落とし穴というのは落ちるためにあるものだ。
こんにちは妹のヒナです。突然ですが兄とピカチュウが落とし穴に落ちていきました。
「お兄ちゃん!?」
『カゲ!?』
「サトシ!?」
『キバキバ!?』
今日はズルッグとキバゴがバトルの練習をしている最中だった。けどその途中で何故か兄とピカチュウの地面が揺れ、突然穴ができて落ちてしまった。それに私たちは驚き、落とし穴を覗き込む…だがすぐにその穴は塞がってしまったため、兄とピカチュウが大丈夫かどうかが不安になる。…あ、でもあの兄とピカチュウなら平気…かな?
でも他のポケモンたちのボールは全て置いて来てしまっているため、今兄と一緒にいるポケモンはピカチュウだけだ。…大丈夫なのかな?私たちは慌てながらどうするか話し合う。
「ど、どうしよう!?」
「あなをほるで追いかけよう!出番だヤナップ!」
『ヤナーップ!!』
「じゃあ私も!ドリュウズ出ておいで!」
『ドリュウ!!』
ヤナップとドリュウズにひとまずあなをほるで追いかけてもらうことになった。これで兄とピカチュウがどこまで落ちていったのかすぐにわかるだろう。それにしてもこの光景…どこかで見たような……。あ、そうか原作か。私はちょっと嫌な予感がして先程までデントとルカリオが食事の準備をしていた場所を見る。するとそこにいたのは何やらデントの持ち物を持ち去ろうとしてくるコアルヒーの姿。
『アヒィ』
「ちょっ泥棒!!」
「熱ッ!!?ね、ねっとう!?」
『ミッジュゥ!?』
『アヒィィ』
『おい待てそれを持ち去るな!!!』
「あ、待ってルカリオ!!」
『カゲ!!』
『キバキバ!!』
『ミジュゥ!!』
『ズッリュゥ!!!』
「あ、ちょっと待って!!ド、ドリュウズそっちはお願いしてもいい!?」
『ドリュウ!!』
「お願いね!!ドリュウズ!!!」
コアルヒーがねっとうという技でミジュマルとアイリスに攻撃してきた。そしてそのままデントの持ち物を持って逃げようとしたためルカリオ達が追いかける。私は先に走り去ってしまったルカリオの後を追いかけて走るんだけど、さすがルカリオ速い…。
そして湖のような場所まで走っていくと、ルカリオが立ち止まり、波動で調べだした。ミジュマル達もその様子をみて立ち止まり、周りを窺う。私たちはようやく追いついてポケモンたちの近くで立ち止まった。そして先に行かないこと、兄を探しに行こうということをアイリスが言う。でも戻ろうとしたら上からヤナップとドリュウズ、そしてデントがやってきて私たちの方に兄とピカチュウが落ちていったということを話してくれた。
「…じゃあサトシがここを通ったのは間違いないってことね?」
『ミジュミジュ…』
『……こっちだ』
「え、ルカリオ。それってお兄ちゃんの方?それともコアルヒーの方?」
『カゲ?』
『その両方だ…』
ルカリオが波動で兄とコアルヒーたちが一緒にいるということを説明してくれて、その場所まで急いで向かう。けれど向かった先には何やらピカチュウが新しい技のエレキボールでコアルヒー達を吹っ飛ばしている光景だった。兄はエレキボールという技を初めて見たようでピカチュウの新しい技に嬉しさ半分と疑問半分の表情だ。
「今の技は…?」
『ピカ?』
「今のはエレキボールっていう技だよ」
デントがちゃんと技の説明をしてくれて兄がその言葉に頷き、ピカチュウを褒めている。…まあとにかく、いろいろと問題があったみたいだけど、エレキボールができるようになったし、持ち物もちゃんと取り返せたから良かったかな?
――――――――でもコアルヒー達がまた私たちに攻撃を仕掛けに来たのだけれど、ピカチュウの10まんボルトであっけなく退散し、その後すぐにあのサングラスをかけたメグロコとバトルすることになった。どうやらメグロコのあなをほるによって兄たちが落とし穴に落ちてしまったらしい。そしてメグロコはピカチュウとバトルがしたくて追いかけてきたらしい。…兄の手持ちにいずれなるかもしれないし……私は何も言わないでおこう。
そしてメグロコがワルビルに進化したりピカチュウの攻撃で空へ吹っ飛ばされたりとあったけど、まあカベルネの件に比べたらマシだということだけは言っておく。
妹の心境。
今日はいろいろと平和だった…のかな?