マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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兄は久々に捕まえたいポケモンを見つけた。


第七十五話~兄と殴りたい奴とポケモンゲット?~

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。今ヤグルマの森にて、クルミルというポケモンを追って走っている途中です。ですがなかなかあいつ速いですゲットしたいぐらいに。

 

「お、お兄ちゃんストップストップ!!!」

『カゲェェ!!』

「サトシ!森の奥に行ったら危険よ!!」

『キバキバ!』

「そうだよサトシ!ここは自然の森なんだから、途中ではぐれたら大変なことになる!」

『とにかく止まれ!!!』

 

「…わかった」

『…ピィカ』

 

皆に説得され、これ以上の後追いは危険と判断して走るのをやめる。デントは全力で走ったせいで息が少し乱れていたが、他のみんなは大丈夫みたいだ。とりあえず周りを見渡して先ほど来た道を戻ろうと提案した。

だがどこに行けばいいのか、どこに先ほど来た道があるのかわからなくなってきてしまったため、ひとまず座って休憩することにする。すると妹が何やら首を傾けながらルカリオに聞いてきた。

 

 

「…ねえルカリオ、ここから波動で出口まで案内って出来る?」

『カゲ?』

『できることはできるが…』

 

「はどうって何?」

『キバキ?』

「聞いたことがあるよ。確かルカリオははどうポケモンとして説明されてきていたから…そのはどうかい?」

 

『ああそうだな、波動というのは――――――』

 

ルカリオがアイリスやデントに波動についての説明をし始める。…そういえばルカリオに波動の能力を使うことができるというのをすっかり忘れていた。いつもオカンのように周りに気をつかい、美味しい料理を作ってくれたり、妹やヒトカゲの面倒を人一倍…いやポケ一倍見ているルカリオだったから第三のオカンとして見てたぜ…。あ、第一は母で、第二はタケシな。

…あ、そうか。なら波動でさっき逃げたクルミル見つけることもできるよな。

 

「なあルカリオ、クルミルって今近くにいるか?」

『…いや、少し遠いな。だが出口近くにはいるみたいだ』

「よし!出口に近いならそこまで案内してくれるか!そしてクルミルをゲットする!!」

『ピッカッチュ!!』

 

「…まだ諦めてなかったんだ」

『カゲェ…』

 

 

ルカリオが波動を使って森の中を確かめてくれた。そして先程俺たちに攻撃してきたクルミルがこれから向かう森の出口近くにいるということが分かり、俺はルカリオにそこまで案内してくれと頼む。俺の頼みにルカリオはもちろん、アイリスやデントも仕方ないという表情を浮かべていて、妹やピカチュウは呆れたような顔でこちらを見る。

でもあの時出会ったクルミルを捕まえたいという気持ちは強いし、出口近くならアイリスたちにもあまり迷惑をかけないで済むと思うから大丈夫だと判断する。

そして休憩を終わらせ、ルカリオが波動を使って俺たちを案内してくれた―――――――。

 

 

 

「うわぁ!!?」

『キバキ!!?』

 

「ど、どうしたの!?」

『カゲ!?』

 

「あ、あれ見てあれ!!」

『キバキバ!!』

 

 

『……ああ、あれは気にするな。ただの人間だ』

 

アイリスとキバゴが何かに気づき上を見上げて驚いて叫んでいた。俺たちも上を見上げると何やら布か何かに包まれている大きな塊が木の上にぶら下がっているのが見えた。ポケモンかと思ったがルカリオがそちらに波動で調べるとただの人間だと分かって拍子抜けした。だがそれだけじゃない、布に包まれている人間はこちらに気づき降りてきたのだ。

 

「あ、あんなところで何をしてたんですか…?」

「僕は森のポケモンたちのように自然の中で暮らしているんだよん」

「え、何のために?」

『キバ?』

「んー?説明しても分かってもらえるかなぁ…この僕の純情ハートを!」

 

ああなんだ変人か。俺がそう納得するのと同時にアイリスたちもこの目の前にいる変人に引いたような表情で見つめる。ルカリオなんて妹とヒトカゲを背に隠し庇っているし…早くここから離れてクルミルをゲットしに行きたいんだけどこの変人は話が好きらしい。そして全然俺たちを解放しようとしない。

 

「せっかくここで会えたんだし…君たちも森の生活を楽しんだらどうだい?」

「い、いやでも俺、ヒウンシティのジムに挑戦するから早くこの森を抜けだしたいんですよ…それにクルミルも捕まえにいきたいし………」

「ん?最後の方何か言ったかい?…まあいいか。ヒウンシティのジムなら今行ってもできないよん」

「…え?どうして?」

『キバキ?』

 

「何しろ、ヒウンシティのジムリーダー、アーティとは僕のことだからね!」

 

「ええええええええええええ!!!??」

「あ、あなたが虫ポケモンの使い手として有名なアーティさんだったんですか!?」

 

俺たちは一斉にその衝撃の事実に驚き、デントが本当かどうか聞いてくる。え、本当にこの変人がジムリーダーなのか!?でも後ろにいる妹の様子を窺うと微妙な表情で俺を見て頷いてくれたから本当のことだと知る。しかも決めポーズでジムリーダーだと言われると少し腹が立つ。しかもどこから出したのか薔薇を取り出して口に銜え、芸術的な使い手だけどねん!といってキメ顔されるのもイラッとくる。

でもここで何かやらかしてしまうとジムに挑戦できなくなってしまうかもしれないと考えて我慢し、自己紹介をする。

だが俺たちの自己紹介を聞いて若き青春だ!と叫び何か描こうとしたらしいが、スランプらしくて取り出したスケッチブックを投げ捨てて頭を抱えている。そしてアイリスが疑問に思ったことを話すと途端に目を輝かせて説明してくる。…というか早く行きたいんだけど、たぶんこの話長くなるんだろうなと思ってしまった。ルカリオやデント、妹達も微妙な表情で肩をすくめており、諦めろと言っていると分かって落胆した。クルミルがヒウンシティの出入り口から動いていなければいいんだけど…。

 

『…!?おいサトシ!クルミルが近くにいるぞ!』

「何だって…!?」

『ピカピカ!?』

 

 

「ル、ルカリオが喋った!?これは何という芸術的な!!!!????」

『ッ!?』

 

 

『クッルゥ!!!』

 

ルカリオが波動で俺にクルミルが近くにいるということを教えてくれて、俺は周りを見渡す。そして頭上から攻撃してくるクルミルを避け、笑みを浮かべる。こちらから来るというのはとても都合がいい。…でもすぐにルカリオが喋ったことに興奮しているアーティの肩に慣れたように飛び乗ったため、もしかしたら彼のポケモンなのではないかと疑問に思いバトルは断念する。とにかく、ルカリオを追いかけまわしているアーティさんを落ち着かせて肩にのっているクルミルが手持ちなのか話を聞かないとな。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

いろいろと話を聞いて、俺たちはこの森の中でキャンプをすることになってしまった。それは何故か、アーティさんの手持ちではないと分かった野生のクルミルと交流を深めていくこととアーティさんがルカリオから何か芸術を生み出せるのではないかとこの森に留まってほしいと頼まれたからだ。ルカリオにとっては嫌そうな表情を浮かべていたが、アーティさんがジムリーダーである以上はやくヒウンシティに戻ってバトルを受けてほしいため了承することにした。

 

そしてデントとルカリオが食事の準備をしている中でアーティさんがルカリオを気にしながらもクルミルとの交流の仕方を教えてくれた。ルカリオに引っ付いて食事の手伝いをしている妹とヒトカゲはその場に残るらしい。ルカリオはなるべくアーティをこちらに近づけさせるなと雰囲気だけで俺たちに言っているようで俺やアイリス、デント、妹やヒトカゲたちはそれに苦笑していた。

 

そしてクルミルとの交流が始まった。まず挨拶をしようとしたら何故か俺にだけ敵意を示した。そしてずつきを繰り出してきたが俺はそれをすぐに避けて立ち上がる。するとすぐにクルミルは悔しそうな表情で俺を見上げ、鳴き声を上げる。その声にアーティさんは微妙そうな表情でまあ挨拶にはなったかな?と言ってきた。でも俺としてはもしかしたら仲間になってくれるかもしれないクルミルと仲良くした方がいいと思うので少し残念。でもこれから仲良くできればいいかなと思う。

 

そして草を食べていたり昼寝をしたりするクルミルを追いかける俺たち。きのみを食べている最中にコロモリに襲われるというトラブルもあったが、俺が後ろからもう1匹飛び出してクルミルに攻撃をしかけたためにすぐにクルミルを助け、ピカチュウがその隙に2匹に10まんボルトで追い払ってくれたため何とか無事に終わった。

そのあとクルミルからお礼としてリンゴを貰ったため、少しは仲良くなれたかなと思えた。

 

そして夕方、ルカリオやデントが作ってくれた夕食を食べる。

 

 

「美味しいこれ凄く美味しいよ!!」

「よ、喜んでくれたようで嬉しいです…」

 

「ルカリオ、君も作ったんだよね!?いったいどこでその力を磨いたんだい!!?」

『…………………マサラタウンで教わったんだ』

「マサラタウン!?その町のどこで!!?」

『……………………』

 

 

デントに美味しいと言って笑顔になったアーティさんがその後ずっとルカリオに質問をしている様子が見れた。ルカリオは嫌そうな表情できのみがトッピングされたサラダを持ってきてくれて、少しづつアーティさんの質問に答えていく。そうしないと解放されないのは先ほど戻ってきたときに理解したからだろう。ずっと質問を繰り返して答えてもらおうと必死だったからな。俺たちはその様子に苦笑をしながら夕食を食べる。…ああ、美味い。

 

そして木の大きな枝の上で寝袋に入って寝る。クルミルに一緒に寝るかと誘ったのだが、クルミルは顔をこちらに向けず俺の誘いを断った。だがクルミルはすぐに俺の寝袋に入り込んで寝ようとしているので先程の誘いを断った行動から少しツンデレな性格なのかなと思ってしまった。

 

 

―――――――その次の日、クルミルがお腹を壊したミネズミのために連れ去られてしまう事件が発生してしまった。ミネズミはアーティさんのおかげで何とか助かったが、クルミルの姿が見えず、ルカリオの波動で探すことになった。

その後シキジカの首に糸でしがみつくクルミルを発見し、俺に糸を張ってこちらに来てもらおうとしたり、風で谷底に落ちそうになったクルミルを助けようと俺も下に落ちたり、アーティさんのハハコモリに助けてもらったりといろいろとあった。

でもそのおかげでクルミルは俺に懐いてくれたようだし、仲間に加わってくれたのは良かったことだと思う。

 

でも七体目のためボールが開かず、いったん森の近くにあるポケモンセンターでアララギ博士に手持ちのポケモンを預かってもらい、クルミルを出して挨拶をする。そしてそれを見たアーティさんが何か閃いたのかすぐに走ってヒウンシティに向かって行ってしまった。そして最後に俺にジムで待っていると言ってくれたからおそらくすぐにジムに挑戦できるだろうと思う。何はともあれ、ヤグルマの森でのやるべきことは終わったし、次はヒウンシティへ直行だな。

 

 

「よし、ジム戦に向けて頑張ろうぜお前ら!」

『ピッカ!!』

『クッリゥ!!』

 

 

 

 

 

 




兄の心境。
 その前にジムにむけて特訓だな!



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