マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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怒らせてはいけない限界を超えてしまった…。


第七十六話~妹は兄が激怒するのを目撃する~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです…。今日はヒウンシティに向けて歩いているんですけど、途中で見かけた新しいフレンドリィショップの中を歩いている最中です…。何だかすっごく嫌な予感がします。主に原作のことですから…。

アイリスは私たちから離れてジュエルショップに行って見ていて、私は兄たちと共に歩いている最中です。

ふと兄が行列ができている店を発見して首を傾けた。

 

「何だあれ?」

『ピィカ?』

 

「あああれはポケモンソムリエが相性診断している所だよ」

「へぇ…」

『ピカ…』

『ほう、デント以外にもポケモンソムリエはいたのか』

 

「そりゃあね、ポケモンソムリエっていうのは―――――――」

 

デントがポケモンソムリエの説明をしていて、私以外の皆がその話に夢中になっている。話を聞いた兄が面白そうだとそのポケモンソムリエに最近捕まえたクルミルを見てもらおうと並び始めた。そしてデントとルカリオがフーズなどの食事の材料を見に行ってしまったため、私とヒトカゲは兄と一緒に並ぶことになってしまった。ルカリオと一緒にいると言ったのだが、兄が私の腕を引っぱり一緒にどんなことするのか見てもらおうぜと言われ、ヒトカゲも興味津々で一緒に行こうと言ってきたので離れることができなかったんだけど…これってヤバいよね…。

 

「お客さんお客さん。こっちにも良いソムリエ―ルがいるよ?」

「え?」

『ピカ?』

『カゲ?』

 

「あーあー…」

 

並ぶことなくすぐに見てもらえるということで兄が閉められているカーテンの中に入っていってしまい、私とヒトカゲも一緒に行くことになった。でもすぐにそのソムリエ―ルがピカチュウやヒトカゲに興味を持って近づき、興奮したように自己紹介をしつつ話をする。

 

「あらピカチュウに…色違いのヒトカゲ!?珍しいわね…うーん…芳醇な香りが漂ってくるわぁ。香りも珍しいわねぇ」

 

「え、えっとピカチュウとの相性は見てもらわなくても大丈夫ですよ…それにヒトカゲも妹の未来の相棒ですし…」

『ピィカ…』

「そ、そうなんです…」

『カゲカゲ…』

 

「ふーん…」

 

そのソムリエ―ル…ではなくカベルネはピカチュウとヒトカゲの相性を診断することに残念そうだ。そして兄がボールからクルミルを取り出して相性を確認してくる。…けれど。

 

「それで…どうなんですか?」

「あなたとそのクルミルのmariage(組み合わせ)は…最悪よ!!!」

 

「はぁ!?」

『ピカ!?』

『クッルゥ!?』

 

「ヒ、ヒトカゲ…ちょっと離れようね」

『カゲ…』

 

さて始まったカベルネのテイスティングタイム。兄たちがクルミルとの相性は最悪だと言われて驚き叫ぶのを聞いて、この後起きる騒動を察知し私とヒトカゲは兄たちより後ろに下がる。

そしてクルミルは怒ってカベルネにいとをはくで攻撃し、次に他のポケモンは?と不機嫌そうな兄が聞いてポケモンを出していく。でも次々にダメ出しをされていき、そして攻撃されるごとに兄とピカチュウの機嫌はどんどん急降下していくのが分かって私とヒトカゲは苦笑した。

 

「もう!あなたのポケモンはどれも舌が痺れちゃうって感じ!!」

「……………」

『……………』

 

「え、でもピカチュウはさっき珍しいって褒めたのは……」

『カゲ?』

 

「ああ、あれ?珍しいから良いってもんじゃないわ。写真で見るより可愛くないし…それにあなたのヒトカゲも相性ダメダメね。未来の相棒?色違いが珍しいからそう決めたんじゃないの?」

 

「違います!!というか私たちの相性はばっちりですよ!!!」

『カゲカゲ!!』

 

「ハッ。あらあなたソムリエ―ルでもないくせになに生意気なこと言ってんの?私が言ってるんだからあなたとヒトカゲの相性は全然駄目よ!」

 

「………ピカチュウ」

『………ピッカ!』

 

 

少し気になったことを言ったらいきなり失礼なことを言ってきたため私とヒトカゲは怒鳴って叫ぶ。それにハッと嘲るように笑ってきたため、私はもう一度怒鳴ろうとする…けど兄がピカチュウに10まんボルトで攻撃を指示し、カベルネに攻撃した。その姿に先程まで込み上げてきた怒りが収まり、兄の顔を見上げる。

 

「お、お兄ちゃん?」

『…カゲ?』

 

私とヒトカゲは怒りが萎み、一気に恐怖心が込み上げてきた。それはどうしてか。兄とピカチュウの表情がいつもの怒りと違っていて凄く恐ろしくなっているからだ。例えで言うなら鬼神とか不動明王とかそういう恐ろしい雰囲気を漂わせている感じがする。

私はすぐにヒトカゲに抱きつき、ヒトカゲも私に抱きしめ返してくれた。でもこれはヤバい…完璧に兄たちを激怒させてしまった。ただ怒っているんじゃなく激怒です。しかもなんだか怒りすぎて物凄い怒りのオーラが見えるような…。

カベルネはピカチュウの10まんボルトから復活し、すぐに兄たちに向かって怒鳴っていく。でもそれは火に油を注ぐ行為だと思うんだよね…。

 

 

「な、何すんのよ!!!酷い、酷すぎるわ!これはもうポケモン総取っ替えしかないわね!!」

 

「…………」

『…………』

 

 

「いやそういう問題じゃなくなってるよ…」

『カゲカゲ…』

 

 

 

「サトシにヒナちゃん、こんなところにいた…のね?」

「戻ってみたらいなかったから心配…した…よ?」

『…………?』

 

「あああぁぁ!!!!あなたは!!!!」

 

デントとアイリス、ルカリオが閉まっていたカーテンを開けて中に入ってくる。でも兄の様子がおかしいことに気づいたらしく、少々微妙な表情で私に何があったのか視線で問いかけてきた。私はヒトカゲに抱きついたまま首を何度も横に振って今はやばいと必死に示す。

…けれどカベルネがデントの顔を見て以前ジムに来た時の悔しさのリベンジなどをしに来た等々の説明をして、バトルを申し込んできた。デントは兄の様子を窺って大丈夫かどうか見る。けれどカベルネが無理矢理バトル場までデントを引っぱり、外へ出して強制的にバトルをしようとするみたいだ。

でも兄とピカチュウは立ち止まったまま動かず、何も言ってこない。その様子に強制的にバトル場へ連れて行かれたデント以外の私たちが外へ出るのをやめて様子を窺う。

 

「サ、サトシ?ピカチュウ?」

『キバキバ…?』

「お、お兄ちゃん…」

『カゲ…』

 

『………いったい何があったんだ』

「いや実は……」

 

 

私が今まで起きたこと、何で兄が怒っているのかを説明した。するとアイリスとキバゴは怒った表情を浮かべて叫んでいる。けれど何故かルカリオも兄と同じ様子になってしまった。もしかして私とヒトカゲが言われたこと説明しない方が良かったのかな……。

 

「何よそれ!そんなの怒って当然よ!相性最悪とか普通言う!?サトシもヒナちゃんもポケモンとの相性は最高に決まってるのに!!」

『キバキバ!!!』

「う、うんそうだよね。おかしいよね…」

『カゲカゲ!!』

 

『…………………』

『…………………』

「………………とにかく、デントたちのところまで行くぞ」

 

 

兄がようやく喋って歩き出したんだけど、その声もかなり怒っているようです。凄く低音で喋っていて、兄が歩き出したことにピカチュウとルカリオも動くんだけど…これってもしかしてカベルネ終了のお知らせ?

 

「な、なんだか私たちが怒らなくてもいい感じね?」

『キバキ…』

「そ、そうだね…」

『カゲェ…』

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

そしてバトル場までやってきたんだけどもう戦いはデントが勝利していたらしい。悔しそうなカベルネの表情と彼女にちゃんとアドバイスをしているデントの姿が見える。

 

 

「何よ、何よ何よ!!もう、次こそはあなたに勝ってやるんだから!」

「うん。楽しみにしているよ」

「その余裕の表情がムカつく!!!」

 

 

カベルネが地団駄を踏んでデントに向かって怒鳴っている。でもデントは怒ることなくむしろ優しい笑みで時間をかけていてもいいから頑張れと言っているのが見えた。…うん、カベルネ頑張れ。でもこれからいろいろと悲惨なことになるから本当に頑張れ。

 

「絶対にリベンジしてやるんだからね!!」

 

 

「おっと。まだ行くなよ?」

 

「ちょっといきなり何すんのよ!!!」

 

 

 

走っていこうとしたカベルネの腕を兄が掴み、逃げないようにする。だがカベルネはまだ兄の異変が分かっていないらしい。兄を怒鳴り睨んでいる。

だが兄は気にすることなくただ笑顔でカベルネに向かって言う。

 

 

 

「…正座と土下座のどっちがいい?もちろん逃げようとしたらポケモン恐怖症以上のトラウマ植えつけるからな」

『ピィカッチュ』

『…………………………』

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――え、その後どうなったかって?まあご察しの通りです…はい。

 

 

 

 

 

 

 




妹の心境。
 兄の怒りが限界突破したのって始めて見た…。

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