マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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妹は原作とは違ってしまった兄の物語に苦笑する。


第七十九話~妹はいろいろと苦笑した~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。無事ヒウンシティのジムバッチを手に入れた兄と共に町から出て次のジムのライモンシティまで目指していきます。でも途中でベルに会って一緒にお昼を食べることになりました…えっと……うんベルの様子がちょっとおかしくなってるけど気にしちゃ駄目だよね。

 

 

「わざわざ私の分まで美味しい料理を作ってくれて本当にありがとう…何だか申し訳ないわ……」

「いや気にしなくて大丈夫だよ。それに美味しく食べてもらうことこそシェフの冥利に尽きるっていうからね?」

『デントの言うとおりだ。気にするな』

 

「でもご馳走になっているばかりなのもちょっと…なにかお礼として手伝えることってないかしら?」

 

…まあこんな感じでお嬢様みたいな振る舞いをするようになってました。箱入り娘じゃなく本当にお嬢様みたいだよベル…これ絶対に兄のせいだよねそうだよね。

私たち…というより、兄とピカチュウ以外の皆は久々に会ったベルの豹変に驚き引きつっている。でももうこんな感じで性格が変わっているのに慣れてきたようだ…主にシューティーのせいでね。

 

そしてアイリスが持ってきた林檎を見てベルが目を輝かせた。

 

「まあ美味しそうな林檎」

「で、でしょう?これは極上のデザートよ」

「ええ、本当に美味しそうです。まさに極上のデザートですわ。…貰ってもよろしいのですか?」

「も、もちろんよ…」

「ありがとうございます!」

 

アイリスが微妙そうな表情でベルに林檎を渡している姿が見えて私は思わず苦笑してしまった。なんか性格だけじゃなくって口調も変わってないかなこれ…でも兄とピカチュウは何だか満足そうな表情だ。前に会ったシューティーについてはちょっとやりすぎたかなという表情を浮かべていたような気がするんだけど……ま、まあいいか…人に迷惑はかけていないし……。

 

 

「ほらキバゴ。美味しい林檎だよ!」

『キバキ…キバ!?』

 

「あ、危ないわよキバゴ!!」

 

 

キバゴがアイリスに渡された林檎を落としてしまい、コロコロと転がっていく林檎を追って走っていく。それを見た私たちは後を追いかけ…そして新しいポケモンの姿を見る。そのポケモン…いやエモンガはキバゴの落とした林檎を持って私たちを見ている。そして兄やピカチュウは見たことのないポケモンに目を輝かせ図鑑を取り出して確認する。

 

『エモ?』

「なんだこのポケモン…?」

『ピィカ?』

 

「あら、そちらにいるポケモンはエモンガですよ」

 

兄が確認するのと同時にベルが静かに近づいてきて説明してくれた。それもエモンガに抱きついたりゲットしようとせずに…これ本当に大丈夫なのかな…。もう原作崩壊は確定だよね絶対…。

 

愛らしい表情を浮かべながら林檎をキバゴに返したエモンガがアイリスからお礼を貰って嬉しそうに林檎を食べていく。その可愛い様子に勝手に出てきた兄のミジュマルがメロメロを受けたような表情をしてエモンガに抱きつこうとする。エモンガはミジュマルを避け、すぐにどこかへ行こうとする…けど、キバゴがその後ろ姿を見て追いかけて行ったため、私たちも後を追いかけることになってしまった。

 

「キバゴ?どうしたの!?」

『キバキバ!!』

 

「…え、キバゴも自分でお礼をしたいの!?…分かったわ。ねえ皆!悪いんだけど私たち先にエモンガを追いかけに行ってくる!」

「分かった…気をつけろよ!」

『ピカチュ!!』

「すぐに追いかけるからね!!いろいろと気を付けてね!!」

『カゲ!!』

 

 

アイリスが木に登って走っていってしまう。木をつたって素早く移動しているためアイリスたちが行ってしまった。それを見た私たちも早く追いつこうと走るけど、いつの間にかはぐれてしまったみたいだ。先程まで見えていたアイリスたちの姿が見えない。…あ、もしかしてこのまま原作方向へいくのかなと思った。ベルの暴走はなくなったけど、思わぬところで軌道修正されているみたいだ。

 

「…なあヒナ、あいつら大丈夫かな」

『…ピカピ?』

 

「うん…でも急いだ方がいいかもしれない…」

『カゲ?』

『ピィカ?』

「どうしてだい?」

 

「え、ええっと…」

「その意見に賛成ですわ。この先の森は深く、多くの強いポケモンたちがいると有名ですから」

「何だって!?」

 

『………こっちだ』

 

兄が原作の意味で大丈夫かどうか聞いてきたため、確かアイリスたちはこの後ココロモリに襲われていたはずだから急いだ方がいいかもしれないと言っておく。そして何故急いだ方がいいのかと他のみんなが疑問に思ってしまい、どう言い訳をすればいいのか考えていたらベルが森について説明してくれたため難を逃れる。

私やベルの話によって本当に急いだ方がいいと分かり、ルカリオが波動でアイリスたちの居場所を教えてくれて、私たちはその先へと走り出した――――――。

 

 

その後、ココロモリに襲われているアイリスたちを発見し私は安堵した。どうしてかというと、これはもう原作通りにアイリスの手持ちフラグだということと、兄がすぐにココロモリたちを吹っ飛ばしてくれるはずだということだからだ。

 

もちろん私の予想通りに事は進み、兄がりんしょうしまくっているココロモリたちに向かって突撃し、ピカチュウと一緒になって吹っ飛ばしていったことやアイリスとキバゴを気に入ったエモンガが仲間になりたいと言って来たことなどが起きた。

ちょっとだけ原作とは違うけれど、でもまあ大筋はあってるし、あまり気にしない方がいいかなと思ってしまった。

 

そしてアイリスは嬉しそうにエモンガを捕まえたボールを手に持って叫ぶ。

 

 

「エモンガゲットでどどんがどーん!」

『キバキバァ!!』

 

 

「良かったですね!おめでとうございます!」

 

 

 

「…………あはは」

『…カゲ』

 

 

 

――――――――――アイリスがエモンガをゲットしたことは良いとして、ベルの性格とか口調とかどうにかならないものかなぁ…。

 

 

 

 




妹の心境。
 これ一体どうなっちゃうんだろ…。

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