流星のロックマン Arrange The Original 2   作:悲傷

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第28話.友の元へ

 ウェーブロードで光が弾ける。ブライの拳をシールドで受け流しながら、ロックマン・ベルセルクは大剣を振るった。闇雲に振った剣が当たるわけもなく、ブライの側をかすめていく。その隙をつくのがゴート・カンフーの役目だ。ブライの側面に正拳突きをお見舞いする。

 流れるような2人の連携。それを難なく防いでみせるのがブライの恐ろしいところだ。

 彼は飛ぶ鳥を撃ち落とすほど素早い正拳突きを払いのけると、右の拳で応戦する。かろうじてかわしたゴート・カンフーの頬に鋭い風圧がぶち当たる。精神力を根こそぎ奪われてしまいそうな恐怖に当てられながらも、ゴート・カンフーは退かずに拳と蹴りの嵐に応戦する。当然ブライの背後は無防備になり、ロックマンの剣が襲い掛かる。

 それを見越していたブライは素早く横に飛びのいた。大剣がウェーブロードをガキリと噛み砕く。

 先程からこの調子だ。ロックマン・ベルセルクとゴート・カンフーによる2人掛りで互角。ブライの底知れぬ実力に2人は戦慄を覚えていた。

 

「八木くん、まだいける?」

「……大丈夫さ!!」

 

 そう答えるものの、ゴート・カンフーの呼吸は少々荒れてきていた。

 ブライが拳を引く。闘気を飛ばしてくるブライナックルの構えだ。

 

「来るよ! 遠距離攻撃が!!」

「あ、アイサ!!」

 

 2人が防御の姿勢を取る。ブライの右手のオーラが膨れ上がり、放たれようとする。そのとき、とんでもない轟音が3人を襲った。それはブライですら集中力を欠き、手を止めてしまうほど。

 

「な、なに今の?」

 

 水面がビリビリと波打つ。その下では、大小さまざま魚を初めとする湖の生物たちが一方向に向かって泳いでいく。食物連鎖を無視した光景に、胸の奥がざわついた。

 それは正解だったらしい。再び先ほどの轟音が鳴る。こんどははっきりと聞き取れた。これは鳴き声だ。方角はお祭り会場。戦っていることも忘れてそちらを見ると、ロックマンは目を見開いた。大きな影が霧の向こうで動いている。そのシルエットは首長竜だ。

 

「ど、ドッシー……?」

「いや違う! 電波体だ!!」

 

 ウォーロックが叫んだ。

 

「あ、あれが電波体!?」

「ああ、しかもこの周波数はハイドたちとよく似てやがる」

 

 ハイドと聞いて嫌な予想が立ってしまった。ヤエバリゾートでの出来事が脳裏をよぎる。そして呼ばれてもいない面倒なやつがその場に降り立った。

 

「ンフフフフ、お呼びですか?」

 

 黒いマントとシルクハット、白い仮面をつけたような緑色の顔。ファントム・ブラックだ。彼はロックマンたちとブライの間にある、少し高い処にあるウェーブロードの上でマントを翻しえしていた。どこまでも演出にこだわるらしい。

 

「てめえ、また何かしやがったか!?」

「ンフフフフ、ちょっとした舞台を整えさせていただきました。そろそろ連絡が来るころだと思いますよ、ロックマン」

 

 何をどうするつもりなのだろうか。確かなのは、ろくでもない事であるということだ。

 ハイドの言うとおり、ロックマンのスターキャリアーからコール音が鳴った。ブラウズ画面を開くとルナの顔が映った。

 

「あ、スバルくん!! お願い、キザマロを探して!!」

「委員長……なにがあったの?」

 

 ブライとファントム・ブラックの様子を伺いながら尋ねた。

 

「いまいきなり怪物が現れて皆パニックなの。で、キザマロに電話を入れたんだけれど、繋がらなくって……何かに巻き込まれちゃんじゃ無いかって……」

 

 ロックマンの目に怒気が宿った。ファントム・ブラックの用意したという舞台に察しがついたのだ。

 見れば、当の本人は嬉々とした笑みを浮かべている。

 

「さあロックマン。眼鏡をかけたお友達があなたの助けを待っていますよ? 湖の底でね? 

 助けたければどうぞお行きなさい。ですが、ブラキオ・ウェーブがあなたの道を阻むでしょう。

 どうします? 見捨てて逃げてもいいのですよ?」

 

 ロックマンはギリッと歯を食いしばった。ブライだけでも手こずっているというのに、侮れない実力を持つファントム・ブラックと巨大な電波体ブラキオ・ウェーブが加わった。単純な頭数でも2対3だ。加えてキザマロを助けなければならない。湖の底ということを考えれば制限時間付きだ。どれから手をつけろと言うのだ。

 その答えを導いてくれたのは八木だった。

 

「いくサ、ロックマン」

 

 ゴート・カンフーが前に進み出た。

 

「……え?」

「ここは僕が引き受けるサ」

「む、無茶だよ!!」

 

 ゴート・カンフーは一人でブライとファントム・ブラックと戦うつもりだ。無謀すぎる。

 

「キザマロくんは大切な友達なんでしょ? 助けに行かなきゃ」

 

 その隣にゴートが出てくる。彼は何もしゃべらないが、その目が語っていた。行け……と。

 ロックマンは拳を握りしめた。ゴート・カンフーの笑みとゴートの仏頂面を見比べる。そして、ゴート・カンフーの肩に手を置いた。その手は震えていた。

 

「直ぐに戻ってくるから! だから、無理はしないで!!」

「アイサ!!」

 

 その返事が胸に突き刺さる。ロックマンは踵を返して脇目もふらずに駆け出した。

 ゴート・カンフーはそれを横目で見送ると、ブライとファントム・ブラックと対峙する。

 彼の隙の無い構えを見ながら、ブライはフンと鼻で笑った。

 

「涙の友情ごっこか? 反吐が出る。

 貴様、手を出すなよ」

「ええ、構いませんよ。私も忙しいですから。ではごゆっくりどうぞ」

 

 ファントム・ブラックはウェーブロードを蹴飛ばして、ゴート・カンフーの頭上を通り過ぎていった。ロックマンが向かった方角に姿を消していく。

 追いかけたいが、ゴート・カンフーはそこから動くことができなかった。背中を見せれば、その瞬間に自分はやられてしまうと理解していたからだ。

 

「……お前も仲間のためか? 雑魚が、鬱陶しいんだよ……」

 

 ブライの全身から殺意に染まった周波数がはじけ飛ぶ。ゴート・カンフーは冷や汗を流しながら深く深呼吸した。

 

「師匠……」

「うむ」

 

 ゴートが頷いた。

 

「はい、大切なものを守るとき……今がその時ですよね」

 

 八木は心の中でロックマンに謝罪した。彼の忠告を破ることにしたのだ。

 スターキャリアーからシノビを取り出すと、迷わず体内に取り込んだ。

 

「でも安心してほしいサ、ロックマン。こいつは……」

 

 体がドクリと跳ねる。全身に力がみなぎる。

 

「僕が倒すサ!!」

 

 緑色のオーラが噴出した。ゴート・カンフーの身を炎のように包みこみ、彼の魂ごと燃え上がらせる。

 緑色の業火を前にして、ブライは静かに拳を構えた。

 

「もしかしたらと思っていたが、やはりシノビはお前が持っていたのか。ちょうどいい、貰っておく」

 

 ゴート・カンフーが怒号を上げて飛び出した。ブライをウェーブロードを蹴った。

 空中で2人の拳がぶり駆りあう。湖がめくれ上がった。




話進んでねえ……orz

もっとテンポよくお話を進めれるようになりたいです。

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