ハイスクールD×F×C   作:謎の旅人

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第17話 私、猫たちのために動きます。

黒歌と白音を悪魔に転生させたあと、私は夏休みのことを考えていました。もちろん、その夏休みはフェリの休みです。そうですね。まずは2人のはぐれを解きましょう。そのためにサーゼクスのところに行きます。

 

 

「白音、黒歌」

 

 

私の声に2人が私のもとへ来ます。

 

 

「なんでしょうか?」

「なにかにゃん♪」

 

 

ちょっと私たちに警戒を薄めた白音とニコニコ顔の黒歌が来ます。咲夜とフェリはその後ろにいました。

 

 

「今から冥界へ行くぞ」

「……なぜですか?」

「お主らははぐれ悪魔じゃ。だからそれを無くすためじゃよ」

「できるんですか? そんなこと」

 

 

疑いを持っている白音に私は近づきます。背はほとんど変わりません。なんだか、これじゃあ姉妹みたいです。本当は私の方がとてつもなく年上なのに。まあ、いいですけどね。この姿も気に入っていますから。

 

 

「できる。お主らは私の大事な家族になった。私は家族を見捨てない」

「「「「……」」」」

 

 

私の一言に4人が呆然とします。特に白音と黒歌は頬を赤く染めていました。私はその反応の意味が分からず、首を傾げます。

 

 

「うう、それ反則にゃん」

「姉さまの言うとおりです……」

 

 

黒歌と白音は私から顔を背け言います。一方の咲夜たちも顔を背けていました。まあ、ともかく冥界に移動しましょう。私は4人を連れ、この家の地下へ移動します。地下はほとんど何もなく、あるのは1つの魔方陣だけです。

 

 

「へえ~、こんなところがあったんだね。ところで、この魔方陣はなんの効果があるの?」

「ただの転移魔方陣じゃよ」

 

 

それに黒歌が首を傾げます。疑問に思っているのはきっとこの転移魔方陣のことでしょう。魔方陣は複雑に描かれています。転移魔方陣にはこんなに複雑なものはいりません。

 

 

「なんでこんなに色々と複雑に描かれているの?」

「ふむ。今から転移する場所はお主らが使う転移では、別の場所へと飛ばされるという結界が張られておる。この結界の効果を受けないようにするためには強力な結界が必要じゃ。その結界がこれじゃ」

 

 

私は魔方陣を指で指します。黒歌だけでなくほかの3人も納得したという顔をしていました。あれ? 黒歌と白音はともかくなんでフェリと咲夜が納得したという顔をしているんですか? もしかして、説明しませんでしたか?

 

 

「ではもうよいな?」

「「「はい」」」

「もういいにゃん」

 

 

私たちは魔方陣の上に乗ります。全員がいるのを確認し、魔力を込めました。魔力を込められた魔方陣は光輝きます。そして、一層輝くが強くなると周りの景色が一瞬で変わった。といっても、変わった場所は少ない。それはここが冥界の私の家の地下だからです。

 

 

「さて、着いたぞ」

 

 

私は4人を一階へ向かいます。ここの家は人間界と違いちょっと小さな家です。田舎の家みたいなものです。設備も田舎と同じようなもの。電気は通ってないので不便ですが、ここは自然を多くした場所。

 

そんな設備は必要ありません。私は空気を思いっきり吸います。入ってくる空気はとても澄んでいて美味しいものでした。ここならみんながよく言う「空気が美味しい」が分かります。

 

 

「ふにゃ~~、ここは空気が美味しいにゃ」

「はい、美味しいです」

 

 

黒歌と白音は空気を思いっきり吸っていました。そこへ私の式紙がやってきました。手には一枚の手紙がありました。

 

 

「マスター、手紙を預かっています」

「いつから?」

「2日前です。どうぞ」

 

 

私は式紙から手紙を受け取ります。開けてみればレーティングゲームについてです。相手はどこかの上級悪魔です。相手が勝てば私の土地の所有権を貰うというものです。レーティングゲームでこんなのいいのでしょうか?

 

ちなみに私が勝てばお金が貰えるそうです。日本円にして約5000万円。貰ってもこんなに使わないと思うんですけどね。まあ、貰っておいて損はないはずです。場所などは相手が用意するそうです。

 

 

「私にも見せてにゃん」

「ほれ」

 

 

黒歌に手紙を見せます。見ている黒歌の顔が少しずつ険しくなってきた。読み終えたのか突然に顔を上げてきた。その顔は怒りが現れていました。

 

 

「受けるの?」

「受ける」

「なんで!! こんなの絶対になにかあるって!! このゲームは公式なの?」

 

 

そう言われるとなんとも言えません。どう考えても罠があるような気がします。けど、私は関係がありません。あってもそれを潰して勝ちます。

 

 

「私はこれを受ける。それが公式であろうがなかろうが」

「なんで!!」

 

 

怒っている黒歌に近づく。私との距離は僅か数センチに迫ります。

 

 

「私はその程度でやられはせん。私を信じよ。私は家族を危険に晒さない。絶対にだ」

「……分かった。御魂ちゃんを信じる」

 

 

私は子供をあやすように頭を撫でようとしますが、身長に差があって届きません。

 

 

「あはは……。頭下げるね」

 

 

空気を読んで頭を下げてくれます。私はその頭を撫でます。髪はさらさらしています。その感触をしばらく楽しみました。

 

 

「ちなみにこのゲームにはお主と白音は出場できん。いや、させん」

「どうして?」

「お主だってさっき言ったろう。このゲームにはなにかあると。私から見てお主らの実力では死んでしまうかもしれん。相手は上級悪魔でそれなりの強さだ。死ぬぞ?」

「……本当に? 私の力でも?」

 

 

そう言ったときの黒歌の表情は不安そうな声と裏腹に、笑みをこぼしていた。まるで戦うということが大好きなように。だけど、私は表情を変えない。本当のことを言えば、黒歌でも戦える。きっと相手と互角以上。

 

 

「そう。お主の力でもじゃ」

「私は戦いたい! 助けてもらった恩もある!」

「私よりも弱く、動きにもついてこれなかったお主がか? 足手まといじゃな」

 

 

私は黒歌を突き放す。このままでは自身が気付いていない心の欲求に飲まれる。だから、それを解決するまで戦わせない。

 

 

「たしかに御魂ちゃんには勝てないけど、他だったから違う!!」

「ダメじゃ」

「私の力を見せてあげる!! 『妖術、大炎蛇!!』」

 

 

黒歌の前に大きな炎の蛇が現れる。魔力で炎を出し、妖術で蛇にするですか。魔力はそう簡単に形は変えることはできない。それを可能にするのが妖術。炎蛇は私に向かってきました。その大きな口は私を飲み込もうと開けられる。

 

だけど、私には無意味。私は何もせずにただその場で立つだけ。黒歌はそんな私を見て、にやりと笑っていました。私に勝ったと思っているのでしょう。

 

 

「『力を食らう……』」

 

 

私の瞳に朱の十字が現れ、その炎蛇が吸収された。黒歌は驚き、思わず目を見開いていました。

 

 

「な、なにをした、の?」

「ただ吸収しただけじゃ。もう終わりか?」

「まだよ! 『カマイタチ!!』」

 

 

次は無数の真空波が向かってくる。私はそれは次々に避ける。

 

 

「『放つ』」

 

 

そして、さっき吸収した黒歌の魔力を使い、低威力の魔力弾を作り出します。数は15個。それらは黒歌を囲むように移動します。

 

 

 

「終わりじゃ」

「……そうみたい」

 

 

黒歌はその場に膝をつきます。それは疲れたなどではなく、降参という意味でした。黒歌を囲っていた魔力弾は消えます。そこに他のみんなが来ます。

 

 

「母様! どうしたんですか? さっきから戦闘があったみたいでしたけど!」

「ああ、咲夜。なんでもない。黒歌の力を見ていただけじゃ」

「そうですか! 私も呼んでくれればよかったのに」

「前にも言ったが、お主は手加減できないじゃろ。できるようになってから言え」

「むむ、できるようになります!」

「くくく、楽しみにしておるぞ」

 

 

私は手を口に当て、笑います。黒歌はその間も膝をついていました。

 

 

「お母様、黒歌はどうしたんですか?」

「ちょっとな」

「そうですか。まあ、いいでしょう。それより、早く行きましょう。準備することもないですし」

「そうじゃな。なら、先に門のところへ行っといてくれ。黒歌は私が連れてゆく」

「分かりました」

 

 

フェリは他2人のもとへ行きます。しばらくすると、白音が私のところへ来ました。その目は不安そうな目です。

 

 

「姉さまはどうしたんですか?」

「心配せんでよい。あやつはちょっと頭を冷やしているだけじゃ」

「……分かりました。姉さまをお願いします」

 

 

さて、黒歌を立ち直らせますか。顔を伏せている黒歌のもとへ移動します。

 

 

「黒歌、お主は強い」

「……慰めは止して。御魂ちゃんには少しもダメージを与えられなかったわ」

「当たり前じゃ。私は世界最強クラスじゃよ。私にダメージを与えたかったら、がんばることだ」

「……御魂ちゃん」

 

 

私と目が合います。

 

 

「自分で世界最強クラスって、言ってて恥ずかしくない?」

「うっ、言わないで。言ってから気付いたから」

「ふふふ、反応が可愛いにゃん」

 

 

そのときの黒歌はすでにいつも通りになっていました。

 

 

「では行くか」

「にゃん♪」

 

 

私たちは先に行っているフェリたちを追いかけます。けど、家はこの土地のほぼ真ん中にあります。そして、門は当たり前ですが端にあります。ちょっと急ぐ必要があります。フェリたちが門へ向かって数十分が経っています。

 

 

「黒歌、ちょっと急ぐ」

「分かったにゃん」

 

 

私が先頭に走ります。とはいえ、私が本気で走ると黒歌がついて来れないので、黒歌に合わせます。けどなかなか追いつきません。やっぱり向こうも急いでいるようです。まあいいですけどね。最終的に門に着けばいいのですから。

 

走り続けて数十分。城壁が見えてきました。その上には私の式紙が見えます。ただ立っているように見えますが、侵入者には容赦なく攻撃をします。

 

 

「はあ……はあ……はあ……はあ……ちょっと……待って……もう、無理」

「そうじゃな。もう走らんでもよいじゃろう」

「なんで……そんなに……体力があるの?」

「さあ?」

「うう、これでも結構体力には自信があったのに……」

 

 

黒歌も体力はあるほうです。ただ生きている時間が違いすぎただけです。こっちは万単位で生きているんです。これくらいの体力があります。

 

 

「さて、私はお主ら姉妹を鍛えることにした」

「いきなりにゃん?」

「お主らは私の家族じゃ。だから1人でも戦えるようにすると言っておるんじゃ」

「私は1人で戦えるにゃん」

「私が見るにお主は力を完全にコントロールできているように見えん。だから、私ができるようにする」

「やっぱり分かるの?」

「分かる。それにあまり力を使いたくないようにも見える」

「そう。それも分かるんだ。なら話したほうがいいかにゃ」

 

 

そう言って黒歌が自分のことを話します。悪魔になる前からはぐれになるまでのことを。その話には妹である白音がよく出ます。それだけでどれだけ白音が大切かが分かります。

 

私も白音を守ります。いえ、それだけでなく黒歌も守ります。いえいえ、私は家族全員を守ります。私にはそれだけの力があります。

 

 

「つまり、猫又の力を恐れているというわけじゃな」

「そう。さっきもそうだったにゃ。心のどこかで破壊を楽しんでいたにゃ。このままじゃあ白音を怖がらせるだけじゃなく、殺してしまうかもしれない! それは嫌!! 白音を私の手で殺したくない!! お願い!! 私はこの力を使いたくないの!!」

 

 

黒歌は途中から涙を溢しながら、私に訴えてきた。私は黒歌に近づきその体を抱く。今の私では腰当たりに抱きつくような感じです。

 

 

「分かった。だが、私はお主に別の力を使わせるわけではない」

「どうして……」

「お主は力を制御できんだけじゃ。その力は強力。それを捨てるのはもったいない。だから、私が鍛えるのじゃ」

「でも白音は怯えない?」

「それは分からん。もしかしたら、お主の危うい力を感じ取って怯えていたのかも知れんし、自分にも同じ力があるということに怯えていたのかも知れん。前者はお主が制御すればよい。後者は問題ない」

「どうして?」

「白音には妖術の才能がないからじゃ」

 

 

私ははっきりと言いました。それを聞いた黒歌は驚き目を見開きます。まだ抱きついていたので、私たちの体は密着しています。黒歌の手に力が入るのが分かる。

 

 

「それは……本当?」

「本当じゃ。じゃが、あやつには仙術の才能がある。そして、お主には仙術の才能がない」

「で、でも私は仙術は使えるにゃ!」

「それは基礎。お主は基礎しか使えん」

「嘘……」

「その証拠にお主と白音を比べると、気と魔力の量がそれぞれ違う。お主は魔力が多く、気は少ない。そして、白音は魔力が少なく、気は多い。お主も不思議に思わなかったか?」

「思ったにゃ。けど、私みたいに覚醒していないだけかと思ってたにゃん」

 

 

確かになにかをきっかけで、黒歌のようになることもあります。しかし、白音は完全に違います。あの子は妖術ではなく仙術向きです。

 

 

「さて、あやつらも結構待っているはずじゃ。行くぞ」

「……うん」

 

 

さっきのがショックだったのか、みんながいる門まで着くまで暗い表情のままでした。

 




この作品は色々と問題があり、新しく書き直そうと思い散々悩みましたが、開き直ってこのまま書くことにしました。
あれから時間も経っているので、書きかたも変わっています。
ご了承ください。

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