マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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もう嫌な予感しかしない…。


第八十三話~妹はドラゴンバスターに会う~

 

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。少し前にタマゲタケの毒にやられてしまいいろいろと大変でしたが、兄とミジュマル、デントとルカリオのおかげで何とか助かりました。それに兄とデントはそれぞれポケモンもゲットしたようでちょっといいこともあったみたいです。

 

―――――でも

 

 

「あんたがアイリスだね?探したよ。あたしはドラゴンバスターのラングレー!」

 

 

うん。どうなっちゃうんだろ。なんだか凄く嫌な予感がするよ。主にエモンガの件で見たアイリスのことについて……。アイリスがキレると兄にそっくりになるみたいだからなんだか怖いな…。

ドラゴンバスターという言葉に疑問を感じた兄たちが首を傾けつつラングレーに話しかける。

 

 

「ド、ドラゴンバスター?」

「何なのよそれ?」

 

「あたしドラゴンタイプのポケモンを倒すのが趣味なの…特に、竜の里出身のね!」

 

 

「倒すのが趣味って…」

『カゲェ…』

 

私はついラングレーの言葉に呟いてしまった。ヒトカゲも私と同じように微妙な表情で頷いているからおそらく同じようにその趣味の悪さについて考えているはずだ。でもその呟き声を聞いたからか、いきなり睨んできたため、私とヒトカゲは慌ててルカリオの背に隠れる。ルカリオは静かに私たちを背に隠し庇ってくれたからちょっと安心する。

 

デント達が何故ドラゴンバスターになったのか、そしてその趣味について疑問に思い聞いてみた。するとラングレーは昔竜の里でぼこぼこに負けてしまったということやその恨みを晴らすためにドラゴンバスターになったということを話してくれた。その理由に私たちは微妙そうな表情になる。

 

「怖いのなら、逃げてもいいのよ?」

「…分かった。その勝負受けて立つわ!」

 

 

――――――まあそういうわけで。旅は一時中断しアイリスがラングレーとバトルをすることになってしまった。アイリスの手持ちのドラゴンタイプはキバゴのみのため、キバゴにやる気があるかどうか聞いている。キバゴはちゃんとやる気満々で、バトルの中心へと走っていく。そしてラングレーの出したポケモンはツンベアーというこおりタイプのポケモンだ。ちょっと前までだったならアイリスもキバゴも嫌そうな表情を浮かべて見ていたはずだろう。だが前に再会したシューティーが出したバニプッチを見て苦手なタイプだと言って嫌そうな表情を浮かべた時、兄が苦手なら克服した方がいいんじゃねえか?と言ってシューティーに協力してもらいちょっとした特訓をしたことがあるため、実はあまり苦手じゃなくなっているということもあったりする。…さすがスーパーマサラ人、アイリスだけがこおりタイプを克服させるというのならわかるが、キバゴの苦手なこおりタイプを克服させるというのは普通はあり得ないことなのに本当にやってしまったから恐ろしいと思う。

 

でも…このまま原作通りの展開になるのかな…。あ、でもドリュウズとはもう仲直りしているから原作とは違う感じになっちゃうか…。

 

 

「ねえちょっと、もっと強そうなの出してほしいんだけど…強くて大きいドラゴンを倒してこそ、ドラゴンバスターって感じじゃない?」

『ルィッテーン!』

 

「…キバゴ、ひっかく!」

『キバキバ!!』

 

「ツンベアー、きりさく!」

『ッルベッアー!!』

 

そうして始まったポケモンバトル。でもラングレーはキバゴが弱そうだと罵倒し、つまらなそうな表情をツンベアーと共に浮かべている。それを見たアイリスが無表情のままバトルを開始させ、キバゴに攻撃の指示を出す。

そしてキバゴのりゅうのいかりとツンベアーのれいとうビームが炸裂する。だがキバゴ自身の力がまだまだ未熟なためか、ツンベアーのれいとうビームに押し負けてしまい、戦闘不能になってしまった。倒れたキバゴを心配してアイリスが走ってキバゴを抱きしめるが、ラングレーはそれを見てため息をついていた。

 

「もう終わり?楽勝すぎてつまんなーい。ねえ次のドラゴンタイプを出してよ」

「いないわ…私の手持ちのドラゴンタイプはキバゴだけよ」

『キ…キバキ』

 

「え?マジで!?本当にドラゴンマスターを目指しているわけ?」

「………あなたには関係のないことよ」

 

 

 

「はぁ?…なーんだ。竜の里出身ってこの程度か。がっかりね!」

 

 

 

その言葉に兄が反応し、ラングレーに対して何か言おうとするのだが、それを何故かルカリオが止める。兄はアイリスを貶し、傷つけるラングレーの言葉に反応しただけだ。兄は止めたルカリオを苛立ったように見て止めるなと言うが、ルカリオはアイリスの方を見ろと言ってきた。そのため、私も兄もアイリスの方に視線を移す。

 

 

……やっぱり見ない方が良かったと後悔してしまった。

 

 

「…ドラゴンタイプじゃないけど、ツンベアーに負けないポケモンならいるわよ」

「へぇ?でもドラゴンタイプじゃなきゃ興味ないなぁ」

 

「あら、怖いんだ?怖いなら逃げてもいいけど?」

 

 

アイリスがラングレーを挑発し、もう一度バトルをしようと言ってくる。ラングレーはアイリスの挑発にのり、バトルを受けた。そしてアイリスが出したのはやる気十分のドリュウズ。ラングレーはそのままツンベアーでバトルする。…言葉だけだったらこれで原作通りの展開に似ているからよかったと思えるんだけど……アイリスの表情を見てみたら微妙だ。なんせアイリスはラングレーの言葉を聞いてどんどん表情が消えていき、今は無表情なのだから。

 

ドリュウズはそんなアイリスの気持ちに気づいたらしい。いつもよりもやる気に満ちていて、絶対に勝つという感じで声を出している。

そして始まったバトルもドリュウズのきあいだまによって勝つことができた。…引き分けにもならずに。

 

「ツンベアー戦闘不能!よってこの勝負、ドリュウズの勝ち!」

 

 

「クッ!…ふん。ドラゴンタイプじゃなきゃ負けても痛くも痒くもないわ!」

 

 

そう言ってツンベアーをボールに戻してラングレーは私たちから離れようとするんだけど、それを引き留めたのがアイリスだ。アイリスがラングレーの腕を掴んでいるため、離れさせようとはしない。無表情で俯きながらラングレーを止めようとしているアイリスに恐怖を覚えた私とヒトカゲはお互いに抱きついてこれから起きることを見届ける。

肝心のラングレーは嫌そうな表情でアイリスを睨み叫んでいる。だがアイリスは俯いた顔を上げ、無表情から一変して笑みを浮かべてラングレーを見る。

 

 

「ちょっと!なにすんのよ!!」

 

 

 

 

「さっきの話についての説教よ。とりあえず、正座しなきゃ許さないからね?」

 

 

 

 

 

――――――――――――うん。もう兄のせいですね。完璧にキャラ崩壊確定です。え、ラングレーがどうなったかって?兄の所行とエモンガの件で察してください…。

 

 

 

 

 

 

 




妹の心境。
 アイリス…お願いだからこれ以上お兄ちゃんに似ちゃ駄目だよ…。




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