マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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妹は兄たちの騒動を見ていた。


第九十五話~妹はお祭りでの騒ぎを観戦した~

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。これからホドモエシティに向けて歩いている途中です。…けれど途中でお祭りのように騒いでいるパフォーマンストリートを見に行くことになりました。…けどちょっとだけ嫌な予感がします。主に原作方面で。

 

お祭りには様々なイベント、様々な屋台が並んでいてとても面白そうだと感じた。ミュージシャンやダンサーが自慢のパフォーマンスをする場所として有名だからこんなにも凄いのかと納得できるほどだ。まるでサーカスのような人たちが華麗に演技をしていながら、横では漫才のようにポケモンと一緒になってボケとツッコみをしている所もある。全部見て回りたいけど、まわりきれるかどうか分からないぐらいたくさんある。

ヒトカゲも一回転しながら周りの様子を見て、楽しんでいるし、兄たちも屋台を見て何から食べようか迷っているようだ。私としてはヒヒダルマたこ焼きを食べてみたいなと思う。あれ一口で食べきれないほど大きいサイズだから1人でじゃなくて、ヒトカゲと一緒に食べようっと―――――。

 

 

「…あれ?シューティー?」

『ピィカ?』

 

 

「サ、サササトシ先輩!!!!???」

 

 

「…ん?」

『カゲェ?』

 

 

兄の近くが騒がしく、私とヒトカゲは何があったのか振り向いて見る。すると兄と一緒にいるのは何やら涙目を浮かべているシューティーだ。ああそういえばシューティーも原作でいたなと思った。ちょっと原作崩壊する可能性あるけど…まあいいか。

そして遠くの方を見るとアデクさんというイッシュチャンピォンがジュンサーさんのバイクに乗って何やら話しかけているのが分かった。私はそれを見てため息をつきながらも、兄のもとへ行く。

 

兄はシューティーに何でここにいるのか質問する。するとシューティーは感激しながらもこの場所で人を待っていたということ、その人はアデクさんというイッシュチャンピォンだということを教えてくれた。それを聞いた兄たちが驚き、そして疑問に思ったらしい。

 

「…え、でも神出鬼没で、何時何処にいるのかわからないアデクさんがここにいるって分かるだなんて凄いわね!」

『キバキ!』

 

「ああいや、僕はアデクさんがこの近くにいるという噂を頼りにきただけだから…」

 

「…じゃあいるかどうか確実には分からないってことか」

『ピィカッチュ…』

 

「…ですが!今日この場所でサトシ先輩に会えた!!それだけでも僕は感激です!!!もう満足していますよ!!!!」

 

「そ、そうか…」

『ピッカァ…』

 

 

うんシューティーが満足ならそれでいいんじゃないかなと思う。アデクさんを尊敬し、何故か兄も尊敬しているシューティーにとってはどちらも大切みたいだからね。でもこのままだと話が終わりそうな予感がするから私は兄の腕を引っぱってから苦笑しつつ話しかける。

 

「どうしたヒナ?」

『ピカチュ?』

「お兄ちゃん、あっち見て」

『…カゲ?』

 

「あれって…アデクさん!?」

「ええ!?」

 

 

私が指差したことによって皆がアデクさんに気づくことができた。そして私たちはそのアデクさんの近くへ走って向かう。アデクさんはいまだにジュンサーさんに話しかけていて、これから食事でもどうか?といっているようだ。でもすぐにそれをきつく断られてしまい、バイクから降ろされそのまま去ってしまった。アデクさんは残念そうにそれを見て、そして私たちが近づいたことでこちらに気づき振り向いた。

 

「おお!君か!久しぶりだなぁ!」

「小さい頃に一度会っただけですけど、僕のことを覚えていてくれたんですね!?」

「おう!もちろん覚えているぞ!…確か名前は………シュータロウだったな?」

 

「…いえ、シューティーです」

 

名前を間違えられてしまい苦笑するシューティーと私たち。アデクさんは豪快な笑い声をあげて久しぶりだな懐かしいなと言っている。そしてシューティーはバトルをしませんか?といってアデクさんを超えるチャンピォンになりたいということを伝えている。そして兄もそれなら俺もシューティーの後でいいから戦わせてくれ!と言っていたのだけれど………。

 

「そんな!?さ、先にサトシ先輩からでどうぞ!僕はその次で構いませんから!!」

「何言ってるんだよシューティー。お前、アデクさんを超えたいんだろ?だったら俺より先にやらなきゃ駄目だって」

「いえ…ですけど……」

 

「ハッハッハ!!面白い!順番を決められないのなら、2人いっぺんにかかってこい!」

 

「うぇえ!!!??……ぼ、ぼぼぼ僕がサトシ先輩と一緒に…た、戦うって……………はうッ!」

「ちょッ!?おいシューティー!!!」

『ピィカッチュ!!』

 

 

「…ん?どうしたんだシュータロウ?何で気絶しておる?」

 

 

「ハハハハハ…」

『カゲェ…』

 

 

うわーい…カオス到来です。シューティーが兄と一緒に戦うことになってしまい、いろいろと感情が爆発して白目向いて倒れてしまいました。その様子に兄とピカチュウ、アデクさん以外の私たちは苦笑し、微妙そうな表情を浮かべ、アデクさんは首を傾けてどうしたんだとよく分からなそうな表情を浮かべている。兄は白目になって倒れているシューティーを起こすためにピカチュウに軽くでんきショックをやってもらう様に指示している。なんか凄いことになってるけどこれってどうなるんだろ…。

 

 

 

だが、この後ダブルバトルではなくなり、目が覚めたシューティーが土下座しながらお願いしますサトシ先輩からバトルしてください!!!と頼まれ、頬をかきながらもそれに頷いた兄がアデクさんと戦うことになった。

 

…でもバッフロンと出した後何も指示を出さず、兄も微妙そうな表情を浮かべてピカチュウに10まんボルトを指示していた。

 

「ピ、ピカチュウ…10まんボルト」

『ピッカァ!!』

 

 

『バルゥゥウ!?』

 

 

だが、バッフロンは何とか耐えていて、物凄い耐久力だと分かって驚いた。でもその後もアデクさんは指示を出さず、兄はピカチュウの方を見て口を閉ざし、そしてルカリオと私の方を見て問いかけてきた。

――――――原作ではここでアデクさんが居眠りをしているためにバトルが中断されたということがあったりするため、今まさに寝ているのではないかと思いながら、私はルカリオの方を見た。ルカリオは頷いて兄に言う。

 

『サトシ…寝ているぞ』

「え…ええええ!!?寝ているってアデクさん寝てるの!?」

『キバキバ!?』

「も、物凄いテイストだね…」

「アデクさん…!?」

「……というかよくこんな状況で寝てられるよね」

『カゲェ…』

 

「はぁ…なあどうするピカチュウ?」

『ピィカ…』

 

『ブォォォオオウウ!!!!!』

 

結局、アデクさんを起こしたのはバッフロンの方で、アデクさんは笑いながら昨日から歩いていて疲れてしまいつい寝てしまったと言ってきたため私たちは苦笑する。そしてバトルが再開されたのだけれども、バッフロンが怒ってアデクさんに攻撃し、このバトルは中止となってしまった。もちろんシューティーとのバトルも。

 

それにシューティーが悲しそうな表情を浮かべて口を開く。

 

 

「アデクさん…言ってましたよね?どんどんバトルすれば、どんどん強くなれる。そしたらチャンピォンにもなれると。ですが…僕はサトシ先輩から教わったんです。チャンピォンを目指すことは強さを求めるだけじゃない、基本だけじゃなく…もっともっと大切なこともあるんだってことを…アデクさんの教えを背くようなことを言っているかもしれません…けど僕はアデクさんと言っていたことと、サトシ先輩から教わったことを両方を信じてポケモントレーナーとして証明していきたいんです!ですから…バトルしてください!!!」

 

「シューティー…」

『カゲカゲ…』

 

シューティーの心を知ったような気がした。私たちはただシューティーの人に迷惑をかけるような言葉や行動を改めるために兄に矯正されたと思っていた…のに、シューティーは兄から学んでいたのだ。トレーナーとして大切なことを。強さだけじゃないということ、基本だけがすべてではないということを…だからそれを全部まとめてアデクさんにぶつけたいのだろう。自分で学んできたこと、兄から学んできたこと…そしてアデクさんから学んだことすべてをバトルでぶつけて、成長してきたということを知ってほしいのだろうと思った。

兄もそんなシューティーの言葉に真面目そうな表情を浮かべている。おそらくシューティーの夢を知ったことと、兄が彼の世界の見かた、常識を変えてしまったことについて考えているのだろう。でもこれはいいことだと私は思う。ポケモンというのは、強さだけではないのだから…他にもまだまだ知らないことがたくさんあるのだからシューティーは兄によっていい成長をしたのではないかと思えた。

 

でもアデクさんは首を横に振って、そしてシューティーの頭を撫でた。

 

 

 

「昔、何を言ったのか詳しくは覚えとらん…だが、シュータロウ。お前のそのやり方は正しいと思っておるぞ。バトルは強さや基本だけじゃないということも、チャンピォンにとって必要なことだ。それを証明したいという気持ちもわかる」

「じゃあ…!」

「だが、バトルはやらん。わしもバッフロンも腹が減っておるからな。一緒に飯でも食いに行かないか?シュータロウ」

 

 

 

「………僕の名前はシューティーです……いえ、僕はこれから予定があるので…それじゃあアデクさん、サトシ先輩…それから皆さん。僕は行きますね」

 

 

 

「…………おう。じゃあなシューティー!」

『…ピカァ!!』

 

 

 

シューティーはそのまま走って行ってしまった。おそらくこの後ご飯を食べに行ったとしてもバトルは受けてもらえないと分かったからだろう。私たちに挨拶をしてから去っていくシューティーがちょっとだけかっこよく見えてしまった。

 

 

 

 

 

――――――――まあその後もいろいろと騒動があって大変だったんだけどね…。

 

 

 

 

 

 




妹の心境。
 イッシュのチャンピォンはいろいろと個性的だった…。





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