妹は奇妙な生き物に出会う。
こんにちは妹のヒナです。今日はオーキド研究所の湖でのんびりしていようと思ったんですけど…。何かいきなり出てきました。
『ギュルァァァアアア…』
「ギ、ギラティナ!?」
『カゲ?』
湖から空間が捻じ曲がり、なんだろうと思って警戒していたら、ギラティナが勢いよく現れてびっくりしました。何でこっちに来たのギラティナ…もしかして兄に助けられたからお礼を言いたいとかそういうのなの?
ヒトカゲは目の前にいるポケモンが何なのか分かっていないらしい。首を傾けて私に誰なのか聞いてきたので、兄の知り合いだと言っておいた。
ギラティナは私たちをじっと見てこちらへ近づいてきた。
『ギュルル…』
「ど、どうしたのギラティナ…お兄ちゃんに何か用なの?」
『カゲカゲェ?』
『いや別に、サトシ君に用はないけど。君たちにはあるかな』
「喋ったァァア!!!??人間になってるぅぅうう!!!????」
『カ…カゲカゲ?』
ギラティナって喋れるの?!あれ人間になれるの!?そんな話原作とかであったっけ!?
ヒトカゲはポケモンが喋ることにも人間になることにも驚いていない。逆に何で私が驚いているのか疑問に思っているようだ。確かにポケモンが人の言葉を喋るのはミュウツーやルギアなどで何度も見てきた光景だから、喋れる生き物もいるというのは分かっているしギラティナもそういう生き物だと思ったのだろう。そして人間になるというのも、ラティアスが人の姿をしたことがあるために以下省略…。
でも私は本当に驚いた。ギラティナが人の姿をしたということと話をしたということに。もしかしたら兄もこの光景を見て驚いたのかもしれない。
『君があの時のヒトカゲか…』
『カゲッ?』
「…え、ヒトカゲを知ってるの?でもヒトカゲは知らないって…」
ギラティナが懐かしいという表情でヒトカゲの頭を撫でた。その撫で方はとても優しく、まるで一度会っているような感じがした。
でもヒトカゲはギラティナの顔を見て首を傾けている。私も一応考える。ヒトカゲがギラティナに会ったというのならそれは何処でだろうと…。卵の時に出会った後、私とヒトカゲはずっと一緒にいた。離れたことはないってぐらいずっとそばにいるのだ。だからギラティナがヒトカゲに会ったというのなら、それはおそらく私と出会う前の卵の時で…?
ギラティナは首を横に振って苦笑していた。そして小さく口を開く。
『そうだろうね。君には覚えてもらうつもりはなかったから…でも良かった。元気に、幸せに暮らせているようで…本当に良かった』
『……?』
「あの…ヒトカゲと何処で会ったんですか?」
ギラティナが勝手に頷いて納得し、満足している。…ヒトカゲと何処で会ったのだろう。それに少しだけ引っ掛かった。私が必ずヒトカゲを幸せにして、一緒にいようと決めていたけれど、なんでギラティナはヒトカゲのことを気にかけているのだろう。そして幸せに暮らしていると分かって安心しているのだろう。
それを質問してみたのだが、ギラティナはまた苦笑して私たちに向かって言う。
『卵の時の…過去の話だ。君たちが幸せに暮らしているのなら、知らなくていいことだよ』
「どういうことですかそれ…?」
『カゲカゲ…?』
『気にしないで…そうだね、赤ん坊のころに会ったお兄さんと再会したという感じかな』
「…………………」
『…………………』
まったくもって意味が分からない。しかもちゃんとした説明をしてくれないし、誤魔化された感がすごいする。それで何なのその例え…。お兄さんって自分で言っちゃうんだ…。私とヒトカゲは微妙な表情を浮かべて人間姿のギラティナをじっと見つめる。
だがギラティナは何も言わずにただヒトカゲと…そして私の頭を撫でた。
『君たちに会えて本当に良かったよ』
「…はぁ、そうですか」
『…カゲェ』
なんだかよく分からないけれど、まあ後で兄に聞いてみたら何かわかるかもしれないから気にしない方がいいのかなと無理やり納得した。
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『うーんそれにしても君…』
「な、なんですか?」
『カゲ?』
ギラティナが考える様に呻き声を上げて私の方をじっと見つめる。それに微妙に警戒しながらもヒトカゲと共に聞いてみる。
『成長したら絶対に可愛い系になりそうだよね!ヒナちゃんっていう名前だっけ。サトシ君が女の子になったらそのまま成長する姿になるのかな結構楽しみ!』
『……………』
「………………」
『あれ、なんでそんなに引いてるの?』
「へ、変態だぁぁあああああ!!!!!ヒトカゲえんまくぅぅう!!!」
『カゲェェェ!!!!』
『ブハ…!ちょっ何!?』
「フシギダネェェエエ変態がいるよぉぉおおおお!!!!」
『カゲェェェェェエ!!!』
『え、ちょっと待って誤解だって!!』
『ダネダネダネフッシィィイ!!!!』
『痛ったぁぁあッ!!!!!!!』
妹の心境。
お、お兄ちゃんギラティナがこんな奴だって聞いてないよ…!