夜ちゃんはその....言うの恥ずかしい!!」
俺も恥ずかしくなり甘兎へと走り出した。
「あっレンちゃん!袋持つまま走ると怪我しちゃう!」
「過保護やめて!!」
そんなやり取りをして甘兎へ帰り着くと,シャロちゃんに今日作ったパンの差し入れをすると,千夜ちゃんとシャロちゃんと今日の出来事を話たりして楽しんだ。
ちょっと気まずかったりもしたけど,練習になったから結果オーライとの事で...また,思い出が増えたと嬉しさを感じてる自分がいて,二人が困った時は絶対助けになろうと心に決めた
いかがでしたか?今回はパン作りの話と甘兎側での日常の話でした?お気付きかもしれませんがいち早くあの小説家の人を出しました。出番が後になる人のなんですが甘兎側だから問題なかろうと思って出しました。レンが思ってる千夜とシャロに対する思いは一体なんなんでしょうね?ではではまた次回で( ´∀`)いい夢見ろよ!!