妹は森の中でいきなりあるポッポに出会った。
こんにちは妹のヒナです。今日遊びに来たのはトキワの森です。兄のピジョットがオニドリルとの争いをしばらくの間休戦することになったらしく、トキワの森が平和らしいので遊びに来ました。
でもピジョットに会いに行こうとしたら何だか1匹のポッポが前を通してくれません。どういうことなの。
『ポッポーゥ!!!』
「え、あの…ピジョットに会いに来たんだけど…」
『カゲカゲ!!』
ポッポが私たちの前にでて威嚇をしているため、ピジョットに会いに行くことができずにいる。しかもそのポッポかなり目つきが鋭くて怖い。ヒトカゲも強気で文句を言ったりしているけど、やっぱり目が鋭いポッポのことが怖いようで私の手を握って離れようとはしない。
でも縄張りを荒らしに来たわけではないし、私はトキワの森にいるポッポたちとはよく遊んだりもするから、今更警戒されることはないし今より前はずっとそうだった。トキワの森のポッポには攻撃されることはないはずだ。…というより、この目の前で威嚇しているポッポはトキワの森で見たことないような気がする。もしかしたら違う所からきたポッポなのかもしれない。
『ポッポー!!!』
「うわっ!?」
『カゲっ!?』
ポッポがかぜおこしで私たちに攻撃してきたため、とっさにそれを避ける。でもポッポはそれを見てすぐに違う技に切り替えてきた…!私たちはそのポッポの行動に応戦することにして、ヒトカゲに向かって指示をする。
「ヒトカゲ、ひのこ!」
『カゲッ!!』
『ポッ!?…ポッポーゥ!!!!』
「え、さらに怒ってる!?」
『カゲカゲ!?』
ポッポがこちらに向かってつばさでうつ攻撃に出たため、その真正面からヒトカゲのひのこを放った。ポッポはひのこに直撃してつばさでうつことはできなかったが、何故かさらに怒った様子で私たちに睨み付けてきた。
その眼光が鋭すぎて怖い。まるで怒った時の兄のようだ。…いや、兄の方が怖いか。
ヒトカゲはポッポに睨み付けられたことで萎縮してしまい、怯えながらもポッポに迎え撃とうとする。でもこのままではいけない。ヒトカゲはもともと怖がりだし、今バトルをしても意味がないと思っているからだ。そのため私はえんまくでポッポから逃げようと思いヒトカゲに言おうと口を開く。だが――――。
『ピジョピジョ――ット!!!』
『ポッポー!?』
「あ、ピジョット!」
『カゲッ!』
ピジョットがこちらに近づいてきて。ポッポの攻撃から私たちを守るように前に降りてきてくれた。そして大きな翼を広げてポッポに向かって鳴き声を上げる。だがポッポはそれを聞こうともせずまたピジョット含めて私たちに攻撃しようとしてきた。
『ポッポーゥ!!!!』
『…ピジョーット!!』
ピジョットは仕方ないという表情でポッポの戦意を削ぐために攻撃する態勢をとった。そしてポッポとピジョットがお互いかぜおこしをして攻撃する。―――――でもピジョットの方が力強いため、ポッポが飛ばされ、後ろの方の木にぶつかって気絶してしまった。
『……ポー』
『ピジョーット…』
「ピジョット!ポッポ、大丈夫?怪我とか平気かな?」
『カゲッ?』
『ピジョー!』
ピジョットが木にぶつかって落ちていくポッポを背にのせてこちらに降りてきた。そのため私は急いでピジョットの背中からポッポを降ろし、リュックからオレンのみを取り出して食べてもらう。そして少し体力を回復したのか、ポッポが目を覚まして私たちを見た…というより睨み付けてきた。それを見たヒトカゲが悲鳴を上げて私の背の後ろに隠れる。だがそんなポッポの様子にピジョットが注意したため、すぐに鋭さはなくなり、おとなしくなった。
『ピジョーット!!!』
『……ポッポー』
「大丈夫?もういきなり攻撃してきちゃだめだよ?」
『カゲカゲ』
『ポー…』
ポッポは何とか私たちの言葉に頷いてくれた。そして後で聞いた話だが、ポッポは1匹で旅をしているらしい。しかもかなりのバトル好き。強いポケモンと戦いながらいろんな地方へ行くのが夢で、それを実現するためにカント―地方で1匹で行動して旅していると話しで聞いた。まるで兄…いやジュカインのような性格のポッポだと思ってしまった。でもちゃんと夢があってそのために旅をしているのは凄いと思う。まだまだ旅をし始めたばかりらしいが、しばらくの間はマサラタウンにいたいと言ってきた。ピジョットはこの言葉を聞き入れ、ポッポの気が済むまで群れに迎え入れるそうだ。
まあマサラタウンは様々なポケモンが暮らしていて、バトル好きは大歓迎だからポッポにとっては楽園のような環境だろう。しかも他の地方のポケモンもいるし伝説もいるからなおさらだ。
まあとにかく、無事でよかった。
『ポッポー!』
「よろしくね、ポッポ」
『カゲカゲ!』
『ピジョーット!!』
妹の心境。
ポッポが皆のバトル中に特攻して吹っ飛ばされるのが日常になってきた。