銀河天使な僕と君たち   作:HIGU.V

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少しだけ設定変更。
ゲートの初期位置とヴァル・ファスクの技術力を調整。


空白期3 414年

 

 どちらが各上かきっちり決めるために、訓練兵をシメた後、目に見えて彼らの態度は変わった。それはそうであろう。自分より格下の相手でも、数と質の両方で劣っているのならば、勝利することは難しい。それを軽々とやって見せたのだ。

 

 普通の神経を持っていれば、理解する、自分の目の前にいる人物が途方もなく高みにいることを。元々従順であったロゼルはともかく、他4人も隙さえあれば反抗といった態度を見せることなく。それどころか真摯な態度で訓練に打ち込むようになった。

 

 どのような時代文化においても、力とは一定以上の権威と上下環境をもたらすのである。

 

 最もラクレットとて暇ではなく常につきっきりで訓練を与えることはできない。しかし、そうでなくても銀河中の優秀な人材が集うこの訓練学校で、訓練兵たちは着実に地力を上げていった。

 

 ちなみにラクレットが行った数少ない訓練は、訓練兵たちにとって地獄のようなものであることが多かった。

 例えば、鬼ごっこ。これはラクレットがふと童心に帰って遊びたいと思いついて企画したものだが、鬼であるラクレットにつかまらないように制限時間の間逃げ続けるといったシンプルなものだ。

 最初はグラウンドで行っていたのだが、だんだん本格的になり、最終的には迷惑になるのでシミュレーターで戦闘機を用いて行うようになった。はたから見れば通常の訓練に見えるというのがラクレットらしいミラクルである。

 

 他にもカトフェルブートキャンプの内容をアレンジした短期間の集中訓練や、集中力の訓練と称したひたすらジャガイモの皮むき。この時代、大規模なところだと基本機械がすべてやるので罰則に近い。

 バランスの訓練と称した、一日中頭に水の入ったバケツをのっけての行動など、様々な人を絶望に陥れる過酷な訓練をこなさせていった。

 

 その結果、訓練兵とラクレットの間には、見事な絆が生まれた。まあ、プライベートでもそれなりに仲良くなったという事である。

 

 ここひと月の付き合いで各々の大凡の性格がわかってきた。ロゼルは、礼儀正しく真面目で一番優秀だがシスコンであり、妹の自慢を始めると長い。

 コークは積極的な攻勢といった面では優秀だが、だまされやすく頻繁におかずを強奪されている。

 ジンジャーは指揮官向けな素質に優れているが、ムッツリスケベである。

 ラムネはいかなる時でも冷静な判断を下せるが、少女漫画を読むのが趣味でここの司令とお茶会をしていた。

 ビオレは型破りな作戦を思いつくが、女癖が悪く既に二股がばれて制裁が加えられている。

 

 エリートなのに、癖が強い。どこか自分の上司とかぶる特徴にラクレットは苦笑を隠せなかった。全員ルックスはA+~S-であったのも(紋章機でいうとシャープシューターの射程以上ハッピートリガーの攻撃未満)因果を感じるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

『ラクレットさんへ

 この前は相談ありがとうございました。おかけでお義兄ちゃんとも仲良くなれました。でも、スキンシップを取られるたびに投げてしまうので、すごく申し訳ないです。

 それと私、お姉ちゃんみたいになりたいから、軍に入るためのお勉強を始めました。まだまだ分からないことがいっぱいありますけど、お姉ちゃんの妹だから、紋章機の適性が期待されているみたいです。

 ちょっとズルした気持ちになって、もやもやします。ラクレットさんは、そういう事ってありませんか?

 

 

追伸 クラスの友達にラクレットさんのことを自慢したら、サインもらって来て!! って言われちゃいました。本当に有名人なんですね! すごいです!』

 

 

 

 

 

 はにかんだ笑顔の橙色の髪をした少女の写真が添付されたメッセージをラクレットは、少し表情を緩めながら見つめる。この前会った時に連絡先を聞かれたから教えたのだ。

 

 アプリコット桜葉という少女はラクレットからすれば、恋愛の対象外である。なにせ、年下でまだ11歳になるかならないかといった蕾である。どっかの司令官とは違うのだ。9歳下に本気でプロポーズなどできない。ミルフィールートだからいいかと思いがちだが22歳の社会人が17歳の恋人を作ったのだ。

 というかそれ以前に尊敬する上司の妹など無理であるのだから。しかしこういった風に兄に頼るような相談やお願い事を持ち掛けられると嬉しくもある。

 

 女性の好みは年上長髪であるが、小動物的なかわいさも嫌いではない。好みなんて弱点と同じなのだ、火力があれば問題なくダメージは通る。その位賢い諸兄等はお分かりであろう。最強の萌え要素はギャップ萌えであることと同じくらい明白だ(要出典)

 

 

『リコちゃんへ

 わざわざありがとう。もしもわからないことがあったなら、聞いてくれれば答えるよ。これでも軍の先生をやっているからね。

 それと、ズルじゃなくてそれを含めて本人の才能なんだ。そんな事を言い出したなら、僕なんか生まれからすごいずるをしていることになるしね。

 

 この銀河は数兆人いるし、スタート時点で誰かと差があるのは当然だよ。大事なのは、その下駄で満足せず努力を続けていくことさ。

 

 僕が有名人かどうかは、まあ。一部の人に人気らしいけど、実感はないかな。エンジェル隊の皆さんもそんな感じだと思うよ』

 

 

 彼がそんな風に返事を窘めているところを、偶然通りがかったロゼルが見つける。今は自由時間だ、何をしていてもかまわないが、わざわざラクレットの教員机のそばまで来たのだから、何か用があったのかもしれない。

 

 

「教官、どうしましたか? 」

 

「ああ、ロゼル。元上司の妹さんからメールが来てね、この前の結婚式であった娘なんだけど」

 

 

 ラクレットはそう言いながら、ロゼルに写真を見せる。メールの文面も見せることになるのだが、別段気にしていないラクレット。まあ同い年の少年であるし、親しいのならばよいのであろう、ラクレットがそもそも気にしなさすぎなだけだが。

 

 

「かわいい娘だろ。正確に言うと従兄弟の奥さんの妹になるんだ」

 

「ええ、本当に、可愛らしい娘ですね」

 

 

 それはもはや、親戚と言えないくらい遠いような気もするのだが、ラクレットは口を開けば妹の自慢をするようなロゼルが、素直にリコの容姿を褒めたのはたぶん妹と年齢が同じくらいであろうからだと、偏見をもった目で見つめていた。

 

 

「そういや、妹さんの具合はどうなんだい? 」

 

「ビアンカのですか? まあ、悪くはなっていませんが良くもなっていないって具合ですね」

 

 

 ロゼルの妹ビアンカ。ラクレットは何度も写真は見せられているので、身近に感じているのだが。彼女は体が弱く、何度も入退院を繰り返しているような少女であった。

 そんな彼女には空を自由に飛んでみたいという、可憐な夢がある。それを叶えるためにロゼルはパイロットを志した。

 妹の体に負荷のかからないような、振動や負荷を限りなく0にした正確な操縦技術を身に着けるために、自らの操縦技術を高めているのだそうだ。ロゼルの長い話を要約するとそういった具合であったのだ。

 

 

「そうか……僕の兄が君の話にえらく感動したらしくて、旧式とはいえ家庭用の小型機を僕名義にしてくれたんだ。Gキャンセラーを改修したら、次の長期休暇に君に貸し出すように言い含めてね」

 

「本当ですか!?」

 

「あ、ああ。別に僕が個人で出しても良かったんだがね……まぁご褒美だと思ってくれ」

 

 

 ラクレットは、ロゼルのモチベーションが上がればよいと、兄に対して少し言ってみたのだ。もちろん言った通り。彼個人でも小型機など買う資産はある。

 だがラクレットが高い買い物をすると、企業側がお値段を0にしてしまう。その代り、偉い肩書を持ったオジサンがきれいなお姉さんを二人くらい連れてやってきて、CMに出ていただけないでしょうか? やら、感想をコメントしていただけないか? やら、イメージキャラクターとして使って良いか? などとうるさいのである。

 なので兄経由で頼んだのだ。ロゼルはラクレットから見ても、非常に優秀な教え子5人の中で最も優秀な成績を維持しており、ラクレット的にもその位の親切心なら問題ないと判断したのだ。これでモチベーションが上がるのならば、安いものだ。プロジェクトの予算に比べれば特に。

 

 唯一引っかかったのは、その話をエメンタールにしたときの、微妙に固まった表情であろう。しかし気にしても仕方ないであろうとラクレットは割り切ったのだが。

 

 

「まあ、このところ世間は忙しいけど、君は実家に帰るのだろう? 」

 

「ええ、直接は関係ありませんからね」

 

 

 そう今世間は新たな世界の発見に大騒ぎであった。

 

────ヴァル・ファスクの本星、ヴァロ・ヴァロス星系のヴァル・ランダル。そこで『Absolute』という異世界が発見された。

 

 そう女皇陛下自らの発表があったのだ。ラクレットには一応情報がある程度知らされていたが、これは皇国を騒然とさせるような一大事であった。

 

 EDENが発見された時ですら、かなりの混乱が起こったのだ。何せ異世界だ、自分たちの星から遠くても、そこにワープゲートがあることが確認されたならば、大騒ぎになる。

 

 現実においても、太陽系からおおよそ、トランスバールからからヴァル・ランダルの距離である30光年程離れた場所に異世界につながる扉があった。とNASAが発表したならば、まあ、多くの人は眉唾物だと疑うが、真実と解れば世界が揺れるであろう。 

 

 

 

 

 

 

 Absolute

 

 この異世界とも呼ばれる存在の皇国側の認知は、意外にも早くヴァル・ファスク戦役の途中である。

 具体的な時期は、ダイゴの正式な亡命を女皇が承認した頃である。そう、この情報は、ダイゴからもたらされたのだ。

 

 そもそも『Absolute』とはなにか、それは複数の銀河をつなぐ、ゲートの集合がある世界だ。通称は絶対領域。どことなく男心をくすぐる名前であるが、一切関係ない。

 その世界には『セントラルグロウブ』と呼ばれる施設がある。これは正体不明の強大なエネルギー源とつながっており、このAbsoluteの管理機構である。

 

 複数の銀河をつなぐといっても、物理的につながっているのではない。Absoluteには無数の銀河につながるゲートがあるのだ。

 

 例えるのならば、ゲームのホームに近い。そこからステージを選び移動できる。ステージからステージへは、ホームを介さないと移動できないといった具合だ。

 

 尚、Absoluteは宇宙空間ではなく、異空間と呼べるような謎の物質で構成されているのだ。その中にあるゲートがヴァル・ランダルにあるゲートとつながっていたのである、600年以上前には。もっと厳密にいうならば、EDEN本星ジュノーにゲートはあったが、それをヴァル・ファスクが移動させていたのである。

 

 

「だがの、タクト君。我々の先達たちは力を過信しすぎたのだよ」

 

「力を過信?」

 

 

 不思議なガスのような空間に包まれたAbsoluteを、セントラルグロウブに向けて航行中の『エルシオール』

 

 今回の航程には、現ヴァル・ファスクの首相ダイゴが同乗していた。『エルシオール』メンバーはラクレットが抜けたものの、それ以外は全員のフル装備フル人員である。

 

 ただしノアやカマンベールはいない。彼らは本星近くの白き月に居た為、EDENにいた『エルシオール』に合流すると、非常に時間と手間がかかってしまうためだ。

 

 

「あのセントラルグロウブは巨大なエネルギーを使いゲートを開閉し、この空間を支えている。そんな莫大な施設をだれが管理していたと思う? 」

 

「……ヴァル・ファスクのVチップですか? 」

 

 

 ダイゴの問いに答えたのは横で話を聞いて居たレスターだ。既に話の7割ほどが彼の中で推論として組みあがっているのだが、大人しく聞いている。

 

 

「正解だよ。あの巨大な施設のオペレーター階級とでもいうべきか、それが私たちヴァル・ファスクだったのだよ」

 

「それでは、なぜEDENに? 無数に銀河があるのに」

 

「ああ、それは、私がヴァル・ファスクで最高齢なのと同じ理由だ」

 

 

 ダイゴは過去を思い出すかのように、セントラルグロウブを見つめながら話を続ける。それはもう数世紀前のことであった。ヴァル・ファスクにとっても一昔という単位が付く年月だ。

 

 

「セントラルグロウブを何者から任せられたヴァル・ファスク達は、気の遠くなるような長い時間、管制という仕事に努めてきた。しかしある時当時の最高指導者は気が付いたのだ。『このセントラルグロウブをコントロールしているのは自分たちだ。故に顔すら見せないこの使命を命じた超文明でなく、自分たちこそがこの全平行世界の支配者になるべきではないか』 とね」

 

 

「それは……なんというか、今と変わらないんじゃ……」

 

「感情が薄い種族だからな、合理主義故に恩やら奉仕やらの概念が希薄なのだ。兎も角そう思い立った先達たちは実際に反逆を起こした。しかしここを作った超文明は優秀だったようで、セーフティー装置を用意していたようだ。その超文明の下位種族の一つに、あっけなく起動され、何もできずに鎮圧されたらしい。断定ではないのは、当時それに関わった10世紀以上の齢を重ねていた全てのヴァル・ファスクを超文明は廃棄処分してしまったからだ」

 

 

 そう、それは奇しくも今のヴァル・ファスクと酷似した成り行きであった。力を得て助長したヴァル・ファスクは、支配するために動き出したのだ。しかしその行動は、安全装置を起動した一人の古代人によって止められてしまったのである。

 その後のヴァル・ファスクは衰退の一途をたどっていく。首脳陣である10世紀以上の人物全てを殺され、当時罪人の流刑地とされていたEDENに留置されてしまったのだ。

 ゲルンもダイゴも又聞きや自分で収集した情報であり、経験したことではないので断定はできないが。当時流刑されたのは事実だ。

 

 当時はまだゲートこそ空いていたものの、EDEN側からの人員の流出は厳しく監視されていた。

 

 

「EDENに流された私たちは、ひとまず、適当な星を開拓し、本拠地とした。何とか若い力だけで統治体制を整えると、私は外交官として現地の人間と交流を図った。EDENの人類は先祖こそ罪人であったが、彼らは普通に文化を形成し、贖罪であるライブラリーの完成を終えて、その管理と防衛をしている平和な民族だった」

 

「……それを、ゲルンが」

 

「ああ、ヴァル・ファスクの総力を結して作られたCQボム、それを爆破させ、EDEN銀河の侵略の第一歩にした。あいつにとっても予想外だったのが、ゲートを通じてすべての平行世界、およびAbsoluteにも影響範囲が及んだことだ」

 

「……なるほど、元々はEDEN銀河を封鎖するだけだったのだな」

 

 

 クロノクェイクボムによる次元断層の影響範囲が、偶発的に全ての平行世界を襲ってしまった。その結果セントラルグロウブから、ゲートへの信号すら立ち消えてしまい、ゲートは閉じてしまったのだ。

 加えて他の平行世界でも次元断層が発生しEDENと同じように全ての世界に暗黒時代が訪れたというわけだ。

 

 

「戦略自体はそのまま、むしろ好都合な結果であり、ゲルンはEDENを滅ぼした後、時間をかけて力を蓄えていたのだ。その為にゲートをこちら側開放する研究を主に行わせていた。しかし、おおよその目途が立ったあたりでトランスバール皇国が隆盛してくる。白き月という外部保存されていた技術によって文明のリカバリーが行われたからな」

 

「なるほど、ゲルンがすぐに平行世界統一に目を向けなかったのは、そういう事だったのか」

 

 

 EDEN文明を傘下に置いたゲルンは、閉じてしまったゲートを開けて、乗り出すための研究を優先させた。400年前後そうしていたのだが、その頃にトランスバール皇国が力をつけてきたのを観測したのである。

 

 既にクロノクェイクボムの効果と影響に関しては、実体験によるデータも取れていた。カースマルツゥなどの仕事である、未開文明の調査と管理などがこれにあたる。資源回収だけなら無人の鉱『星』を探ればよいのだ。

 

 白き月のような規格外の保険がない限り、文明は数百年では宇宙進出まで復活できない。その為、ゲートを繋げた後、ヴァル・ファスクより優れた文明が存在する可能性は低く、今度は他の平行世界対策にCQボムを発動させる必要がないと想定した。故に彼らは皇国への処理にシフトしたのだ。

 

 結果的に敗北してしまったが、本来の計画では、皇国を下した後ゲートを開き、セントラルグロウブを手中に収める。その後各ゲートを開き、文明レベルを調査。必要があれば再度CQボムを使用するが、あくまで保険であった。後に制圧といった流れだったのだ。

 

 

「といっても、こちら側からAbsoluteへのゲートを開くのにかかった時間は400年だ。それも『このゲート自体への干渉』であり、他の銀河へのゲートを開くのはまだまだかかるであろう。セントラルグロウブ側には恐らくヴァル・ファスクへのロックはまだ続いているであろうからな」

 

「なるほど、だから……」

 

 

 今回の『エルシオール』が来た目的、それは平行世界の銀河形態を復活させるためである。すでに、ライブラリーからの地図で、彼らの銀河にある辺境と呼ばれる人々が住んでいる星はすべて確認してある。

 中には宇宙空間への進出ができない文明もあり、隠れて監視にとどめている星もあるのだが、ともかくEDENの全てを統一したのだ。暗黒期の間に宙域移動手段を保持して、かつ新天地へと移動した者達などを除けばだが、いないとされているので除外した。

 

 ヴァル・ファスクともすでに表面上は友好的な関係を築けている。ダイゴは自己申告であと300年は生きるそうなので、しばらくは安定であろう。

 故にシヴァ女皇は外に目を向けたのだ。他の文明との交流による、先史時代の人類黄金期を取り戻すという壮大な目的を掲げながら。

 

 セントラルグロウブから、ゲートを開くには、ゲートキーパーという特別な資質を持った人物が必要だ。以前はヴァル・ファスクがそれを行っていたのだが、追放されてから、ゲートキーパーである人間が交代制でやっていたという。

 非常に稀有な素質であり、伝え聞く情報では、当時でも10人前後しかいなかったそうだが、全員に共通する特徴があった。それは、『非常に強運』である。

 

 今回、そのゲート解放をミルフィーが行えるかどうか、それを試しに行くのだ。解放できた場合、開いたゲートの先に調査部隊を送り、生存文明があるかを確認する。

 発見した場合、必要があれば支援ないし援助を行う。そうして長い時間をかけて強い結びつきを作っていこうというわけだ。

 もちろん、白き月のようなバックアップがあり、対等ないしこちら以上に高度な文明が発見されても、友好な関係を築くのが先決である。その為のヴァル・ファスク代表のダイゴだ。ヴァル・ファスクの遍歴を開示し、600年前の次元断層について謝罪や贖罪をすることができるのだから。

 

 最悪遙かに文明レベルが上回っていた場合、首を差し出すことになるであろう。ヴァル・ファスクと皇国の関係が冷えてしまう可能性があるが、脅威度を考えれば止む無いことだ。スケープゴートこそが今のヴァル・ファスクの最大価値なのだから。

 

 

「『エルシオール』は今後、稼働し続けている自動防衛衛星などを相手に探索活動を行うわけか」

 

「まあ、ゲートが開けたらだけど」

 

 

 そうしてエルシオールは、セントラルグロウブに向かうのであった。そこで、コールドスリープされていた、一人の老人と出会う。数年後、新たな騒動の渦中になるその存在が目覚めるまであと数時間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 




説明会、あまり長くするとだれるし、疲れますので
次回にも少し続きます。

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