マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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兄はいつも通りのバトルを見せてくれた。


第七十二話~兄はジム戦で無双した~

 

 

 

 

 

 

こんにちは、兄のサトシです。シッポウシティに到着してようやく今日ジム戦です。その前にシッポウジムである博物館が原因不明の事態になって閉館していたり、その原因であるデスマスが現れたり、デントがマスクに乗っ取られてしまったりと大変でしたが全部無事に解決しました。

…え、何をやったのかって?全部物理技で強制的に解決していきましたが何か問題でも?

あとそれにジムリーダーのアロエさんがデスマスがどうして博物館で暴れているのか教えてくれて謝罪してました。それを見てデスマスも怒るのをやめて、無事マスクを取り返し帰っていきましたよ。そしていよいよジム戦です。

 

 

でも来た場所は本棚が多くある書庫。そしてアロエさんはここから行けるのは調査や研究のために本を閲覧する人かジムの挑戦者だけだという。でもそれとバトルと一体どんな関係があるのだろうか…これは何かあるな。

 

「ポケモンバトルにだって知識は大事。どうだい?これなんておすすめだよ」

 

「はぁ…」

『ピィカ…』

 

何故いきなり本を読めと言うのかわからない。それとジムの挑戦者と一体何の関係があるのかさえもよく分からない。でもアロエさんは俺とのバトルを了承してここへ連れてきたんだから何かあるはずだと考え込む。

そもそも、この場所に来ること自体おかしいのだ。サンヨウジムではジム以外に食事もできるようになっていてまるでお店のようだった。でもジムに挑戦したいと言ったらすぐにバトル場へ案内してくれた。そして次はシッポウシティでの博物館。でも今回は挑戦しにきたというのにバトルの前に本を読めと言うアロエさん。

デント達の時は直球にバトルがしたいと言えばすぐに応じてくれたのに今回は違う。…もしかして俺を試しているのか?

少しだけアロエさんから話を聞いてみようと思い、俺は口を開く。

 

「…アロエさん。本を読めと勧めるんですよね。そしてそれは挑戦者だから読んでもらいたいということ。本を読んだ後ジムリーダーとしてバトルをしてくれるということですよね?」

 

「そうだよ。チャレンジャーだからこそ、この本を勧めているのさ。もちろんこの本だけじゃない、他の本を読んでもらっても構わないよ…でもその後にちゃんとバトルをやるつもりさ」

 

アロエさんの言葉と表情にその意図を理解した俺は頷き、おすすめだと言った本を手に取ろうと動く。

すると本棚が動き、地下へと続く階段が出てきたのを見てデントたちは驚く。だが妹は驚いていないため、この行動で正解なのだと分かった。

俺の行動と満足そうな笑みに驚いているアロエさんは俺がただの正直者じゃないと分かって面白そうな表情を浮かべていた。

 

「…正直者。でも面白い坊やだ」

「そりゃあどうも。…バトル受けてくれますよね?」

「もちろんさ!」

 

「…え?ちょっと…どういうことなの?」

『キバキ?』

「ぼ、僕にも何がなんだか…」

『…………なるほどな』

 

「…まあ普通はそうだよね」

『カゲェ…?』

 

 

アイリスたちがどうして本棚が動いたのか、何故こんなことをしたのか聞いてきたため、俺は説明する。アロエさんが俺を試したということ。正直に本をとって読むのか、それとも違う本を読むのかを見てそれからバトルでどんな行動をするのか予測をしているのではないかということを…。ルカリオは俺の行動を見て分かったようだけれど、まだ分からないアイリスたちは俺の説明のおかげで納得し、頷いた。

そして俺がそれらを話したら、アロエさんが口笛を吹いて感心してくれた。どうやら俺の予想があっていたらしい。

 

 

そしてやってきたのが地下につながるバトル場。そこでアロエさんが2体のポケモンを出してこれからバトルに使うポケモンを見せてくれた。2体のポケモンはヨーテリーとミルホッグだ。ヨーテリーは人懐っこく、ミルホッグは力強そうな雰囲気を漂わせている。そしてアロエさんは言ってくれた、これから俺も2体のポケモンを選んでバトルをしてもらうと。そしてその言葉にデントが何やら興奮したように話しているけれど、今まで旅してきた中でタケシもこんな感じで暴走したときもあったから気にしないでおく。人が変わって暴走する内容が変わっているだけで結局いつものことだからな。

 

 

そして俺は考える、これからどんなバトルになるのだろうかと。

アロエさんがこのバトル場まで案内してくれる間に感じているある勘。もしかしたら、今までとは違うバトルができそうで少し楽しくなってきた。

 

 

「…俺はこいつらで決めます!…あ、デント、ルカリオ!ピカチュウのこと頼むな!」

 

 

『ピッカ!』

「分かったよサトシ!」

『了解した』

 

ピカチュウがデント達のいる方へ走っていってくれたので、俺はそのままトレーナーが立つ場所まで歩いてから、アロエさんに向かって言う。アロエさんは俺のことを待ち、楽しそうな表情を浮かべていた。

 

 

「…それじゃあお願いします!俺とのバトルを受けてください!」

 

 

「ああいいだろう。受けて立つよ!ヨーテリー!!」

『キャン!』

 

 

「こっちも行くぞ…ポカブ、君に決めた!!」

『カブゥ!!』

 

 

人懐っこそうなヨーテリーの雰囲気が変わり、バトルで見せる強暴な迫力になった。俺はそれを見てわくわくしながらポカブをボールから出す。

 

そこからはかなり面白いバトルを展開していった。アロエさんは攻撃技ではなくほえるやくろいまなざしなどの効果がある技を使用して動いてきた。ほえるのせいでポカブが交代され、ミジュマルに変わってしまったけれどそれでも今まで修行をしてきたミジュマルなので急に交代されても動揺せずむしろやる気が十分あるようだ。そしてその後すぐにミルホッグに交代したアロエさんからくろいまなざしという技を受けてもミジュマルは全然平気そうだ。むしろ倒してやるぞと意気込んでいる。それをみて俺は笑みを浮かべてアロエさんに向かって言う。

 

 

「これからが勝負ですよアロエさん!俺たちの戦いを見せてあげます!」

『ミッジュ!!!』

 

 

「そりゃあ楽しみだね!じゃあ私もそろそろ本気を出していこうか!」

『ミッルホー!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――その後、俺たちは余裕で2体とも倒すことができてアロエさんに勝利した。まあ当然の結果だよな。

 

 

 

 

 




兄の心境。
 面白いバトルだった。

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