ハイスクールD×F×C   作:謎の旅人

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第36話 私もうれしいです!

で、でも、二人は私のこの選択に何の不満ではないのだろうか? 二人を疑うわけではないが、気になってしまう。

 

 

「お、お主らはこれでよいのか? わ、私は一人じゃなくて二人を……」

「いいにゃん♪ だって御魂ちゃんは私たちをちゃんと愛してくれるんでしょう?」

「当たり前じゃ。てきとうに決めるなんてできるわけがないじゃろう」

「だからにゃん♪」

 

 

黒歌はとても機嫌が良さそうに言う。隣の白音もそうだ。頬は薄く赤く染まっていて、それを見られないようにとやや俯いていた。しかし、チラチラと私を見てくるのでそれが分かったのだ。ふふふ、可愛いな。

 

 

「それにね、実を言うと心の中ではこうなりたいなって思っていたの。そしたら白音とも仲が悪くならずに済むし、誰も不幸にもならないからね」

「そうじゃったならなぜそう言わなかったのじゃ?」

 

 

そうしたら二人だって喧嘩なんてしなくてよかったのに。

 

 

「それは……考えたら当たり前でしょう。普通、二人同時に付き合うなんて思わないもん。どちらか一人だと思うわよ」

「む、それもそうじゃな」

 

 

複数人と付き合うなんてあんまり聞かない。そんなのアニメの世界だ。アニメとかならハーレムとか言うやつで複数人と付き合ったりしていた。私も見てみたが正直なところ、そうなることなんてありえるのかなと思っていた。

 

だが、ありえたし現在進行形でハーレムという自分を好きな二人に囲まれていた。しかもまさか、自分がハーレム系の作品の主人公側になるとは思わなかった。私が男の子だったらとてもただ喜んでいただろうが、女の子である私はちょっと複雑だ。

 

はあ~、一応黒歌によって恋愛には性別は関係ないってなっているけど、それでもついさっきまでは異性しか恋愛の対象だったのだ。まだちょっと完全には心の整理ができていない。

 

 

「それで、か、確認だけど私たちは御魂ちゃんの恋人でいいのよね?」

「そ、そうじゃな。そうなる」

「そ、そっか。えへへへ」

 

 

黒歌はうれしそうに体をくねらせて喜びを表していた。見ているこっちもなんだか微笑ましく思える。

 

 

「フェリさんや咲夜さんにこのことを言うんですか?」

 

 

白音が私に聞く。

 

 

「う~ん、そうするしかあるまい。二人は私の娘じゃ。母親である私のこのことは言っておいたほうがいいに決まっているじゃろう」

「そうですか。でも二人は私たちのこの関係をどう思うんでしょうか? 許してくれるのでしょうか?」

 

 

白音は不安げにそう言う。私はそんな白音の頭を撫でる。

 

 

「まあ、大丈夫じゃろう。あやつらはそんなことを気にせん。特に咲夜はそうじゃ。あの子は性別などは気にせんからな」

「なぜですか?」

「あやつは元が刀だからじゃよ。妖怪化して自分を手に入れても刀でいた時間が長く、人間でいた時間が短いからまだそういうのは気にせんのじゃ」

 

 

なので異性とか関係なく接することができる。しかも、咲夜の性格からしても明るくて活発だ。来年から咲夜も学校に行くことになるので、きっと性別関係なく友達をつくるだろう。そして、クラスの人気者になるかもしれない。いや、フェリの妹ということもある。確実だろう。

 

ただ心配なのはその性格のせいで一部の女子たちからいじめを受けないかということだ。大抵クラスの人気者はプライドの高い女子によっていじめられるから。しかし、私が心配しているのはいじめを受ける咲夜ではなくて、いじめをするほうである。

 

咲夜はきっと自分がいじめられているのだと知れば、いじめた奴らを痛い目に合わせるだろう。もしかしたら殺しちゃうかもしれない。だから心配なのだ。咲夜は『咲夜』によって斬り殺された者の怨みなどの負の心によって妖怪となったのだ。誰かを殺すことに何の躊躇いもないだろう。ただ虫を殺すときのように。

 

 

「ならフェリさんは?」

「フェリ、か。まあ、フェリも大丈夫じゃ。何せ数日前の私たちを見てそうはならなかったんじゃからな」

「!! そ、そうですね」

 

 

白音は顔を赤くして俯きながら言った。思い出して恥ずかしくなったのかな?

 

 

「とにかく二人についてはほとんど問題ない。心配しなくていい」

「分かりました。ならいつまでもくねくねとしている姉さまを止めましょう。なんだかさすがの私でも気持ち悪く思えてきました」

 

 

白音がチラッと見る。その視線の向こうには未だに体をくねらせる黒歌がいた。時折にゃ~などと鳴いている。可愛いけど白音の気持ちも分からなくもない。さすがに可愛いを越して気持ち悪く見えてきてしまう。私たちはそろそろ黒歌を止めに入る。

 

 

「黒歌、落ち着け」

「姉さま、だらしないですよ」

 

 

私たちは黒歌を落ち着かせる。

 

 

「うにゃ、ごめん。落ち着いたにゃ」

「うれしいのは分かりますが、やりすぎはダメです。同じ気持ちの私でさえもちょっと思うところがありました」

「うう……そんなに?」

「ええ、そんなにです」

 

 

二人を見ると白音のほうが落ち着いていて姉に見えてしまう。まあ、黒歌ってそういう見た目だし性格だからね。なんとうか、黒歌は咲夜みたいな性格だ、ちょっと違うけど。

 

 

「気をつけてくださいよ。これで御魂お姉ちゃんの姉さまへの高感度が下がるのはいいですけど、私までにも影響が及んだら怨みますからね」

「ひどっ! 私、お姉ちゃんだよね!? なら姉妹一緒にじゃないの!?」

「…………私を捨てようとしたくせに」

 

 

白音がジト目で低い声で言った。ひいっ、こ、怖い!!

 

 

「うっ、ごめんね。あれは私が悪かったわ。あなたは私の大切な妹だもの」

「どんな理由でも捨てないでください、絶対に」

「約束するわ」

 

 

黒歌は白音を優しく抱きしめた。さっきは白音のことを姉だと言ったが、それでもやはりこういうことには黒歌が姉だ。本物の姉には勝てない。この光景を見ると昔を思い出す。昔は狐だったから抱きしめられるということはされなかったけど、お兄ちゃんとお姉ちゃんにキス(正確には顔などをペロッと舐める行為)をされていたな。

 

もう昔みたいに誰かに甘えられないのが嫌だな。私の精神は幼いもの。本音を言えばもっと甘えたいのだ。でも、甘えられない。私はもう母親だから。

 

 

「うにゃ? どうしたの? そんな寂しそうな顔をして」

「そんな顔をしていたか?」

 

 

私は自分の顔を触る。やっぱりちょっと昔のことを思い出したからかな?

 

 

「うん、していたにゃ」

「はい、していました」

 

 

はあ~これじゃ心配かけちゃうな。それに二人とはついさっき恋人になったばかりなのに。

 

 

「どうかしたの?」

 

 

黒歌と白音が不安そうな顔で私の顔を覗き込む。

 

 

「大丈夫じゃ。ただ昔を思い出しただけじゃよ」

「昔? どんな昔を思い出したの?」

 

 

黒歌が興味を示す。隣にいる白音も興味のないようにしているが、耳がピコピコと動いていた。どう見ても興味がある。

 

 

「そんなに興味があるのか?」

「当たり前にゃ! だって好きな人の過去よ。あるに決まっているわ」

 

 

そうなんだ。私にはそういうのはないみたいだ。

 

 

「で、聞いてもいい?」

「よい。別に隠すようなことじゃないからのう。じゃが、今は無理じゃぞ」

「なんで?」

「昔の話なんて私の娘である二人にも言っておらんからな」

「私たちが先に聞くというのは?」

「ダメじゃ。フェリたちに先に言うことがあってもお主らが先というのはない」

「うう~恋人なのに?」

「恋人でもじゃ」

 

 

そこだけは譲らない。娘たちが先だ。黒歌はどうしても聞きたいようで、上目遣いをした。うん、可愛い。とても可愛い。もし私が男だったら今すぐにでも襲ってしまうかもしれないよ。しかし、それでも私の意志は変わらない。

 

 

「ダメ」

 

 

きっぱりと言った。黒歌はそれでもまだあきらめないようで、まだ何をしようとする。そこに、

 

 

「姉さま、そろそろあきらめたらどうなんですか? まさか姉さまのわがままで御魂お姉ちゃんを困らす気ですか?」

「だ、だって聞きたいんだもん。白音だってそうでしょう?」

「………………………………………」

「聞きたいんでしょう?」

「…………正直言うと聞きたいです」

「ほら! なら―――」

「でも! ……私は我慢します」

 

 

本当にこういうときは白音が落ち着いていて自制もできて姉のように感じ取れる。白音のこの大人らしさに黒歌は何も言えなくなっていた。黒歌はう~と唸るだけだった。黒歌、あきらめて。どんなにしたって私は言わないんだから。

 

 

「……分かった。我慢する」

「うむ」

「でも、近いうちに言ってよ」

「分かっておる。ここ数日で言う」

 

 

こういう話は夜に話しをしたほうがいいから、みんなで布団に入って聞かせようか。ふふふ、夜にお話か。咲夜たちと黒歌たちはどちらも家族としては見ているようだが、それでもまだ絆とかそういう精神的な関係は構築できていない。

 

これを機に仲良くなればいいな。まあ、話だけじゃ少ししか深まらないと思う。そうだとしても、ふふふ、まだ考えてあるもん♪ 絶対に仲良くさせるんだからね♪

 

 

「姉さま、これで我慢してくださいね」

「分かっているわよ。我慢する。御魂ちゃんも話してくれるって言ったしね」

 

 

黒歌が私をチラッと見る。大丈夫だって。ちゃんと話すから。これは私たちの家族の仲を深めるという意味もあるからね。なので、話さないとという選択肢は私にはない。それまでにどこから話すか決めないとね。

 

う~ん、やっぱり私が子狐の頃から? それとも妖怪と自覚してから? 神様になった頃? まあ、一応思い出せる範囲で話そうかな。まだ時間はあるし、ゆっくりと決めよう。

 

 

「それじゃ、御魂ちゃん♪ せっかく恋人になれたことだし、恋人として初めてのキスをしない?」

「はい?」

「キスをしない?」

「な、なぜじゃ?」

「恋人だからにゃん♪ そうでしょう?」

 

 

い、いきなり? いきなり何を言うのだろうか。いや、黒歌の気持ちは分かるよ。だって恋人になったんだもんね。私も実のことをいうと黒歌と白音のその湿った唇に自分のを触れさせたいと思っている。

 

そして、めちゃくちゃにして色々と乱れさせたい。それはもう恥ずかしいくらいに。そう思っているのだ。はう~、な、なんだか私、考えていることがエッチだよ。私は恥ずかしくなり俯いた。きっと私の顔は真っ赤になっているだろう。顔が熱いことがそれを示す。

 

 

「うにゃ? どうしたの?」

「な、なんでもない!」

「そ、そう? ならいいけど。それでキスしよう?」

 

 

私は俯いたまま小さく首を縦に振った。だ、だってさっきのとおり、別に嫌じゃないもん。むしろ好きだもん。

 

 

「にゃん♪ 御魂ちゃんからの許可もあるみたいだし、さっそくやっちゃうにゃ。でも、まずは白音からね♪」

「わ、私が最初ですか?」

「そうよ。だって今までは私が最初で最後が白音だったじゃない? だから白音が最初」

「う、うう~、わ、私が最初、ですか」

 

 

私はどっちでもいい。恥ずかしいからこれを誤魔化すためにキスで興奮したい。は、早く決めて!

 

 

「ん? 嫌なの?」

「い、いえ、そういうわけではないのですが、私からなので緊張して……」

「大丈夫。押し倒して思い切ってすれば大丈夫だから」

 

 

え? ま、また押し倒されるの? 確かに私の後ろには布団があるから押し倒されても大丈夫だ。

 

 

「な、なるほど。分かりました」

 

 

どうやら白音は私を押し倒すようだ。もういいよ。分かったよ。私は押し倒される覚悟を決めた。もう押し倒されることに慣れたから。白音は緊張した顔で私の前に移動した。私は俯き状態からちょっとだけ顔を上げて白音を見ていた。白音が私の両肩に手をかけた。でも、その前に白音に言わないといけないことがある。押し倒されたときにちょっとひどいことになったから。

 

 

「や、優しくして……?」

「!! は、はい!」

 

 

白音は私の言葉の通りに優しくゆっくりと布団の上へと押し倒しす。布団が私の体を優しく受け止め、私の金に輝く長い髪が放射線状に広がった。

 

 

「目を……瞑ってください」

 

 

白音に言われたとおり、私は静かに目を瞑った。もちろんのこと何も見えない。が、気配で白音の顔が迫ってくるのが分かった。どんどん迫ってきてついに白音の吐息まで感じられるほどまでに。おそらく私がちょっと動かせば触れるほど。

 

 

「……ん」

 

 

白音と私の唇が重なった。先ほどと同じ幼く小さな唇だ。その唇はすぐに離れる。離れてすぐにまた重なった。この重なっては離れる、を何度も繰り返される。まるで最初はウォーミングアップだとでもいうかのように。あうぅ、やっぱり白音のキスってゆっくりと快感を与えるやつだよ。

 

焦らすなんてこの子は私に快感を与え膨らませて理性というか、超えてはいけない部分を爆発させて、自分自身を襲わせようとでもしているのだろうか? そう感じさせる。逆に黒歌は激しいキスなので最初から理性とかそういうのなんてない。

 

爆発もしないので襲わずに、黒歌がリードするだけだ。色々と考えながら私は白音とのキスを楽しんでいた。

 

 

「ん、ちゅ……はむっ……ん、んん……」

 

 

私たちの声が小さく響いた。私たちの手はいつの間にか握り合っていた。さらに指を絡めあっていた。ああ、もうこのままもっともっとキスをしていたいな、と思っていたそのとき。誰かが部屋の外の廊下を歩く音がした。

 

だけど、キスをしていた私と白音、それを見て興奮した黒歌は全く気づかなかった。こんなエッチなことをしていて気づかなかったなんて恥ずかしいよ。その足音はこの部屋の前に止まる。そして、襖が開かれて、

 

 

「お母様、黒歌、白音。朝食の準備が………で、き……………………まし………………………………た、よ…………………………………………」

 

 

フェリが笑顔のまま固まった。もちろんフェリに気づいた私たちもだ。私と白音はその体勢のまま顔だけをフェリのほうへと向けていた。さっきまでキスをしていたため、唾液の細い糸が私たちを繋いでいた。

 

あれ? この状況ってやばいよね? 一見私は白音の下敷きになって襲われているようにも見える。だが、私のうれしそうな顔を見ればそれは違うことが分かる。フェリにはもうそのことが分かっているだろう。私はフェリの次の行動が分かった。




分かりにくいところなどあればお願いします。
あと、アドバイスのほうも。

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