マサラタウンは相変わらずのようだ。
こんにちはミュウツー…って俺が何故このような挨拶をしなければならない。
それよりも、マサラタウンではサトシが旅立ったことに悲しみ、そしてヒナがその旅に同行したことでさらに皆が号泣している状況を何とかしてくれないか?
…………できないだと…そうか。
『おいフシギダネ。この状況を何とかしろ』
『ダネ…ダネダネ』
『何、いつかは収まるからそのままにしておけだと?だが…』
『ダァネ!』
『そうか、分かった』
フシギダネは号泣している仲間たちを放って見回りに行くことにして歩き始めた。俺もここにいては意味がないと判断し、森の中から出ようと動く――――。
『ベーィベイベイベイベイ!!!!!!!!!』
『っ!!ミューミューゥ!!』
『…ジュカ』
『ウキャッ!?』
『ムックホー!!』
『ベイベイ!!』
『ワニワニィ!!』
『キューン…』
『…おい待て貴様ら何をするつもりだ』
ベイリーフを筆頭に悲しんでいたはずのポケモンたちが騒ぎ出した。ベイリーフがサトシ達に今すぐ会いに行く方法を探そう!と話をして興奮したように叫んでいる。その言葉にミュウ達が興味を持って話をする。
ベイリーフはサトシやヒナに会えないのなら会えるようにすればいいと言い。ミュウがじゃあギラティナでも呼んでどうにかしてもらう?と言ってしまったために、余計に暴走している。
俺はその様子を見てすぐに空から下に降りて話を聞く。
『ミュウミュ!』
『…やめろ。お前のやることは世界を動かす方法だ…何かあっては世界が終わるぞ』
『ミュ…』
『ベーイ…』
ミュウの話ではやはりギラティナに協力してもらってこのマサラタウンとサトシの間を行き来できるようにしてみようという突拍子もない考えだった。だがそんな突拍子もないことができるのが伝説のポケモンだ。そしてあのギラティナならば笑いながら良いよ!と言うのかもしれない。だがそれではサトシ達の旅に何かあったらどうするつもりだ。それにその方法でもしも世界に何か異変が起きてしまったらどうするつもりだといって注意し、やめさせた。
だがミュウもベイリーフも――他のポケモンたちも諦めきれないらしい。まとめ役であるフシギダネがどこかへ行ってしまったため、この話が収まる様子がない。
…俺もサトシやヒナに会いたいから少し考えてみようと思い、いまだにアイディアを出しあっているポケモンの集団の近くへ行く。
『キューン…』
『サトシとヒナに会いたいか。だが俺たちが動いたら人々は驚き騒ぐぞ』
『ミューゥ…』
『ベーィ!!ベイベイベイ!!』
『ワニィ!!』
『マァグゥ!!』
『コォォオオオオ!!!』
サトシに会いたい。ヒナに会いたい。そういう気持ちが強すぎて悲しくなってしまったのだろう。
マサラタウンから自由に行き来できる俺たちはともかく、サトシのポケモンであるこいつらには余計に寂しいのだろうな。俺も何気にサトシとのバトルをしようと向かったらもう旅の途中で来るなと言われたぐらいだからわかる。
だが、それで伝説を使って動こうとするのとは別だ。世界の崩壊の危機となったら意味がないだろう貴様ら。
『ベイベイベイベイベイリー!!!!』
『ミュー!!!』
『ワニィ!!!』
『ヘラクロォ!!!』
『ブイブイ!!!』
『ズッバァァ!!!』
『…いっておくが、やりすぎだと判断したらフシギダネを呼びに行くからな。それだけは肝に銘じておけ』
諦めきれないと叫ぶこいつらを止める気は俺にはない。というよりそれでサトシとヒナに会えたらいいという気持ちも強いからむしろ賛成だ。会いに行って話をして、そしてできればバトルをして帰る。ああ、上出来だろう。
とにかく、サトシ達の旅の邪魔をしないこと、世界の崩壊がなければそれでいい。
『ミューゥ!!』
『ベイリー!!!!』
『――――――――――――ッ!!!』
ミュウとベイリーフがリーダーとなって話は進み、どうやってイッシュ地方まで行くのか考える。
そしてそんな騒がしい集団に、オーキド研究所にサトシがいると思っているアルセウスがサトシ達に会いに来ようと近づくまであと――――――――――――――――。
ミュウツーの心境。
やるべきことはやる。反省するのはそれからでいい。