妹は全員が集合したことの大騒ぎを予想した。
こんにちは妹のヒナです。ついにライモンタウンへやってきましたよ。そして無事にルークに再会することができて、一緒にドンバトルの受付会場まで向かいます―――――。
「よし、ジム戦前の腕試しだ…頑張ろうぜピカチュウ!」
『ピッカッチュゥ!!』
「…あら?サトシ君に皆さん。お久しぶりですね」
兄が何やらドンバトルにやる気十分な声を上げている時に、いきなり後ろから聞いたことある声が聞こえてきて後ろを振り向いた。するとにこやかな笑みでこちらに近づくベルの姿があった。…あ、そういえばドンバトルって全員集まっていたような気がする…だ、大丈夫かな?主に兄の所行のせいで……あ、でもアイリスのやったこともあったか。
私たちはベルに近づいて口を開いた。
「久しぶりだなベル!」
『ピカピカ!』
「ベル、ライモンタウンに何しに来たの?」
『カゲ?』
「私はドンバトルに出場するためにこのライモンタウンに来たのですわ…ですが、申込みまで間に合うかどうかが心配で…」
「それなら大丈夫だよ!僕たちもそのドンバトルに向かう途中だからね!」
「ベルも一緒に行きましょうよ!」
『キバキ!』
「まあ本当?ありがとう皆さん!あ、あなたに会うのは初めてよね。私はベルと言います。よろしくね」
「よ、よろしく。俺はルーク」
『グァウ…』
ベルが爽やかに私たちと一緒に行くこと、ルークとの自己紹介をするということをやっていた。けれど本当にキャラ違うよね。何というか兄に突進しないというのもそうなんだけど、天然じゃなくなったというか…自分勝手じゃなくなったというか…。
「ねえルカリオ…これからどうなると思う?」
『カゲ?』
『…さぁな。まあ騒がしくなることは確実そうだ』
――――――ルカリオの言うとおり、かなり騒がしくなりそうな予感がしてきた。
ドンバトルの大会に申し込むために参加用紙を書いていた途中でカベルネに会ったんだけど…うん。
「ひ、久しぶり…サトシ…」
「あれ?カベルネじゃないか。久しぶりだな!」
『ピィカッチュ!!』
「う、う…うん…そうね……」
カベルネの性格が臆病になってました…ものすごい怯えようです。でも兄に挨拶しないと説教されると思っているのか、かなり勇気を出して挨拶していると分かり、兄とルカリオを除いた私たちは苦笑した。性格が変わりすぎている…あ、いやこれは兄限定での話か。兄に挨拶した後、デントの方を見てキッと表情を変えていたからおそらくそうだろう。
「久しぶりね、デント。今度こそリベンジよ!…あ、勘違いしないでよね。私は腕試しにこのバトルに挑戦するんだから…あなたを倒すために挑戦するんじゃないのよ…分かった?」
「え、分かったけど…ははは」
「な、何笑ってんのよ!」
「…カベルネ」
『…ピィカ』
「ヒッ!…ご、ごめんなさい!!!」
「いや僕は怒ってないよ…サトシも、あまり威圧しちゃ駄目だ」
「…了解」
カベルネがデントにのみツンデレになってました…どういうことなの?あ、でも私たちにはアイリスみたいに普通に接してくれているし、勝手にテイスティングタイムとかはやらないからかなり性格はよくなってるのかなと思った。そしてデントに突っ掛かっている姿を見て兄が低い声でカベルネの名を呼び、それに怯えた悲鳴を上げたカベルネが反射でごめんなさい!と謝罪をする。随分と兄に対して恐怖感があるようだ。まあ仕方ないか…あんな目に遭ったんじゃね……。でもルカリオが満足そうな表情してるのはちょっと…ルカリオも凄く兄に影響されてると分かってしまって私とヒトカゲは遠い目をしてしまった。
そして次にやって来たケニヤンとゼブライカに兄が輝いた目で参加するのかどうか聞いていて、そしてシママが進化したということも教えてくれた。兄たちが盛り上がっている中でアイリスの方もいろいろと騒がしくなってきたようだ…。
「あら、アイリス…何やってるのこんなところで」
「久しぶりねラングレー。あなたもこの大会に出るの?」
『キバキ?』
「ええ…ドラゴンタイプが大会に出るって聞いてね…でもまさかアイリスが来るとなると…」
「ん?何?」
『キバキ?』
「べ、別に何もない!わ、私があなたを怖がるわけないでしょッ」
「ふーん?」
『キバキ?』
「ぅ…ごめんなさい」
こっちもツンデレ…なのかな?ちょっと怖がっているみたいだけれど、アイリスを貶そうとする言葉を言わず、むしろこの大会にアイリスが出ると聞いて恐れているような感じ。しかもちゃんと謝ってるし…やっぱりキャラ崩壊激しいなと思ってしまった。しかも兄がやらかしたというわけじゃなくアイリスがやらかしたから何とも言えないなぁ…まあまだこれぐらいならマシな方かな?だって人に迷惑をかけてないみたいだし。
「あああああサトシ先輩!!!!!」
「あれ?シューティーじゃねえか!久しぶりだな!!」
「お久しぶりですサトシ先輩!!はっ!ももももしかして…サトシ先輩もこの大会に出場するんですか!!?」
「お、おう出場するぜ。シューティーもか?」
「は、はい…感激です!サトシ先輩と同じ大会に出れるだなんて!!!ああ…」
「っておいシューティー!?」
『ピカピカ!?』
「うわぁ…凄い状況」
『カゲェ…』
『大会前の相応しい光景じゃないか』
「え…どう見ても酷い光景しか見えないよ…」
『カゲカゲ…』
こっちもこっちでかなり騒がしくなっていた。シューティーが兄に気づき、そのまま走って挨拶しにやって来たのだ。そして兄が大会に出るということを聞いて感激のあまり気絶してしまった。それに慌てた兄がピカチュウのでんきショックでシューティーを目覚めさせようとしている光景が広がっている。…これでドンバトルって本当に大丈夫なのか凄く心配だ。
しかもその光景を見たケニヤンとルークが引いたような表情をしているし…。
――――――その後、兄がいろんな騒動を全部吹っ飛ばして見事に勝ち抜き、優勝していた。さすがスーパーマサラ人だと思ってしまった。
妹の心境。
ちょっとだけ、イッシュ地方での兄の噂が流れていそうな気がしてしまった…。