マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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妹はマサラタウンで起きたある話をしてくれた。


第七十話~妹は過去にあった話をした~

 

 

 

 

 

 

 

どうもこんにちは兄のサトシです。まだまだシッポウシティまで道のりが遠くて焦っている毎日です。でも後少しで町につくらしいのでジム戦を頑張ろうとやる気十分です。

でも歩いている途中でアイリスがハナダジムについて妹に聞いていて、俺とピカチュウは何だろうと思いながら2人を見る。

 

 

「―――――じゃあハナダジムの水中ショーには水タイプのポケモンがたくさん出るのね!」

『キバキバ!!』

「うん。それに他のポケモンたちもショーに出て盛り上げたりもしてるよ」

『カゲ!』

 

どうやらハナダジムの水中ショーについて話しているようだ。カントー地方のことだからか、デントも興味を持って妹に話しかけている。というか他のポケモンと言えば…。

 

「なあルカリオ、確かお前も水中ショーに出たことあったよな?」

『ピカァ?』

 

『ッ!?何故サトシがそれを知っている!!?』

 

「ああ、カスミから聞いた」

 

そう俺が言うとルカリオは少し落ち込んでいるような表情を浮かべてカスミの名前を呟く。デントやアイリスがカスミとは誰なのか聞いてきたので俺は説明をする。カスミがハナダジムのジムリーダーだと知ってデント達は驚いたようだ。カント―地方に行ったら会ってみたいと話しているようだから、もしもその時俺がいたら紹介しようと思った。

 

 

「…でも俺、その水中ショーでルカリオが出たことは知ってるけど、何をやったのかは知らないんだよな…なあヒナ、何があったのか知ってるか?」

「うぇ!?いやその……」

 

妹は焦ったような表情でルカリオを何度も見ている。そんなに言いたくない内容なのか…余計に気になる。

そしてルカリオはもう諦めたように妹に話してもいいと言ってきた。

 

「え、いいの話しちゃって?」

『カゲ?』

『ああ…どうせ今言わなかったとしてもサトシならカスミにすべてを聞くだろうからな…』

 

「そっか分かった。じゃあ話すね―――――――――――」

 

 

 

 

―――――――――――これは兄がまだマサラタウンに帰ってきてなくて、シンオウ地方で旅をしていた頃。そして私たちがハナダシティに遊びに行ったときに起きた話。

 

「ルカリオ、あなたショーの主役にならない?」

 

『…いきなり何を言っているんだ』

「ごめんねルカリオ。サクラ姉さんが決めたことだから諦めて?」

 

カスミさんとサクラさんが私たちと一緒に遊びに来たルカリオに向かってショーに出てほしいと頼み込んできた。

あ、ちなみにこの時は私、ヒトカゲ、ケンジさん、ルカリオがハナダジムに来てる。そしてショーで何をするのか、主役とは何か私は気になったので聞いてみた。するとサクラさんが嬉しそうな表情で答えてくれた。

 

「今回のショーのテーマはね。禁断の恋なのよぉ」

「き、禁断の…恋?」

『カゲ?』

 

「そうよぉ!ポケモンと人間の禁断の恋。それを邪魔する周りのポケモンたちと人間たち。でも2人の愛は止まらない、止められない!そして2人は愛の逃避行へと旅に出る…そんなショーをやりたいって思っているの!」

 

なんだろう、サクラさんの説明しているストーリーが全部前世で読んだことのあるロミオとジュリエットのお話のように聞こえてきたんだけど。

そして説明を聞いていたルカリオが逃げようとしてカスミさんに止められているのにちょっと同情してしまった。ルカリオって禁断の恋とかそういうショーに出るような性格じゃないもんね。でも私たちだとこの姉妹を止められなさそうだよごめんねルカリオ…。

 

「え、じゃあルカリオはその男性役の方を演じるってことですか?」

「違うわよケンジ君。ルカリオには女性役の方を演じてほしいのよぉ!そっちの方がよりショーが面白くなるじゃない?」

 

サクラさんのその言葉を聞いたルカリオの勢いが強くなった。この場にいたくない、帰りたいというのが言わなくても分かってしまう。というか、性別変えてショーの主役をやってもらわなくてもいいんじゃないのかな…と思ったんだけど、サクラさんがちょっとした変わった面白さも大切よねといってもう変えるつもりはないらしい。

そして帰ろうとするルカリオをハナダジムの姉妹が止めようとする。

 

『帰る、いや帰らせろ!』

「ダメよ。マサラタウンに帰ったとしてもサクラ姉さんに連れ戻されるだけだし、もう諦めなさい」

『ふざけるな。そんなくだらないことをするぐらいならマサラタウンで嫁になってくれと言われていた方がマシだ!!』

 

「…いや、ぶっちゃけどっちもどっちだと思うよルカリオ」

『…カゲカゲ』

 

 

そしてハナダ姉妹から逃げようとしたルカリオだったけど、すべて逃げ道をふさがれ断れきれなくなってしまい結局当日に綺麗な服を着て女性役でショーに出ていた。テレパシーで役を演じていたのだが、お客には人の声をかぶせてやっていると言っておいたらしく、そこらへんは驚かれる心配はなかったみたいだ。

ぶっちゃけこの時のルカリオがヤケになって演じていたから、本当に綺麗だったし凄かったと思う。

でも後日、ショーに出ていたルカリオの綺麗な姿を見たポケモンたちやトレーナーたちがマサラタウンに押し寄せてきていろいろと大問題になったりしたのはちょっとした余談話になるかな。

…まあルカリオにとっては黒歴史になる話だよね。

 

 

 

 

 

「―――――ということがあったの…ごめんねルカリオ、あの時止められなくて」

『カゲカゲ…』

 

『………いや、もう済んだ話だ』

 

 

 

「それは大変だったな…」

『ピィカッチュ…』

「え、ええ…本当にお疲れ様よね…」

『キバキバ…』

「何とも言えないフレーバーを漂わせてるね…はは…」

 

俺たちは妹の話を聞いて気の毒そうな視線をルカリオに向けている。ルカリオもその視線に気づいてはいるのだが、反応しては余計に心の傷が大きくなるから無視しているみたいだ。まああれだよな…サクラさんに捕まったのが運の尽きということだな。

 

『もう俺はあの姉妹に今後一切関わるつもりはない!』

 

「ありゃ…断言しちまったな」

『ピッカッチュ…』

 

 

 

 

 




兄の心境。
 ルカリオにはしばらく優しくしてやろう…。

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