ハイスクールD×F×C   作:謎の旅人

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第1-13話 私は神様だよ

フェリside

 

 

「君たちは誰かな?」

「それはこっちのセリフです。あなたは誰ですか?」

「私?私は薬信御魂だよ」

 

 

お母様と同じ名前ですか。つまりお母様は操られている、もしくは乗っ取られていると考えたほう

がいいでしょう。お母様の体を操る相手に私たちは勝てるのでしょうか?

 

 

「君たちは?」

「私はフェリです」

「フェリね~。そっちのコは?」

「咲夜です!」

「咲夜ね~。うん、覚えたよ。で、ここはどこかな?」

「ここは私たちの家です」

「そっか。ゴメンね。どうやら家を間違ったみたいだね」

「?  何を言っているんですか?あなたはその体を手に入れるために来たのでは?」

「この体?ああ、私の体のこと?手に入れるも何もこれは最初から私の体だよ」

「いいえ、それはお母様の体です」

「そうです!早く出て行ってください!」

「私には何を言っているのか分からないよ」

「とぼけないでください。もう一度言います。それは私たちのお母様の体です。

渡しません!」

 

 

いきなりとぼけるなんて予想外でしたが、力ずくでも返してもらいます。

勝てないでしょうが、あきらめません。

 

 

「私と戦うの?止めておいたほうがいいよ。君たちじゃ勝てない」

「確かにそうかもしれません。ですがその体を返してもらいます」

「母様のためです!たとえこの体が朽ち果てようとも!」

「う~ん。私には子供いないんだけどな」

「あなたではありません!その体の持ち主のことです」

「お願いです!母様の体から出て行ってください!」

「もう!さっきから言っているじゃん。これは生まれてからずっと私の体なの!」

「なら聞きますが、あなたはどういった存在ですか?」

 

 

本人が気づいていないという可能性があります。ですがお母様の名前と同じなのが気になります。

 

 

「どういった存在?私は神様だよ」

「神様?本当ですか?」

「疑ってる?本当だよ。生まれてからずっと神様。まあ、まだ生まれてから数百年しか経ってないけどね」

 

 

この存在が神様?お母様と同じ名前の神様。そんな偶然があるのでしょうか?

 

 

「姉さま!どうします?」

「とりあえず話を聞きましょう」

「分かりました!」

 

 

いざとなったらサーゼクスさんに頼みましょう。

 

 

「戦わないんだ。よかった。私はあまり戦いを好まないんだ」

「そうですか。では聞きますが、どのような神様なんですか?」

「私は作物と怪我の神様だよ。だからあまり戦闘は得意じゃないんだ。

作物と怪我って言ったけど他にもできるけどね」

「さっきは戦闘では勝てないといったのにですか?」

「そうだよ。でも君たち程度なら簡単にやっつけられるくらいだってこと」

「簡単にですか」

「姉さま!倒しましょう!」

「だめです。耐えてください」

 

 

私の戦闘力は魔王クラス未満です。ですが魔王たちを呼んでもこの存在には勝てないでしょう。

なのに戦闘が得意じゃないですか。お母様の意識が戻ってもこの存在を倒せるでしょうか?

お母様の本気を見たことがないのでわかりません。

 

 

「ちょっと外で話しませんか?」

「いいけどなんで?」

「密室は息苦しいので」

「あ、なるほどね。こんな空気だもんね。そうだね。外に出ようか」

 

 

咲夜が先頭を歩き玄関まで案内します。その後ろには神様。最後尾は私です。

ですが、神様相手にこれは意味はないですがね。

って、尻尾が!早く隠してもらわないと!

 

 

「すみませんが尻尾を隠してもらえませんか?他の方が驚きますので」

「本当に?いつもこのままだったけどな」

「ですが・・・」

「分かってるよ」

 

 

隠してもらったので、玄関から外へ出ます。日が暗く感じますね。って、お母様の体が

光っているのを忘れていました!

 

 

「体から発せられる光も抑えてください!」

「・・・・・分かったよ」

 

 

咲夜はお母様、いえ、神様を睨んでいます。私だって睨みたいです。

早くお母様を返して欲しいです。

 

 

「わあ!何ここ!?しかも人間が私と同じような服を着てる!しかもこの素材も!

ここ桃源郷!?」

「いえ、桃源郷ではありません。ただの町です」

「え!これよりすごいのあるの!?私ちょっと行ってみたいな~」

「だめです。話をするために外に出たんです」

「フェリちゃんは固いな~」

「っ!」

 

 

その姿で私の名をちゃん付けされるなんて。私の怒りが上がってきます。

拳に力が入り、手から血が流れ出ます。咲夜も同じようです。

 

 

「ねえ、咲夜ちゃんはどうかな?」

「私の名を・・・・その姿で呼ぶなあああぁぁぁぁ!!!」

 

 

咲夜の怒りが限界を越え神様に向かって魔力の刃で襲います。

咲夜のバカ!こんなところでなんてことを!

ですがその刃を神様は指二つではさみ受け止めます。

 

 

「ふふ、危ないな~。でも、私に攻撃は効かないけどね」

「返せ、返せ!私の母様を、返せえええぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

もう片方の手から刃を出し、さらに攻撃します。ですがその攻撃もまた指二つではさみ

受け止めます。

涼しい顔で咲夜の攻撃を受け止めるなんて。

 

 

「フェリちゃん、咲夜ちゃんを止めてくれない?」

「いえ、止めません。私もあなたと戦います!」

 

 

私は懐から転移の札を取り出し私たちを家の魔方陣へ転移させ、そこから冥界の家に

転移します。

 

 

「ここは私の力を感じるね」

「力?」

「そう。私の力。神の力だよ」

「まさか、あれが・・・」

「覚えがあるようだね。でも、ちょっと力が弱いね。どうやら神の力の効果が弱かったみたいだね。

ねえ、ここに神の力を使った人は誰?あと、咲夜ちゃんをどうにかして」

「それを使った人は教えませんし、咲夜もどうにかしません!」

 

 

私は拳に魔力を込め、殴ります。もちろん咲夜には当てないようにします。

お母様がこの土地に使ったあの力は神の力だったのですか。どうしてお母様が使えたのか

気になりますが、それは神様からお母様の体を返してもらえればいい話です。

 

 

「ここで戦ったらこの家が壊れるよ?いいの?」

「ええ、お母様を返してもらえなければ、意味はありません!」

「姉さま!ここで倒します!」

「もう全く~。しょうがないな。『転移!』」

 

 

私たちは上空に転移します。これが神の力ですか!

なぜそうしたか分かりませんが、好都合です!

 

咲夜と私は一旦後方へ下がり、私は魔力弾を放ち、咲夜は魔力の刃を放ちます。

次々と魔力弾をつくり放ちます。これでやられるような存在じゃないと分かっています。

咲夜も放った後、巨大な刃を作り出し、斬ります。

 

私は、最後に魔力を高めた魔力弾を放ちます。

 

ドコォォォォン!!!

 

轟音とともに大爆発します。その後すぐに咲夜がさらに大きな刃で斬ります。

煙が晴れます。そこには無傷な神様がいました。

 

 

「咲夜ちゃんやフェリちゃんも中々だね。でも私には効かないね。ねえ、もう止めない?

私はもうやりたくないんだけど」

「無理です。お母様を返してくれるまでは」

「そうです!戦い続けます!」

「なら、話し合おうよ。私は争いごとは嫌いなの」

「無理です!」

 

 

咲夜の言うとおりです。無理です。

 

 

「しょうがないな。最初に謝っとくよ?ごめん。でも傷つけないから」

 

 

そう言うと姿が消えます。どこへ!

 

 

「こっちだよ」

 

 

声がしたほうを見るとそこに神様がいて咲夜を腕に抱えられています。

咲夜は気絶しているようです。再び姿が消え、いつの間にか意識が遠くなっていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識が覚醒していきます。

 

 

「やあ、起きたみたいだね。ここはあの土地の近くだよ」

「なぜ?」

「なぜ?ああ、なぜ殺したりしないかってことか。それは私がそういうことが嫌いだからだよ」

 

 

気づけば膝枕をされていました。隣には咲夜がまだ眠っています。中身は違いますけど

お母様に膝枕をされるなんていつ以来でしょうか。子供のときだったかと思います。

あの頃はよく甘えていました。

 

なぜだか目がかすみ涙が流れます。神様は優しく私の頭を撫でてくれます。

 

 

「咲夜ちゃんが起きたらお話、聞いてもらうよ?」

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜が起きます。膝枕をされていて驚いています。

咲夜は戦闘状態に入ろうとしていたので止めます。

 

 

「姉さま!なぜ止めるんですか!」

「私たちでは敵わないません。それに話をすることになりました」

「でも!」

「いい加減にしなさい!話をすることになったんです。戦闘は許しません」

「・・・・・分かりました」

「じゃあ、二人とも話を聞かせてね」

 

 

私たちは神様からの質問に答えました。多くはお母様についてでした。

 

 

「なるほどね。よく分かったよ。じゃあ、いきなりだけど結論からいうと私と君たちの

母親は同一人物だよ。ただ存在が違うだけ」

「存在が違うだけ?」

「そう。存在が。君たちの母親は身内思いの人なの。たとえば君たちが死んだら世界を

滅ぼすくらいのね」

「世界を、滅ぼす・・・・」

「そんな君たちを想っている人が自分の手で苦しむ娘を見たらどうなると思う?

精神に大きなダメージを受けるんだよ」

「受けるとどうなるんですか?」

「まあ、普通の人なら気絶くらいかな。その後は色々あると思うけどね。けど、君たちの母親は普通じゃない。今までの生きてきた精神的な疲労とそのダメージを一気に受けたんだよ。

その結果、意識が奥に潜り込み、存在も小さくなったの」

「それでどうしてあなたが?」

「神という存在はね、最初から小さかったの。だから影響を受けずにいた。他の存在が

小さくなった分――――」

「ちょっと待ってください。他の存在?どういうことですか?」

「君たちの母親はね、神様、吸血鬼のほかにいくつもの存在があるんだよ」

 

 

私は驚くしかありません。いくつもの存在の集合体。

詳しいことはお母様に聞くしかありません。そのためにも早く解決しないと。

 

 

「続けるね。他の存在が小さくなった分、神の存在が大きくなった。けどただ存在が大きくなっただけだった。自我なかったんだよ。だからそこで生まれたのが私。

いや、違うね。君たちの母親の記憶から作り出された、かな」

「どう違うんですか?」

「無から有じゃなく有から有が作り出されたといえば分かるかな。さっきも言ったように

記憶から作り出されたの。この性格も昔のだよ」

 

 

お母様の昔がこんな性格?あまり想像できません。私が生まれてからずっとお母様は

古風な話し方でした。もし今もそのような性格だったらどうなっていたでしょう。

別に今の性格などが嫌いというわけじゃありません。

 

ちょっと気になっただけです。そんなことはIFでしかないものです。パラレルワールドが存在

しているならばあったでしょう。きっとそんな世界の私は無邪気な性格だったかもしれませんね。

 

 

「といっても多少記憶が違うところがあるみたいだけどね。

とにかく私は君たちの母親だよ」

「違います!母様はあなたではありません!」

「そうだけど中身が違うだけだよ?」

「まさか、母様の中身を乗っ取るんですか!」

「咲夜ちゃん、私はそんなことはしないよ。今なら思いっきり抱きついてもいいんだよ?」

「何を言っているんですか!やっぱりその体を奪うんですか!」

「違うよ。ただ娘というものがどんなのか知りたいだけ。私がそこまで大切に思うんだ。

その記憶や体験のない私は知りたいの。 君たちの母親は私が起こしてあげるよ。

私が起こさないと、いつ起きるか分からないからね。これは対価みたいなものだって思っていいよ」

 

 

つまり、母親になるという体験をさせればお母様を起こしてくれる。そんな対価です。

どういう体験ならいいのかわかりませんけど。

 

 

「姉さま!どうするんです?」

「とりあえずどのようなことをすればいいか聞きましょう」

「姉さまは従うんですか!?母様じゃないあいてに抱きついたりするんですよ!」

「私は聞いてみると言っただけです。ちょっと落ち着いてください」

 

 

 

私だってお母様じゃない人に甘えたりしたくはありませんよ。ですがお母様には早く

起きてもらいたいんです。

 

 

「すみませんが、それはどのようなことをすればいいんですか?」

「今日から明日一日中、私を母親として扱ってくれればいいよ。どう?」

 

 

一日中ですか。ですがそれでお母様が帰ってくるならいいでしょう。

 

 

「分かりました」

「姉さま!?本気ですか!?」

「ええ、本気です」

「でも!」

「でもじゃありません」

 

 

咲夜の気持ちは分かります。お母様じゃない人をお母様として扱うんですから。

 

 

「本当に今から明日まで私の娘になってくれるの?」

「ええ、なります。その代わり約束は守ってください」

「うん!分かってるよ!私に娘か~」

 

 

見るからにうれしそうです。本心から思っているようです。私たちはちゃんとやったほうがいいですね。

 

 

「咲夜。明日まで我慢してください」

「・・・・分かりました」

 

 

「お母さん、兄、姉、明日までですが私に娘ができました!」

 

 

私はその言葉を聞き、思わず固まりました。私はお母様の家族について知りません。

 

 

「神様、あn―――――」

「神様じゃないよ。お母さん、だよ」

「お母様、お母様の家族についてお話してください」

「ふふ、気になるんだ~」

「ええ、気になります」

「いいよ。でもそういう話は寝るときね、フェリ」

 

 

神様、いえ、お母様は優しく微笑みます。その顔は母親のものです。

 

 

「さあ、咲夜にフェリ。帰ろう」

 

 

私たちに手を差し出します。私は一瞬戸惑いましたがその手を握ります。

咲夜はしばらく俯いていましたが、最終的にはその手を握ります。

私たちは手を繋いだ状態で帰ります。

 

 

 

 

 

 

 

家ではお母様が夕食を作ります。その動作を見ると本当にお母様なんだなと思いました。

夕食ができます。和食です。

 

 

「さあ、食べよう」

「「「いただきます」」」

 

 

お母様が作った料理を食べます。その味はお母様の味です。私と咲夜は思わず泣きます。

 

 

「あ、あれ?おいしくなかった?そ、それならゴメンね」

「いえ、違います。ただ、懐かしくて・・・」

 

 

お母様の料理を食べたのはいつ以来でしょう?最近は私が作っていました。

 

 

「ひっぐ・・・ひぐ・・・・うえぇん・・・同じ・・母様、なん、ですね」

「ふふ、そうだよ」

「やっぱり母様です・・・。ううぅ、ひぐ、ひぐ・・・すみませんでした」

「いいよ」

 

 

私たちはこの人もお母様だと認めました。その後も私と咲夜は泣きながら夕食を食べました。

食べ終わるころには真っ暗になっていました。

 

 

「さあ、二人とも。風呂に入ろう」

「三人でですか?」

「うん!3人だよ。風呂も大きいみたいだし、問題ないよね?」

「・・・・・はい」

 

 

私たちは3人で入ります。

 

 

「うわ~、フェリも咲夜も肌、きれいだね~」

「母様もです!」

「これも私の日頃の食事のおかげです」

「へえ~いつもはフェリが作っているんだ」

「ええ、でもこれはお母様のおかげです。すべて教えてくれました」

「私が教えたんだ。やっぱり厳しかった?」

「ええ、厳しかったです」

「ふふ、嫌だったでしょ?」

「最初はそうでした。けど今はよかったと思っています」

 

 

最初は本当に嫌でした。普段はやさしいお母様でしたが、教えるときはとても厳しかったです。

でも、ちゃんとできたときはとても褒めてくれました。それがうれしくて私はがんばってたくさんの

ことを覚えてきたのかもしれません。

 

 

「咲夜も同じ?」

「そうですね。私はまだ母様に出会って十数年ですからね」

「どうして?」

「私は母様から作ってもらった刀なんです。ですが母様の手には渡らず私は多くの人が使いそれ以上

の人を斬ってきました。でもおかげで私には自我が生まれたんです。だからこうして話したりできます」

「お母さんを憎まない?本当なら多くの人には使われなかったんだよ?そしてお母さんとずっと

一緒にいて、ずっとお母さんに使われていられたんだよ?」

「でもいいんです。こうして母様とも話すことができますし、いろんなことができますから」

 

 

咲夜の話を聞き、咲夜の本心を聞きました。

私は咲夜に抱きつきます。

 

 

「ひゃ!?ね、姉さま?何をするんですか!?」

「いえ、なにもないです。でもしばらくこうしていたいだけです」

「私もいいかな?」

「ええ」

「姉さま!?なに勝手に決めているんですか!?」

「別にいいじゃないですか。裸の付き合いというものです」

「そうそう。フェリの言うとおりだね」

 

 

3人で抱き合います。咲夜は嫌がっていましたが、最後には一緒に抱き合いました。

 

 

 

 

数時間後。

 

 

「ね、ねえ、そろそろ風呂からあがらない?」

「そ、そうですね。咲夜、もううえあがりましょう」

「・・・・・・」

「咲夜?」

「・・・・・・・・・」

「さ、咲夜!!」

 

 

咲夜がのぼせてすでにダウンしていました。

 

 

「は、早く風呂から出しましょう」

「そ、そうだね!」

 

 

 

 

 

咲夜を風呂から出し、急いで寝かせます。

その後は居間でお母様と冷たい飲み物を飲みます。

 

 

「お母様、そろそろ寝ましょう。もう遅いですから」

「そうだね。寝よっか」

 

 

私と咲夜の間にお母様が寝ます。しばらく目を瞑り

するとお母様が

 

 

「お休み、咲夜、フェリ」チュッチュッ

 

 

私たちの額にお母様がキスをします。まさか額にキスをされるとは。まさに親が子供にする行為です。

そういえば私が小さいころにもされた記憶があります。懐かしいです。

大きくなってからはされなくなりました。

 

こんなに大きくなってからされるとは思いませんでした。でもこういうのもいいですね。

しばらくして私の意識は眠りによって沈んでいきました。

 

 

 

 


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