いつの間にかバトルをする方向になっていた。
こんにちは兄のサトシです。前に妹のヒナが迷子になって凄く心配しましたが、エルフーンの群れと友達になって帰ってきたので驚きました。友達を作るのは良いんですが、今後俺たちを心配させるような行動をしないということ、迷子になるような行動をしない、俺たちから離れる時は誰かにちゃんと伝えてからと言って叱っておきましたよ。妹とヒトカゲは俺たちの説教を聞いてちゃんと反省したみたいで安心しました。
…そういえば妹とヒトカゲが迷子になった後、シッポウシティではない違う町へ辿り着いて、そこでダルマッカ達が食べ物を盗んだり、時計塔にいるダルマッカ達とヒヒダルマが危なくなったり、鐘をちゃんと元に戻したりといろいろと大変でした。ですが、俺たちやヒヒダルマの力で鐘をちゃんと元に戻したので何とかなりました。その後町を出てまたシッポウシティへ向けて旅を続けています。
今日はアイリスがキバゴのバトルの練習をしたいと言っていたので、デントとヤナップがほとんど力を使わずキバゴの相手をしたり、俺とピカチュウも手加減して相手をしたりとバトルに慣らしていきます。でも俺たちだと本当にバトルしているような緊張感もなく、またまだまだ幼いキバゴを成長させるために少しでも本気で戦っていった方がいいとのアドバイスもあり…。
―――――――――――そして始まったのが妹とのバトルだ。
「よろしくねヒナちゃん!」
『キバキバ!!』
「うん。こっちもよろしくねアイリス!!」
『カゲカゲェ!!』
妹とヒトカゲはトレーナーとのバトルは初めてでやったことがない初心者。なのでキバゴとのバトルはちょうどいいのではないかとなり、やることになったのだ。
ヒトカゲもキバゴもやる気満々。そして妹たちも同じように負けないという気持ちで相手を見ている。審判はデントだから俺とピカチュウ、ルカリオはゆっくりと観戦をしている。…さて、どんな試合になるんだろうな。
「ではこれより、ヒナVSアイリスのポケモンバトルを始めます!!先行はアイリスから!ではスタート!!」
「よし行くわよキバゴ!ひっかく!」
『キバキバ!!!』
「躱してひのこよ!」
『カゲッ!!!』
キバゴが鋭い爪でひっかく攻撃をしてきたが、ヒトカゲがそれをすぐに躱してひのこで攻撃する。だがそのひのこはキバゴに当たる前にすぐに躱されてしまった。
「キバゴ、大丈夫?」
『キバキ!!!』
「ヒトカゲ、緊張しなくて大丈夫だよ。修行の時を思い出してやろう!」
『カゲェ!!!』
躱されて攻撃に入る前に、妹とアイリスがそれぞれキバゴとヒトカゲに声をかける。…まあその方がバトルのやる気も高まるし、キバゴ達の体調もちゃんと確認できていいと思う。そして声をかけた後また攻撃に移る。だがキバゴとヒトカゲはそれぞれひっかくとひのこで交互に攻撃し、躱すという同じような動作を繰り返している。…まあヒトカゲはえんまくも使えるみたいだけど、あれは強い相手から逃げるために鍛えたらしいからかなり広範囲にしよう出来て、まだ相手を攻撃するために使ったことはないらしい。だから妹とヒトカゲはえんまくは使わずにひのこだけで頑張っている。キバゴもヒトカゲのように何故かずっとひっかくという攻撃しかしない。同じような攻撃と動作を見ていて、俺は少し苦笑してしまった。
「…これどう思うよルカリオ」
『…そうだな。バトルというよりは修行の1つと考えた方がいいだろう。というより、最初からヒトカゲ達に対してサトシのような激しいバトルを期待しているわけではない。……だがじきにヒトカゲ達もバトルの応用を身につけていくだろうな』
「だよなぁ…まあヒトカゲとキバゴはバトル慣れしてないから仕方ないか…」
『ピィカ…』
隣にいてバトルを見ているルカリオが冷静に解釈したため、俺とピカチュウはその言葉に頷く。ポケモンバトルとしてはあまりにも同じ技や行動ばかりで盛り上がりに欠けるが、まあバトル初心者の妹とヒトカゲ、そしてキバゴなのだから仕方ない。…あれ、そういえばアイリスってバトルには慣れてるのか?
少し疑問に思ったが、それはすぐに吹っ飛んで行ってしまった…主にキバゴのりゅうのくしゃみ…ではなくてりゅうのいかりが暴発してしまったからだ。妹とヒトカゲはルカリオがすぐに走っていって爆発から庇ったから怪我はないようで良かった。…まあアイリスたちはキバゴの爆発に巻き込まれて黒焦げになっていたんだけどな。
――――――――だが、その後キバゴとピカチュウがいなくなったと思ったら急に現れたペンドラーの頭にキバゴがいてピカチュウが追いかけられていたり、ヒトカゲのひのこに当たったペンドラーがキレて妹たちの方へ行って攻撃してきてしまい逆にルカリオがキレたり、アイリスがキバゴを助けようとモンスターボールから出したドリュウズが無視して動かず結局自分でキバゴを助けに行くことになってしまったり…。まあいろいろあったな。でもそのペンドラーについては蹴飛ばされたドリュウズが怒って攻撃して何とか問題は解決した。
そしてペンドラー騒動のせいで妹たちのバトルは結局なかったことになってしまい、今度またバトルの再戦を約束してシッポウシティへと歩くことになった。
…でもその前に、アイリスが出したドリュウズのことが気になる。何故あいつはアイリスの言うことを聞かないんだろう。前に俺が旅をしていた時に見た俺のリザードンやヒカリのマンムーのようだ。…少し気になるから後でアイリスに話を聞いてみようか。それが駄目なら妹に聞いてみよう。
兄の心境。
おそらく原因があるはずだ。聞いてみればわかるか…。