マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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兄は時期が来たことを知り、行動する。


第四十五話~兄は行動を開始した~

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。今回ちょっと旅を中断し、タケシたちには留守番を頼みピカチュウやシンオウで仲間になったポケモンたちと一緒に目的の場所へやってきました。

 

―――――――そう、鏡の前です。

 

 

『ピィカ?』

「後でちゃんと説明するよピカチュウ」

『ピカッ!』

 

 

 

ピカチュウが分かったと頷いてくれたので俺はとりあえず鏡の前であいつの名前を呼ぶ。すると鏡が豹変し、反転世界へと入ることができた。

 

『…久しぶり、サトシ君』

「いやこの前会ったばかりだろ」

 

俺は人型になったギラティナの言葉にツッコミながらも、モンスターボールに入っているポケモンたちを出す。ポケモンたちは皆が疑問を浮かべている表情だ

『ピカピ…?』

『―――――――っ?』

 

「皆…俺はこれからある犯罪者たちを倒しに行かなくちゃいけない。妹と一緒にいるヒトカゲの両親と、その兄弟姉妹たちを不幸にした奴らを倒し、捕えていきたいんだ…もしかしたらそいつらと戦う時怖いこともあるかもしれない。…それでも俺と一緒に戦ってくれるか?」

『ピッカッチュウ!!』

『ウキャッ!』

『ドダァ!』

『ムックホー!』

『ブイブイ!』

『カフ…!』

「ありがとうみんな」

 

これからやることは、ヒトカゲの両親や兄弟と姉妹たちを不幸にした犯罪者のアジトを潰すこと。

シンオウでギラティナに聞いた時から絶対にアジトやその犯罪者たちを潰してひっ捕らえてやるということを決めていたのだ。本当だったらすぐに向かいたいところだが、アルセウスがそろそろ目覚めるということを聞いて、いまシンオウから離れたら駄目だと説得されたために時期を待っていたのだ。その間に犯罪者たちが何をしているのか、アジトは何処なのかをギラティナに聞いてすぐにミュウツーたちに協力をしてもらった。ミュウツーたちはすぐにその話を聞いてアジトを潰そうと行動しようとしたのだが、俺がそれを止め、そして予想以上に規模が大きいということや感情だけで動けばすぐ逃げられると判断してくれたので戦う準備をして時期が来るまで待っていてくれたのだ。

あと、これから行くアジトで被害者となっているヒトカゲ達を解放した後、安全に棲んでもらう場所を確保してもらうためにも動いてもらった。まあすぐに、はじまりの樹に棲んでいるミュウが保護したポケモンたちを棲まわせてもいいし、歓迎するといってくれたので、はじまりの樹がヒトカゲ達の保護する場所になった。そしてヒトカゲ達がゆっくりと棲めるように伝説たちに頼んで主にミュウがリーダーとなって住居開拓をしてもらった。そういった準備のおかげで保護したらすぐに住めるし快適に暮らせるようになったのだ。

 

 

俺はすべてをみんなに詳しく話して伝え、一緒に戦ってほしいと頼む。すると力強く皆が頷き、俺に向かって協力するといってくれた。それに俺は微笑み、礼を言った。それを見ていたギラティナが小さく拍手しながら上を見上げて口を開く。

 

 

 

『…ある意味これは青春なのかな?まあそれは良いとして、そろそろ来るみたいだぜ?』

 

 

 

そう言った瞬間ギラティナはポケモンの姿に戻って宙に浮き、いくつもある鏡の前へやってきてその中の1つの鏡の空間を開ける。

するとやってきたのは俺の頼みごとを聞いてくれた伝説のポケモンたち、そして今までに旅してきた中で仲間になった俺のポケモンたちだ。伝説でいるのはミュウ2匹、ミュウツー、ルギア、ファイヤー、フリーザー、サンダー、セレビィ、レックウザ、デオキシス、カイオーガ、グラードン、レジスチル、レジアイス、レジロックという旅で出会ったポケモンたちだ。シンオウ以外の伝説たちは俺から直接話を聞き、そしてその人間たちの所行に怒ってくれた。そして俺に力を貸してくれて今この場に集まってくれたのだ。だが全員が集まってしまうとマサラタウンにいる妹とヒトカゲが危ないため、ラティオスとラティアス、マナフィとルカリオとフシギダネはマサラタウンに残ると言ってくれた。

その残ると言った俺の仲間のフシギダネが皆と一緒に反転世界へやってきた。

 

 

 

『サトシ、いよいよあの人間どもを葬れるのか…!』

「ミュウツー、殺しはすんなよ。あいつらのやってることを再起不能にして捕まえるだけだからな」

『…分かっている』

 

 

『ダネ…ダネフッシ…!』

「久しぶりだなフシギダネ。ヒナたちは元気にしてるか?」

『ピッカ?』

『ダネダネ!!』

 

 

フシギダネがこちらに近づいてにっこりと笑ってくれた。どうやら俺に会って、妹とヒトカゲは十分元気にやってることを伝えたくて来たらしい。フシギダネといろいろと話をして、妹たちのことを頼んでマサラタウンに帰っていった。

 

 

 

『ダネダァネ!!』

「ああ、頼んだぞフシギダネ!!」

『ピィッカッチュウ!!!』

『ベイベイベイ―!!』

 

 

「さて――――――」

 

 

フシギダネがギラティナのあけた空間でマサラタウンに帰っていき、俺とピカチュウ、ベイリーフ、他の皆がその姿を見送った。

そして俺は伝説と仲間たちがいる方へ向く。そしてポケモンの姿のままのギラティナを見てから頷き、行動を開始する。

 

「行こうか。あいつらを叩き潰しに」

 

『―――――――ッッ!!!!』

 

 

ポケモンたちは雄たけびを上げてやる気を出し、ギラティナはアジトがあると言った空間を開けて突撃した。

ルギア、ファイヤー、サンダー、フリーザー、レックウザ、グラードン、カイオーガ、ギラティナ、カビゴンなどの身体が大きくて狭い建物で移動するのに向いていないポケモンはアジトの外から襲撃し、犯罪者たちを逃げられないようにする。…ギラティナは人間の姿にもなれるが、それだとポケモンの技が使えないと言うので外の方を担当にしてもらったのだ。

 

そしてアジトの中を行ける俺たちは、建物の内から囚われているであろうヒトカゲ達を見つけて保護し、そして犯罪者である悪者たちをすべて倒して捕まえる。部屋がたくさんあるらしいため、それぞれが部屋を調べていき、各々で対応する。そしてシンオウで出会った仲間たちには一応、キングラーとオコリザルとバタフリー、ベイリーフとヨルノズクとゼニガメの2つのチームに数体分かれてそれぞれ行ってもらうことにした。少し不満そうな表情を浮かべているブイゼルもいたが、そこは安全を考慮して納得してもらう。突然の内容だったし、もしものことを考えてやるのであって決してお前らが弱いとかそういう理由でチームで行動してもらうわけじゃないからな。

あと、ミュウには移動役をやってもらう。保護したヒトカゲたちを外の攻撃も何も来ない場所までテレポートで移動させ、そこでもう1匹のミュウがポケモンの傷などを癒してもらう。その場所の近くをルギアにいてもらってより安全を確保し、何とか全てのポケモンたちを保護しようという作戦だ。…本当だったらミュウツーもその役目をやってほしいのだが、おそらくアジトにつけば派手に暴れていくと思うのでやめてもらった。とりあえずミュウは大忙しになると思うが、そこは頑張ってもらおう。俺たちも頑張るし。

 

 

まあこのように大雑把な作戦だが、皆が一人もとり逃がさずに捕まえてやるという気持ちでいくため大丈夫だと思っている。それに俺の仲間たちも伝説たちも頼もしくて心強いのだから安心できるしな。

 

 

 

 

 

 

 

「…リザードン」

『グォォウ!!!』

 

 

俺は殺る気十分なリザードンに近づいてその背に乗る。そしてリザードンは翼を広げて力強く空を飛んで、仲間たちや伝説たちが向かったであろう開いた空間へ入っていった―――――――。

 

 

 

 

 

いきなり来た俺たちに犯罪者である人間たちは恐れ、恐怖に震えただろう。なんせ空間がねじ曲がりそこから伝説のポケモンや強そうなポケモン。進化はしていないがレベルが強く、倒せないポケモンがそろって攻撃してきたのだから。普通だったらありえない事実に悪夢ではないのかと叫ぶ者までいる。

 

だが、俺たちはアジトの中を見てまたさらに怒りが込み上げてきた。俺が乗っているリザードンも、肩にいるピカチュウも怒りで人を殺めてしまいそうなぐらいの酷い光景。

ヒトカゲだけじゃない、色違いを生み出そうとしていたのは他のポケモンでもやっていたらしい。そしてそれ以外にも研究しているような光景が見られた。建物の中の様々な部屋に研究施設が置かれていて、その中には多くの卵がカプセルに入れられており、檻の中に入れられたポケモンたちの姿も見えた。ポケモンたちの中の多くが傷つき、虫の息というぐらいに弱っている姿も見られた。それに檻の中には生まれたばかりのポケモンもちらほら見えている。部屋ごとにポケモンのタイプが分けられ、そしてすべてのポケモン、卵たちが被害を受けていたのだ。

 

 

 

「屑どもが…!」

『ピカピッカァッッ!!!』

『グォォオオオオオオ!!!!』

 

 

 

ピカチュウが10万ボルトをほうでんのように盛大に攻撃し、リザードンがかえんほうしゃで周りの機械を燃やしていく。もちろん卵や檻の中にいるポケモンたちに怪我をさせないよう気をつけて暴れていく。

他にもいろんな場所で大きな悲鳴がたくさん聞こえてきた。そして逃げ惑う犯罪者たちの姿も見える。今回一緒に襲撃した俺のポケモンたち、伝説たちもこの光景に怒り、凄まじい攻撃をしているのだろう。…俺もこれは許せない。

リザードンから飛び降りて、弱って震えているポケモンたちの檻の前に近づく。檻の中にいるポケモンたちは俺が誰なのか、怖いことをするのではないのかと恐怖に怯え、震えていた。俺は檻を壊して、中にいるポケモンたちに優しくもう大丈夫だと言って近くにいたミュウに頼んで外へ連れ出してもらう。

 

震えているポケモンたちを見てますます怒りが込み上げてきた。こんな酷いことをしたあいつらが許せないし、許すつもりもない。全員まとめて潰す。建物ごと潰してやる。

 

リザードンは俺の後ろで攻撃してきた敵のポケモンたちにかえんほうしゃで倒している。そしてピカチュウはカプセルから卵を優しく取り出して、ミュウを呼んでテレポートで外まで移動してもらっていた。

 

 

「…リザードン、ピカチュウ」

『…ピカ』

『…グォォ』

 

俺の呼び声に反応して、次に何を言うのか聞く。その間にもいろいろと敵ポケモンが来るため技を出して攻撃しながらだが。

 

「被害に遭ったポケモンと卵を外に連れ出して…もう敵しかいないと分かったら…全部潰すぞ」

 

『ピッカッチュウ!!!』

『グォォオオオオオ!!!』

 

 

 

俺の行っている言葉を理解したのだろう。人や生き物は殺すつもりはないが、このまま捕まえて終わらせるつもりもない。この場所をすべて破壊し、建物を潰す。そしてポケモンたちに酷いことをしてきた奴らにはもう二度とこんなことができないように、悪さをしたくないと思えるぐらいのトラウマを植え付けてやる。

…ああ、ポケモン恐怖症?そんなの生ぬるい。もっともっと嫌な目にあわせる。後悔させてやる。

ポケモンたち、卵たちの分まで苦しめばいいんだ。

 

 

 

「行くぞ!!」

 

 

 

『―――――――――――――――ッッ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。今日は朝から母とルカリオが作ったサンドイッチをヒトカゲと一緒に食べています。もうサンドイッチがとても美味しくて私もヒトカゲもご機嫌です。

食べている場所ではテレビの報道ニュースが流れています。朝はよく昨日あったニュースや有名人の話などが流れるため、私たちはテレビを見ながらサンドイッチを食べます。

オレンのみのサンドイッチうまー。

 

 

 

 

【今日のポケットワールドニュース。昨日、○○という町のはずれにてポケモンを違法に取り扱っていた研究所が見つかり、逮捕されました。話に聞いた内容によりますと昨日、○○町のはずれにて大きな騒音が聞こえ、原因を調べるために警察が向かったところ、研究所があった建物がすべて倒壊し、外には研究員の人々が気絶し倒れていたそうです。研究所にいた人は幸い全員無事でした。ですが研究所にて違法行為の証拠を発見し、さらに研究員全員が罪を自白し、ポケモンたちは逃げたという話を告げました。逮捕された人々は自ら「早く刑務所へ行きたい…!殺される潰される燃やされる切られる噛みつかれる電撃が怖い怖い何もかもが怖い、許してくれごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」と何度も震え呟いている様子が見られました】

【いやー怖いですねェ】

【ええ、警察によれば犯人たちのいる研究所で大きな災害の後が見られ、その災害によるショックで精神がおかしくなってしまったのではないかと指摘しております】

【いやー恐ろしいですねェ】

【そうですね。さて次のニュースですが―――――】

 

 

「…へーそんなことあったんだ」

『カゲェ…』

テレビで少しよく分からない。だけど怖そうなニュースが流れてきた。犯人どうしたんだろう。なんかすっごく怖がってるし…建物も壊されてるみたいだし…もしかして誰かに襲われたりしたのかな?

それとも悪いことしてる人を捕まえるために誰かが行ったとか?…まあそんなわけないよね。

警察も災害のせいでおかしくなったって言ってるし、建物も研究員たちもその被害に遭ったんだろうきっと。

 

 

 

 

『…ヒナにヒトカゲ。テレビを見ないで食べろ。オーキド研究所へ行くんだろう?』

 

「あ、そうだった!」

『カゲッ!』

 

ルカリオがテレビに夢中になっている私たちに近づいて言う。ルカリオはもうご飯を食べて後片付けなどをしているからはやく食べて母たちの手伝いをしてからオーキド研究所に行かないと!

 

「ヒトカゲ、早く食べよう!」

『カゲカゲッ!』

 

今日も一日、平和に過ごしていこうっと!そういえば兄からそろそろリーグに行くって連絡が来たけど、ポケモンたちの様子とか見るよね。じゃあベイリーフにいろいろと相談しないとな…。

私はヒトカゲと共にサンドイッチを食べながら、今日やることを考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………お前たちはまだ、何も知らなくていいんだ』

 

 

 

 




兄の心境。
 全部吹っ飛ばせて良かった。これで少しは安心できる。

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