兄はふと気がついた。
こんにちは兄のサトシです。最近ツタージャに会って仲間にすることができました。
『タジャ…』
「よろしくなツタージャ」
『タジャ!』
『ピカピカ!!』
ツタージャは性別がメスで、バトルが強いポケモンだ。でも俺の仲間たちの中でバトル好きによく見られる暴走などはせず、冷静沈着でちゃんと考えてから行動するため少しだけジュカインみたいだと思ってしまった。…まあジュカインもバトル好きでたまに暴走をしてる時もあるんだけどな。
そしてそんなツタージャは俺の妹によく懐いていると思う。それにヒトカゲとも凄く仲が良い。
例えばこんな風に―――――――――――。
「ツタージャ、これって食べれる?」
『カゲェ?』
『…タジャ』
「そっか…食べれると思ったんだけどな…」
『カゲカゲェ…』
『…タージャ!』
「うん!もっといろいろ探していこうね!!」
『カゲ!』
『タジャ!』
今は俺たちできのみ集めに出かけている。そして妹は黄色いきのみを見つけて食べれるかツタージャに聞いたけれど、彼女はそれに首を横に振ってまだ成熟していなくて食べれないと答えた。
それを見た妹とヒトカゲはその答えに残念そうに俯く。ツタージャは落ち込んでいる妹とヒトカゲを元気づけるように頭を撫でてもっと探そうと言い、妹達もそれに賛成した。
「ツタージャ、ついて来てくれてありがとうね!!」
『カゲッ!!』
『タジャ!!!』
とても楽しそうにきのみを探しに行く妹とヒトカゲを俺とピカチュウは後ろから見守りながら見ている。そして楽しげな姿だけでなく、危険がないかどうか状況をきちんと見て判断しているツタージャの姿も見えた。
それを見ていて、ツタージャが俺の仲間でよかったと思う。ツタージャはいつだって妹の味方であり、同じ性別ということもあって気が合っていてまるで姉妹のようだ。
「…サトシ、ヒナちゃんとヒトカゲ達がどうかした?」
「ああいや、なんでもない…ただツタージャが来る前と後のことを考えていただけだよ」
『ピカチュ?』
『ああ…なるほど。ツタージャが仲間になってからはよくヒナたちの面倒を見てくれているからな』
「確かにそうよね。ヒナちゃんやヒトカゲとよく一緒にいるツタージャはまるで2人のお姉さんみたいだわ」
『ピッカチュ!』
「…仲間になってくれて本当に良かった」
俺たちは向こうできのみ集めをしている3人の姿を見ながらほのぼのと話し合う。必死にきのみを集めている妹やヒトカゲと違ってツタージャは危険を回避しながらどこのきのみを採った方がいいのか教えている。これを見て心底安心したものだ。
ツタージャと出会う前、旅をしている時の妹はたまに疲れたようにため息をついていることがあって、やっぱりマサラタウンに帰した方がいいのではないかと後悔する時がある。
ルカリオもそんな妹に気にかけていて、ピカチュウとルカリオと俺で妹やヒトカゲについて会議をしたりもして、マサラタウンの家に帰した方がいいのか話し合ったりもしていた。
だが、ツタージャが来てからは妹が本当に楽しそうに笑っていて、疲れたようなため息もなくなり一緒に旅をして良かったと思える。
そして妹と同じようにたまに疲れたような表情をしていたヒトカゲもツタージャを姉のように見て楽しげに一緒に行動をしている。それを見ると心が和むしこのまま旅をしていて良かったと思えたものだ。
妹たちのことを気にかけるのは主にルカリオや俺、そしてピカチュウがよくしていることだが、俺たちだけでは頼れない部分というのも多い。だから妹たちのことをよく面倒を見てくれるツタージャがありがたいと思う。
…まあそれだけで俺はツタージャを仲間にしたというわけではないんだけどな。ポケモンバトルもそうだし、これからのイッシュリーグでも優勝するために頑張っていくと決めているし、ツタージャも俺の気持ちに応えようとバトルでもかなり頑張っているのだから。
まだまだ出会って間もないけれど、ツタージャとはすぐに仲良くなれそうだ。
「なあピカチュウ」
『ピカピ?』
「俺とツタージャってちょっと似てる所があるよな?」
『ピ…ピカ!!』
「だよな。もちろんピカチュウも!」
『ピッカッチュウ!!』
俺たちの似ている点、それは妹とヒトカゲを大事に思っていること、ポケモンバトルが好きなこと。俺の仲間たちの皆が持っている共通点だ。
兄の心境。
最近だとミジュマルの暴走をツタージャが止めていることが多い。