兄たちが出会ったのは…。
こんにちは兄のサトシです。俺たちは今、サンヨウジムに向かって歩いています。
そしてようやく到着したのはサンヨウシティ…ではなく、カラクサタウン。ジムはまだまだ先だけれど、ここにも何か新しいポケモンがいそうでわくわくします。あ、それに俺、ミジュマルだけじゃなくマメパトも捕まえて旅をする仲間が増えたんだぜ!
そしてカラクサタウンに到着した俺たちは、アイリスが嬉しそうな表情で俺たちに向かって言う。
「カラクサタウンにはね。ポケモンバトルクラブがあるのよ!ねえ皆。一緒にいかない?」
「ポケモンバトルクラブ!?」
『ピッカァ!?』
『ほう、面白そうだな』
ポケモンバトルクラブ…バトルというからには、おそらく戦うことができるのだろう。俺とピカチュウ、ルカリオはその言葉に興味をもった。そしてアイリスの案内で俺たちはそのポケモンバトルクラブがあるという建物へ向かって歩く。
「…ポケモンバトルクラブ…ねぇ?」
『カゲェ?』
歩いている間、妹が何やら悲しげな表情を浮かべて呟いた。妹に何かあったのか聞くがすぐに誤魔化されたため、俺は首を傾けて疑問に思った。もしかしたらこの町で何かあるのかもしれない。バトルも楽しみだが、気を引き締めていってみよう。
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ポケモンバトルクラブでイッシュ地方にはいないピカチュウに興味を持ったトレーナーが対戦を申し込んできたためバトルをすることになった。でも開始時にミジュマルが勝手に出てきてバトルにやる気になったと思ったら、対戦相手のフタチマルを見て戦意を喪失し、ピカチュウの背を押してかわってもらってた…。
まあ一応バトルの相手を見るまではやる気はあったみたいだし、ミジュマルはいろいろと育てがいがあると判断してボールに戻す。
「ははは…まあ仕方ないか」
「そうですね。ミジュマルやる気になってたのになぁ」
『カゲカゲェ』
『キバキバァ』
『……………なぁヒナ』
「バトルしたいならお兄ちゃんに頼んでね?私は何もやらないから」
『…………』
「え、えっと…ルカリオ?もしも私でいいなら、バトル一緒にする?」
『………………いや、大丈夫だ。すまない』
「ううんこっちこそごめんねいきなり。でも何かあったら私に遠慮なく言ってね?」
「すいませんアイリスさん」
「いいのよ。こっちもいろいろと助けてもらってるし…教えてもらってるからね」
何だか外野が煩いけど、俺はとにかくバトルを楽しもう。そう決めてフタチマルとトレーナーを見つめて試合開始の合図を待つ。
合図とともにピカチュウに指示をだし、バトルを楽しもう―――としたら何やら建物から警報が鳴り響き、俺たちはそれに驚く。そして倉庫にまた現れたという謎のポケモンという話に俺たちは興味をもった。
「え、謎のポケモン…?」
「面白そう!ねえサトシ、皆…その謎のポケモンに会いに行ってみない?」
『ああ、だがもしもその謎のポケモンが危険だとしたら…』
「そうなったらすぐに戦うか逃げればいいって!行こうぜ皆!」
「……………………」
『カゲ?』
「…あ、うん。何でもないよヒトカゲ。一緒に行こう」
『カゲェ!』
俺はアイリスの意見に賛成して行こうという。ルカリオがヒナとヒトカゲの身を案じ、危なかったらどうすると止めてきたが、その時は俺たちがなんとかするから大丈夫だと説得して行くことになった。…でもその途中で妹がまた悲しそうな表情を浮かべていてすごく気になった。もしかしたら倉庫に何かいるかもしれないと俺は走るスピードを早めていく。
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結局、倉庫には何もいなかったため、俺たちは監視カメラでその謎のポケモンの正体を確かめることになった。でも影しか映っておらず、結局は分からないまま…とにかく、探してみればわかるよな。
そう思って探して見つけた謎のポケモンの正体はポカブだった。
でもポカブの様子がおかしく、口を縄でぐるぐるに巻かれ、そのせいで思う様に食べ物が食べれずにやせ細って弱っている姿だった。皆がその姿に驚き、そして怒る。ポカブに縄を巻いたのは誰だと怒りながらも、その縄を解き落ち着かせる。そしてルカリオが作ったポケモンフーズをポカブに食べさせる。ポカブは相当お腹が空いていたのだろう。勢いよくポケモンフーズを食べている。そんなポカブの背を優しく撫でながらルカリオは言う。
『カブ…!ポカァ!!』
『ゆっくり落ち着いて食べるんだ…そうだ。水が欲しくなったらここにあるからな』
『ピカピカ!!』
『キバキバ!!』
『カゲカゲ!!』
『カブゥ!!』
「ポカブ、ちゃんと食べてね…それにしても酷い、酷すぎるわ!」
「ああ…誰だこんなことやった奴は…!」
「………たぶん、ポカブの元トレーナーだと思うよ」
「…え?ヒナちゃん何か知ってるの!?」
「……どういうことだ?」
「…わ、私の考えだからはっきりは知らないんだけどね。でも初心者用のポケモンがここにいるのっておかしいでしょ?」
「確かにそうね…」
「ヒナ……」
妹はとても悲しそうな表情でポカブたちに近づき、いまだに食べているポカブを優しく撫でる。…その様子から、やはりこれは原作の話なのだろうと分かった。少しだけ嫌な予感がするが、おそらく気のせいではないのだろう。
その証拠にその後、お腹いっぱいになって眠ってしまったポカブを抱いたままバトルマネージャーの人たちのもとへ行ったら、そのポカブに見覚えがあると言って、以前ポケモンバトルクラブに来たトレーナーが捨てていったと教えてくれた。その言葉に俺たちは怒りに震えた。
だが話しているうちに目が覚めたのだろう。ポカブが目を開けて俺たちを見てきて驚いていた。
『…ポ!?ポカ…?』
「あ、ポカブ起こしちゃったか?ごめんな…」
『ピカピカチュゥ…』
『…ポカァ!カブゥ!!』
「あら、どうしたのかしら。その子なんだかサトシに何か言いたいみたいね」
『キババ?』
『ポカァ!!!!』
「…もしかしたら、お兄ちゃんの仲間になりたいっていってるかもしれないね。そうでしょポカブ?」
『カゲカゲ?』
『カブゥ!』
ポカブが頷いて、俺を見つめてくれた。それを見て俺は空のモンスターボールを取り出してから、もう一度ポカブに問いかける。
「ポカブ、俺の仲間になってくれるか?」
『カブゥ!!』
その鳴き声と共に、ポカブは元気よく空のモンスターボールに当たってボールの中に入っていった。
ポカブを捨てたというトレーナに怒りを覚えながらも、仲間が増えたという嬉しさがあったと思える1日だった。
(よし、ポカブを捨てたトレーナーに会ったら速攻で叩き潰すか)
兄の心境。
潰すというよりトラウマ植えつける方がいいかな…。