ハイスクールD×F×C   作:謎の旅人

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第10話 私の式紙。そして、力の暴走

その後私たちは墓を作りました。死んだみんな全員の。生き残ったのは女と子どもだけ。みんなの墓を作るのは大変だった。みんなの墓を作り終わったのは数日後だった。

 

誰かの目から見ても、ここの復興に時間がかかる。きっと完全な復興には数年だ。一時的なものなら半年。でもそれは男手があっての話。どうしても男に劣る女や子どもではもっとかかるかもしれない。

 

でも、一応私は吸血鬼でもある。男手以上の働きをする。私が妖怪と過ごして分かったことがある。それは妖怪の筋力などの力は人間の筋力とあまり変わらないということだ。だけど、妖怪は人間の持てない物を持てる。

 

それは妖力があるから。妖力によって体の身体能力を高められる。だから人間が持てる物以上の物を持てる。妖怪はそれを無意識的にやっている。もちろん、さらに身体能力を高めることもできる。

 

集落の復興には私を中心に行われた。それは私の知識が豊富ということもあった。なぜかこういう知識もある。本当に私の生前って不思議です。このときの私はあることを決めていた。それは旅に出ることだ。

 

あれから結構経った。もう1000年以上。ちょっと変わったかな? 楽しみ。そういえば、結構色々と回ったつもりですけど、実はまだ完全にというわけではなかった。ただ大雑把に見て回っただけだった。

 

だから今度はよ~く見て回る。もしかしたら人類がいるかもしれないから。人類はまだ多くない。だから簡単には見つからなかった。多分偶然とかもある。

 

 

「はあ~、疲れた」

 

 

私は縁側に寝そべりそう呟いた。さっきまで集落の復興を手伝っていたから。やっぱり吸血鬼でも疲れるものは疲れる。主に精神が。気は病からと言うけど、本当にそれだ。

 

 

「私の力を使ったらもっと早く終わるのに」

 

 

ここは私の家、その周りには誰もいない。ただ寂しくてそう呟いた。私の力のあらゆるものを作り出す程度の能力なら家なんて簡単に出せる。それで復興は結構短縮できる。今もっとも苦労しているのが、建物の再建だから。

 

でも、使わない。だってみんなががんばっていたから。それを一瞬でできる力を使うなんてできるはずがない。だから一緒に自分の手を使ってがんばった。でもやっぱり女や子どもでは怪我をすることが多かった。

 

そのため私は復興の指示と怪我や病を治すの両方をすることになった。もちろん指示だけでなく作業もした。

 

私は縁側からコロコロと回りながら家の中へ入った。畳が心地よい。私は9本ある尻尾の1つで座卓の上にある、食べ物を取った。それを私の手まで持って来る。それを口に運んだ。

 

 

「あむっ、はむはむ。ん~美味しい♪」

 

 

取ったのは果物。私の口に甘い味が広がった。これってなんていう果物だろうか? 実はよく分かっていない。私の妙な知識でも分からないものだった。でも美味しいから別に気にしない。

 

集落のみんなはこの果物を「希少なる奇跡の果実」と呼んでいた。名前の通り滅多にできない実。できるは数十年に1つできるかできないか。長生きする妖怪でも一生に1回食べれるか食べられないかという確率。だから稀少で奇跡とおいう名がついている。

 

でも私の座卓の上にはその実があと3つある。それを遠慮なく食べていた。それはなぜか。私の3つの力の1つ、神力があるから。これは作物や怪我や病に有効で、それでこの実がなる木に使った。

 

もちろんその木は私の家の隣に植えたもの。それに苗のときから神力を使いながら育てた。おかげで毎年、いえ、毎月実ができるようになっていました。だからこうして食べることができる。さすが神の力です。

 

 

「も、もう1個食べてもいいよね?」

 

 

誰もいないのに言ってしまった。それは自分の欲に対してのものだった。この実は美味しすぎる。おかげでこうやってまた食べたくなってしまう。

 

 

「うう~、これ以上は……体の作り的に太らないけど、もうダメっ」

 

 

なんとか抑えることができた。私の尻尾が宙を踊る。やっぱり尻尾って便利。ふわふわだし温かいし枕だし布団だし。私は尻尾の1本を枕にし、残りを布団にして眠りについた。

 

それから私は毎日、復興に専念した。みんなもがんばってくれたおかげで予定よりも早く終わった。私はしばらく集落に残った。その時間は約数十年。その間に子どもは大人になる。だから待った。

 

私は集落の妖怪たちにそれを言った。それに集落を見捨てたという妖怪もいた。それに対し私は何も答えられなかった。私のこの行動はそう見られるものだから。

 

でも、分かってくれる者もいた。そんな妖怪たちの説得もあり、私は集落を出た。みんな涙を流した。私も涙を流した。この集落には1000年もいた。みんな家族同然だったから。

 

あれから十数万年。私は旅をした。やっぱり人間はいた。まだ文化とかはなかったけど、人間だった。それでここが過去だと分かった。それを見た私は満足し、またどこかの妖怪たちの住んでいる異空間へ行った。

 

そこで私は前と同じように過ごした。私はそれを約1000年ずつで。1000年経ったら旅をして、満足したらまた妖怪たちの集落へと。そういう風に。もちろんその間には戦うこともあった。

 

そのときはみんなを必死に守った。私もたくましくなった。色々と分かったこともあった。本当に長いようで短いような時間だった。ちなみに尻尾の本数は変えられるようだった。

 

それで私は旅のついでと思い、日本に住むことにした。ここで過ごす。霊力の研究では、けっこう進んでいた。1人で独学で研究したので結構かかった。私が研究したのは主に式紙だった。

 

それは寂しいと思うためからだと思う。いくら万年生きようと心は変わらない。どう鍛えても心はもろかった。お母さんたちのことを考えればすぐに泣く。それだけ脆いものだった。

 

私が住み着いた場所はやっぱり山の頂上。家は2階建てで過ごしやすい。家の家事は式紙がやってくれる。その式紙と言えば容姿は私に似ている。

 

いえ、似せたくて似せたんじゃないんです。本当になぜか私に似たんです。似たのはもちろんスタイルもだった。

 

ただ違うとすれば無表情だということ、髪の色が金色ではなく黒だということ、尻尾が3本だということ、目に生気がないこと。それくらいかな。

 

そして実は、私はある問題がある。それは力が大きすぎるということ。そのせいで無意識のうちに力が具現化してしまって、家を破壊するということがあった。その問題に対応すべく、私は陰陽術による封印を研究した。

 

私は陰陽術全般で研究をしていたので、研究はすぐに終わった。私はそれを試す。私の陰陽術は主に札を使ったもの。それに霊力を込めれば発動できる。私は机にある札を手に取る。そして、念のため家から離れた。

 

札には墨で描かれた陣と文字。ただ墨で書かれているのではない。札に書くときに霊力を込めて書く。それによって発動できるのです。

 

それに霊力を込めた。霊力の操作が完璧になった私は札という一点に込めることくらい簡単です。霊力を込められた札は墨でかかれた文字や陣を光らせた。それを自分の胸元の当てる。

 

すると札は光を放ちながら胸の中へ吸い込まれていった。しばらくすると私の妖力が段々と小さくなっていった。ふふふ、やった! やったよ! 成功だ! そう思って思わず笑みがこぼれた。

 

しかし、私の体に変化が訪れる。体中が熱くなった。それと同時に霊力が妖力の部分へと溢れた。均衡するように二つの力があったので、霊力が溢れるのは当たり前だ。うーん、次は霊力かな。そう思っていたが、突然一度は小さくなった妖力が霊力に反発したように、大きくなった。

 

大きくなった妖力は体から溢れた。ああ、これは失敗した。暴走してしまう。

 

 

「うう、あああああああああああっ!!!!!」

 

 

それはとてつもない痛みを私に与えた。溢れた大きすぎる私の妖力は具現化し、私の周りを破壊する。私は自分の体を抱き、何とかまだ制御できる霊力で妖力を包み込むように押さえ込もうとするが、それは叶わない。

 

大きすぎる妖力は霊力では抑えることはできなかった。ただこれだけならよかった。でもそれは違った。それは私の暴走の惨劇の始まりでしかなかった。私の妖力は無限に等しい。これだけで納まるわけがない。体の奥からさらに大きな妖力の波が来る。

 

その波が体から溢れたとき、私を中心に巨大な爆発を起こした。それとともに私の意識は途切れた。

 

   ◆  ◆  ◆

 

私が起きたとき、私の周りには何もなかった。あるのは緑の剥がれた地面だけ。ここは球体の一部のようになっていた。それはクレーターと呼ぶべきものだった。大きさは半径10キロメートル。私の服はもちろん消し飛ばされている。

 

そのため地面の熱をより感じた。でも、爆発直後はものすごい熱だったと思う。きっと地面が高温の間、私の体は焼けて再生して、を繰り返していたのだと思う。それにしても、爆発がこれだけで納まってよかった。

 

きっと体が私を守るためにセーブしたのだろう。私は立ち上がり、改めて見渡す。本当にひどい。私はこの力を今()()()恐れた。やっぱり封印が必要だ。意識のあるときは別に問題ない。

 

問題なのは寝ているときなどの無意識のとき。そのときにこの爆発が起きるのが恐ろしい。今回失敗したのは妖力だけを抑えようとしたから。妖力だけ抑えた結果、霊力との拮抗が崩れ、抑えたはずの妖力がその反動で暴走した。

 

だから次は霊力も抑えることにする。それでうまくバランスを取る。うん、これでいいはず。考えがまとまったところで、私は服を作り出す。

 

そして、羽織った。でもまずはこのクレーターを何とかしないと。これは私の責任だから。私のせいで多くの動物が死んだはず。その償いもしないと。

 

このクレーターはこのままで、その上に草木を植えよう。計画を立てた私はとりあえず、家に帰った。家には爆発の影響はなかった。よかった。私は縁側に座る。

 

 

「式紙、夕飯作って」

「分かりました」

 

 

ちょうど後ろを歩いた式紙に命令した。今日は色々と疲れた。やったのは封印だけだったけど、暴走したから疲れたのだ。

 

 

「ご主人様、ご夕食はなにがよろしいでしょうか?」

「なんでもいいよ~」

「分かりました」

 

 

式紙の料理の腕は私と同じくらい。式紙は私の分身のようなものですから。

 

 

「~~~~~♪ ~~~♪♪ ~~~~♪」

 

 

私は鼻歌を歌う。私の尻尾は今は1本。それはパタパタと揺れる。私の尻尾は数を変えることができる。ただし1本以上9本以内。多すぎても困るから今は1本にしている。私的には尻尾って奇数の数のほうがいいような気がする。それはなぜだろうか?

 

まあ、気にしてもしょうがない。それよりもお腹すいた。まだかまだかと式紙の料理を待つ。そして、空腹のせいで涙目になりそうになった頃、やっと式紙が来た。

 

 

「ご主人様、お食事ができあがりました」

「う~、遅い!」

「申し訳ございませんでした」

 

 

無表情で淡々と告げる。それに悲しく思う。やっぱり式紙に感情を持たせることはできないのか。仕方ない。それは機械に自我を与えるのと同じような物だから。

 

 

「まあいいよ」

 

 

私は式紙について行く。居間には料理が並べられていた。全部和食。もちろん米もある。それはもちろん私の能力です。私の能力で種籾(たねもみ)を出してそこから育てました。

 

もちろん他の野菜もです。おかげで未来の料理が食べられます。私は座り、手を合わす。礼儀はちゃんとしてないとダメですからね。

 

 

「いただきます」

 

 

はしを手に取り、料理に手をつける。それを口に運んだ。うん、美味しい♪ さすが私の式紙。美味しいのを作りますね。私は次々と口に運んだ。僅か数分で食べ終わる。

 

 

「あ~、美味しかった! ありがとうね」

「いえ、私はご主人様の式紙なので」

 

 

式紙は皿を片付けていく。座卓の上には何もなくなった。ではでは、デザートといきましょうか。

 

 

「ねえ! デザートを持ってきて!」

「分かりました」

 

 

しばらくするとある果物の入った竹かごを抱えた式紙が来た。それが座卓の上に置かれる。私はそれを手に取った。これはもちろん「希少なる奇跡の果実」と呼ばれていたもの。私の家の隣にその木がある。

 

やっぱりこれだよね♪ 私はかぶりつく。甘い味が広がった。私はこれを2個食べた。そのときにはちょうどお腹が膨れた。

 

 

「ご主人様、お風呂が沸きました」

 

 

さっきとは別の式紙がそう告げた。この家にはいくつかの式紙に家事をやらせている。

 

 

「分かった」

 

 

私はその式紙のあとについていき、風呂場に着く。浴室は結構広い。もちろん木でできているけど。私は服を脱ぎ、浴室へと入っていく。私の後ろにはあの式紙。服は着たままで。


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