マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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兄はライモンシティを楽しんで、そして迷子を見つけた。


第九十四話~兄は地下鉄で迷子を捜す~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。ライモンジムに勝ってバッチを貰い、これからライモンシティでいろいろと見て回ろうかと思っております。…でもデントがちょっと煩い。

 

 

「このスタンプラリーは3日間でようやく集まると言われている超難関なのさ…でも!僕はそれを1日……いや4時までに集めきってみせる!!イッツ・サブウェイ・ターイム!!!」

 

 

「ははっ…えっと……悪いデント。俺たちこれからライモンシティの見物するって決めてるからさ…」

『ピィカッチュ…』

「ごめんねデント…でもスタンプラリー頑張って!」

『キバキバ!』

 

「そ、そんなぁ…」

 

デントがスタンプラリーをすべてコンプリートさせて、サブウェイマスターとバトルをするという夢のために頑張るらしいが、俺たちはもう前から決めていた約束だったから、スタンプラリーはできないといって謝った。デントは残念そうな表情を浮かべていて、それを見た妹が何故か考えるような表情を浮かべており、ヒトカゲと何やら話し合ってお互いに頷いてから俺たちに声をかけた。

 

「ねえお兄ちゃん。私はデントと一緒にスタンプラリーに行くよ」

『カゲカゲ!』

「え、ヒナちゃん…私たちと一緒にライモンシティの見物に行かないの?」

『キバキ?』

「うん…スタンプラリーも面白そうだし…やりたいこともあるしね!」

『カゲ!』

『なら俺も一緒に行こう』

 

「…ルカリオも一緒に行くなら安心か……いいぞヒナ。ただしはぐれたりしないようにな?」

『ピィカッチュ?』

 

「分かった!」

『カゲ!』

 

「いいねぇ!!僕の気持ちを分かってくれる同士よ!さあ一緒にスタンプを集めに行こう!!」

「う、うん…」

『カゲカゲ…』

 

 

デントのテンションの上がりように俺は一瞬妹達を説得して見物に戻そうかと思ってしまった。だがルカリオもついているし、妹がスタンプラリーで何かしたいというのなら存分に楽しんでいけばいいと思い、頷いた。…まああれだ、デントが面倒だったらスルーすればいいからなと小さくアドバイスしてから、電車に乗り込み妹達から離れて行った。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

そして俺たちはビックスタジアム前という駅で降り、リトルコートやビックスタジアムで楽しみ、そしてポケモンミュージカルを楽しんだ。途中でミジュマルがボールから出てきて、ミュージカルに出ているポケモンの近くに行きたいと言ってきて、それを宥めているといきなりサイコキネシスでステージに立たされ、ショーに出ることになったりもしたけど楽しいと思えた。

 

…でも、その後の遊園地で迷子のキバゴを発見してからは別だ。どうやらこのキバゴはトレーナーとはぐれてしまったらしい。アイリスがそのトレーナーを探そうと言い、俺もそれに賛成した。

 

「よし、まずは遊園地から探すか!」

『ピィカッチュ!!』

「ええ、絶対にどこかにいるはずよ!」

『キバキバ!!』

 

『キ…キバァ…』

 

 

キバゴを探しているトレーナーがいるはずだと思い、迷子センターなどで聞いて回ったのだが、いないと言われてしまいキバゴがはぐれたという駅のホームまで戻ってきた。でもそこでもトレーナーはいない…と思ったらキバゴが突然電車に乗り込んだため、俺たちはもしかしたらトレーナーがいるかもしれないと考えてその電車に乗る。

 

「キャァ!」

 

「あ、大丈夫ですか!?」

『ピィカッ!?』

 

「仕方ないわね……エモンガ、先に様子を見てきて!」

『エーモォ!!』

 

電車が動き出したことによって転んでしまった女性を起こし、助ける。アイリスがそれを見て前の車両にいるトレーナーを追いかけたキバゴが気になるけどこちらも大丈夫か気になっているらしく、エモンガをボールから出してキバゴが大丈夫かどうか見てきてくれと指示をする。するとエモンガはやる気に満ちた表情を浮かべてアイリスに返事をしてから前の車両へ飛んで行ってしまった。

 

「荷物はこれですよね?」

『ピカピカ』

「ええ…ありがとう坊やたち」

「いいえ、お怪我がなくてよかったです!」

『キバキバ!』

 

「…よし、行くぞ」

「ええ!」

『ピッカ!』

『キバキ!』

 

落としてしまった荷物を持って女性に返し、怪我がないことを確認してから別れ、前の車両へと急いで向かう。するとエモンガが何故か糸でぐるぐるに巻かれたキバゴを抱えてこちらに近づいてきたため、先ほど追いかけたトレーナーは違っていたということが分かった。

 

『キバァ…』

 

「だ、大丈夫よ!絶対にあなたのトレーナーに会わせてあげるからね!」

『キバ!』

「そうだぜ!お前のトレーナーも絶対に探しているだろうし、大丈夫だって!!」

『ピィカッチュ!!』

 

『キバ…キバァ!』

 

迷子のキバゴはとても悲しそうな表情を浮かべていたのだけれど、俺たちが何とか励ましてまた探しに向かう。アイリスが途中で見かけたスタンプラリーにキバゴの手形と観覧車の絵を描いて壁に貼り、もしかしたらキバゴのトレーナーが見てくれるかもと言って行動していた。

そしてもう一度観覧車がある遊園地まで向かったのだけれど、ずっと待っていてもキバゴのトレーナーは来ないし、迷子センターにもう一度聞きに行ってもキバゴを探しているトレーナーはいないと言われてしまった。

 

「…このままじゃ埒が明かないな」

『ピィカ…』

 

「…あの、サトシ君とアイリスさんですね?」

 

「……はい?」

「誰…ですか?」

 

 

いきなり知らない人に名前を呼ばれ、俺たちは首を傾けたが、何故か急いでライモン中央駅に行ってくれと言われ、電車に乗っていくことになった。そして電車に降りて周りを見るがなにもいない…。

 

『キ…キバキバァ!!!』

「あ…キバゴちゃん!!ごめんなさい…もう絶対に離さないからね…!」

『キバキバァ…』

 

いきなりキバゴが俺たちから離れ、走り出した…と思ったらある女の子に抱きつき…そして抱きしめられていた。おそらくあの女の子がキバゴのトレーナーなのだと分かって安堵した。これでよかったのだろう…でもどうして俺たちのことを知ったのだろうか?何故遊園地で声をかけられたのだろう?

 

「お兄ちゃん!」

『カゲ!』

「あれ、ヒナにヒトカゲにデントにルカリオ?…ってあれ?ノボリさんとクダリさんも?…どうしてここに?」

『ピッカッチュ?』

 

スタンプラリーに向かった妹達に加えて、地下鉄に乗っていた時に偶然出会ったノボリさんとクダリさんに再会した。そして彼らは微笑みながらも、キバゴを探すのにサブウェイマスターも協力したということ、そしてその途中でキバゴと一緒にいる俺たちの映像を見たということ、遊園地にいるならばライモン中央駅まで向かってくれればすぐに会えるから行動したということが分かった。なるほどと納得した…けどそういえば…。

 

「…なあデント、サブウェイスタンプラリーはどうしたんだ?」

『ピカァ?』

 

「……………ああああああ!!!!残りの1つのキバゴスタンプがまだだったァァア!!!!」

「アハハ…はいデント。これあげるよ」

『カゲ!』

 

「え…?ヒナちゃんこれってスタンプラリーの!それに全部のスタンプがうまってる!!!」

「うん。さっきキバゴ探している時にちょっとね…私はバトルできないし、デントが持っていた方がいいと思うんだ」

『カゲ!』

「え…でも……」

『デント…ヒナがこう言っているんだ。遠慮などするな』

 

「…分かった。ありがとうヒナちゃん!!」

 

 

 

―――――まあこうして、デントがスタンプラリーを済ませ、バトルすることを認められ、そして何故か俺も含めてダブルバトルをすることになってしまった。ちょっとだけ散々だったけど、でもまあ一日楽しめたからよかったと思えた。

 

 

 

 

 




兄の心境。
 次のジムバッチも順調にゲットしなきゃな!




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