ハイスクールD×F×C   作:謎の旅人

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第5話 私は妖怪?

目を覚まします。あれ? なんで生きているのでしょう? 確かに私は死んだはずです。別にあの白い空間でもありません。体の感覚もあるし、痛みもない。体を見れば傷1つない。その理由は分からないけど、私は生きているんだ。

 

辺りを見回す。そこは血の海でした。私はそこで3つのなにかを見つけました。3つのうち2つはお姉ちゃんとお兄ちゃんです。もう2匹は死んでいて2匹とも腹の部分に大きな穴を空けていました。中から覗くのは内蔵の一部だけ。他はなかった。

 

その有様を見たとき私は泣きじゃくりました。2匹の亡骸と私の先にはもうひとつの何かがありました。私は泣きながら恐る恐る近づきます。それは私たちを殺した獣でした獣は体中に返り血を浴びたまま寝ていました。

 

正体がわかった瞬間、私の中にある感情が湧きました。それは憎しみと殺意です。こいつが私たちを殺した! こいつさえいなければ私たちは死ぬまで幸せでいられたのに!! 返せ! 返せ!! 返せえええええ!! お兄ちゃんとお姉ちゃんを返せ!!!!

 

黒く重い感情を持ち、私は跳びかかります。しかし、獣はその瞬間目を覚まし、私の攻撃を右に避けました。獣は私が獣の左側に来た瞬間、体の向きを変え頭突きをしてきました。

 

私は跳びかかっている途中なので避けることができません。私はその攻撃を受けます。

私の小さな体は簡単に吹っ飛び、木に体をぶつける。ぶつかった瞬間にバキバキという音が体から響いた。

 

痛い……けど止められない。今は目の前のあいつを殺す! 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロすコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス――――――

 

私の意識はさらに黒い何かに包まれました。それとともに憎しみを含んだ何かが入ってきた。

 

 

 

 

気づけば私の目の前にはバラバラになったに何かがありました。私はすぐにそれが何か理解しました。獣です。誰がやったんでしょう? 私は違和感がある前足を見ました。その足は血と肉片で染まっていました。見れば体も血や肉で染まっていました。

 

私が獣を殺したようです。なぜか罪悪感を感じません。心の中を占めているのは無でした。何も感じません。これは私が人間じゃないから? 

 

あれ? 景色が横になっています。ああ、私が倒れたようです。体中に激痛が走っています。倒れたせいではありません。そういう痛みじゃありません。私はその痛みによって意識が薄くなっていくのを感じていました。

 

そのときお兄ちゃんたちの姿を見ました。ああ、お兄ちゃん、お姉ちゃん、ずっと愛していました。私は1人でこれからも生きていきます。でもすぐにきっと天国に行きます。そのときまで見守っててください。そこで私の意識が切れた。

 

 

 

 

 

目を覚ますと、気温や木の様子が違うのを感じました。周りを見回すと、そこは別の景色になっているような気がしました。そういえばと、お兄ちゃんとお姉ちゃんの亡骸を探します。しかし血の跡や肉片がありません。あったのはバラバラと散らばっている何かの骨とあきらかにどんな動物だったか分かるようになっている2匹分の骨でした。

 

私が気絶してからそんなに経っていないと思います。困惑しています。だっていくら気絶していたとはいえ、こんなに早く白骨化するなんてありえません。でもこれはお兄ちゃんとお姉ちゃんの骨です。絶対です。

 

とりあえず、お姉ちゃんとお兄ちゃんの骨を埋めます。埋めた後、その場で声を上げ思いっきり泣きました。もう私の家族はいません。私を守ってくれる者はいません。これからは1人で生きて行く。初めて1人になりました。寂しいという悲しみの感情だけが心を占めていました。

 

私は泣きながらこれからをどうしようと考えていました。お兄ちゃんとお姉ちゃんももうすぐ寿命だったと思います。つまり私の命もあとわずかです。私は旅をしようと思いました。人間を見てみようと思ったのです。この土地に来る途中は珍しく人工物を見ませんでした。なので死ぬ前に久々に人間の姿を見ようと思います。

 

まあ、それまでに寿命で死なないといいですが。私はお兄ちゃんたちの墓の前で今日1日を過ごしました。そして、翌日。私は最後にお兄ちゃんたちの墓に参ってから旅に出ました。

 

歩いてやっと気づきました。明らかに気絶してから数日ではなく、数ヶ月経っていることに。でもそれなのにお腹がすきません。お兄ちゃんやお姉ちゃんが死んでからいろいろとおかしい気がします。

 

死んだはずなのに生きているし、獣は私がいつの間にか殺していたし、気絶は数ヶ月間していたようですし、本当におかしいです。しかし、あの世にいる家族に心配させないようにするために今は、自分の最後の目標を達成したいと思います。

 

 

 

 

 

あれから旅をして1ヶ月、またあることに気がつきました。まず、ここが日本であるということ。日本なのにオオカミがいること。そして最後に、人間がいないということ、です。

 

人間を見ることを目標として旅をしてきた私にはショックで、その事実が分かったとき

3日間寝込みました。それから私はその原因を探りました。いくつかの仮説を立てました。その中の高い可能性があるものは

 

・実はパラレルワールドで人間が存在しないifの世界。

 

・間違って過去に送られた。

 

・ここは未来ではるか昔に人類は滅びた。オオカミがいたのは別の大陸から来た。

 

の3つです。

個人的には2つ目だとありがたいですが、人間が現れるまでにはさすがに私は生きていません。他の2つでもそうです。

 

どうしましょう?目標をいきなり失いました。目標は最後の余生を過ごすものだったのに……。こういうときはブラブラと旅をするのが一番です。目標なんて旅をしていていつかできます。

 

こうして私の第2の目標は寿命までブラブラと旅をすることになりました。

 

 

 

 

 

 

旅をして何年かが過ぎました。しかし、私の体は衰えることはなく、死ぬことはなく旅をしています。前から思っていましたが、私のこの狐の体って、他の大人の狐より小さいとかじゃなく幼いんです。まるで成長が止まったように。

 

だからお兄ちゃんたちが大きく見えたんですか。けど、一番下の妹だからお兄ちゃんたちが大きく見えて良かったというのがあります。ああ、もっとお兄ちゃんたちに甘えたかった。私ももう大人なのにまだ子供っぽいです。

 

 

 

 

さらに時間が経ちました。どのくらいかというと50年です。もう笑うしかありません。

50年ですよ? 家族がいなくなって、もうすぐで寿命だと思って旅をしたのに。この体はいまだに衰えません。

 

体もどこも悪くなっていない。私は未だにこの体に疑問を持っている。私は転生者。これもその影響なの? だとしたらなに? そういう特典は貰っていないし頼んでいません。

 

今いるところは大体アメリカ大陸です。どうやって来たかって? なんと大陸がつながっていたんです。まあ、それに気がついたのはヨーロッパを旅していたときですけど。50年旅をしていると数多くの危険に遭遇します。

 

しかし、経験から学んだ知識を利用したり、他の狐にいろんなことを学んできたのでうまく生きています。初めて他の狐に会ったときは驚きました。そして、知らなかったことも知ることができました。

 

例えば我々動物は同じ動物同士じゃないと意思疎通ができないとかです。それに地方によって使っている言語が違うようです。なので、覚えるのに苦労しました。まあ、3日で覚えましたが。今では、どこへ行っても言葉が通じます。えっへん。頭はいいようです。

 

まあ、行く所先々で子ども扱いされますが。狐の寿命は10年くらいです。つまり私から言わせて見ればあっちのほうが子どもですけどね! 年のせいか、転生するときの記憶が曖昧になってきています。この世界が何かのアニメだったというのは覚えているんですけど。

 

知識のほうも転生したアニメの内容やキャラクターが分かりません。原作ブレイクするな、ということでしょうか? まあいいです。それまで生きている可能性は低いですし、ここがそういう世界ではない可能性もありますから。

 

旅の成果としてはいくつかの種類のサルを見つけました。サルはどうやら人類の先祖のようです。つまりここは過去のようです。ここが人間のいない世界でも人類が滅んだ未来でもないようです。

 

でも、私が知っている人類になるにはあと20万年生きなければなりません。無理です。超無理です。精神的に持つでしょうか? あとさすがに20万年は生きることができるんでしょうか?

 

他にいろいろな植物の原種を見つけました。なぜか研究したいなんて意欲が湧きます。私、確か女子高校生から転生したんですよね? 私の前世は何をしていたんでしょうか?でも今狐ですから何もできません。やっぱり不便です。

 

そういえば、身体能力が上がっているような気がします。襲われて死んだときからです。速さはチーターにも負けません。力も上がっているようです。狐の中では雄の狐が相手でも負けませんでした。

 

雌である私からしてみたらあまりうれしくないです。それは人間の感覚だからでしょうか? 私って本当にたくましくなりましたよ。

 

でもさすがに、天敵の獣と力比べしようとは思いません。他にも体力はおかしいというほどです。だって10キロをトップスピードで走っても息切れひとつしません。

 

 

 

 

 

 

 

 

今日で生まれて100年になりました。あれから何があったかって? 特にありません。ただいろんな物を見るだけ。結構楽しいですよ。例えば私の見たことのないものを観察したりすることです。私の知っている植物と比べ、どこがどう違うのか調べていました。

 

けど、起きてびっくりです。尻尾が1本から2本に増えてました。他にも私の中に何かがあるような感じがします。今はそれを確かめられません。しかしこの何かは、いつか分かるような気がします。でも尻尾が2本ですか。

 

もうこれってあれですよね? ほら幻想生物だとされているあの生き物です。まさか私がその生物だったなんて……。これで私の体の秘密が分かりました。

 

 

あの世にいる家族へ

 

私の正体が分かりました。

どうやらわたしは、狐の妖怪のようです。

 

 

 

私は狐で妖怪です。

 




今回のは1話の話を分割したのものです。

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