シェイミはいつの間にか迷っている。
こんにちはギラティナです。あれ、もしかして俺じゃなくってサトシ君やヒナちゃんだと思っちゃった?
残念俺でした!
まあ怒らないで俺の話でも聞いてくれない?
俺ってさ、よく反転世界から世界を見て過ごすことが多くて、結構暇なんだよな…。それにムゲンって人が研究していた時は何してるんだろー?って見ることが多くてひまつぶしに良かったんだけどさ。今ではほとんど来ないし、暇すぎてサトシ君のストーカーになりそう…。
…え、外には出ないのかって?いやいや出れるわけないでしょー。ほら、俺って神様的な存在だし?伝説のポケモンだからあまり人に見られたらいけないんだよね。あと、この世界を管理しないといけないから無理無理。
…まあ必要な時とかには出るけど―――――。
『――――――ってことでたまには何か面白い話でもないの?シェイミ』
『…何でギラティナのひまつぶしに付き合わないといけないんでしゅか?ミーは外に出たいんでしゅ!』
『駄目、良いじゃんかぁどうせまた反転世界に迷い込むんだろうから。俺と仲良くお話しようぜー!』
『変態には近づいたらいけないってサトシに言われてるんでしゅ!!!』
『へ、変態って…そりゃねえぜサトシ君…でもシェイミは俺と仲良しだよね?仲良くしてるよね?そうじゃないと俺すっごく悲しい!』
『……はぁ…まったく、仕方ないでしゅね。ミーに感謝するでしゅ!』
ショックを受けたような表情をするギラティナ。そしてシェイミに優しく抱きつき、泣き喚く。だがその仕草は少しだけ嘘っぽい。
その残念な様子にシェイミはため息をついてギラティナに渋々頷いて同意した。するとギラティナはすぐ笑顔になってシェイミをギュッと抱きしめる。抱きしめられたシェイミは苦しさからさっさと離れるでしゅ!と叫んでなんとかギラティナから離れることができた。
そしてシェイミはまた抱きしめられないように数歩だけ離れて話を聞く。
『へへ!それで?シェイミはいったいどんな面白い話してくれるの?』
『そうでしゅねー…ミーが花運びをしている時に出会った綺麗なポケモンたちの話しでもしてやるでしゅ』
『へ―綺麗なポケモンね!…もしかしてメスだったりする?綺麗な女性!?』
『ギラティナ…そのメス好きがお前の伝説の威厳を損なわせているんでしゅよ…』
『俺はこういう性格なんですー!それでそれで?続きはどういう話?』
シェイミはギラティナにため息をついて話を続ける。こういう言葉の交わしあいはもう何度も行ってきたからだ。
何度も反転世界を行き来したからこそ、友達と気軽に話をしているような関係になっていった。
そしてギラティナが反転世界に棲み、伝説のポケモンと言われている生き物だとしても、シェイミにとってはただの残念な生き物であり、何度もこちらに来ているため、気軽に話ができる間柄でもあったりするのだ。
『確か名前は…ゾロアークとゾロアって言ってたでしゅ。親子みたいだったでしゅよ』
『っ!…へぇ!ゾロアークね…』
『…ギラティナ、どうしたんでしゅか?』
『いや別に。そっかぁ親子かーじゃあ付き合ったりはできないなぁ麗しの女性と…』
『まだ狙ってたんでしゅか…』
シェイミはギラティナがゾロアークとゾロアの名前を聞いて驚いたような反応を示していたが、すぐに誤魔化されてしまう。シェイミはそれに疑問に思いながらも、ギラティナがまた残念なことを言ったのでツッコミをいれた。
『それで?そのゾロアークとゾロアがどうかしたの?』
『イリュージョンの力を見せてもらったんでしゅ!ミーにも変身して凄かったんでしゅよ!』
『へぇ。そりゃあ興味深い話だな!』
『ミーに感謝するでしゅ!』
『そうだな。シェイミにはすっごく感謝してますよー』
『…全然気持ちがこもってないでしゅねギラティナ』
シェイミは自信満々の表情でギラティナに向かって言う。それにギラティナも笑みを浮かべながらシェイミの頭を撫でる。シェイミはそれに微妙な表情を浮かべていたが、ギラティナの撫でる手を振り払おうとはしない。
『じゃあ今、ゾロアークとゾロアってシンオウ地方にいるのか?というか、どこで会ったの?』
『イッシュ地方で会ったんでしゅよ!シンオウにくるという話は聞いてないでしゅ!』
『え、君イッシュまで花運びに行ったの!?』
『ミーは凄いんでしゅ!!』
『そりゃあ凄い…頑張ったんだな。おつかれさん』
『…もうこれで話は終わりでしゅよ!そろそろミーを帰すでしゅ!!』
『え、もうちょっとだけ話しよう!?』
シェイミがまた自信満々な表情を浮かべてギラティナに言う。今度はギラティナの方も驚きの表情を浮かべてイッシュまで大変だったろ?と労りの言葉を言っていた。
その後、話は終わったとシェイミは言うのだが、ギラティナは嫌そうな表情を浮かべて話し相手を抱きしめ、もうちょっと話ししようと我儘を言う。抱きしめられたことによってシェイミは暴れるのだが、ギラティナは一向に気にせず抱き続ける。そして小さく呟いた。
『……そっか、もうそこまで物語は進んでいるんだね』
特になし。