マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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妹にとって唯一の苦手なもの…。


第九十三話~妹は親子の絆を見た?~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。今回ようやく兄のジム戦です。ですが扉が開いておらずどうやら留守のようです。…そういえば何かショーでもやっていたような…。

 

「あら、サトシ君…それに皆さん。お久しぶりです」

「ベル!久しぶり!」

『カゲ!』

「ベル、お前もこのジムに挑戦しにきたのか?」

『ピィカ?』

 

「はい。ですが今日はこのジムのジムリーダー、カミツレさんのファッションショーが行われているようで…今からショーを見に行くんです」

「え!?ファッションショー!!?」

『キバキ!?』

 

「皆さんも一緒にどうですか?」

 

…というわけで、ベルと一緒にカミツレさんのファッションショーを見に行くことになりました。ファッションショーはかなり綺麗で、そしてさまざまな音楽に合わせて優雅に歩く姿が素敵だと思えた。カミツレさんが登場した瞬間、周りにいた観客が歓声を上げているのも納得できるぐらい凄いと思えた。

 

「凄いねヒトカゲ!」

『カゲ!』

 

 

「――――あら?…まぁ!くらくらしちゃう!」

 

「…え?」

『ピィカ?』

 

カミツレさんは電気タイプ専門のジムだから、兄のピカチュウに反応するのは仕方ないと思う。けれどまさかファッションショーの途中でこちらに近づいてピカチュウを見るとは思わなかった。でもそのおかげで私たちがジムに挑戦しにきたということ、そして自己紹介ができたからよかったと思う…でもこっちに向かってカメラとか向けないでほしいなとは思っちゃったけどね。こんなところで目立ちたくはないからさ…。

 

「あなたたちチャレンジャーなのね?分かったわ、ショーが終わったらジムで会いましょう!」

「はい!」

『ピィカ!』

「よろしくお願いします!」

 

 

「……あ、そうだ」

『カゲ?』

「ううんヒトカゲ何でもないよ…ただちょっと思い出しただけだよ」

『カゲカゲ…?』

「うん…これから騒がしくなりそうだなって…」

『カゲ!』

 

そういえばこの後、ベルの父親が登場して帰らせようとする話があった気がする。…でもそれはベルがおっちょこちょいで何かトラブルに巻き込まれたらいけないという父親心から出た考えだったりする。…でもってベルのジム戦での勝敗によって決まるんだけど、負けちゃって…その後≪サトシ≫がその父親にバトルを申し込むと条件として負けたらマサラタウンに帰るというもの…でも今回はどうなんだろ?

ベルの性格そのものがかなり変わっているし、この条件だと兄がいろいろと暴走するような気がする。…まあ大丈夫なのかな?

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ただいまジムの前にある乗り物を見て引きつった表情を浮かべている真っ最中です…。私はジェットコースターがあまり好きじゃないというか…。乗り物として見ちゃうと微妙に拒否反応が出るというか…。ああいや、木登りとかマサラタウンでよくやっていて、修行で木登り以外でも様々な運動を行うことが多かったから、揺れを気にせずできるぐらいだし三半規管なんかは鍛えられてるから大丈夫なんだけど…。

確か原作ではかなり揺れていて、一回転したりすることもあったはずだ。そういうジェットコースターに乗るのは少し遠慮したい…。というか原作では4人乗りだったはずなのに何で6人乗りになってるの…4人乗りだったら私とルカリオ、ヒトカゲは遠慮できたはずなのに……。

 

 

 

「ジェ、ジェットコースター…」

『カゲ?』

『どうしたヒナ。乗らないのか?』

「ヒナちゃん?どうしたの?」

『キバキ?』

 

「あのさ…私だけ乗らないっていう選択肢は…?」

「え…もしかして苦手なのかい?」

 

 

皆が乗り込んでいるというのに、私だけ乗らずに苦い表情を浮かべているため、驚いているようだ。そしてヒトカゲも私の隣に立って大丈夫かどうか心配そうな表情を浮かべている。……うん、大丈夫…大丈夫なんだけどね。

でも、いつの間にか兄が私たちの隣に立ち、私を抱き上げてからジェットコースターに乗るルカリオの隣に座らせた。そしてヒトカゲを私の膝の上にのせてから言う。

 

「目を閉じて何も考えるな。ジェットコースターだって思い込むな」

「りょ、了解…」

『カゲカゲ…』

 

『…きつかったら言え、いやしのはどうぐらいなら行えるからな』

 

 

 

兄は私がジェットコースターを苦手だということは分かっているから、目を閉じていろとアドバイスをして乗り込んでしまった。確かにジェットコースターだと考えなければ、木登りで落ちたときの衝撃みたいなものだと思えば大丈夫かもしれないと必死に納得し、私の膝に乗って心配そうに見つめているヒトカゲを抱きしめる。そしてルカリオも隣にいる私を心配そうに見つめ、何かあればいやしのはどうで助けると言ってくれたけど…もうそれって被害受けるの確実な気がしてきた…もういいや。

 

 

 

 

 

 

「グラグラするゥゥゥウ!!」

『カゲカゲェェェエエエ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――死んだ…死にました。かなりグラグラ揺れていて、これがジェットコースターの揺れだと感じると気持ち悪くなってしまう…。ぶっちゃけもう乗りたくない…。ヒトカゲもジェットコースターの揺れがきつかったのかノックダウン気味だ…。その様子を見たルカリオが私たちを抱き上げてバトル場まで連れて行ってくれたけど、周りを見る余裕はないです。

 

 

「ぅぅ…」

『カ…ゲェ…』

 

『おい平気か?しっかりしろ』

 

「無理…」

『カゲ…』

 

 

ルカリオのいやしのはどうと水を飲んでちょっと気分が良くなった。ジェットコースター乗らないのって最高。けれどいつの間にかポケモンセンターまで来ていたようだ。兄が微妙そうな表情で私たちを見ていて、サイコソーダ―を私とヒトカゲにくれた。ありがたくいただくことにする。…そして周りを見てみると、ベルが父親ににこやかに手を振って別れている様子が見れた…ってあれ?

 

 

「ベルどうしたの?」

『カゲ?』

 

 

「ああ、ジム戦に勝ったからベルを連れ帰ろうとしたベルの父親を説得して帰ってもらってる所だ」

『ピィカ…』

 

 

「……あー」

『カゲ…』

 

 

なるほど、原作崩壊ですね。ベルの性格や戦い方が少し変わったからこうなったのだろうか…?でもまさか兄と戦う前にベルが勝って父親を説得するとは思わなかった…まあでも兄がバトルを挑んでベルの父親に勝敗として余計な条件を付けるという未来じゃなくなってよかったのかなと思った。兄が暴走しなくて良かった。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――え?兄のジム戦?ああ普通に勝ってバッチをゲットしてましたよ。

 

 

 

 

 

 




妹の心境。
 地面最高…ジェットコースターはもう乗りたくない。





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