ご注文はうさぎですか?DayDreamDayz 作:toto1754
「三脚を準備してっと,カメラも忘れずに...よし!」
カメラと三脚を持って準備を済ませた俺は,自分の部屋を出て一階
へと降りた。
「千夜ちゃんは...いないよね?」
千夜ちゃんがいない事を確認すると,そーと入口の扉に手をかけた。
「おや?レン君何処に行くんだい?」
「っ!?な,なんだお婆ちゃんか...」
千夜ちゃんかと思ってびっくりした...。
「お婆ちゃん。ちょと公園に行ってきていいかな?」
「こんな夜にかい?近くだからまぁ心配はないが千夜がなんて言うか」
そう,俺は真っ暗な夜に公園に行こうとしていた。理由は星空が撮りたいからだ。
近くなので大丈夫なんだけど,千夜ちゃんは多分許しくれないと思ったのでこっそり行こうとした訳だ。
「お婆ちゃんお願い!千夜ちゃんには内緒にして!どうしても星空が撮りたくてさ,今日はいいのが撮れそうなんだ!」
俺は両手を合わせてお婆ちゃんに頼んだ。けど...駄目って言われるかな?
「ああ。いいよ」
即答!?
「いいの?」
「ああ。一生懸命に店の手伝いをしてくれるしね,ただしあまり遅くならないように」
やった!!よし。そうと決まればささっと公園に行こう!
「ありがとうお婆ちゃん!行ってきます♪」
お婆ちゃんにお礼を言うと,俺は公園に向かった。
「あんなに嬉しそうに...大丈夫みたいだね」
「お婆ちゃんレンちゃん見なかった?」
「ああ。レン君ならさっき外にっておっと」
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「はあ~疲れた~」
そう言ってベッドへと座り込むと,今日手渡された弁当箱を私は見つめた。
「...明日ちゃんとお礼言って返さなきゃ」
ガチャ
「ん?こんな時間に千夜ってば何処に行くのかしら?」
「行ってきます♪」
「...レンちゃん?」
甘兎の扉が開く音がしたので窓から確認すると,千夜ではなくレンちゃんであった。
「レンちゃん...こんな遅くに出掛けて千夜に怒られないかしら?」
千夜はレンちゃんに対してなんと言うか,過保護な所がある。同い年の筈なのに従兄妹ってそういう感じなの?
ドタドタ!
「シャロちゃん!レンちゃんが家出しちゃたわ!!」
「.... 」
千夜がただ過保護なだけね。
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「よしっと...うん。明かりはちょとあるけど星空を撮る分には問題ないな」
公園に着くと,俺は三脚を準備しはじめた。
「...よし。設置完了あとはカメラをこの三脚に取り付ければ」
カメラを三脚に取り付けネジをしっかりと回して,カメラが動かないようにする。
「そして設定をM(マニュアル)にしてISOを800に設定っと」
ISOとは,デジタルカメラが光りをとらえる能力で100から12800まである。2倍にするとさらにとらえるようになり,暗い場所でも明るい写真を撮る事が出来る。っと言っても俺も調べたりして分かったんだけど。
「シャッター速度は,とりあえずレリーズつけるか」
シャッター速度はシャッターの開いてる時間のこと。説明すると長くなるのでようは,速くすると動いてる物を写し止める事が出来る。遅いと動きを表現した写真を撮る事が出来る。
「準備完了。後は覗きながらレンズを右に回して...この星に合わせよう」
星空は撮るのが意外と難しかったりする。シャッター速度が速いと真っ暗のしか撮れ いし,遅くしても風とかがあるとブレたりして失敗写真になる。
けど初めて綺麗に撮れた時の感動は今でも残ってる。
「スイッチONっと」
カメラのレリーズのスイッチを押すと,俺は秒数を数えはじめた。
ちなみにレリーズとは,カメラのシャッターボタンを押さずにシャッターを切れる。
ようはリモコンみたいなものだ。
「...10秒」
10秒数えるとレリーズのシャッターボタンから手を離すと同時に,カシャッ!とカメラシャッターが切れる音が鳴った。
「どれどれっと...うん綺麗に撮れてる♪」
写真が撮れたか画面を見て確認すると,綺麗とれていてたので安心した。
けど,まだ撮りたりない気持ちあるのでもう少し撮ろう。
「次は20秒で,運がよければ流れ星が入るかも」
「レ,レンちゃん!」
「うお!?」
いきなり呼ばれたのでレリーズのボタンをすぐ離してしまった。
「しまった確実に失敗写真だな...って気にする事が他にあるか」
今後ろを振り向きたくないだってこの声って...
「はあ,はあ。レ,レンちゃんこっちを向いて」
怖いよ~!物凄く顔を見るのが怖い!!
「ち,千夜ちゃん」
後ろを振り向いてみるとそこには,息を切らしてる千夜ちゃんと何故かシャロちゃんがいた。
「シャロちゃんまで...どうしたの?」
とりあえず何も知らない振りをしてみる。
シャロちゃんは本当にどうしたんだろう思うけど。
「レンちゃん...何か気に食わない事があるなら何でも言って頂戴」
...はい?
「もし,それで家出したくなったんなら謝るから。家出なんかしないで」
「...家出ってなんの話?」
俺がそう千夜ちゃんに答えると,千夜ちゃんはポカーンとしていた。
「え?だ,だって夜に荷物を持たずに出て行ったって事は家出じゃ」
「はあ...やっぱり千夜の早とちりだったか」
ああ~,なるほどなるほど。つまり...
「千夜ちゃんの勘違いで巻き込まれた訳か,シャロちゃんは」
「そういう事になるわね」
「...レンちゃん」
千夜ちゃんが俺に近づいてきたので嫌な予感がした為,一歩後ろに下がった。
「...どうして後ろに下がるの?」
「いや~なんでだろうね~」
一歩,また一歩と近づいてくるので俺も一歩,また一歩と後ろに下がった。
「レンちゃん大丈夫よ。何もし・な・い・から」
その笑顔が怖いよ千夜ちゃん!その言葉を信じる事は出来ないよ!
「...っ!?」
俺はすぐ後ろに向かって走り出した。
「あっ!?あんこ!」
千夜ちゃんがそう叫ぶとあんこが俺の前から走ってきて,顔を目掛けてジャンプしてきた。
「なあにぃぃ!あう!!」
見事に俺の顔面にあたり,衝撃が少しきた。
「あいてて...はっ!?」
気付いた時にはすでに遅く,後ろに気配を感じた。
「レンちゃん♪」
「はは...千夜ちゃん笑顔が怖いんだけどっていはい!いはい!(痛い!痛い!)
千夜ちゃんは思いっきり,頬をつねってきた。
「心配したのよ!昨日あれだけ声をかけてねって言ったのに!」
千夜ちゃんの顔にはいつもの笑顔はなく,凄く悲しい顔をしていた。やっぱり黙って出たのがまずかったかな...
「...ひやはん(千夜ちゃん)ひたたた!(痛たたた!)
「小さい時だって何も言わずに遊んでくれなくなったし!いつも一人で抱え込んで相談もしてくれないし!」
「ごめんなはい!ごめんなはい!(ごめんなさい!ごめんなさい!)」
「ち,千夜もういいんじゃない?流石にレンちゃんが可哀想よ」
シャロちゃんがそう言うと,千夜ちゃんは頬をつまむのをやめてくれた。
「痛かった...」
「...やっぱり私って信用がない?」
千夜ちゃんは落ち込み俺に聞いてきた。
「そ,そんな事ないよ!ただ...」
「ただ?」
「千夜ちゃんに甘えたくない」
千夜ちゃんにそう言うと,千夜ちゃんはさらに落ち込んでしまった。けどそれは本当に思ってる事だ。
「や,やっぱり信用されてないって事!?シャロちゃんは!?」
「ちょ,ちょっと落ち着きなさいよ。千夜」
「小さい頃。俺は,いつも千夜ちゃんの後をついていってた。それはゆめお婆ちゃんの時も...けど,それは忘れられないってのが本音」
それは,ゆめお婆ちゃんが亡くなってずっと家に引きこもってた時だった。
いつものように部屋で泣いてると優しく声をかけてくれて「遊ぼう」って言ってくれた人がいた,それが千夜ちゃんだった。
千夜ちゃんはどことなくゆめお婆ちゃんに似ていて,居心地を感じていた自分がいた。
けどそれは甘えてるんじゃないかって思った,そしたらもしまたいなくなったらと思うと凄く悲しくなった。
「それからかな?強くならなきゃって思うようになったのは..」
「レンちゃん...」
「...たまには甘えてもいいんじゃない」
シャロちゃんはボソッと呟くと優しい顔をして,俺の頭を撫でてきた。
「へ!?シャ,シャロちゃん!?」
「朝のお返し...私もねやっぱり自分が頑張らなきゃて思って今の学校に入ったの。バイトも親に迷惑をかけたくないからいくつも掛け持ちしてるんだけど,やっぱり上手くいかなかった時とかは落ち込んだりする...けどそういう時に千夜が声を掛けてくれるのよ余計なお世話だってね」
そうだったのか...シャロちゃんも結構大変なんだな。
「けどね...不思議と気持ちが軽くなるの...確かに早とちりだし千夜に巻き込まれてろくな目にあった事ないけど,それでも...千夜には感謝してる」
「シャロちゃん...」
「...うんシャロちゃんの言う通りかも...千夜ちゃんはいつもそうだったよ。優しくて俺の大切な友達で大好きなお姉ちゃんって感じだった」
考え方...ちょっと間違えてたみたいだな俺。
「...ありがとう,シャロちゃん。おかげで考え方が間違ってた気付いたよ。千夜ちゃんごめん。小さい時もいきなりなんも言わずに遊ばなくなったりして」
「レンちゃん...じゃあ,これからは」
「うん。ちゃんと相談もするし頼み事とかもしたりする。だから,そんな顔しないで...いつもの明るい笑顔の千夜ちゃんでいてほしい」
俺はそう言って,千夜ちゃんに手を差し伸べた。
「レンちゃん...うん。」
千夜ちゃんは俺の手を取り立ち上がった。
ちょっと恥ずかしかったけど...おかげ自分の考えを見直すいいきっかけになったかも。
「じゃあ,これからは夜出掛ける時も一緒に出掛けましょう。やっぱり一人じゃ心配だから」
この過保護な所は治してほしいけど...
「そういえば,レンちゃんどうしてこの公園に?」
「あ,すっかり忘れる所だったよ。それはね,あれを見て解ると思うんだけど」
そう言って俺は,三脚にセットされてるカメラに指を指した。
「カメラ?」
「うん。星空を撮ってたんだちょっと待ってね...よしっと」
三脚に設置されてるカメラを外して画像を確認すると,千夜ちゃん達が覗き込んできた。
「ちょ,ちょっと二人とも近いよ!」
「いいじゃない♪これも慣れる為の練習♪」
「そうよ~レンちゃん♪」
まあ,ある程度は二人に対しては慣れてきたから大丈夫だけど...やっぱり恥ずかしい!!
「...まあ頑張るけど...さっき撮ったのがこれかな」
画像を選択して見せると二人は感激したのか,興味津々に見ていた。
「綺麗ね...」
「星空ってこんな綺麗なんだ...」
「うん...だからこの公園に来たんだ。ここなら明かりがあまり入らないし,いい写真が撮れると思ったから」
思った通り写真が撮れたから結構満足出来たしな。
後は明後日パソコンが実家から届けばデータを移せるから助かるんだけど。
「けど,レンちゃん。やっぱり一言言わないと誰だって心配すると思うの。だから,これからはちゃんと」
「わ,分かってるよ。だから,さっき言ったじゃん」
「ならいいんだけど...」
危ない危ない。また説教される所だったよ。
「あ,そうだった...レンちゃん今日ありがとうね。お弁当美味しかったわよ♪」
そう言ってシャロちゃんは弁当箱を渡してきた。
「どういたしまして。美味しかったなら良かったよ,ってシャロちゃん頭...」
「へ?頭?...っ!?いやあああ!!」
あんこがいつまにかシャロちゃんの頭に乗っていたので,シャロちゃんは慌てだした。
「あんこ。こっちおいで」
俺がそう言うとあんこは,俺の頭の上に飛び乗ってきた。
「だ,大丈夫シャロちゃん?」
「な,なんとか...」
やっぱり苦手みたいだな...にしても。
「シャロちゃんからあんな言葉聞いたの,初めてだったよ」
「え?...っ!?あ,あれは!そ、その」
シャロちゃんは顔を真っ赤にして恥ずかしがっていたので,つい可愛いと思ってしまった。
「シャロちゃんはツ・ン・デ・レだもんね~」
「う,うるさ~い!!」
シャロちゃんはポカポカと千夜ちゃんを叩いて怒っていた。
そんなやり取を見て改めて二人には感謝しなきゃと思った。
「あんこ...俺この町に来れて良かったかも」
あんこは何も言わずにじっとして俺の頭に乗っていたが,逆に居心地を俺は感じていた。
「レンちゃ~んそろそろ戻りましょう♪」
「あ,待ってよ千夜ちゃん」
俺は,カメラと三脚をケースにしまうとそれを持って千夜ちゃん達と甘兎へと帰った。
帰る途中に千夜ちゃんがシャロちゃんをからかって怒らせていたけど,その雰囲気に幸せの温もりを感じながら明日から頑張ろうという気持ちになった。
はい♪いかがでしたか?今回もちょっとシリアスでしたが、大丈夫だったかな(。>д<)ちなみにカメラで星空を撮るのは一眼レフじゃないと難しいです、けど撮れた時の感動はやっぱり今でも忘れられないですね(^ー^)話がそれてしましいましたが次回は原作にあったパン作りの話です♪ではまた次回♪